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「ここで殺さないでもらえます?」
しおりを挟むルベッカの実家は引き取りを拒否したため、爵位乗っ取りを楯に慰謝料を請求。
耳を揃えて一括でいただきました。
我が家の国外流通ルートを磐石にするため、ルベッカの実家ゼローマ伯爵家の国内外流通ルートを慰謝料に。
そして長年居座り続けて我が家の資産を食い潰してきた慰謝料として、国外に展開している商会の譲渡。
いわば我が家の支援で成り立っていたようなもの、という理由で快く譲っていただきました。
罪はそれだけではございませんが。
そのことを訴えたら、お引き取りするそうですよ。
「それで、元婚約者様? 慰謝料云々でしたらすでに当主サロンで話がすんでおりますが。いまさら謝罪などなされても減額はできませんわよ」
「慰謝料……? それは一体」
「あら、わたくしの家で何をしておりましたの?」
「ここはフェスタの家でもあるだろう!」
「いいえ、ルベッカおよびフェスタは我が家とは関係ございません。ねえ、わたくしの母の幼馴染みってだけで居座り、母亡き後も実家に帰らずわたくしに母と姉と呼ばせた不届き者で簒奪者のゼローマ伯爵家ルベッカ様?」
私の言葉に青白くなりながらソファーに座り続けるルベッカ。
フェスタとブレイドは驚きの表情で固まっている。
2人はやっと自分たちが簒奪者であると気付いたのだ。
「ねえ、エーメ。あの……」
「エーメ。君は私のことを……」
縋るように見てきたが正直気持ち悪い。
ちょうどそのとき、応接室の扉が開いて使用人が執事に小声で何かを伝えた。
そして執事が私の隣まできて使用人の言葉を告げる。
「エーメ様。お客様が到着いたしました」
「お連れして」
「はい」
執事が離れると私に怯えた表情を見せる3人。
すぐに入ってきた人たちをみて固まった2人とわかっていない1人。
仕方がない、フェスタはルベッカの実家の人たちと顔を合わせたことがないのだから。
「お、お前たち!」
「エーメ様、お許しを! ああ、お前たち、こっちに来ないか!!!」
「いやっ! 離して! 離しなさいよジジイ!」
3人の様子を見て慌ててソファーから引き摺る彼ら彼女らの正しい身内たち。
それはそうだろう。
上座に座ってる3人、下座に座らされている当主の私。
一見して簒奪者が誰かわかる座り位置。
そんな中、フェスタの暴言に……ルベッカの兄で現当主であるポールが床に投げ飛ばした。
「きゃああ!」
「やめて! やめてください、お兄様! この子のお腹には赤ん坊が!」
「そんな祝福も受けられぬ子など生まれぬ方が良い!」
「ここで殺さないでもらえます?」
「…………申し訳ない」
すぐに手を止めるポール。
一応冷静は保っているようだ。
「やめろ! 私の子を殺す話をするなど」
「何を言っている、タネなしが!」
ブレイドはポールに掴み掛かろうとして父親にぶん殴られた。
ブレイドはあっさりと床に倒れ伏した。
弱すぎる、のではなく、彼は当主に逆らえないのだ。
「ち、ち、ち、ち…………」
「こんの愚か者が!!!」
「私の、子」
「お前には子を作る機能がついておらん!」
「……へ?」
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