【フリー台本】一人向け(ヤンデレもあるよ)

しゃどやま

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狼心【ヤンデレ/執着一人ボイス台本/男性演者向け】

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(舞台は和風の山奥。洞窟のような隠れ家。齢数百歳の狼の妖怪が、攫った恋人を抱きしめている。狼は妄執に囚われ、狂愛を恋人に向けている。相手の感情などお構いなし。)

狼:やっと、やっとだ……おぬしの肌に触れられる。

狼:このかぐわしい香り、流れる髪……細い手足……

狼:桜色の頬に、サンゴ色の唇は、まるで果実じゃ……
  (狼は興奮を隠せず、息を荒くする。恋人に頬ずりをする。

狼:何か欲しいモノはあるか? 金銀財宝、酒池肉林しゅちにくりん……すべて与えよう。

狼:おぬしのためならば、ありとあらゆるものを奪ってみせる。

狼:今ならば神さえも、この手で倒すことができそうじゃ!

狼:愛しいおぬしが、我が腕の中にある、それがこのように嬉しいとは。

狼:そうじゃ、見るがいい、おぬしを迎える準備をしておったのだ。

  (恋人に部屋の奥を見せる。美しい着物や装身具がある。

狼:どうだ。おぬしの髪によく似合うカンザシにクシ。着物は京から奪ってきた。

狼:結婚装束しょうぞくもあるぞ! 我とめおとの契りを結ぶのじゃ。

狼:二人きりだが、それはやむをえんな。おぬしの存在は極秘ゆえ。

  (狼は苦しそうな顔をする。狼は周囲に認められない恋をしているので、このような暴行に出た。


狼:……本来であれば、許されぬ定めさだめ

狼:狼のあやかしである我が……惚れ込むなど。

狼:禁忌きんきおかしてでも欲しかった。おぬしさえ手に入れることができれば。

狼:狼としての誇りも、命も何も失ったとて構わぬ……!

狼:すまない。驚かせてしまったな。

狼:何も心配することはない。おぬしは、我に愛でられればそれでよいのだ。
 
 (狼は、恋人から離れる。不安にさせないと陽気にふるまう。)

狼:そうじゃ、酒も肉もあるぞ! おぬしが何を好むかはわからんが。

狼:木の実も草も集めてきた。何でも食べるといい。

狼:我は肉しか食べられぬが、遠慮するでないぞ?

  (恋人は拒絶の言葉をつきつける。)

狼:な……何を言っている?


  (狼は拒絶されたことを理解できない。)

狼:なんの冗談だ、おぬしは……

狼:我はおぬしを愛している。それゆえ、それをなぜ……

狼:わかっては、貰えないのか――?
 
  (狼はわなわなと震える。思い通りにならない怒りで、凶暴化する。)


狼:ふざけるな! 我が、我がどれほど愛しているとっ?

狼:おぬしの為ならば全て投げ打つ! それなのに、

狼:我の愛にこたえぬというのか!

狼:ただ我の愛に従えばよい、愛されるだけでいい、何が難しい?

狼:逆らうことが許されるとも思うのか?

  (怒りに拳を握るが、ふ、と力が抜ける。くつくつと笑い出す。


狼:……くふふふふ。はははは。

狼:はははは……

狼:……ッ、ははっは。おぬしの言葉など、関係がなかったのだな。
 
  (狼は、恋人の顔に手をやる。頬を愛おしげに撫でる。狂気が増す。


狼:ふふ……愛されるだけでよい。拒むことは許さぬ。

狼:我がすべきことは――おぬしを永遠にすることじゃ。

狼:声が聞けぬようになるのは惜しいが、おぬしの美しさは変わるまい。

狼:拒まず。逆らわず。我の手元に囚われてくれるおぬしが愛おしいぞ。

狼:これからも、永遠に。

狼:ふっ……

  (恋人の首に手を伸ばす。力を込める。あっけなく恋人はぐったりとする。(喉を潰されたかもしれない)

狼:ははは――

狼:我の願いが叶ったぞ!

狼:さあ、婚礼の装束に着替えよう。

 (狼は、改めて恋人を抱きしめる。)

狼:我の――我らの、愛を育むぞ。
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