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一旦刈り取った花を作業台へと置いてから、昼食を取りに食堂へと向かう。時間的に昼とドン被りだったためそれなりに混みあっていたが、例のごとくユーグの顔見て真っ青になりながら退室していく人が若干数いたために、席に困ることはなかった。
この数日で食堂の使い方も慣れてきたため、やっと好きな食事へとありつけるのもありがたい。常にユーグとおそろいなのも少し気持ち悪いかなと思っていたのだが……肝心のユーグの方が、自分で選ぶのが面倒だと言って、ほとんど俺と同じものを食べていることが多かった。お陰で、すでに顔なじみになったおばちゃんに仲が良いんだねと微笑ましい顔をされてしまった。
食事を終え部屋へ戻ると、ユーグより昼前に刈り取った花を加工するから少し作業室へ籠ると宣言が出た。掃除は粗方終えてしまったので、手持無沙汰になってしまう俺へ、この書架の本であればマコトでも大丈夫だろうと適当な説明をしてさっさと引っ込んでいった。
この世界に来て、何もしない1人の時間を与えられたのは初めてかもしれない。特にこれと言った趣味はないし、今までの休日は寝て過ごしていることが大半だった。これを機に、読書に挑戦でもしてみるかと言われた通りの本棚の前へと立つ。
歴史書や、基礎魔法といったタイトルがずらりと並んでいて、どれも難しそうだ。確かに、ユーグが娯楽小説を読んでいるのはなかなか想像しがたいので、当たり前のラインアップなんだが……とりあえず、何も知らないしこの国の歴史が分かりそうな物から挑戦してみるか。薄めの1冊を手に取り、定位置の椅子へと腰かける。表紙を開き、日本語ではない文字を追い始めてみたけれど、やっぱり堅苦しいし小難しい。
1章だけでもと頑張って読み進め、本を裏返しにして腹の上へと乗せる。椅子へ背を預けるように大きく背伸びをして、目を瞑るとパチパチと木の爆ぜる音が響いてきた。
なんて穏やかな午後なんだろう。この20数年、ここまで心穏やかに過ごしたことはないんじゃないかと思う。日本にいた頃は、いつでも母親の機嫌に怯え、ノルマに耐え、世間の目を気にして生きてきたのに……ユーグを見ていると、そんなものを気にしているのが馬鹿馬鹿しく思えてきてしまう。それほどの実力と自信を兼ね備えているからこそだろうが、あのメンタルは見習いたい。ユーグのお陰で、ここでは少しだけ前向きに生きていける気がした。
「……まだ終わんないのかな……」
ユーグ、何してるんだろう。さっきまで一緒にいたはずなのに、なんだか無性に顔を見たくなってしまった。
◆
うっすらと目を開けると、ペラリと紙がめくれる音がした。ぼんやりながら頭を動かすと、温かくて柔らかい何かの上に乗っていることに気づく。
「ん? 目が覚めたか?」
降ってきた優しい声と影にゆるゆると視線を向けると、グラデーションが綺麗な瞳と目があった。
「あれ……ユーグ……?」
なんで覗き込まれているのか理解ができない。おはようと笑いながら髪を梳くように頭を撫でられ、やっと意識が覚醒する。慌てて飛び起きれば、いつの間にやら俺はソファーで横になっていたようだ。隣にはユーグが本を片手に座っている。間違いなく、先ほどの柔らかい感触は、この人の膝だろう。
「え、な、わ、悪い……!」
寝るつもりなんてなかったのに、いつの間にか寝落ちてしまっていたらしい。問題ないさと笑いながら返される返答に申し訳なくなってしまう。下を向いたままの俺の頭を上げさせるように、伸びてきた手が顎下へと触れる。軽い力で上を向かされると、マコトと熱のこもった声で名前を呼ばれた。
その声に反応するように、腹の奥で何かが疼く。突然襲ってきた熱に混乱している俺へ、ユーグは顔を寄せてくる。
「随分と寂しい思いをさせてしまったかな?」
「そ、んなこと……」
「隠さなくて良いさ。私も早くマコトに触れたかった……」
ちゅっと軽く音を立てて額へ口付けをされる。子どもにするようなキスだというのに、ぴくりと肩が震えてしまう。
「私との契約の内容は……覚えているね?」
耳元へと移動してきた唇が囁く声に、溜まらず唇を嚙みしめる。口を開けば簡単に声が漏れてしまいそうで、必死に頷きで返事をすると、いい子だと褒めてくれながら背中へと腕が回り、体を引き寄せられた。耳元から顔がずれ、こちらへと近づいてくるのに、息が荒くなっていく。薄く開かれた唇に応えるよう、噛みしめていた口を開けば齧り付くように唇が重なった。
「んッ、ふ、ぁ……!」
すぐさま入り込んできた舌先は、簡単に俺の舌を絡めとると全体を使うようにして擦りあげていく。何度も丁寧に擦り合わされ、軽い電気のような刺激の後から、喉に張り付くような甘い蜜が流れ込んできた。
ああ、ユーグの魔力が流れ込んできている……一度取り込んでしまえば最後、この味が癖になってしまう。もっと欲しい、もっと味わいたいと体が訴えかけてくる。夢中になってユーグの首へと腕を回し、自分からも抱き寄せれば、自然と体はソファーへと倒れ込んでいった。
媚びるようにユーグの舌を擦り上げたら、わずかに相手の口端が上がったのが分かる。チロチロと舐める俺の舌を今度は強く吸い上げられ、強い快感が襲い掛かってきた。
「んぅう……ッ」
堪えきれず出た喘ぎ声まで食べられて、くぐもった音が漏れる。解放されてもすぐに俺から相手の肉厚なそれへと絡めると、同じような熱量を持って絡め返してくれた。その間もひたすらに甘い蜜が流れ込んでいて、疼きが止まらない。喉を鳴らし飲み込む唾液さえ甘くって、気が狂ってしまいそうだ。
静かな部屋に異常なほどのリップ音が響く。興奮のせいで熱くなる呼吸のせいで、互いの体温が確実に上がっていっている。そろそろ下も触って欲しい……切なくなる腹の奥をこらえるように膝を擦り合わせると、ユーグが唇を解放し、やっと動き出してくれた。既に力が入らず、だらしなく口を開けている俺を見ていやらしく笑うと、頭を固定していた手がゆるゆると下の方へと移動していく。
触ってもらえるのかなと期待したが、手は胸元で止まると、円を描くように撫で始めた。男の俺にはもちろん、柔らかい胸なんてついていない。だからこそ、そんな所を触ったって面白くもなんともないはずなのに……ユーグは飽きることなく撫でていて、時折小さな先端を引っ搔いていく。
「ん……、なに、してるんだよ……!」
そんな所触らなくていいから、もっと下の方を触って欲しい……もっと刺激が欲しいのに……! ユーグの手首を掴んで訴えかけるも、言われた本人は特に気にした様子もなく、飛び切り優しく微笑みを浮かべた。
「いいから、私に任せてくれ」
いつの間にか、空いていた方の手が裾上げをしていた腰布を解く。衣擦れの音をたてながら床へと落ちたことにより、ローブの下へと簡単に侵入ができるようになった。そのまま裾から腕を入れ、肌着の下へとユーグの手が入り込んでくる。
「ひぁ……ッ!」
するりと腹を撫でられるも、手はそこでは止まらずに指先でなぞりながら上の方へと上がってきた。
先程から執拗に触ってきている胸とは反対側の乳輪をなぞるように指が這う。そう思えば、全体を緩く持ち上げるように揉み込まれ、時折先端を掠めていく。愛撫のもどかしさに耐えきれなくなり、名前を呼ぶ。すると、今度は乳首の先端を摘みあげられた。
「ぁ……」
思いがけず出てしまった声に、一気に羞恥心が掻き立てられた。胸で感じるはずなんか無いのに、なんで声がでるんだ……?!
混乱しながらも、なんとか手の甲を口に当てて抑えようとすると、見越したような動きで再び今度は爪で掻きあげられる。
「ひぅ?!」
ぴりっとした刺激が背筋を走った。俺の様子を伺っていたユーグの動きは、徐々に遠慮が無くなってきて、いつの間にか両腕が服の中へと入り込んでいる。優しく揉みしだいた後に、先端をキツく摘まれる。かと思えば、労わるように周りを撫で回した後にそこを強く摘みあげ、更に突起した部分を指で何度も擦りあげられる。
緩急を付けた愛撫と共に、温かい感覚が常に流れ込んできて……まるで、先端から無理やり魔力を流し込んでいるようだ。
「あ、んぅ……ッ、なん、でぇ……?!」
こんな風になるのはおかしいはずなのに、半開きの口からは引切り無しに声が漏れる。段々と甘くなっていく声は明らかに快感を拾っていますと言っているようだ。
胸を弄るのと並行して大丈夫とだけ繰り返しながら、ユーグは首元から鎖骨にかけてキスも落としていて、たまに強く吸い上げられるも気持ち良い。胸からの刺激に戸惑っている俺が気づく余裕もなく、いつの間にか鎖骨より更に下へと移動してきていた唇は、指で摘まみ上げていた先端を軽く舐めあげた。
「んぁ?!」
驚きと快感で体が震える。そんなつもりはなかったのに、自分から求めるようにユーグへ胸を差し出すような状況になってしまい、そのまま乳輪ごとしゃぶりつかれた。舌全体で舐り潰されたかと思えば、舌先で激しく刺激をされる。今度こそ出かかった声を両手で塞ぐ。手よりも舌で触れられた方が流れ込んでくる魔力が多いようで、感覚がおかしくなっていく。だって、胸をいじられてこんなに体が熱くなるなんて、絶対におかしい……!
「気持ちいいかい?」
「そんな、こと……!」
「そうなのか? こんなに可愛く主張しているのに?」
「そ、れは、アンタが……ッ!」
俺の反応を見て、ユーグの口の端が上がった。嫌な予感がする、早く止めなければと思ったが、俺よりも先にユーグの舌が動く。先端で嬲りながらしゃぶりついた瞬間、刺すような痛みが走る。
「い゛ッ?!」
その後からきた痺れるような刺激に、噛まれたのだと気づく。指と舌を使って執拗に攻め立てられた乳首は、見たこともない程赤く立ち上がっていた。確実に快感を拾うようになってきている胸のせいで、次第に腹の奥の方で熱が渦巻いていくようだ。時折腰が揺れ、衣擦れの感覚さえもどかしく無意識に膝を擦り合わせてしまう。
そんな俺の動きを見たのか、ユーグの手が更に下へと滑っていく。ズボンと共に下着を下げられれば、張り詰めていた自身が飛び出す。例のごとく濡れそぼったそれは、暖炉の光をてらてらと反射させていた。触れる空気の冷たさに一瞬息を飲んだ隙に、ユーグの唇が寄せられた。
「なにして?!」
「君の体液と共に、私の魔力も排出されているんだ。勿体ないと思わないかい?」
意地悪く笑うと、根本から上へと向かって舌先が滑る。熱くて柔らかくてピリピリとした刺激に、腰が大げさに震えた。
「おっと」
軽くイきかけたのを察知した彼は、よりにもよって、大口を開けて先端から口の中へと含むと根本を強く握りしめる。突然襲いかかる刺激と痛み。続けて吸い上げられる感覚が受け止めきれず、激しく首を振る。
「あ゛ぁあ?!」
搾り取るように吸い上げた後、裏筋に沿ってゆっくりと舐めあげてから先端の穴の部分を舌先でほじくるように突かれる。時折漏れる吐息と下品な水音が羞恥心を煽ってくるのはわざとだろう。
「やめ、ぇ……!」
絶妙な力加減でイかせてくれない。涙で視界が滲む中、必死にユーグへ訴えかければ、俺の形で頬を膨らませている光景が飛び込んでくる。上品さの欠片もない表情は、普段の彼からは想像もできないほど淫猥だ。
しばらくの間好き勝手に舐めまわし、最後に強く吸い上げるようにして開放された頃には、イってもいないのに息も絶え絶えで……目を覆うように腕を当ててぐったりとしてしまった。絶妙な力加減で絶対に出させないようにしている。焼けるような熱がずっと腹の奥で渦巻いているようだ……どうにもできず、自分の腕を伸ばしかけた時だった。
いきなり腰から頭に抜けるような強い衝撃が走る。驚き、腕を払い除けて下半身へと目を向ければ、どこに隠し持っていたのか、根本の部分にリボンが巻き付けられていた。
「へ……?」
訳も分からず、まさに結んでいる本人を見つめたら、あの特徴的な瞳と目があった。俺が目視したのを認識した途端に、瞳がニィと細められる。
「出してしまっては意味がないだろう?」
「なに……?」
「大丈夫、ここじゃなくてもきちんと気持ち良くなれるさ」
信じられない……確かに、イったら魔力も排出されるって言うなら効率的じゃないだろうけど……それって、入れた魔力とトントンになるぐらい出ちゃうものなのか? それでも日常生活を送れてるってことは、それぐらいで枯渇するようなものでもないだろう……?!
色々な感情と体の火照りがごちゃ混ぜになって、うまく口が回らない俺を良いことに、勝手にソファーの背へと俺の片足をかけて広げた場所へ、こちらもどこに隠し持っていたのか、瓶を傾けてサラサラとした液体を垂らしていく。
どこか覚えのある甘い香りが鼻をかすめた。石鹸や寝室の香りよりもっと鮮度を感じるが、同系統のものだ。もっと最近嗅いだような気がすると気づけば、答えは簡単だった。
「これって……?!」
「ああ、そうだ。昼に中庭で摘んだ花を使っているんだ」
「最初から、これに使うつもりで……」
「少しでもリラックスできた方が良いだろう? それにしても驚いた。まさか、あの広い中庭で、私が愛用していた香りと同じものを選ぶだなんて。運命を感じるよ」
「なっ?!」
自身の指へオイルを馴染ませるようにしながら、ユーグが窄まり付近を撫でまわす。まるで会話よりこちらへ集中しろと言わんばかりの指の動きに、反論しようとして言葉を飲み込んでしまった。同時に腹を撫で上げられ、温かい感覚が奥まで届くと、それが消えるよりも前に指が侵入を開始する。
ここを使ってする行為などこれで2回目だっていうのに、遠慮なく入り込んできた指に違和感はあれどやっぱり痛みは感じない。遠慮ないのは魔力も一緒のようで、甘い刺激が一気に襲い掛かった。
「ひぁあ゛?!」
「ふふ……美味しいだろう?」
最初から良いポイントを指で扱かれて喉を反らす俺に、ユーグが満足げに笑った気がした。小刻みにタップしている指の本数がすぐに増やされ、2本の指がリズミカルにそこを刺激し続ける。
「ぐ、ぁ゛、ああ……ッ」
「すごいな……マコトの体は私のことが大好きのようだね」
空気を含んで、一際大きな音が聞こえ始める。気付けば、指が3本に増えて掻き回られていた。流れ込む濃厚な魔力で意識持っていかれる。目の前が霞み、もうこの与えられる刺激のことしか考えられなくなっていく……
「早く……!」
ユーグへ催促をかけたら、すぐに入れられていた指が抜き去り、ユーグが自身のズボンを寛げた。俺と同じぐらいに反りあがり怒張したそれを窄まりへと擦り付けると、ゆっくりと中へと入ってきた。
「ん、ぁあ……!」
この無理やり押し開いてくる感覚が堪らなく気持ちいい……!
喉を反らしてユーグ自身を味わう俺を見て、上から何か言葉が振ってきた気がするが、それを聞き取る余裕はない。
卑猥な音を立てながら侵入してきたそれは、最後まで入り切った所でぐるぐる円を書き、ゆるい刺激を断続的に与えてくる。この動きが待てをくらっている犬のようで少しだけ笑えた。
「動いて……」
間近まで来ていた耳元へ囁きかけると、ピクリと相手の体が震え、すぐに顔がこちらへと向けられ頷く。少しだけ余裕の無さそうな表情がちょっと可愛かった。
「ぅ、ぁあああ……ッ!」
俺のリクエスト通り、ユーグがゆっくりと腰を引いていくと、怒張した笠にごりごりと中を抉られる。それが気持ち悪いはずなのに気持ちいい。感じているのに感づいたユーグがわざと擦り付けるように動かれて、腰が跳ねる。
やっとそれが終わったと思えば一気に最奥まで突き上げられ、今度は体全体が跳ねた。ピンポイントで良い所を狙って突き上げてきているのが分かる。ユーグの体液から吸収している濃い魔力のせいで蕩けきっている体は言うことを聞かず、その刺激と甘い魔力を欲してもっともっとと急かしてきた。
必死に腕を伸ばしてユーグの首元へと回し、舌を出すと、心得たと言わんばかりにしゃぶりつかれる。上下で摂取しているのだから、魔力の量は確実に前回以上だろう。
乱暴に口内を暴れ回る舌先と、激しく突き上げられるナカのせいで、ドロドロとしたイチゴジャムが一気に体の中を満たしていく。甘い魔力と香りに頭がバカになりそうだ……
「良い、じゃ、ないか……ッ、理性なんて、手放してしまえ!」
「ふ、ぁあ、う゛ッ、あ゛、あああッ!」
放された唇から紡がれた言葉が自然と頭に響くと、箍が外れる。更に奥へとユーグを飲み込もうと腰を上げ、きつく抱きしめるように背中へと腕を回す。
「ユ、グ……ッ、もっとぉ……!」
「なんだ、私の魔力が欲しいのか? それとも、私のモノかい?」
「どっちもぉ! どっちも欲しい……ッ」
「おや、欲張りな子だ……これで、どうだいッ」
激しい突き上げと共に、最奥の壁をユーグの先端が叩きつける。何度もしつこくノックするような動きに、ビクビクと震えてつま先が反りあがってしまう。
「あ゛あ゛ッ、きもち、んああ、ユーグの、ちんこ、きもちい゛ッ」
「良いのは目合いだけなのか?」
「ちがッ、魔力も、おいしい、れす……ッ、あ、もっと、もっと頂戴……ッ!」
「もちろん、溢れるほど、注いであげようね……!」
「あッ、きもち、そこ、はやく、ユーグのちょうだい……ッ!」
「こら、あまり煽るな」
奥まで来ているのに、すぐに抜かれてしまうのが寂しくて、堪らず腹へと力を籠める。そんな所よりもっと奥まで来て欲しいと止めようとする俺に、ユーグは興奮気味の声で叱りつけ、スピードを上げていく。
「んぁ゛あ゛あ゛ッ、なに?! な、んか、へん……?!」
「大丈夫、そのまま達せるよ。体に任せて?」
肌がぶつかり合う音や空気が漏れ出る音に交じり、ユーグの優しい声が、再び頭へ直接響いてくる。とろりと綺麗な赤い瞳が細められ、一際強く叩きつけられた所で一気に体が痙攣する。
「や゛ッ、ん、ぁ゛あ゛あああッ!!」
今まで感じたことのない快感が全身を駆け抜け、ビクビクと痙攣が止まらない。俺のその動きを受けてか、息を詰めたユーグからも熱い物が噴き出し、体の中へと溶けていく。
「ひぁああ?!」
感覚が更に研ぎ澄まされ、身を焼くような熱さが腹を中心に駆け巡りたまらず背をしならせた。
なんだか無理やり体が作り変えられていくようだ……熱くて痛くて苦しいはずなのに、そんなものを感じる余裕もないほどの快楽が押し寄せてきて、気付けば意識は闇に沈んでいた。
一旦刈り取った花を作業台へと置いてから、昼食を取りに食堂へと向かう。時間的に昼とドン被りだったためそれなりに混みあっていたが、例のごとくユーグの顔見て真っ青になりながら退室していく人が若干数いたために、席に困ることはなかった。
この数日で食堂の使い方も慣れてきたため、やっと好きな食事へとありつけるのもありがたい。常にユーグとおそろいなのも少し気持ち悪いかなと思っていたのだが……肝心のユーグの方が、自分で選ぶのが面倒だと言って、ほとんど俺と同じものを食べていることが多かった。お陰で、すでに顔なじみになったおばちゃんに仲が良いんだねと微笑ましい顔をされてしまった。
食事を終え部屋へ戻ると、ユーグより昼前に刈り取った花を加工するから少し作業室へ籠ると宣言が出た。掃除は粗方終えてしまったので、手持無沙汰になってしまう俺へ、この書架の本であればマコトでも大丈夫だろうと適当な説明をしてさっさと引っ込んでいった。
この世界に来て、何もしない1人の時間を与えられたのは初めてかもしれない。特にこれと言った趣味はないし、今までの休日は寝て過ごしていることが大半だった。これを機に、読書に挑戦でもしてみるかと言われた通りの本棚の前へと立つ。
歴史書や、基礎魔法といったタイトルがずらりと並んでいて、どれも難しそうだ。確かに、ユーグが娯楽小説を読んでいるのはなかなか想像しがたいので、当たり前のラインアップなんだが……とりあえず、何も知らないしこの国の歴史が分かりそうな物から挑戦してみるか。薄めの1冊を手に取り、定位置の椅子へと腰かける。表紙を開き、日本語ではない文字を追い始めてみたけれど、やっぱり堅苦しいし小難しい。
1章だけでもと頑張って読み進め、本を裏返しにして腹の上へと乗せる。椅子へ背を預けるように大きく背伸びをして、目を瞑るとパチパチと木の爆ぜる音が響いてきた。
なんて穏やかな午後なんだろう。この20数年、ここまで心穏やかに過ごしたことはないんじゃないかと思う。日本にいた頃は、いつでも母親の機嫌に怯え、ノルマに耐え、世間の目を気にして生きてきたのに……ユーグを見ていると、そんなものを気にしているのが馬鹿馬鹿しく思えてきてしまう。それほどの実力と自信を兼ね備えているからこそだろうが、あのメンタルは見習いたい。ユーグのお陰で、ここでは少しだけ前向きに生きていける気がした。
「……まだ終わんないのかな……」
ユーグ、何してるんだろう。さっきまで一緒にいたはずなのに、なんだか無性に顔を見たくなってしまった。
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うっすらと目を開けると、ペラリと紙がめくれる音がした。ぼんやりながら頭を動かすと、温かくて柔らかい何かの上に乗っていることに気づく。
「ん? 目が覚めたか?」
降ってきた優しい声と影にゆるゆると視線を向けると、グラデーションが綺麗な瞳と目があった。
「あれ……ユーグ……?」
なんで覗き込まれているのか理解ができない。おはようと笑いながら髪を梳くように頭を撫でられ、やっと意識が覚醒する。慌てて飛び起きれば、いつの間にやら俺はソファーで横になっていたようだ。隣にはユーグが本を片手に座っている。間違いなく、先ほどの柔らかい感触は、この人の膝だろう。
「え、な、わ、悪い……!」
寝るつもりなんてなかったのに、いつの間にか寝落ちてしまっていたらしい。問題ないさと笑いながら返される返答に申し訳なくなってしまう。下を向いたままの俺の頭を上げさせるように、伸びてきた手が顎下へと触れる。軽い力で上を向かされると、マコトと熱のこもった声で名前を呼ばれた。
その声に反応するように、腹の奥で何かが疼く。突然襲ってきた熱に混乱している俺へ、ユーグは顔を寄せてくる。
「随分と寂しい思いをさせてしまったかな?」
「そ、んなこと……」
「隠さなくて良いさ。私も早くマコトに触れたかった……」
ちゅっと軽く音を立てて額へ口付けをされる。子どもにするようなキスだというのに、ぴくりと肩が震えてしまう。
「私との契約の内容は……覚えているね?」
耳元へと移動してきた唇が囁く声に、溜まらず唇を嚙みしめる。口を開けば簡単に声が漏れてしまいそうで、必死に頷きで返事をすると、いい子だと褒めてくれながら背中へと腕が回り、体を引き寄せられた。耳元から顔がずれ、こちらへと近づいてくるのに、息が荒くなっていく。薄く開かれた唇に応えるよう、噛みしめていた口を開けば齧り付くように唇が重なった。
「んッ、ふ、ぁ……!」
すぐさま入り込んできた舌先は、簡単に俺の舌を絡めとると全体を使うようにして擦りあげていく。何度も丁寧に擦り合わされ、軽い電気のような刺激の後から、喉に張り付くような甘い蜜が流れ込んできた。
ああ、ユーグの魔力が流れ込んできている……一度取り込んでしまえば最後、この味が癖になってしまう。もっと欲しい、もっと味わいたいと体が訴えかけてくる。夢中になってユーグの首へと腕を回し、自分からも抱き寄せれば、自然と体はソファーへと倒れ込んでいった。
媚びるようにユーグの舌を擦り上げたら、わずかに相手の口端が上がったのが分かる。チロチロと舐める俺の舌を今度は強く吸い上げられ、強い快感が襲い掛かってきた。
「んぅう……ッ」
堪えきれず出た喘ぎ声まで食べられて、くぐもった音が漏れる。解放されてもすぐに俺から相手の肉厚なそれへと絡めると、同じような熱量を持って絡め返してくれた。その間もひたすらに甘い蜜が流れ込んでいて、疼きが止まらない。喉を鳴らし飲み込む唾液さえ甘くって、気が狂ってしまいそうだ。
静かな部屋に異常なほどのリップ音が響く。興奮のせいで熱くなる呼吸のせいで、互いの体温が確実に上がっていっている。そろそろ下も触って欲しい……切なくなる腹の奥をこらえるように膝を擦り合わせると、ユーグが唇を解放し、やっと動き出してくれた。既に力が入らず、だらしなく口を開けている俺を見ていやらしく笑うと、頭を固定していた手がゆるゆると下の方へと移動していく。
触ってもらえるのかなと期待したが、手は胸元で止まると、円を描くように撫で始めた。男の俺にはもちろん、柔らかい胸なんてついていない。だからこそ、そんな所を触ったって面白くもなんともないはずなのに……ユーグは飽きることなく撫でていて、時折小さな先端を引っ搔いていく。
「ん……、なに、してるんだよ……!」
そんな所触らなくていいから、もっと下の方を触って欲しい……もっと刺激が欲しいのに……! ユーグの手首を掴んで訴えかけるも、言われた本人は特に気にした様子もなく、飛び切り優しく微笑みを浮かべた。
「いいから、私に任せてくれ」
いつの間にか、空いていた方の手が裾上げをしていた腰布を解く。衣擦れの音をたてながら床へと落ちたことにより、ローブの下へと簡単に侵入ができるようになった。そのまま裾から腕を入れ、肌着の下へとユーグの手が入り込んでくる。
「ひぁ……ッ!」
するりと腹を撫でられるも、手はそこでは止まらずに指先でなぞりながら上の方へと上がってきた。
先程から執拗に触ってきている胸とは反対側の乳輪をなぞるように指が這う。そう思えば、全体を緩く持ち上げるように揉み込まれ、時折先端を掠めていく。愛撫のもどかしさに耐えきれなくなり、名前を呼ぶ。すると、今度は乳首の先端を摘みあげられた。
「ぁ……」
思いがけず出てしまった声に、一気に羞恥心が掻き立てられた。胸で感じるはずなんか無いのに、なんで声がでるんだ……?!
混乱しながらも、なんとか手の甲を口に当てて抑えようとすると、見越したような動きで再び今度は爪で掻きあげられる。
「ひぅ?!」
ぴりっとした刺激が背筋を走った。俺の様子を伺っていたユーグの動きは、徐々に遠慮が無くなってきて、いつの間にか両腕が服の中へと入り込んでいる。優しく揉みしだいた後に、先端をキツく摘まれる。かと思えば、労わるように周りを撫で回した後にそこを強く摘みあげ、更に突起した部分を指で何度も擦りあげられる。
緩急を付けた愛撫と共に、温かい感覚が常に流れ込んできて……まるで、先端から無理やり魔力を流し込んでいるようだ。
「あ、んぅ……ッ、なん、でぇ……?!」
こんな風になるのはおかしいはずなのに、半開きの口からは引切り無しに声が漏れる。段々と甘くなっていく声は明らかに快感を拾っていますと言っているようだ。
胸を弄るのと並行して大丈夫とだけ繰り返しながら、ユーグは首元から鎖骨にかけてキスも落としていて、たまに強く吸い上げられるも気持ち良い。胸からの刺激に戸惑っている俺が気づく余裕もなく、いつの間にか鎖骨より更に下へと移動してきていた唇は、指で摘まみ上げていた先端を軽く舐めあげた。
「んぁ?!」
驚きと快感で体が震える。そんなつもりはなかったのに、自分から求めるようにユーグへ胸を差し出すような状況になってしまい、そのまま乳輪ごとしゃぶりつかれた。舌全体で舐り潰されたかと思えば、舌先で激しく刺激をされる。今度こそ出かかった声を両手で塞ぐ。手よりも舌で触れられた方が流れ込んでくる魔力が多いようで、感覚がおかしくなっていく。だって、胸をいじられてこんなに体が熱くなるなんて、絶対におかしい……!
「気持ちいいかい?」
「そんな、こと……!」
「そうなのか? こんなに可愛く主張しているのに?」
「そ、れは、アンタが……ッ!」
俺の反応を見て、ユーグの口の端が上がった。嫌な予感がする、早く止めなければと思ったが、俺よりも先にユーグの舌が動く。先端で嬲りながらしゃぶりついた瞬間、刺すような痛みが走る。
「い゛ッ?!」
その後からきた痺れるような刺激に、噛まれたのだと気づく。指と舌を使って執拗に攻め立てられた乳首は、見たこともない程赤く立ち上がっていた。確実に快感を拾うようになってきている胸のせいで、次第に腹の奥の方で熱が渦巻いていくようだ。時折腰が揺れ、衣擦れの感覚さえもどかしく無意識に膝を擦り合わせてしまう。
そんな俺の動きを見たのか、ユーグの手が更に下へと滑っていく。ズボンと共に下着を下げられれば、張り詰めていた自身が飛び出す。例のごとく濡れそぼったそれは、暖炉の光をてらてらと反射させていた。触れる空気の冷たさに一瞬息を飲んだ隙に、ユーグの唇が寄せられた。
「なにして?!」
「君の体液と共に、私の魔力も排出されているんだ。勿体ないと思わないかい?」
意地悪く笑うと、根本から上へと向かって舌先が滑る。熱くて柔らかくてピリピリとした刺激に、腰が大げさに震えた。
「おっと」
軽くイきかけたのを察知した彼は、よりにもよって、大口を開けて先端から口の中へと含むと根本を強く握りしめる。突然襲いかかる刺激と痛み。続けて吸い上げられる感覚が受け止めきれず、激しく首を振る。
「あ゛ぁあ?!」
搾り取るように吸い上げた後、裏筋に沿ってゆっくりと舐めあげてから先端の穴の部分を舌先でほじくるように突かれる。時折漏れる吐息と下品な水音が羞恥心を煽ってくるのはわざとだろう。
「やめ、ぇ……!」
絶妙な力加減でイかせてくれない。涙で視界が滲む中、必死にユーグへ訴えかければ、俺の形で頬を膨らませている光景が飛び込んでくる。上品さの欠片もない表情は、普段の彼からは想像もできないほど淫猥だ。
しばらくの間好き勝手に舐めまわし、最後に強く吸い上げるようにして開放された頃には、イってもいないのに息も絶え絶えで……目を覆うように腕を当ててぐったりとしてしまった。絶妙な力加減で絶対に出させないようにしている。焼けるような熱がずっと腹の奥で渦巻いているようだ……どうにもできず、自分の腕を伸ばしかけた時だった。
いきなり腰から頭に抜けるような強い衝撃が走る。驚き、腕を払い除けて下半身へと目を向ければ、どこに隠し持っていたのか、根本の部分にリボンが巻き付けられていた。
「へ……?」
訳も分からず、まさに結んでいる本人を見つめたら、あの特徴的な瞳と目があった。俺が目視したのを認識した途端に、瞳がニィと細められる。
「出してしまっては意味がないだろう?」
「なに……?」
「大丈夫、ここじゃなくてもきちんと気持ち良くなれるさ」
信じられない……確かに、イったら魔力も排出されるって言うなら効率的じゃないだろうけど……それって、入れた魔力とトントンになるぐらい出ちゃうものなのか? それでも日常生活を送れてるってことは、それぐらいで枯渇するようなものでもないだろう……?!
色々な感情と体の火照りがごちゃ混ぜになって、うまく口が回らない俺を良いことに、勝手にソファーの背へと俺の片足をかけて広げた場所へ、こちらもどこに隠し持っていたのか、瓶を傾けてサラサラとした液体を垂らしていく。
どこか覚えのある甘い香りが鼻をかすめた。石鹸や寝室の香りよりもっと鮮度を感じるが、同系統のものだ。もっと最近嗅いだような気がすると気づけば、答えは簡単だった。
「これって……?!」
「ああ、そうだ。昼に中庭で摘んだ花を使っているんだ」
「最初から、これに使うつもりで……」
「少しでもリラックスできた方が良いだろう? それにしても驚いた。まさか、あの広い中庭で、私が愛用していた香りと同じものを選ぶだなんて。運命を感じるよ」
「なっ?!」
自身の指へオイルを馴染ませるようにしながら、ユーグが窄まり付近を撫でまわす。まるで会話よりこちらへ集中しろと言わんばかりの指の動きに、反論しようとして言葉を飲み込んでしまった。同時に腹を撫で上げられ、温かい感覚が奥まで届くと、それが消えるよりも前に指が侵入を開始する。
ここを使ってする行為などこれで2回目だっていうのに、遠慮なく入り込んできた指に違和感はあれどやっぱり痛みは感じない。遠慮ないのは魔力も一緒のようで、甘い刺激が一気に襲い掛かった。
「ひぁあ゛?!」
「ふふ……美味しいだろう?」
最初から良いポイントを指で扱かれて喉を反らす俺に、ユーグが満足げに笑った気がした。小刻みにタップしている指の本数がすぐに増やされ、2本の指がリズミカルにそこを刺激し続ける。
「ぐ、ぁ゛、ああ……ッ」
「すごいな……マコトの体は私のことが大好きのようだね」
空気を含んで、一際大きな音が聞こえ始める。気付けば、指が3本に増えて掻き回られていた。流れ込む濃厚な魔力で意識持っていかれる。目の前が霞み、もうこの与えられる刺激のことしか考えられなくなっていく……
「早く……!」
ユーグへ催促をかけたら、すぐに入れられていた指が抜き去り、ユーグが自身のズボンを寛げた。俺と同じぐらいに反りあがり怒張したそれを窄まりへと擦り付けると、ゆっくりと中へと入ってきた。
「ん、ぁあ……!」
この無理やり押し開いてくる感覚が堪らなく気持ちいい……!
喉を反らしてユーグ自身を味わう俺を見て、上から何か言葉が振ってきた気がするが、それを聞き取る余裕はない。
卑猥な音を立てながら侵入してきたそれは、最後まで入り切った所でぐるぐる円を書き、ゆるい刺激を断続的に与えてくる。この動きが待てをくらっている犬のようで少しだけ笑えた。
「動いて……」
間近まで来ていた耳元へ囁きかけると、ピクリと相手の体が震え、すぐに顔がこちらへと向けられ頷く。少しだけ余裕の無さそうな表情がちょっと可愛かった。
「ぅ、ぁあああ……ッ!」
俺のリクエスト通り、ユーグがゆっくりと腰を引いていくと、怒張した笠にごりごりと中を抉られる。それが気持ち悪いはずなのに気持ちいい。感じているのに感づいたユーグがわざと擦り付けるように動かれて、腰が跳ねる。
やっとそれが終わったと思えば一気に最奥まで突き上げられ、今度は体全体が跳ねた。ピンポイントで良い所を狙って突き上げてきているのが分かる。ユーグの体液から吸収している濃い魔力のせいで蕩けきっている体は言うことを聞かず、その刺激と甘い魔力を欲してもっともっとと急かしてきた。
必死に腕を伸ばしてユーグの首元へと回し、舌を出すと、心得たと言わんばかりにしゃぶりつかれる。上下で摂取しているのだから、魔力の量は確実に前回以上だろう。
乱暴に口内を暴れ回る舌先と、激しく突き上げられるナカのせいで、ドロドロとしたイチゴジャムが一気に体の中を満たしていく。甘い魔力と香りに頭がバカになりそうだ……
「良い、じゃ、ないか……ッ、理性なんて、手放してしまえ!」
「ふ、ぁあ、う゛ッ、あ゛、あああッ!」
放された唇から紡がれた言葉が自然と頭に響くと、箍が外れる。更に奥へとユーグを飲み込もうと腰を上げ、きつく抱きしめるように背中へと腕を回す。
「ユ、グ……ッ、もっとぉ……!」
「なんだ、私の魔力が欲しいのか? それとも、私のモノかい?」
「どっちもぉ! どっちも欲しい……ッ」
「おや、欲張りな子だ……これで、どうだいッ」
激しい突き上げと共に、最奥の壁をユーグの先端が叩きつける。何度もしつこくノックするような動きに、ビクビクと震えてつま先が反りあがってしまう。
「あ゛あ゛ッ、きもち、んああ、ユーグの、ちんこ、きもちい゛ッ」
「良いのは目合いだけなのか?」
「ちがッ、魔力も、おいしい、れす……ッ、あ、もっと、もっと頂戴……ッ!」
「もちろん、溢れるほど、注いであげようね……!」
「あッ、きもち、そこ、はやく、ユーグのちょうだい……ッ!」
「こら、あまり煽るな」
奥まで来ているのに、すぐに抜かれてしまうのが寂しくて、堪らず腹へと力を籠める。そんな所よりもっと奥まで来て欲しいと止めようとする俺に、ユーグは興奮気味の声で叱りつけ、スピードを上げていく。
「んぁ゛あ゛あ゛ッ、なに?! な、んか、へん……?!」
「大丈夫、そのまま達せるよ。体に任せて?」
肌がぶつかり合う音や空気が漏れ出る音に交じり、ユーグの優しい声が、再び頭へ直接響いてくる。とろりと綺麗な赤い瞳が細められ、一際強く叩きつけられた所で一気に体が痙攣する。
「や゛ッ、ん、ぁ゛あ゛あああッ!!」
今まで感じたことのない快感が全身を駆け抜け、ビクビクと痙攣が止まらない。俺のその動きを受けてか、息を詰めたユーグからも熱い物が噴き出し、体の中へと溶けていく。
「ひぁああ?!」
感覚が更に研ぎ澄まされ、身を焼くような熱さが腹を中心に駆け巡りたまらず背をしならせた。
なんだか無理やり体が作り変えられていくようだ……熱くて痛くて苦しいはずなのに、そんなものを感じる余裕もないほどの快楽が押し寄せてきて、気付けば意識は闇に沈んでいた。
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