【フリー台本】二人向け(ヤンデレ多め)

しゃどやま

文字の大きさ
3 / 3

いぬのこうふく【ヤンデレ/二人台本/性別不問】

しおりを挟む
0:(洋館。電話をしている青年。椅子に座っている主人)


犬:ああ。わかった。その件は任せるぞ。私が居なくても回るようにするのがお前の役目だ。うん。それでいい。ではな。ふぅ……

主人:電話はすんだのか? 随分、出世したようだな。

犬:はい。お待たせして申し訳ありません。せっかくご主人様とこのような時間を過ごせるというのに……

主人:構わない……はぁ……ただ、退屈はしたな。

犬:もうしわけありません! どうぞ私に罰をお与えください!

主人:罰? どのような?

犬:ののしる言葉でも、むちでも……踏みにじるのでも!

主人:それではお前が喜んでしまうだろう? ――変態め。

犬:はぁ……っ! はひ……ありがとうございます……!

主人:まあいい。茶を準備しろ。濃いめで、砂糖漬けの薔薇を添えて。

犬:かしこまりました。

主人:準備しながらでいいが……お前は本当に、犬でいいのか?

犬:と、言いますと?

主人:お前は世間では、成功者と讃えられている。ビジネスはもちろん、容姿端麗ようしたんれい博識はくしきで温和な人格者。新聞を読んだが、欠点のない超人だと言われているな。


犬:恐れ入ります。

主人:それがわたしの前では、犬に成り下がる。人間以下の扱いを受けて、喜ぶ。

犬:ええ。それが私の喜びです。

主人:はぁ……わからんな。わたしであれば、このような横暴な主人の手など噛んで逃げ出している。

犬:いえ。あなたが居るからこそ、私は社会で下らない者たちとの馴れ合いを堪えることができるのです。あなたの前でだけ本当の自分で居るために、日々努力ができる。

主人:わからんものだな……

犬:お茶が入りました。ビスキュイもありますが?

主人:いらん。それよりも、飲ませろ。

犬:それでは、失礼して……口を、開けてください。

主人:ん……ふぅ。もういい。次は薔薇だ。

犬:はい。あなたの舌は、まるで薔薇のようですね……

主人:ん……。もう一つ。

犬:ふふ。あなたはどのような姿をしていても美しい。

主人:満足した。置いておけ。

犬:かしこまりました。

主人:執事もどきも板についたものだな? どこかで練習でもしているのか?

犬:まさかそのような。わたしの主人はあなただけです。

主人:フフ。どうだかな。

犬:どうかわたしの愛を信じてください。次は読書のお時間でしょうか?

主人:そうだな。今日はイギリスのミステリィが読みたい。

犬:かしこまりました。ライブラリからとって参ります。離席いたしますが、ゆめゆめ、脱走など考えることのないよう。

0:(主人は、犬に監禁されている。)


主人:当たり前だ。部屋の鍵、窓の鉄柵。わたしの首輪。どうやったら逃げることができる? この、異常者め。

犬:はい……私は異常者です。あなたを監禁してまで、あなたに平伏したいと思ってしまった、異常者です……! どうぞ私を憎んでください!

主人:はぁ……お前には何を言っても無駄だったな。もういい。わたしが読んだことのない小説を頼む。

犬:かしこまりました。あなたに、つくすのが……私の喜びですので。どうか見捨てないでくださいね。あなたに消えられては、私は全てを失ってしまいます。あなたがここで待っていてくれているからこそ、私という人間は存在できるのです。

主人:どちらが犬でどちらが主人か……わからぬな。

犬:もちろん、私があなたに囚われているのですよ。


0:(終)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

👨一人用声劇台本「寝落ち通話」

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。 続編「遊園地デート」もあり。 ジャンル:恋愛 所要時間:5分以内 男性一人用の声劇台本になります。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

【ヤンデレ蛇神様に溺愛された貴方は そのまま囲われてしまいました】

一ノ瀬 瞬
恋愛
貴方が小さな頃から毎日通う神社の社には 陽の光に照らされて綺麗に輝く美しい鱗と髪を持つ それはそれはとても美しい神様がおりました これはそんな神様と 貴方のお話ー…

片思い台本作品集(二人用声劇台本)

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
今まで投稿した事のある一人用の声劇台本を二人用に書き直してみました。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。タイトル変更も禁止です。 ※こちらの作品は男女入れ替えNGとなりますのでご注意ください。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい

【ヤンデレ八尺様に心底惚れ込まれた貴方は、どうやら逃げ道がないようです】

一ノ瀬 瞬
恋愛
それは夜遅く…あたりの街灯がパチパチと 不気味な音を立て恐怖を煽る時間 貴方は恐怖心を抑え帰路につこうとするが…?

【ヤンデレお狐様は 貴方の親だと洗脳し続け 永遠に可愛がるようです】

一ノ瀬 瞬
恋愛
立派な社のある神社、そこにはとても優しいお狐様がおりました。 お狐様には、何よりも大事で大切な貴方(娘or息子)がおりましたが…… これは、そんな人間の貴方と 血のつながらないお狐様のお話し

【ヤンデレストーカーな、幼馴染のお兄ちゃんは貴方を溺愛している〇〇犯?】

一ノ瀬 瞬
恋愛
貴方を溺愛する幼馴染の正体…それはー…?

【情緒不安定なヤンヘラ御曹司は、 貴方に心酔して永遠に離してくれません】

一ノ瀬 瞬
恋愛
貴方が目を覚ました"そこ"は 見知らぬ天井が広がった…豪華な部屋の中だとわかった 貴方の横たわるベッド、そこにいたのはー…

【ヤンデレ花屋の優しいお兄さんは貴方の為だけの花と愛を捧げます。】

一ノ瀬 瞬
恋愛
今日も貴方が開けるドアの先には、いつも優しく穏やかな 花屋の店主のお兄さんがいてー…

処理中です...