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君の第六感はあてにならない(2022.3.9)/ホラー
しおりを挟む目に見えないものの存在を、あなたは信じますか?
例えば、そう、幽霊……とか。
「感じる……感じるわ! 私の第六感が、ここにいるって、そう感じているのよ!!」
僕の学校には、とびきり可愛い女子がいる。
きっと本人も自分が可愛いことを自覚しているのだ。
見た目は誰もが認めるほどの美人で、学校中の男子を虜にしていると言っても過言ではない。
まぁ、それを他の女子たちは面白く思っていなくて「あの女はあざとい」「わざと男を利用している」なんて、嫉妬されているようだけど、本人はさほど気にしていないようだった。
そんな彼女は、僕にとっても高嶺の花であり、僕は彼女の姿を見ただけで鼓動が激しくなるし、緊張して、不意に目があう……なんてことがあったら、立っていられなくなるんじゃないかと思うほどに体が熱くなる。
それほどまでに、僕は彼女に心酔していた。
そんな彼女が、今、僕の目の前にいる。
それも、誰もいない放課後の教室で二人きり……
「あの……一体、何がいるんですか?」
緊張しながらも、勇気を出して、声を震わせながら問いかける。
彼女は突然教室に入ってくるなり、キョロキョロと教室中を見渡して、興奮気味に何かを探しているようだった。
「絶対ここにいるのよ……幽霊がここにいるの。今度こそ、見つけてやるんだから!」
「ゆ、幽霊!?」
まさか、幽霊を探しているなんて意外すぎた。
幽霊探しに必死になるような、そんな一面があったなんて意外だったのだ。
まだ、小学生や中学生だというならわかるのだけど、もう高校生にもなって、そんな目に見えないものの存在を信じているのかと……
僕の中では、幽霊だとかホラーとか、そういうものは女子は苦手そうなイメージがあった。
だから、彼女もきっと、そういう感じなんだろうと思っていたのに、必死に探しているんだ。
それも、瞳をキラキラと輝かせて……
「絶対、見つけるんだから……この私の第六感をもってすれば、見つけられるはず」
そう言って、よくわからないけど自信たっぷりに彼女は教室中をぐるぐると回って、幽霊を捕まえようと必死だ。
あまりに必死なので、僕も手伝った方がいいのかと、一緒に探すふりをする。
僕には、彼女のいう第六感というやつがないようで、まったくわからないけど……とにかく、ここで手伝わずにただぼーっとしているのは、印象が悪いだろうと思ったからだ。
机の下やカーテンの裏を確認する。
そもそも、幽霊を見た試しがないから、もしそこに隠れていたとしても見えないだろうけど……
やはり、僕には何も見えないし、感じることもできなかった。
そうして、次に清掃道具の入ったロッカーを開けたとき、黒板の前にいた彼女が叫んだ。
「そこにいるのね!?」
「えっ!?」
どんどんこっちに近づいてくる。
振り返った僕の方に、彼女が近づいてくる。
「いや、待って! ここには何もいないよ? ただ、箒とちりとりと……バケツと……普通の掃除道具が入っているだけで————」
僕の心臓は、持ちそうにない。
彼女が近い。
すごく近い。
こんなに間近で、そばに来られたら緊張しすぎて死んでしまう。
僕は思わず、目をぎゅっと閉じた。
「————うーん、気のせいだったのかしら?」
それは奇妙な感覚だった。
僕の後から、彼女の声がする。
「え……?」
目を開けたら、彼女の体は僕とぴったりと重なっていた。
僕の目の位置に、彼女の頭があり、僕の後頭部に彼女の口がある。
僕の背中に、彼女の胸がある。
「……——突然開いたから、ここにいると思ったのに……」
彼女はそう呟くと、ロッカーをバタンと閉めた。
「もうここにはいないのかしら?」
そう言って、彼女は首を傾げながら教室を出て行く。
まるで、僕がそこにいることに、気がついていない。
僕の体と彼女の体が重なっていることに、気づいていないようで、何事もなかったかのように、するりと僕の体をすり抜けて————
「隙を見て逃げ出したわね! そうはいかないわ! 絶対見つけてやる! 私の第六感が、そう言っているわ!!」
廊下で大きな独り言をいいながら、別の教室へ彼女は入っていく。
僕だけを、一人、残して。
「…………君の第六感は、あてにならいね」
その時、初めて、僕は自分が幽霊そのものだったことに気がついた。
彼女が必死で探している、目に見えないもの……
それが、僕でした。
あなたは、僕の存在を信じますか?
終
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