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離婚初日
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さて、こうなってくると、まず始めに考えなきゃいけないことは“引越し”だ。
高原さんの持ち分の部屋に、いつまでも住むわけにはいかない。そして、そんなことを考える私は、高原さんのことを“好き“ではなかったのかもしれない。
正直、なんとなくの流れで体の関係になり、彼の気持ちに応えぬまま、“恋人”として周りに認識されていた状況を、受け入れられない。
その気にさせといて酷い女。自分でもそう思う。けれど、あんな強引なやり方を高原さんにされると嫌悪感いっぱいになる。
「はぁー、どうしよ……。」
店は、常連さんが来たり、他のお客さんが来たりして、夜なのに盛況だった。その為、諭はウエイターとして忙しい時間を過ごしていた。私は帰ろうかと思ったけれど、やっぱりこの店の居心地が良くて、常連さん達と話したりしていた。
離婚のことも一応報告した。私と諭が、同じ時間に店内にいるのを見てびっくりしていたからだ。それぞれがいろんな相談に乗ってもらい、アドバイスもしていただいてたから『離婚報告』をしておかきたかったと話した。初めて私と諭が同じ空間にいるのを見て、「思ってたよりお似合い」とか言われ、諭は嬉しそうだったが、私は複雑だった。
北見さんは奥様と旅行中ということもあり、来店しなかったが、他にも高原さんのことを知っている人がいて、話題に上がってきた。
どうやら彼は経済界でも話題の外資系エリートらしく、彼の顧客からの信頼は厚い。ヘッドハンティングの話になると、必ず彼の名前が上がるほど有名だった。
「そういや、この前うちの姪っ子と見合いでもどうかと話をしたんだが、彼は今いい人がいるらしく、きっぱり断られて残念だったよ。」
という声も聞こえ、胸がズキっとした。
自分には彼のようにハイスペックな男性と生きる気はさらさらないのだ。
これからもっと彼を知って、いつか心が離れられなくなるくらい愛する日も来るのかもしれないが。
こんなに自惚れて、実は諭みたいにあちこち女をつくってたりして……。なんて、不信な思いつきもしてたりする。
「ううん、なんでもないよ。諭は関係ないこと。」
「なんでもないって……。やっぱりなんか考えてるんじゃん。」
「そりゃ何かは考えて生きてるわよ。ただ、諭は無関係ってこと。」
「ふん、なんか、嫌な言い方だな。まあいい。もうこんな時間だし、送るから。もう少し待ってて。」
「……わかった。」
ほんとは1人で帰るつもりだったけど、諭ははじめから私を送るつもりだったろうし、ここで押し問答しても仕方ないので、了承した。
「依子?依子ー!……ダメか……。」
「諭くん、依子ちゃん寝ちゃったんだね。」
「はい……。依子は夜がダメなんで、限界だったんだと。」
「まあ、昨夜も寝てないんだろうしね。」
どうやら私は眠ってしまったらしく、一度寝たら中々起きない性分と、前日の睡眠不足が災いし、諭がタクシーで私のマンションまで連れ帰ってくれていた。そして、エントランスで寝ている私をおぶったままカバンの中から鍵を取り出した。
「鍵は……これ、だな……依子……おまえ……。」
私のキーケース。結婚してすぐに、諭がプレゼントしてくれたもの。ハイブランドに憧れ、財布は無理だからと買ってくれた革製のキーケース。購入時から随分色は変化し、いい味が出ていると見る人が見れば褒めてくれる。
諭はそれを見て、私の部屋に連れて行くことをやめ、今は自分1人が住むかつての2人の住処に進路を変えた。
「このキーケースに、あそこの鍵をつけたらダメだろう、依子。ったく、もう、引っ越せよ……。」
相変わらず眠っている私に、諭は悪態つきながらまたタクシーを拾った。
高原さんの持ち分の部屋に、いつまでも住むわけにはいかない。そして、そんなことを考える私は、高原さんのことを“好き“ではなかったのかもしれない。
正直、なんとなくの流れで体の関係になり、彼の気持ちに応えぬまま、“恋人”として周りに認識されていた状況を、受け入れられない。
その気にさせといて酷い女。自分でもそう思う。けれど、あんな強引なやり方を高原さんにされると嫌悪感いっぱいになる。
「はぁー、どうしよ……。」
店は、常連さんが来たり、他のお客さんが来たりして、夜なのに盛況だった。その為、諭はウエイターとして忙しい時間を過ごしていた。私は帰ろうかと思ったけれど、やっぱりこの店の居心地が良くて、常連さん達と話したりしていた。
離婚のことも一応報告した。私と諭が、同じ時間に店内にいるのを見てびっくりしていたからだ。それぞれがいろんな相談に乗ってもらい、アドバイスもしていただいてたから『離婚報告』をしておかきたかったと話した。初めて私と諭が同じ空間にいるのを見て、「思ってたよりお似合い」とか言われ、諭は嬉しそうだったが、私は複雑だった。
北見さんは奥様と旅行中ということもあり、来店しなかったが、他にも高原さんのことを知っている人がいて、話題に上がってきた。
どうやら彼は経済界でも話題の外資系エリートらしく、彼の顧客からの信頼は厚い。ヘッドハンティングの話になると、必ず彼の名前が上がるほど有名だった。
「そういや、この前うちの姪っ子と見合いでもどうかと話をしたんだが、彼は今いい人がいるらしく、きっぱり断られて残念だったよ。」
という声も聞こえ、胸がズキっとした。
自分には彼のようにハイスペックな男性と生きる気はさらさらないのだ。
これからもっと彼を知って、いつか心が離れられなくなるくらい愛する日も来るのかもしれないが。
こんなに自惚れて、実は諭みたいにあちこち女をつくってたりして……。なんて、不信な思いつきもしてたりする。
「ううん、なんでもないよ。諭は関係ないこと。」
「なんでもないって……。やっぱりなんか考えてるんじゃん。」
「そりゃ何かは考えて生きてるわよ。ただ、諭は無関係ってこと。」
「ふん、なんか、嫌な言い方だな。まあいい。もうこんな時間だし、送るから。もう少し待ってて。」
「……わかった。」
ほんとは1人で帰るつもりだったけど、諭ははじめから私を送るつもりだったろうし、ここで押し問答しても仕方ないので、了承した。
「依子?依子ー!……ダメか……。」
「諭くん、依子ちゃん寝ちゃったんだね。」
「はい……。依子は夜がダメなんで、限界だったんだと。」
「まあ、昨夜も寝てないんだろうしね。」
どうやら私は眠ってしまったらしく、一度寝たら中々起きない性分と、前日の睡眠不足が災いし、諭がタクシーで私のマンションまで連れ帰ってくれていた。そして、エントランスで寝ている私をおぶったままカバンの中から鍵を取り出した。
「鍵は……これ、だな……依子……おまえ……。」
私のキーケース。結婚してすぐに、諭がプレゼントしてくれたもの。ハイブランドに憧れ、財布は無理だからと買ってくれた革製のキーケース。購入時から随分色は変化し、いい味が出ていると見る人が見れば褒めてくれる。
諭はそれを見て、私の部屋に連れて行くことをやめ、今は自分1人が住むかつての2人の住処に進路を変えた。
「このキーケースに、あそこの鍵をつけたらダメだろう、依子。ったく、もう、引っ越せよ……。」
相変わらず眠っている私に、諭は悪態つきながらまたタクシーを拾った。
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