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しおりを挟むあれから一週間かけて、生まれた国を出て、隣国に移った。なんと、イヴォンは数年前から商会を立ち上げていて、その功績を認められて、男爵位を昇叙していたようだ。隣国に着いたら、立派なお屋敷もあって本当にびっくりしたわ。
それに、新しく戸籍も作ってくれて、いつの間にか夫婦になっていた。
イヴォンには働かなくてもいいと言われたけど、少しでも家計の助けになればと、私は翻訳の仕事を始めた。好きな人のために仕事を頑張るのは、やりがいがあって楽しい。
そうして、幸せな生活を続けていると、新たな命も宿った。
「あっ。イヴォン、動いたわ! 分かった?」
「ええ。はっきりと」
「私たち、パパとママになるのね」
「はい。でもママになっても、いつまでも甘えてくださいね」
「ふふっ。いいの?」
「もちろん。それが私の一番の仕事ですから」
ドン底だった私を救いあげてくれたイヴォン。これからも、赤ちゃんみたいに甘えてしまうこともあるだろうけど。
――今後の目標は、私を幸せにしてくれたように、イヴォンも幸せにすること。
「イヴォン、愛してるわ」
「ナディア。早速甘えんぼさんですか?」
「ううん、違うけど。言いたくなったの」
「うちの奥さんは、かわいいですね」
自然と抱き合って、甘くて蕩けるキスをする。私のこれからの人生は、希望でいっぱいだ。
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