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第五話 雪華 VS 夜桜
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これまでのあらすじ
性同一性障害で女になりたくてもなれず、
人生に絶望していた私。
しかし突然、異世界の鬼に召喚され、
女の体を授けられた。
そして永続的に女性体であることと引き換えに
この世の王 帝釈天(たいしゃくてん)
黄河大地(こうが・だいち)の抹殺を命じられる。
手柄を独り占めしようと
戦闘員の小鬼(コボルト)忍者たちを
引き連れて出撃したものの、
帝釈天の圧倒的な強さや
配下のくノ一の加勢によって
撤退を余儀なくされてしまった。
*
私たちのいる青竜地方に降り立った
帝釈天とその妻子たちは
そのまま山のふもとの村に逗留しているはずだ。
だが帝釈天の根城の天宮殿へと通じる
蒼雷山(そうらいざん)のある村ゆえ
山中ならともかく、村の警備は意外と厳しい。
殺るなら村を出てからだ。
決行は明日。
隣の町にいる私たちは準備を調えた。
私に望みの女性の体を与えた
邪魔(じゃま)一族の幹部の鬼
「鬼嫁(おによめ)」様の手下、
「眼之影(めのかげ)」からは
戦う時は忍び装束を着るように言われる。
一応、RPGの装備品のように
少しだが能力値が上がるらしい。
チープな忍者ショーでよくある
全身真っ黒なダサい物を想像していたが、
女性物のスマートな黒パンツスーツのようだった。
後ろには身を守る用の黒マントも付いていて
同じく黒のショートブーツもセットだ。
胸には鬼嫁様からの贈り物の氷の結晶のブローチ、
それに主な武器として槍のように使う
般若面のあしらわれた錫杖(しゃくじょう)、
雪の結晶型の白い手裏剣をいくつか渡された。
青いシャツの懐にしまった。
本来、この世界の人間の忍者たちは
それぞれの忍法で手裏剣やクナイも作り出して
使うらしいが、
邪魔一族の忍法は人間たちのものとは違うため、
できないことは道具で補うとのことだった。
そのために鬼怒川屋というアイテム問屋は
儲けるだけでなく
武器を揃えるためにも格好の稼業なのだった。
明日に備えて明かりを消し布団に入る。
部屋は眼之影と同室だった。
女になったばかりなものの、
男と女が同室ってどうなの?と思ったが、
小鬼(コボルト)忍者たちと同室なのも
それはそれでなんだかプライドが許せない。
これで良かった。
ついでに同じ幹部の立場である眼之影に
いろいろなことを訊いてみる。
まるで中高生の修学旅行のようだが、
これからのことも考えると
ワクワクもドキドキもしていられない。
まず私に与えられたRPGの職業名のような
「般若の導師(はんにゃのどうし)」と言う本名。
だが、それを明かすのは
もう少し先になるかもとのことだった。
とりあえず般若面の錫杖が武器ということからと
理解しろとのことだった。
ただ、任務が早めに完遂すれば
その意味すら知ることもないかもとも言われた。
鬼女となった自分は
完璧に自分らしいとは言えないかもしれないが、
せっかくの納得のいく
理想の容姿の自分で与えられた本名。
任務は長引かせたくないが、
もう少し今の自身とも付き合いたいとも思った。
邪魔の一族についても訊いてみる。
阿修羅(あしゅら)と言う大鬼と
鬼嫁様たちの二つの派閥があるらしい。
だが、阿修羅の派閥は
帝釈天たちとその仲間たちに
根絶やしにされた。
鬼嫁様たちの派閥も
このまま地下に潜った生活を続けていては
邪魔一族にとって不都合な制度や法律が
帝釈天により制定されるため、
鬼嫁様は私のいた日本国から
魔法アイテムを密貿易し、
帝釈天を倒して
天下を取ろうと画策していたのだった。
また、かつて阿修羅の派閥には
鬼薊(おにあざみ)・鬼百合(おにゆり)と言う
優秀な指揮官の姉妹がおり、
うかうかしていると
そいつらと比べられて
反感を買うとも教えられた。
私は望みの完璧な女性の体になったのだ。
過去の学校生活のように
もう何も自身を抑える必要は無い。
本気の力を見せてやろう。
必ず任務は果たす。
そう考えを巡らせ眠りに就いた。
そして次の日。
ふもとの村を出た帝釈天を
桜街道で待ち受ける。
周りの木々の葉は新緑で青々としていた。
そもそも私が来た日本と同じ桜なのかはわからないが。
街道は防犯のためか
基本的に拓けていて見通しが良いが、
近くに林がある所が何箇所かあるため、
そこで待ち受けた。
スタイルの良くなった女性の体に
黒いパンツスーツのようなカッコいい忍び装束が
フィットしてうれしかったが、
それを表立って喜んでいる場合ではない。
帝釈天とその妻子が通りかかり、
私と眼之影、小鬼(コボルト)忍者たちで
一斉に手裏剣を浴びせようとした瞬間。
カッ!
私の目の前を桜の花の形をした手裏剣がかすめた。
「桜花手裏剣(おうかしゅりけん)!?」
眼之影が口走る。
うろたえ上方を見やる一同。
だが私は底上げされた能力で
即座に相手がどこにいるのかも見切った。
木の上に白く雪の結晶型の
氷河手裏剣(ひょうがしゅりけん)を投げつける。
グサッと何かに刺さった音がしたが、
落ちて来たのは短く太い丸太だった。
「青竜忍法の変わり身だ!」
眼之影が早口で説明する。
さらに桜花手裏剣が
雨のように降って来る。
しかし、力を与えられた私も
眼之影も配下の小鬼(コボルト)忍者たちも
実力はよくある忍者の世界で言う中忍以上。
手裏剣の連続攻撃でも余裕ではじける。
だが、帝釈天と対峙する前に
謎の相手と戦って戦力を低下を招きたくない。
「て、撤退だ!」
私は手に持った
雪の手裏剣を震わせながらも指揮する。
自身の戦闘力は強化されているものの、
メンタルはもう少し戦いに慣れた方が良さそうだ。
桜花手裏剣の攻撃等に注意を払いながら林の奥へ抜ける。
だが、一連の様子を桜花手裏剣を手にした
バレリーナのベルチュチュのような
黒い忍び装束の少女が
遠く見つめていたことに
私たちは気づかなかった。
帝釈天は事態に気づいていたが、
あえて加勢して来なかったようだ。
帝釈天もいずれはやってくる
隣町のアイテム問屋鬼怒川屋支店に逃げ帰った。
「まぁ、手傷を負わなくて良かった」
眼之影も安堵している。
「さっきの桜の花の手裏剣は?」
私が眼之影に訊いていると地下から
キリッとしたメガネをかけた
緑の長髪の女鬼がやって来た。
「あなたたち、この場所バレていますよ」
「茨木(いばらぎ)様!」
眼之影が目を見開いて言う。
「誰よ?」
「鬼嫁様の秘書官だ。控えろ」
「そんなことはどうでも良いです。
さっき交戦した者につけられていたようです。
この場所はとっくに帝釈天側に伝わっていますよ。
物品は私の引き連れて来た小鬼(コボルト)忍者たちに
運ばせます。あなたたちはすぐに旅の支度をして
ここを出立しなさい」
「茨木様、さっきのやつのことは何かわかりますか?」
眼之影が冷静に訊く。
「夜桜お香(よざくらおこう)。
まだ名前しかわかりませんが、
かなりの手練れのようです。
気をつけなさい。ましてこの青竜地方では
青竜忍法の木属性は強まりますからね」
なるほど。
通りであの桜花手裏剣、
ただの手裏剣にしては
勢いが強かった訳だ。
そう納得しつつ、
すぐに人間に容姿を変え、
忍び装束の上に鬼嫁様からいただいた
青地に白い雪模様の着物を着て
旅支度をしてそそくさと
鬼怒川屋の支店を後にした。
旅費は茨木様が袋に入れた札束で
まとめて渡してくれた。
町の中心地から一番離れた宿に逗留する。
二階の窓から少しだけ障子を開き
町の様子をうかがう。
この葦原の中つ国(あしはらのなかつくに)には
帝釈天の配下だけでなく、
さっきの姿を見せなかった"夜桜"のように
おそらくだが名を上げようとしている者もいるそうだ。
意外と難儀な旅になりそうだ。
私はため息をついた。
だが、私は恋愛をして
キャピキャピルンルンしたいために
女になりたかった訳じゃない。
偽りの性別で
いつも自分を抑えて生きるのが嫌だった。
ただ必死に、本気で生きてみたかった。
私が私であるためになら
真実の愛だって犠牲にする覚悟があった。
だからこの戦いの宿命を背負って良いのだ。
「月が綺麗だなんて言わないわ」
私は一人、女言葉でつぶやいた。
その声は自分でも高く聞こえた。
ただ、女性になることは
無敵の自分になることと同義ではない。
どこまでこの選択の痛みに耐え、
自分を貫けるか、
底知れぬ不安があったが
自身の中ではまだ明確な形は無かった。
月が綺麗だとは言わない。
そのぼんやりとした強い覚悟だけが
運命に臨む私を支えていた。
つづく
性同一性障害で女になりたくてもなれず、
人生に絶望していた私。
しかし突然、異世界の鬼に召喚され、
女の体を授けられた。
そして永続的に女性体であることと引き換えに
この世の王 帝釈天(たいしゃくてん)
黄河大地(こうが・だいち)の抹殺を命じられる。
手柄を独り占めしようと
戦闘員の小鬼(コボルト)忍者たちを
引き連れて出撃したものの、
帝釈天の圧倒的な強さや
配下のくノ一の加勢によって
撤退を余儀なくされてしまった。
*
私たちのいる青竜地方に降り立った
帝釈天とその妻子たちは
そのまま山のふもとの村に逗留しているはずだ。
だが帝釈天の根城の天宮殿へと通じる
蒼雷山(そうらいざん)のある村ゆえ
山中ならともかく、村の警備は意外と厳しい。
殺るなら村を出てからだ。
決行は明日。
隣の町にいる私たちは準備を調えた。
私に望みの女性の体を与えた
邪魔(じゃま)一族の幹部の鬼
「鬼嫁(おによめ)」様の手下、
「眼之影(めのかげ)」からは
戦う時は忍び装束を着るように言われる。
一応、RPGの装備品のように
少しだが能力値が上がるらしい。
チープな忍者ショーでよくある
全身真っ黒なダサい物を想像していたが、
女性物のスマートな黒パンツスーツのようだった。
後ろには身を守る用の黒マントも付いていて
同じく黒のショートブーツもセットだ。
胸には鬼嫁様からの贈り物の氷の結晶のブローチ、
それに主な武器として槍のように使う
般若面のあしらわれた錫杖(しゃくじょう)、
雪の結晶型の白い手裏剣をいくつか渡された。
青いシャツの懐にしまった。
本来、この世界の人間の忍者たちは
それぞれの忍法で手裏剣やクナイも作り出して
使うらしいが、
邪魔一族の忍法は人間たちのものとは違うため、
できないことは道具で補うとのことだった。
そのために鬼怒川屋というアイテム問屋は
儲けるだけでなく
武器を揃えるためにも格好の稼業なのだった。
明日に備えて明かりを消し布団に入る。
部屋は眼之影と同室だった。
女になったばかりなものの、
男と女が同室ってどうなの?と思ったが、
小鬼(コボルト)忍者たちと同室なのも
それはそれでなんだかプライドが許せない。
これで良かった。
ついでに同じ幹部の立場である眼之影に
いろいろなことを訊いてみる。
まるで中高生の修学旅行のようだが、
これからのことも考えると
ワクワクもドキドキもしていられない。
まず私に与えられたRPGの職業名のような
「般若の導師(はんにゃのどうし)」と言う本名。
だが、それを明かすのは
もう少し先になるかもとのことだった。
とりあえず般若面の錫杖が武器ということからと
理解しろとのことだった。
ただ、任務が早めに完遂すれば
その意味すら知ることもないかもとも言われた。
鬼女となった自分は
完璧に自分らしいとは言えないかもしれないが、
せっかくの納得のいく
理想の容姿の自分で与えられた本名。
任務は長引かせたくないが、
もう少し今の自身とも付き合いたいとも思った。
邪魔の一族についても訊いてみる。
阿修羅(あしゅら)と言う大鬼と
鬼嫁様たちの二つの派閥があるらしい。
だが、阿修羅の派閥は
帝釈天たちとその仲間たちに
根絶やしにされた。
鬼嫁様たちの派閥も
このまま地下に潜った生活を続けていては
邪魔一族にとって不都合な制度や法律が
帝釈天により制定されるため、
鬼嫁様は私のいた日本国から
魔法アイテムを密貿易し、
帝釈天を倒して
天下を取ろうと画策していたのだった。
また、かつて阿修羅の派閥には
鬼薊(おにあざみ)・鬼百合(おにゆり)と言う
優秀な指揮官の姉妹がおり、
うかうかしていると
そいつらと比べられて
反感を買うとも教えられた。
私は望みの完璧な女性の体になったのだ。
過去の学校生活のように
もう何も自身を抑える必要は無い。
本気の力を見せてやろう。
必ず任務は果たす。
そう考えを巡らせ眠りに就いた。
そして次の日。
ふもとの村を出た帝釈天を
桜街道で待ち受ける。
周りの木々の葉は新緑で青々としていた。
そもそも私が来た日本と同じ桜なのかはわからないが。
街道は防犯のためか
基本的に拓けていて見通しが良いが、
近くに林がある所が何箇所かあるため、
そこで待ち受けた。
スタイルの良くなった女性の体に
黒いパンツスーツのようなカッコいい忍び装束が
フィットしてうれしかったが、
それを表立って喜んでいる場合ではない。
帝釈天とその妻子が通りかかり、
私と眼之影、小鬼(コボルト)忍者たちで
一斉に手裏剣を浴びせようとした瞬間。
カッ!
私の目の前を桜の花の形をした手裏剣がかすめた。
「桜花手裏剣(おうかしゅりけん)!?」
眼之影が口走る。
うろたえ上方を見やる一同。
だが私は底上げされた能力で
即座に相手がどこにいるのかも見切った。
木の上に白く雪の結晶型の
氷河手裏剣(ひょうがしゅりけん)を投げつける。
グサッと何かに刺さった音がしたが、
落ちて来たのは短く太い丸太だった。
「青竜忍法の変わり身だ!」
眼之影が早口で説明する。
さらに桜花手裏剣が
雨のように降って来る。
しかし、力を与えられた私も
眼之影も配下の小鬼(コボルト)忍者たちも
実力はよくある忍者の世界で言う中忍以上。
手裏剣の連続攻撃でも余裕ではじける。
だが、帝釈天と対峙する前に
謎の相手と戦って戦力を低下を招きたくない。
「て、撤退だ!」
私は手に持った
雪の手裏剣を震わせながらも指揮する。
自身の戦闘力は強化されているものの、
メンタルはもう少し戦いに慣れた方が良さそうだ。
桜花手裏剣の攻撃等に注意を払いながら林の奥へ抜ける。
だが、一連の様子を桜花手裏剣を手にした
バレリーナのベルチュチュのような
黒い忍び装束の少女が
遠く見つめていたことに
私たちは気づかなかった。
帝釈天は事態に気づいていたが、
あえて加勢して来なかったようだ。
帝釈天もいずれはやってくる
隣町のアイテム問屋鬼怒川屋支店に逃げ帰った。
「まぁ、手傷を負わなくて良かった」
眼之影も安堵している。
「さっきの桜の花の手裏剣は?」
私が眼之影に訊いていると地下から
キリッとしたメガネをかけた
緑の長髪の女鬼がやって来た。
「あなたたち、この場所バレていますよ」
「茨木(いばらぎ)様!」
眼之影が目を見開いて言う。
「誰よ?」
「鬼嫁様の秘書官だ。控えろ」
「そんなことはどうでも良いです。
さっき交戦した者につけられていたようです。
この場所はとっくに帝釈天側に伝わっていますよ。
物品は私の引き連れて来た小鬼(コボルト)忍者たちに
運ばせます。あなたたちはすぐに旅の支度をして
ここを出立しなさい」
「茨木様、さっきのやつのことは何かわかりますか?」
眼之影が冷静に訊く。
「夜桜お香(よざくらおこう)。
まだ名前しかわかりませんが、
かなりの手練れのようです。
気をつけなさい。ましてこの青竜地方では
青竜忍法の木属性は強まりますからね」
なるほど。
通りであの桜花手裏剣、
ただの手裏剣にしては
勢いが強かった訳だ。
そう納得しつつ、
すぐに人間に容姿を変え、
忍び装束の上に鬼嫁様からいただいた
青地に白い雪模様の着物を着て
旅支度をしてそそくさと
鬼怒川屋の支店を後にした。
旅費は茨木様が袋に入れた札束で
まとめて渡してくれた。
町の中心地から一番離れた宿に逗留する。
二階の窓から少しだけ障子を開き
町の様子をうかがう。
この葦原の中つ国(あしはらのなかつくに)には
帝釈天の配下だけでなく、
さっきの姿を見せなかった"夜桜"のように
おそらくだが名を上げようとしている者もいるそうだ。
意外と難儀な旅になりそうだ。
私はため息をついた。
だが、私は恋愛をして
キャピキャピルンルンしたいために
女になりたかった訳じゃない。
偽りの性別で
いつも自分を抑えて生きるのが嫌だった。
ただ必死に、本気で生きてみたかった。
私が私であるためになら
真実の愛だって犠牲にする覚悟があった。
だからこの戦いの宿命を背負って良いのだ。
「月が綺麗だなんて言わないわ」
私は一人、女言葉でつぶやいた。
その声は自分でも高く聞こえた。
ただ、女性になることは
無敵の自分になることと同義ではない。
どこまでこの選択の痛みに耐え、
自分を貫けるか、
底知れぬ不安があったが
自身の中ではまだ明確な形は無かった。
月が綺麗だとは言わない。
そのぼんやりとした強い覚悟だけが
運命に臨む私を支えていた。
つづく
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この作品は感想を受け付けておりません。
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