32 / 205
第1部
第八章 千怪万妖骸鬼ノ王③
しおりを挟む
巨大な女の我霊は、失った右腕を屍鬼どもで補った。
屍鬼どもが女の体に這い上がって、右腕と成っていく。だが、再生や復元ではない。屍鬼どもの肉体を数珠繋ぎのように融合させて、右腕の代わりにしているだけだ。
次々と繋がれていく屍鬼ども。異形の右腕はさらに伸び、五指が鞭状に成った。
巨大な女の我霊は、無造作に右腕を振るった。
――ガガガガガッ!
壁を、フロアを削って、五条の屍鞭が襲い来る!
真刃と、ゴーシュは、それぞれ跳んだ。
「やってくれるな」「……チィ」
しかし、宙空で二人は眉をひそめた。
屍鞭をかわすことは難しくない。だが、その攻撃は群がる屍鬼どもも巻き込んだのだ。
薙ぎ払われた屍鬼どもは粉砕。肉片が礫と成って、真刃たちに襲い掛かる!
「――ぬゥん!」
ゴーシュは拳圧で、真刃は無言のまま、突撃槍から無数の刃を撃ち出して凌いだ。
二人は鋼のフロアに着地した。直後、屍鬼どもが群がってくる。
「――ふ」
小さな呼気と共に、真刃は加速した。屍鬼の一体の胴体を貫く。さらに突き刺したまま他の数体も屍鬼も巻き込んだ。まるで車にでもはねられるように屍鬼どもが宙を飛ぶ。
一方、ゴーシュは屍鬼どもには、目もくれない。
狙いは首魁。巨大な女の我霊だ。
右の正拳を撃ち出す。それだけで大気が歪み、屍鬼どもは吹き飛ばされた。
暴風のような拳圧は、女の我霊にドンッと直撃するが、
――ギロリ、と。
わずかに仰け反っただけで、恨みの籠もった双眸で睨み付けてくる。
「やはり、この程度では通じんか」
ゴーシュは、舌打ちする。
「流石は危険度S」真刃は双眸を細める。「千年我霊に次ぐだけのことはあるな」
言って、真刃は加速した。フロアを疾走し、そのまま壁を駆け上がる。勢いは殺さず壁を走る。目指す場所は首魁の我霊の背後。死角だ。
「がああああああああッッ!」
しかし、首魁の我霊は、それを見過ごしたりはしない。五条の屍鞭が真刃の後を追った。
壁を削り、屍鞭が唸る。真刃はさらに加速した。
壁面を力強く疾走。追いすがる屍鞭を瞬く間に引き離す。そして死角にまで移動すると、突撃槍を構えて跳躍する!
――が、
「――なに!?」
真刃は大きく目を瞠った。
振り向いた女の我霊。その横顔。さらには半身に、覆い尽くすほどの蛆が湧いていたのだ。
しかも蛆は瞬時に羽化。蠅に成ると一斉に羽音を鳴らした。
「――グウッ!」
脳を直接揺さぶるような不協和音に、真刃は険しい顔を見せた。
ぐらり、と姿勢まで崩す。と、その直後のことだった。
『――真刃さまッ!』
羽鳥が叫ぶ。大量の屍鬼どもが、天井から真刃に向かって落ちてきていたのだ。
まるで屍の大瀑布だ。宙空にいた真刃には避けようもない。
真刃はそのまま屍鬼どもごと、フロアに叩きつけられた! 落下の衝撃で五体が粉砕される屍鬼も多数いたが、少しでも無事な屍鬼は、次々と真刃に覆い被さっていった。
そうして瞬く間に巨大な屍の繭と化す。
「油断したな。久遠。助けはせんぞ。だが」
仮面の下で、険しく眉間を寄せてゴーシュが呻く。
「まるで蠅の女王だな」
羽音は未だ鳴り止まない。全身を戦闘装束で覆ったゴーシュでも芯に響く音だ。
そんな中、半身を蠅に覆われた女の我霊は、ニタリと笑った。
――化粧を褒めて欲しい夫人のように。
「存外、生前は美人だったようだが、今のお前は俺の好みではないな」
そう嘯くが、さほど余裕もなかった。このままでは羽音に殺されかねない。
「行くぞ! 蠅の女王!」
ゴーシュは足を広げ、両手を拝むように重ね合わせた。
――コオオオオ、と。
息を吸う。
途端、ゴーシュの全身が、さらに一回り、大きくバンプアップされた。
全身に記された黄金の紋様も、輝きを増していく。魂力も増大していく。
《魂結び》で従えた配下たち。そして十三人の愛する女たちから魂力を徴収しているのだ。
数秒後、ゴーシュの肉体は、黄金の光に覆われていた。
明らかなパワーアップ。危険を察した蠅の女王は奇声を上げ、五条の屍鞭を振るった。
――が、
――ドンッ!
次の瞬間、ゴーシュは光の軌跡を残して跳躍。蠅の女王の懐に入る。
そして――。
――ズンッ!
拳圧を腹部に叩きつけた。ベコンッ、と女王の腹が大きく陥没する。
先程までの攻撃とは違う。
跳ね上がる術威。個人では決して得られない規模の魂力。
これこそが《魂結び》の真骨頂だった。
「ッ!? がああああああああああッ!」
絶叫を上げる蠅の女王。だが、ゴーシュは容赦しない。
さらにもう一撃。続けて顎部に強烈なアッパーを繰り出した。
もはや、体のサイズ差など意味を成さない。一撃一つ一つが巨拳だった。
「悪いが、早々にトドメを刺させてもらうぞ」
いかに優勢であっても、羽音が続く限り、形勢がいつ逆転してもおかしくない。
今すぐ決着をつけるべきだった。
ゴーシュは、右の拳を固めた。黄金の紋様もさらに輝く。
だが、蠅の女王も、みすみす黙ってはいなかった。
「がああああああああああああああッ!」
――バチンッ!
柏手を打つように、ゴーシュの体を両手で挟み込んだのである。
「……チィ! 悪あがきを!」
容易く圧殺されるようなゴーシュではないが、それでも女王の剛力は凄まじい。
巨大な手と、それを開こうとするゴーシュの力は拮抗した。
それを好機と察したか、屍鬼どもが、女王の腕をよじ登って集まってくる。
さらには蠅たちまで女王の体から離れ、ゴーシュの周囲に集まってきた。
(くそ! 俺も覆い潰す気か!)
流石に焦りを抱く。
――と、その時だった。
『……意外と追い込まれておるな、ゴーシュ=フォスター』
不意に、くぐもった声が響く。
そして次の瞬間、屍鬼の繭が爆散した。
「――なに!」
ゴーシュが息を吞む。屍鬼どもを吹き飛ばし、真刃は立っていた。
――ただし、その姿は、屍鬼に呑み込まれる前と随分と違っていたが。
真刃は、全身に白銀色の鎧を纏っていた。
体格は一回り大きく。右腕の突撃槍はそのままに、左腕には翼のような盾。鎧は羽を模している。頭部や顔まで完全に覆う完全武装の騎士の姿だった。
「――貴様!」
角度的には見えないが、真刃の圧が増したことを感じ取り、ゴーシュが舌打ちする。
恐らく、何かしらの切り札を使ったのだろう。
――まずい! 自分は今、動けない!
『己は負けず嫌いなのだ。勝たせてもらうぞ』
真刃はそう呟くと、爆発にも似た音がするほどに強くフロアを蹴り付けて跳躍する!
ズンッ、と壁に一旦着地。そして――。
「ぐああああぁあああああああああああああああああぁあああああああッッ!」
かつてない危機を察し、蠅の女王が咆哮を上げた。
その直後、蠅たちが羽音を立てる。壁に亀裂を走らせるほどの音圧。音の防壁だ。
しかし、真刃は、それを意にも介さない。
――ただ、真っ直ぐに。
全身を一本の槍に変えて飛翔する!
そうして数瞬後、蠅の女王は、目を剥いた。
同時に鎧を纏った真刃が、火線を引いて鋼のフロアに着地する。
一拍の間。
蠅の女王が、呆然と自分の胸元を見やる。そこには、大穴が――いや、そこに至る軌道上のすべてのものに、大穴が空けられていた。
「……――があぁ、があああああァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ」
大量の吐血を撒き散らして、蠅の女王の体躯は、ぐらりと揺れた。
そして地響きを立てて、フロアに倒れ込む。巨体は徐々に縮小していった。そして十数秒後には一人の女の死体となった。酷く腐乱した女性の遺体だ。ただ、身に纏う衣装は、古くはあるがかなり上質なものだった。生前は、この館の主人だったのかもしれない。
それと同時に、蠅は次々と落ち、屍鬼どもも崩れ落ちた。元々首魁の我霊に駒として扱われていただけの知性もない下級我霊だ。首魁を失ったことで糸が切れてしまったようだ。
「くそ、してやられたか」
我霊の手から解放されたゴーシュが、フロアに片膝を突いて舌打ちする。
この戦い。勝敗を決するのは、どちらが先に首魁を倒すかであった。
『これで終わったな』と、告げるのは真刃だ。
全身鎧は解いていない。ゴーシュは、パンパンと足を払って立ち上がった。
「貴様、その姿はなんだ?」
『特攻形態という奴だ。まあ、己の切り札の一つだな。最初からお前に見せては警戒されると思っていたが、屍鬼どもの繭は逆に好機だったな』
「……姑息な手を使うじゃないか」
ゴーシュは肩を竦めて、皮肉気な笑みを零す。
「まあ、いいさ。ともあれ、この勝負……」
ゴーシュは、ゆっくりと真刃に近付いた。
そして、とても自然な動作で、真刃の右脇腹に、コツンと拳を当てた。
直後、
――ズンッ!
衝撃が走る。真刃は体をくの字にさせて吹き飛んだ。
壁にぶつかり、轟音が響く。濛々と煙が上がった。
「かなたはくれてやるよ。満足するまで抱き潰すなり、仕込むなり、好きに楽しめばいい。だがな、勝ちだけは譲る気はない」
拳を突き出した姿勢で、ゴーシュは笑う。
「何故なら、俺も相当な負けず嫌いだからだ」
屍鬼どもが女の体に這い上がって、右腕と成っていく。だが、再生や復元ではない。屍鬼どもの肉体を数珠繋ぎのように融合させて、右腕の代わりにしているだけだ。
次々と繋がれていく屍鬼ども。異形の右腕はさらに伸び、五指が鞭状に成った。
巨大な女の我霊は、無造作に右腕を振るった。
――ガガガガガッ!
壁を、フロアを削って、五条の屍鞭が襲い来る!
真刃と、ゴーシュは、それぞれ跳んだ。
「やってくれるな」「……チィ」
しかし、宙空で二人は眉をひそめた。
屍鞭をかわすことは難しくない。だが、その攻撃は群がる屍鬼どもも巻き込んだのだ。
薙ぎ払われた屍鬼どもは粉砕。肉片が礫と成って、真刃たちに襲い掛かる!
「――ぬゥん!」
ゴーシュは拳圧で、真刃は無言のまま、突撃槍から無数の刃を撃ち出して凌いだ。
二人は鋼のフロアに着地した。直後、屍鬼どもが群がってくる。
「――ふ」
小さな呼気と共に、真刃は加速した。屍鬼の一体の胴体を貫く。さらに突き刺したまま他の数体も屍鬼も巻き込んだ。まるで車にでもはねられるように屍鬼どもが宙を飛ぶ。
一方、ゴーシュは屍鬼どもには、目もくれない。
狙いは首魁。巨大な女の我霊だ。
右の正拳を撃ち出す。それだけで大気が歪み、屍鬼どもは吹き飛ばされた。
暴風のような拳圧は、女の我霊にドンッと直撃するが、
――ギロリ、と。
わずかに仰け反っただけで、恨みの籠もった双眸で睨み付けてくる。
「やはり、この程度では通じんか」
ゴーシュは、舌打ちする。
「流石は危険度S」真刃は双眸を細める。「千年我霊に次ぐだけのことはあるな」
言って、真刃は加速した。フロアを疾走し、そのまま壁を駆け上がる。勢いは殺さず壁を走る。目指す場所は首魁の我霊の背後。死角だ。
「がああああああああッッ!」
しかし、首魁の我霊は、それを見過ごしたりはしない。五条の屍鞭が真刃の後を追った。
壁を削り、屍鞭が唸る。真刃はさらに加速した。
壁面を力強く疾走。追いすがる屍鞭を瞬く間に引き離す。そして死角にまで移動すると、突撃槍を構えて跳躍する!
――が、
「――なに!?」
真刃は大きく目を瞠った。
振り向いた女の我霊。その横顔。さらには半身に、覆い尽くすほどの蛆が湧いていたのだ。
しかも蛆は瞬時に羽化。蠅に成ると一斉に羽音を鳴らした。
「――グウッ!」
脳を直接揺さぶるような不協和音に、真刃は険しい顔を見せた。
ぐらり、と姿勢まで崩す。と、その直後のことだった。
『――真刃さまッ!』
羽鳥が叫ぶ。大量の屍鬼どもが、天井から真刃に向かって落ちてきていたのだ。
まるで屍の大瀑布だ。宙空にいた真刃には避けようもない。
真刃はそのまま屍鬼どもごと、フロアに叩きつけられた! 落下の衝撃で五体が粉砕される屍鬼も多数いたが、少しでも無事な屍鬼は、次々と真刃に覆い被さっていった。
そうして瞬く間に巨大な屍の繭と化す。
「油断したな。久遠。助けはせんぞ。だが」
仮面の下で、険しく眉間を寄せてゴーシュが呻く。
「まるで蠅の女王だな」
羽音は未だ鳴り止まない。全身を戦闘装束で覆ったゴーシュでも芯に響く音だ。
そんな中、半身を蠅に覆われた女の我霊は、ニタリと笑った。
――化粧を褒めて欲しい夫人のように。
「存外、生前は美人だったようだが、今のお前は俺の好みではないな」
そう嘯くが、さほど余裕もなかった。このままでは羽音に殺されかねない。
「行くぞ! 蠅の女王!」
ゴーシュは足を広げ、両手を拝むように重ね合わせた。
――コオオオオ、と。
息を吸う。
途端、ゴーシュの全身が、さらに一回り、大きくバンプアップされた。
全身に記された黄金の紋様も、輝きを増していく。魂力も増大していく。
《魂結び》で従えた配下たち。そして十三人の愛する女たちから魂力を徴収しているのだ。
数秒後、ゴーシュの肉体は、黄金の光に覆われていた。
明らかなパワーアップ。危険を察した蠅の女王は奇声を上げ、五条の屍鞭を振るった。
――が、
――ドンッ!
次の瞬間、ゴーシュは光の軌跡を残して跳躍。蠅の女王の懐に入る。
そして――。
――ズンッ!
拳圧を腹部に叩きつけた。ベコンッ、と女王の腹が大きく陥没する。
先程までの攻撃とは違う。
跳ね上がる術威。個人では決して得られない規模の魂力。
これこそが《魂結び》の真骨頂だった。
「ッ!? がああああああああああッ!」
絶叫を上げる蠅の女王。だが、ゴーシュは容赦しない。
さらにもう一撃。続けて顎部に強烈なアッパーを繰り出した。
もはや、体のサイズ差など意味を成さない。一撃一つ一つが巨拳だった。
「悪いが、早々にトドメを刺させてもらうぞ」
いかに優勢であっても、羽音が続く限り、形勢がいつ逆転してもおかしくない。
今すぐ決着をつけるべきだった。
ゴーシュは、右の拳を固めた。黄金の紋様もさらに輝く。
だが、蠅の女王も、みすみす黙ってはいなかった。
「がああああああああああああああッ!」
――バチンッ!
柏手を打つように、ゴーシュの体を両手で挟み込んだのである。
「……チィ! 悪あがきを!」
容易く圧殺されるようなゴーシュではないが、それでも女王の剛力は凄まじい。
巨大な手と、それを開こうとするゴーシュの力は拮抗した。
それを好機と察したか、屍鬼どもが、女王の腕をよじ登って集まってくる。
さらには蠅たちまで女王の体から離れ、ゴーシュの周囲に集まってきた。
(くそ! 俺も覆い潰す気か!)
流石に焦りを抱く。
――と、その時だった。
『……意外と追い込まれておるな、ゴーシュ=フォスター』
不意に、くぐもった声が響く。
そして次の瞬間、屍鬼の繭が爆散した。
「――なに!」
ゴーシュが息を吞む。屍鬼どもを吹き飛ばし、真刃は立っていた。
――ただし、その姿は、屍鬼に呑み込まれる前と随分と違っていたが。
真刃は、全身に白銀色の鎧を纏っていた。
体格は一回り大きく。右腕の突撃槍はそのままに、左腕には翼のような盾。鎧は羽を模している。頭部や顔まで完全に覆う完全武装の騎士の姿だった。
「――貴様!」
角度的には見えないが、真刃の圧が増したことを感じ取り、ゴーシュが舌打ちする。
恐らく、何かしらの切り札を使ったのだろう。
――まずい! 自分は今、動けない!
『己は負けず嫌いなのだ。勝たせてもらうぞ』
真刃はそう呟くと、爆発にも似た音がするほどに強くフロアを蹴り付けて跳躍する!
ズンッ、と壁に一旦着地。そして――。
「ぐああああぁあああああああああああああああああぁあああああああッッ!」
かつてない危機を察し、蠅の女王が咆哮を上げた。
その直後、蠅たちが羽音を立てる。壁に亀裂を走らせるほどの音圧。音の防壁だ。
しかし、真刃は、それを意にも介さない。
――ただ、真っ直ぐに。
全身を一本の槍に変えて飛翔する!
そうして数瞬後、蠅の女王は、目を剥いた。
同時に鎧を纏った真刃が、火線を引いて鋼のフロアに着地する。
一拍の間。
蠅の女王が、呆然と自分の胸元を見やる。そこには、大穴が――いや、そこに至る軌道上のすべてのものに、大穴が空けられていた。
「……――があぁ、があああああァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ」
大量の吐血を撒き散らして、蠅の女王の体躯は、ぐらりと揺れた。
そして地響きを立てて、フロアに倒れ込む。巨体は徐々に縮小していった。そして十数秒後には一人の女の死体となった。酷く腐乱した女性の遺体だ。ただ、身に纏う衣装は、古くはあるがかなり上質なものだった。生前は、この館の主人だったのかもしれない。
それと同時に、蠅は次々と落ち、屍鬼どもも崩れ落ちた。元々首魁の我霊に駒として扱われていただけの知性もない下級我霊だ。首魁を失ったことで糸が切れてしまったようだ。
「くそ、してやられたか」
我霊の手から解放されたゴーシュが、フロアに片膝を突いて舌打ちする。
この戦い。勝敗を決するのは、どちらが先に首魁を倒すかであった。
『これで終わったな』と、告げるのは真刃だ。
全身鎧は解いていない。ゴーシュは、パンパンと足を払って立ち上がった。
「貴様、その姿はなんだ?」
『特攻形態という奴だ。まあ、己の切り札の一つだな。最初からお前に見せては警戒されると思っていたが、屍鬼どもの繭は逆に好機だったな』
「……姑息な手を使うじゃないか」
ゴーシュは肩を竦めて、皮肉気な笑みを零す。
「まあ、いいさ。ともあれ、この勝負……」
ゴーシュは、ゆっくりと真刃に近付いた。
そして、とても自然な動作で、真刃の右脇腹に、コツンと拳を当てた。
直後、
――ズンッ!
衝撃が走る。真刃は体をくの字にさせて吹き飛んだ。
壁にぶつかり、轟音が響く。濛々と煙が上がった。
「かなたはくれてやるよ。満足するまで抱き潰すなり、仕込むなり、好きに楽しめばいい。だがな、勝ちだけは譲る気はない」
拳を突き出した姿勢で、ゴーシュは笑う。
「何故なら、俺も相当な負けず嫌いだからだ」
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜
万実
キャラ文芸
う、嘘でしょ。
こんな生き物が、こんな街の真ん中に居ていいの?!
私の目の前に現れたのは二本の角を持つ鬼だった。
バイトを首になった私、雪村深月は新たに見つけた職場『赤星探偵事務所』で面接の約束を取り付ける。
その帰り道に、とんでもない事件に巻き込まれた。
鬼が現れ戦う羽目に。
事務所の職員の拓斗に助けられ、鬼を倒したものの、この人なんであんな怖いのと普通に戦ってんの?
この事務所、表向きは『赤星探偵事務所』で、その実態は『赤星陰陽師事務所』だったことが判明し、私は慄いた。
鬼と戦うなんて絶対にイヤ!怖くて死んじゃいます!
一度は辞めようと思ったその仕事だけど、超絶イケメンの所長が現れ、ミーハーな私は彼につられて働くことに。
はじめは石を投げることしかできなかった私だけど、式神を手に入れ、徐々に陰陽師としての才能が開花していく。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる