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幸せ
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土曜日は実家から少し離れた場所に住む悠介にも会い、久々に対面で話ができた。
彼女との出会いや、仕事のこと、子供の頃の話など、ぎこちないながらも笑って話せた。
「姉ちゃん、ごめんな。」
畏まって言われたから、「あんたから謝罪受けるほど不幸じゃないわ」と、頭をパコッとしてやった。
昔から甘えん坊で泣き落としばっかりのくせに、体が大きくなったからって大人ぶるなって、言ってやった。
「ひっでえなぁ。ったくよっ!」
って、言い返されたけど、このやりとりが嬉しくなっちゃうんだよね。
都会で荒削りされてきた部分が、弟との摩擦でいくらか滑らかになっていることがわかる。
日曜日、晴れ渡る空に純白のドレスを着た花嫁。義妹になるわけだけど、私にはすごく遠い存在に思えた。
小姑って、こういう気持ちなのかとしみじみ感じた。これから幸せになるため、切磋琢磨して生きていく2人が、眩しすぎて羨ましかった。
思っていたより、義妹の家族は私に対して寛容だったし、結婚式は滞りなく行われた。もしかしたら弟が何かやらかした時に、私のことに関連してつつかれるのかもしれないが。
結婚式が終わって着替えたら、すぐに私は空港に向かった。
母さんと父さんは、式が終わったばかりで疲れてるし、いろいろとやることもあるだろうから、空港へは1人で来た。
機内アナウンスが流れ飛び立った。
私はまた現実の世界に戻るのだ。
九州で過ごした時間も現実だが、やはり私には真実味が無く、飛んでいる間、ずっと目を閉じていた。
到着した時、夢を見たんだと自分に言い聞かせるために。
そうでもしないと、立ち上がれない。
本当はあのまま両親と暮らそうかなと考えていた。
でも、私の帰る場所はあるが、生きる場所はないと思えた。
タクシーでマンションまで帰宅し、ようやく部屋についた。空港まで、かなり距離はあったが、夜道が苦手なことを知ってる両親は、交通費だからと万札を握らせてきた。正直、怖かったから有り難く使わせていただいた。
知らなかった。
空港から、ずっと私を見ていた人がいたこと。
もしタクシーに乗らなければ、同じバスに乗っていたこと。
彼は、私に声をかけなかった。
彼は、私を追ってはこなかった。
偶然がまた重なれば、いつか目を合わすことがあるだろう。そのくらいの縁の強さを感じなければ、再びその手をとることなどできない。
2人がセレンディピティを感じられたら、それが始まり。
高原純平。
彼は、2週間前に戻ってきた。
その日は、遠方から来た取引先の社長を同僚と空港まで送っていた。
同僚は、そのまま会社にまた戻る予定があったため、車を戻すついでに先に行った。
高原は空港が好きで、夜の離着陸の風景を楽しむべく2時間ほどゆっくりしていた。
ぼーっと空を見上げる時間もないほど、この4ヶ月は仕事に追われていた。ふと空いた久々の自分だけの為の時間。
瞬きをすれば、否が応でも思い浮かぶ依子の顔。自分でもおかしいくらい深みにハマっていた。
これだけ仕事をしていれば、きっと忘れているだろうと、近い将来の自分に期待していた。だが今、フッとオフの自分に切り替わった時、胸の奥の大事な部分は何も変わっていないとわかった。
「……元気、かな?……」
ボソッと呟いた。
それを機に、もう帰宅しようとバス停に向かうことにした。
さっき到着した飛行機からだろうか。
人の流れが多く、もう少しバスの時間をずらすべきか考えた。
その時、ふと見かけた姿に「うそだろう……」と、時が止まった。
ゴクリと喉を鳴らして、目を凝らした。「どこだ?どっちだ?」
首を振り、歩きながら探した。
見つけた。
彼女との出会いや、仕事のこと、子供の頃の話など、ぎこちないながらも笑って話せた。
「姉ちゃん、ごめんな。」
畏まって言われたから、「あんたから謝罪受けるほど不幸じゃないわ」と、頭をパコッとしてやった。
昔から甘えん坊で泣き落としばっかりのくせに、体が大きくなったからって大人ぶるなって、言ってやった。
「ひっでえなぁ。ったくよっ!」
って、言い返されたけど、このやりとりが嬉しくなっちゃうんだよね。
都会で荒削りされてきた部分が、弟との摩擦でいくらか滑らかになっていることがわかる。
日曜日、晴れ渡る空に純白のドレスを着た花嫁。義妹になるわけだけど、私にはすごく遠い存在に思えた。
小姑って、こういう気持ちなのかとしみじみ感じた。これから幸せになるため、切磋琢磨して生きていく2人が、眩しすぎて羨ましかった。
思っていたより、義妹の家族は私に対して寛容だったし、結婚式は滞りなく行われた。もしかしたら弟が何かやらかした時に、私のことに関連してつつかれるのかもしれないが。
結婚式が終わって着替えたら、すぐに私は空港に向かった。
母さんと父さんは、式が終わったばかりで疲れてるし、いろいろとやることもあるだろうから、空港へは1人で来た。
機内アナウンスが流れ飛び立った。
私はまた現実の世界に戻るのだ。
九州で過ごした時間も現実だが、やはり私には真実味が無く、飛んでいる間、ずっと目を閉じていた。
到着した時、夢を見たんだと自分に言い聞かせるために。
そうでもしないと、立ち上がれない。
本当はあのまま両親と暮らそうかなと考えていた。
でも、私の帰る場所はあるが、生きる場所はないと思えた。
タクシーでマンションまで帰宅し、ようやく部屋についた。空港まで、かなり距離はあったが、夜道が苦手なことを知ってる両親は、交通費だからと万札を握らせてきた。正直、怖かったから有り難く使わせていただいた。
知らなかった。
空港から、ずっと私を見ていた人がいたこと。
もしタクシーに乗らなければ、同じバスに乗っていたこと。
彼は、私に声をかけなかった。
彼は、私を追ってはこなかった。
偶然がまた重なれば、いつか目を合わすことがあるだろう。そのくらいの縁の強さを感じなければ、再びその手をとることなどできない。
2人がセレンディピティを感じられたら、それが始まり。
高原純平。
彼は、2週間前に戻ってきた。
その日は、遠方から来た取引先の社長を同僚と空港まで送っていた。
同僚は、そのまま会社にまた戻る予定があったため、車を戻すついでに先に行った。
高原は空港が好きで、夜の離着陸の風景を楽しむべく2時間ほどゆっくりしていた。
ぼーっと空を見上げる時間もないほど、この4ヶ月は仕事に追われていた。ふと空いた久々の自分だけの為の時間。
瞬きをすれば、否が応でも思い浮かぶ依子の顔。自分でもおかしいくらい深みにハマっていた。
これだけ仕事をしていれば、きっと忘れているだろうと、近い将来の自分に期待していた。だが今、フッとオフの自分に切り替わった時、胸の奥の大事な部分は何も変わっていないとわかった。
「……元気、かな?……」
ボソッと呟いた。
それを機に、もう帰宅しようとバス停に向かうことにした。
さっき到着した飛行機からだろうか。
人の流れが多く、もう少しバスの時間をずらすべきか考えた。
その時、ふと見かけた姿に「うそだろう……」と、時が止まった。
ゴクリと喉を鳴らして、目を凝らした。「どこだ?どっちだ?」
首を振り、歩きながら探した。
見つけた。
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