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生活は今と変わらん
しおりを挟む私は代わりの旦那様という日陰の立場から表舞台に立つことになったテッドと今日結婚式をあげる。
「私でよろしいのですか?」
「あら、じゃあ今から別の方を旦那様に選ばないといけないのですか?」
「いえ、そうではないのですが……」
テッドが気にしているのは、陛下から第五王子を推されたからだ。
「テッド。私は王子だからあなたを選んだのではなくってよ」
そう、テッドことアンリテッドは第七王子。
ソルディの母とは別の側妃の子。
母だった側妃が病で亡くなったとき、学友だった母が『代わりの旦那様として娘に下賜していただけませんか?』と両陛下に具申した。
私とテッドは母同士が親友だったこともあり、すでに交流があった。
さらに不良品を私に押し付けることも決まりつつあった。
亡き側妃の子を引き取ることを了承すれば、反対している当主であり宰相である私の父も受け入れてくれるだろう、という心算もあった。
どちらにしろ、王子との結婚により子供は王家の血を引く。
そのための陞爵、そのための公爵位だ。
「テッドこそいいの? 私の配偶者よ? あなたは臣籍降下で公爵家を興すことも可能なのよ」
「別に一から興すのは面倒だ。それに生活は今と変わらん」
たしかに、私専用の従者で執事見習い。
ずっと一緒にいて、いないことの方がおかしいくらいだ。
「それに今度から、こうして触れられる」
そう言って、私の右手を持ち上げて手袋の上から口づける。
「じゃあ、覚悟してね。私の代わりではなくなった旦那様。手放す気はないわよ」
「では、覚悟してくださいね。私の愛が重いと嘆いても手放す気はないですから」
私たちは顔を合わせて笑い合う。
そう、私たちはお互いを求めるあまり、ソルディを平民に落とした。
しかし、処刑台に乗せる気はなかった。
女好きのソルディは放っておいても女で身を持ち崩すことはわかっていたからだ。
ただ、平民に落ちるときに子ができないよう処置されるはずだった。
まさか、愛人二人が共にソルディ以外の男と関係を持っており、ソルディである可能性はかなり低かったがお腹に子供がいるとは思わなかった。
愛人たちもソルディの立場がわかっていたら、子どもは作らなかっただろう。
子どもができれば、それを口実に処刑されるのだから。
彼らの処刑と同日に処刑された者たちは、そのお腹の子の父親の可能性がある男とその仲間たちだった。
両陛下はソルディを旗頭にクーデターを起こそうと企んでいる者たちを一掃したのだ。
「愛人と身体の関係をもつことで、ソルディがもつ王家の情報を聞き出すことができる」
男たちの目的はソルディの存在と彼がもつ国家情報だったのだ。
どこで誰のパーティーが開かれる。
それで派閥を知ることもできるし、下働きの手伝いとして潜り込めれば一つでも情報を持ち帰ることができる。
あの日、ソルディと最後に会った日……
私が『コルデリア侯爵夫人のお茶会に行く』など知らないはずだ。
いや、本当ならその予定だった。
しかし、前日になってコルデリア侯爵夫人から「夫がソルディ様の代わりに陸軍将校のお供をすることになった」との理由で日にちが変更になったのだ。
留守を任される夫人が、夫が出発する当日にお茶会を開くことはない。
そのため予定は十日後に延期されていた。
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