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四 蛇の罠
蛇の罠【二】
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紫嵐が帰ってきたのを見計らって、琥珀は彼の部屋を訪れた。
扉を叩き、応答までの間は一瞬なのに、長い。入室の許可を得て、琥珀はそっと開ける。
「琥珀……」
人は、咄嗟に表情を取り繕うことができない。久しぶりにまともに見た彼の目には、驚きと安堵の色が浮かんでいる。まさか琥珀自ら、自分のところに来るとは思っていなかったのだろう。彼は何度も琥珀の部屋に足を運んだが、すべて無視をしていた。
「紫嵐」
名前を呼び合い、黙りこくってしまう。何を話せばいいのか、わからなかった。琥珀は入口付近に立ったままだったし、紫嵐もまた、座るように促すことさえ忘れていた。しばらくそのまま、視線を合わせるのも気恥ずかしかったけれど、行動に移したのは琥珀の方だ。
「その……これ、一緒に食べようと思って買ってきたんだ。あの日、結局食べられなかったからさ」
出所が、前と同じく奇劉からだということは、黙っていた。紫嵐も疑っているのだろう。焼き菓子と琥珀の顔を交互に見る。じっと見つめられると、うっかり口を滑らせてしまいそうになるが、琥珀はにこにこ笑って沈黙を保った。
どうやら紫嵐も、同じ気持ちだったらしい。家族とのいざこざについてを琥珀に再度言い聞かせ、余計なことをしないように言うためには、まずは信頼関係を取り戻すのが先決である。そう判断したのだ。
大きく深い溜息をつくと、「そっちに座れ」と、小さな丸い簡易椅子に琥珀を誘導した。同じく簡素な、しかし実用性には何の問題もない机に持ってきた菓子を置く。包み紙を開けていくと、紫嵐の視線が手元に集中するのがわかった。よほど好きなのだろう。
「……誰も私に、おやつなどくれなかったからな。叔父のところに行くと、彼の奥さんが焼いてくれた菓子があって」
「ああ、だから俺も懐かしい気持ちになったんだ」
白虎族の女が、「家族」のため、「子ども」のために作ったものだったから、琥珀の思い出とも繋がったのだ。
ああ、なんだ。そうか。
急に、腑に落ちた。
「無理して、血の繋がった兄弟と仲良くする必要なんか、なかったんだ」
「琥珀?」
血の繋がらぬ紫嵐の叔母は、自分の子どもに振る舞うようにおやつを与えて、愛した。
実の家族から捨てられた木楊と実子の琥珀を、主従関係は明確に示しながらも平等に愛情をかけてくれた両親。
耳無しの木楊を馬鹿にしていることを両親は何度も注意したし、紫嵐には頬を張られるほど怒られたこと。
赤の他人相手ならば、放っておく。大切な家族として扱うからこそ、手間暇をかけて心を尽くす。時には泣きながら、拳を痛めることもある。
「俺は紫嵐に、白虎の情はないと思っていた。でも、違った。家族と認めた相手には、お前はこんなにも厳しくも愛情深く接してくれていたんだ」
「琥珀……」
机の上に置かれた紫嵐の手に、そっと触れる。久方ぶりの体温に、もう嫌悪はなかった。
「これは、お前にとっても俺にとっても、家族の味だろ。一緒に食べたら……俺たちも家族だ」
王宮で暴れたせいで名前を剥奪され、都を追い出されることになった息子を決して見捨てず、さらには事情のある人間を拾っては雇い入れるほど、愛情深い家庭で育った琥珀。
生まれたときから権力闘争に巻き込まれ、母は幼い頃に死に、叔父夫婦以外に心を許すことのできる親族もおらす、たったひとりで心を閉ざしてきた紫嵐。
生まれも育ちも違う自分たちは、事故で結婚した。最初の頃、琥珀は反発していたし、いつでも逃げてやると思っていた。だが今、こうしてふたりでいることは、心地よい。他人同士が信頼と愛情によって結ばれることを、「結婚する」「家族になる」と言うのなら――今こそ、結婚したいと思うのだ。
琥珀は照れ笑いして、「あ」と声を出す。
「包丁がないから、取ってくる」
厨《くりや》に向かおうとした琥珀を制止して、紫嵐は引き出しから小刀を取り出した。ああ、そういえば野宿をするときに何度も使っていたな、と思い出した。
琥珀は彼から小刀を受け取って、菓子を均等に切り分けていく。こういうのは厚い方が食べ応えがあるだろうから、四等分だ。皿もないことに気がついたが、童心に返ったつもりで、手づかみで食べるからいいと紫嵐は言った。
ほんの少しだけ、これが奇劉が都合したものだということに、罪悪感と残念さを抱いた。けれどこれは、自分の胸にしまっておいて、墓場まで持っていくべきことだと口を噤み、琥珀は紫嵐を促した。
彼の口が開き、菓子を迎え入れる。
一口齧り、目を細めて咀嚼していた紫嵐が、突如苦しみ出した。椅子をガタガタと音を立てて倒し、地面に転がる。充血した目をカッと広げて、首の辺りを掻きむしる。
「紫嵐!?」
慌てて立ち上がった琥珀は、喉に詰まらせたのかと近づき、紫嵐の口の中に指を入れて残ったものを掻き出した。その際、口の中全体が痙攣して、強い力で指を噛まれた。ただ食べたものを詰まらせただけにしては、妙だった。
「紫嵐、水……」
茶はないが、水差しは常に置いてある。琥珀はそれを取ると、そのまま紫嵐の口に流しこもうとした。
そのときだった。なんの合図もなく、扉は勢いよく開かれた。見れば、武装した兵士たちがいて、こちらに槍先を向けている。
「貴様……青龍王族に、毒を盛ったな!?」
毒!? いや、そうだ。確かに、この反応はただの窒息じゃない……けれど、毒なんて。
呆然とする琥珀は、紫嵐の身体から引きはがされた。一緒にやってきた医者らしい男が、彼に近づき応急処置を施していくのを、口を開けたまま見ていると、思いきり頬を張り倒された。口の中に血の味が広がる。
捕縛された琥珀は外に出され、そこで思いもよらぬ人物を見ることになる。
「奇劉……殿下……?」
負傷のせいであまり動かない口では、明瞭な発声にならなかった。取り囲んでいる兵たちには聞こえていない。彼らは奇劉に敬礼をして、
「奇劉殿下のおっしゃった通り、この男は紫嵐殿下のお命を狙っておりました!」
と、報告をした。
「まさか……あんた……」
奇劉は自分を騙していた。毒が盛られていたのは、彼が店に申しつけていた菓子である。琥珀を信用させておいて、紫嵐を殺すための道具に仕立て上げたのだ。
琥珀の視線に気づいた奇劉は、周囲にばれないように口元を隠し、「まさか本当に、弟を殺そうとするなんて……」と嘆く。だが、こちらを見る目は明確に、嘲笑と自身の企みが成功したことへの歓喜に色づいていた。
まさしく狡猾な、蛇のように。
扉を叩き、応答までの間は一瞬なのに、長い。入室の許可を得て、琥珀はそっと開ける。
「琥珀……」
人は、咄嗟に表情を取り繕うことができない。久しぶりにまともに見た彼の目には、驚きと安堵の色が浮かんでいる。まさか琥珀自ら、自分のところに来るとは思っていなかったのだろう。彼は何度も琥珀の部屋に足を運んだが、すべて無視をしていた。
「紫嵐」
名前を呼び合い、黙りこくってしまう。何を話せばいいのか、わからなかった。琥珀は入口付近に立ったままだったし、紫嵐もまた、座るように促すことさえ忘れていた。しばらくそのまま、視線を合わせるのも気恥ずかしかったけれど、行動に移したのは琥珀の方だ。
「その……これ、一緒に食べようと思って買ってきたんだ。あの日、結局食べられなかったからさ」
出所が、前と同じく奇劉からだということは、黙っていた。紫嵐も疑っているのだろう。焼き菓子と琥珀の顔を交互に見る。じっと見つめられると、うっかり口を滑らせてしまいそうになるが、琥珀はにこにこ笑って沈黙を保った。
どうやら紫嵐も、同じ気持ちだったらしい。家族とのいざこざについてを琥珀に再度言い聞かせ、余計なことをしないように言うためには、まずは信頼関係を取り戻すのが先決である。そう判断したのだ。
大きく深い溜息をつくと、「そっちに座れ」と、小さな丸い簡易椅子に琥珀を誘導した。同じく簡素な、しかし実用性には何の問題もない机に持ってきた菓子を置く。包み紙を開けていくと、紫嵐の視線が手元に集中するのがわかった。よほど好きなのだろう。
「……誰も私に、おやつなどくれなかったからな。叔父のところに行くと、彼の奥さんが焼いてくれた菓子があって」
「ああ、だから俺も懐かしい気持ちになったんだ」
白虎族の女が、「家族」のため、「子ども」のために作ったものだったから、琥珀の思い出とも繋がったのだ。
ああ、なんだ。そうか。
急に、腑に落ちた。
「無理して、血の繋がった兄弟と仲良くする必要なんか、なかったんだ」
「琥珀?」
血の繋がらぬ紫嵐の叔母は、自分の子どもに振る舞うようにおやつを与えて、愛した。
実の家族から捨てられた木楊と実子の琥珀を、主従関係は明確に示しながらも平等に愛情をかけてくれた両親。
耳無しの木楊を馬鹿にしていることを両親は何度も注意したし、紫嵐には頬を張られるほど怒られたこと。
赤の他人相手ならば、放っておく。大切な家族として扱うからこそ、手間暇をかけて心を尽くす。時には泣きながら、拳を痛めることもある。
「俺は紫嵐に、白虎の情はないと思っていた。でも、違った。家族と認めた相手には、お前はこんなにも厳しくも愛情深く接してくれていたんだ」
「琥珀……」
机の上に置かれた紫嵐の手に、そっと触れる。久方ぶりの体温に、もう嫌悪はなかった。
「これは、お前にとっても俺にとっても、家族の味だろ。一緒に食べたら……俺たちも家族だ」
王宮で暴れたせいで名前を剥奪され、都を追い出されることになった息子を決して見捨てず、さらには事情のある人間を拾っては雇い入れるほど、愛情深い家庭で育った琥珀。
生まれたときから権力闘争に巻き込まれ、母は幼い頃に死に、叔父夫婦以外に心を許すことのできる親族もおらす、たったひとりで心を閉ざしてきた紫嵐。
生まれも育ちも違う自分たちは、事故で結婚した。最初の頃、琥珀は反発していたし、いつでも逃げてやると思っていた。だが今、こうしてふたりでいることは、心地よい。他人同士が信頼と愛情によって結ばれることを、「結婚する」「家族になる」と言うのなら――今こそ、結婚したいと思うのだ。
琥珀は照れ笑いして、「あ」と声を出す。
「包丁がないから、取ってくる」
厨《くりや》に向かおうとした琥珀を制止して、紫嵐は引き出しから小刀を取り出した。ああ、そういえば野宿をするときに何度も使っていたな、と思い出した。
琥珀は彼から小刀を受け取って、菓子を均等に切り分けていく。こういうのは厚い方が食べ応えがあるだろうから、四等分だ。皿もないことに気がついたが、童心に返ったつもりで、手づかみで食べるからいいと紫嵐は言った。
ほんの少しだけ、これが奇劉が都合したものだということに、罪悪感と残念さを抱いた。けれどこれは、自分の胸にしまっておいて、墓場まで持っていくべきことだと口を噤み、琥珀は紫嵐を促した。
彼の口が開き、菓子を迎え入れる。
一口齧り、目を細めて咀嚼していた紫嵐が、突如苦しみ出した。椅子をガタガタと音を立てて倒し、地面に転がる。充血した目をカッと広げて、首の辺りを掻きむしる。
「紫嵐!?」
慌てて立ち上がった琥珀は、喉に詰まらせたのかと近づき、紫嵐の口の中に指を入れて残ったものを掻き出した。その際、口の中全体が痙攣して、強い力で指を噛まれた。ただ食べたものを詰まらせただけにしては、妙だった。
「紫嵐、水……」
茶はないが、水差しは常に置いてある。琥珀はそれを取ると、そのまま紫嵐の口に流しこもうとした。
そのときだった。なんの合図もなく、扉は勢いよく開かれた。見れば、武装した兵士たちがいて、こちらに槍先を向けている。
「貴様……青龍王族に、毒を盛ったな!?」
毒!? いや、そうだ。確かに、この反応はただの窒息じゃない……けれど、毒なんて。
呆然とする琥珀は、紫嵐の身体から引きはがされた。一緒にやってきた医者らしい男が、彼に近づき応急処置を施していくのを、口を開けたまま見ていると、思いきり頬を張り倒された。口の中に血の味が広がる。
捕縛された琥珀は外に出され、そこで思いもよらぬ人物を見ることになる。
「奇劉……殿下……?」
負傷のせいであまり動かない口では、明瞭な発声にならなかった。取り囲んでいる兵たちには聞こえていない。彼らは奇劉に敬礼をして、
「奇劉殿下のおっしゃった通り、この男は紫嵐殿下のお命を狙っておりました!」
と、報告をした。
「まさか……あんた……」
奇劉は自分を騙していた。毒が盛られていたのは、彼が店に申しつけていた菓子である。琥珀を信用させておいて、紫嵐を殺すための道具に仕立て上げたのだ。
琥珀の視線に気づいた奇劉は、周囲にばれないように口元を隠し、「まさか本当に、弟を殺そうとするなんて……」と嘆く。だが、こちらを見る目は明確に、嘲笑と自身の企みが成功したことへの歓喜に色づいていた。
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