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世間は悲しむフリをして悦んでいる
しおりを挟むソルディの情報は、彼がまだ王子だった頃の情報を元にしていた。
男たちはその古い情報を信じてコルデリア侯爵家に向かい捕まったのだった。
平民が知り得ない情報を持っていた彼らは厳しい拷問を受けた。
彼らは自身の拷問にも仲間の拷問にも耐えた。
しかし、家族の……特に幼い子供の悲鳴には耐えることなどできなかった。
ここで誤解を先に解いておこう。
子供たちは拷問を受けていない。
ただ、集められた子供たちは『真っ暗な中にロウソク一本置かれた部屋で怪談話を聞かされていた』だけだ。
それも捕まった彼らの子供ではない。
今までにも何度か開催されている、教会主催の『悪夢のような一夜』だ。
会場はどこかの地下としか知らされていない。
教会に集まった子供たちは恐怖体験のため、麻袋にいれられたり、木箱にいれられたり。
そうして子供たちはその日の会場に連れてこられる。
そして、朝になったらまた同じ方法で教会まで帰ってくる。
麻袋や木箱にいれられる体験は、のちに役に立つことがある。
人攫いに捕まったときに一度経験しているために冷静に判断ができるそうだ。
そして隙をみて逃げだして難を逃れた子供はいくらでもいる。
中にはどんな靴音がしたか、何回曲ったか、声から何人いたかなどの情報を持ってくる子供すらいる。
そんな理由から、ナイトメアは人気があるイベントだった。
ただ、拷問を受けている者たちの部屋に届くのはくぐもった子供の悲鳴。
それを『こんなところに連れてこられて拷問を受けるのは自分の子供たちしかいない』と思うようだ。
そしてひとり、またひとりと自供していく。
処刑当日、処刑されるのは自分たちだけで家族に累が及んでいないことを安心して処刑台にたつ。
ただし、人を殺めていれば処刑の前に家族の処刑がおこなわれている。
我が子の吊り下げられた遺体を前に、自身の罪の重さをようやく自覚して後悔する。
ただし、後悔してもすでに遅し。
泣き続け、我が子に謝り続けたまま首に縄をかけられて……人生を終える。
被害者や遺族に謝罪することはないため、人々の憎しみは残された犯罪者一族に向けられる。
報復……遺族でも許されない罪。
しかし、怒りのやり場がなければ彼らに向かう。
国が矯正施設に保護する場合もある。
しかし……イケニエとして選ばれて保護されない一族もいる。
主犯の一族である。
そして悲劇で残酷なほど…………世間は悲しむフリをして悦んでいる。
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