125 / 128
最終章 汚くも真っ当な異世界人ども
第123話 「最後に笑うのは」…えんじょい☆ざ『異世界日本』編
しおりを挟む
私とビッグママがその倉庫に到着した時には、もう殆ど決着は付いていた。
私達よりも先に到着していたバローロさんとブランちゃん、そして車椅子に乗ったマロニーさん。
本当の名前はショウって言うんだっけ。
そのショウさんが、ミトラに向かって何か言っていた。
「まぁそういう事で、お前が何を言おうと俺は何も良心の呵責を感じないし、何の引け目も感じない。ついでに言うと、実はもうお前に憎しみすらも感じない。もっと言うと、憎しみを感じる価値すら無いと思ってる」
「なん……だと……テメエ」
「ムカつくなら、勝ってここまで辿り着け。お前の好きな物語の主人公的シチュエーションだ。フェットやタリスを倒して悪のボスの俺を殺すんだ。燃えるだろ?」
「ふざ……けるな……! そんな勝手な理屈……ッ!」
ショウさんがミトラにそう言ったとき、何処からともなく不気味な声が聞こえた。
なんだか、ミトラの持っていた黒い剣の唸りに似ているような気がする。
「ふふふ……ハハハハハハ! もはやこれまでのようだな! 結局、この程度の逆境も乗り越えられぬ男だったとは、とんだ見込み違いであったわ!」
その声と共に、ミトラの手足に取り付けられていた防具が勝手に外れて空中に浮かぶ。
その四つの防具が合わさると、例の黒い剣に変わった。
切っ先を下に向けて空中に静止する。
「偽物。偽物! 偽物!! 貴様の全ては偽りに彩られておる! 身に付ける技術も偽物なら人間関係も偽物! 偽物の信頼、偽物の愛情! 偽物の兄弟の絆! そして我との偽物の主従関係!!」
そう続ける剣の嘲笑にミトラが呆然と呟く。
私達は皆、剣の威圧感に飲まれて、何も言えずにいる。
タリスさんやフェットチーネさんまでもが畏怖の眼で立ち尽くしている。
ミトラが訝し気に剣に疑問を投げる。
「偽の……主従関係だと?」
「ハハハ! 分からぬか? なぜ分からぬ!? 我を呼び出したのは貴様の兄ではないか!!」
「……!!」
「呼び出された者が、呼び出した者を主とするは自明の理よ。我は貴様に『力をくれてやった』だけに過ぎぬ!」
「て……めえ、は……!!」
その時、ショウさんも圧倒された様子ながら、やっとのことで絞り出すように声を出した。
「お前は……その主である俺に敵対する者に、力を貸していたことになるんだが」
「ハハハ! 原初の混沌たる我を従わせようなどと、使いこなそうなどと笑止!」
ショウさんは悔しそうに押し黙る。
だけど剣はショウさんに意外な言葉をかけた。
「だが我をあっさりと放棄したこともさることながら、その我を携えたこの愚か者に、互角に張り合い渡り合った事は随分と楽しませてもらった」
「俺は道化扱いか」
「ふふふ。だが主であるべき貴様との契約を、我が一方的に反故にしたのは事実。だから今後貴様が希望するなら、また力を貸してやらんでもないぞ」
「要らねえよ。二度と関わるな」
「ハハハ! それでこそ我を見捨て、我が見捨てた男よ!」
そこにミトラが割り込んだ。
「テメエっ! それじゃまるで俺が、この雑魚よりも劣っているみたいじゃねえか!」
剣から出てる気配に変化があった。
ショウさんがフェットチーネさんに叫ぶ。
「避けろフェット!!」
反射的に慌てて飛びのいたフェットチーネさんの目の前を、黒い剣が通り過ぎる。
上から落ちてきた剣は、ミトラの胸に深々と突き立った。
周囲に響き渡るミトラの絶叫。
「“主人公属性”を中心とした恵まれたチートを持ち、我を扱える身でありながら、結局はこの男に何度も追い詰められた貴様が、どうこの男に勝るというのだ!?」
「ぐああ吸い取られる! 何をするイミテーションブリンガー!!」
「そうだ。我は“偽りを齎す者”! 偽りの希望を掴んでいた気分はどうだ!?」
ミトラはみっともなく取り乱していた。
剣に地面とに縫い付けられて、無様にもがいていた
そもそも胸に剣が刺さった時点で即死してもおかしくは無いのに。
「やめろ! 死にたくない! 俺の魂が奪われる! 嫌だ、こんな救いのない殺され方は嫌だ!!」
「貴様に、とっておきの言葉をくれてやる。貴様よりも貴様の兄に力を貸していた方が面白かっただろうな!!」
だけど、ミトラはそんな黒剣の言葉が聞こえた様子も無く叫んでいた。
自分一人で何でもできるような態度ばかりだった男が、他人に助けを求めていた。
「嫌だ。助けてくれ誰か。苦しい……。この苦しみが永遠に続くなんて嫌だ……。この俺が……なぜなんだ……。俺を助けろ……父さん……母さん……。兄……貴……」
「最後に白面の皇子の今際の際にかけた言葉をくれてやろう。さらばだ、我は汝の千倍は邪悪であった!」
そして耳を塞ぎたくなるような大音響の哄笑が倉庫の中に響き渡る。
私達全員が耳を押さえて蹲った。
それが収まって、恐る恐るミトラが倒れていた場所を見る。
そこには、凄まじい恐怖の表情を貼り付けたままのエルフの死体。
そして四つの破片に折れた剣の残骸。
その剣の破片からは、さっきまでの得体の知れない力は一切感じられない。
「終わった……?」
誰かが言った。
すると私達やショウさんの後ろから、見知らぬ男が二人飛び出し死体に取り付く。
あれ? あの二人って日本の人じゃないよね?
死体に取り付いた二人は顔を合わせて首を縦に振ると、こちらを向いて今度は首を左右に振った。
突然、私達の後ろから聞き覚えの無い女の人の声がする。ビックリした。
「黒剣の使用者、ミトラの死亡を確認しました。黒剣も破片ですがこちらで引き取らせて頂きます。よろしいですね?」
その声を発した小太りの中年の女の人に、ビッグママが答えた。
「ああ、もちろん。ちゃんと金を払ってくれるなら、何も問題無いさ。もうその剣、持って帰っても意味無さそうだけどね」
「構いません。その判断は『上』がすることです。我々末端には関係の無い事ですから」
そこまで言ってから、その女の人はショウさんにも向かって言う。
「それから、我々の組織にかつて所属していたエージェント・ショウも、一年前に死亡を確認しています。残念です」
それを聞いて、ショウさんが訝し気に女の人に疑問を返した。
話し方からして、どうやらショウさんの顔見知りだったらしい。
「……それで良いのか? ミズ・クレイグ」
「さあ何の事かしら、見知らぬ異邦人さん?」
「……すまない、ありがとう」
さっきの死体に取り付いていた二人が、いつの間にか死体袋にミトラの死体と破片を入れて持ち上げていた。
ショウさんにミズ・クレイグと呼ばれた女の人は、その二人に付いて倉庫から出ていく。
そのまま振り向かずに、最後に片手を上げて去って行った。
*****
車椅子に乗った男と、青いパーティードレスのような服を着た女の人が、無言で対峙している。
やがて青いパーティードレスの女の人──フェットチーネさんが声をあげた。
「ショウ……」
それに応じてショウさんもフェットチーネさんに答える。
「フェット……」
ショウさんは左腕をフェットチーネさんに向かって伸ばした。
だけど、その包帯が巻かれた切り株のような自分の手首が目に入ったのか、ハッとなる。
左腕を戻すと右手で左手首を掴む。とても苦しそうな顔をしてる。
やがて首を巡らせて、ブランちゃんに微かに頷いた。
ブランちゃんはショウさんに確認する。
「ええの?」
「この身体だしな。それにそもそも、俺は手を血で汚し過ぎた」
ブランちゃんはフェットチーネさんを見た。
少し躊躇ったあと、車椅子を回して倉庫から出て行こうとする。
それを見てフェットチーネさんが慌てた。
こんなに慌てたフェットチーネさんは初めて見た気がする。
「ま……待って!」
車椅子は止まらない。
倉庫の外に止まっている車に突き進む。
フェットチーネさんは車椅子を追い掛ける。
追い掛けながら叫ぶ。
「待って、待ってよショウ!!」
その言葉に反応することも無く、ブランちゃんはショウさんを運んで行く。
バローロさんもフェットチーネさんを一瞥すると、踵を返した。
「ショウ!! 待って、私を置いて行かないで!!」
ショウさんの車椅子、ブランちゃん、バローロさんの足は止まらない。
やがて車のドアが開いた。車椅子はそこへ向かって進んでいき──。
フェットチーネさんが、急にドスの効いた声で叫ぶ。
「待てって言うてるやろうが!! ショウユラーメンオオモリ・カエダマ・ニクマシマシ!!」
「ぐあーっちゃあっ!? 熱! 熱! 熱! 熱ちちちちち!! あっちっちいいいいいい!!」
ショウさんの頭が、突然青い炎で燃え上がった。
頭を叩きながら、ショウさんが車椅子から転げ落ちる。
ブランちゃんが、「え!?」という顔でショウさんを見る。次に私の顔を。
私が黙って頷くと、ブランちゃんは凄いショックを受けた顔になった。
あの正式な名前が予想外だったみたい。
ショウさんがのたうち回っているうちに追い付いたフェットチーネさん。
頭の炎を消すと、ショウさんの頭をガッシリと胸に抱きかかえた。
「ショウ! ショウ! やっと会えた。お願い何処にも行かないで。もう離さないわ!」
感極まったようにショウさんを抱き締めるフェットチーネさん。
だけどその光景を見ていたビッグママが、冷ややかにフェットチーネさんに助言。
「いや、今は離したほうが良いね。そいつアンタの胸で窒息しかかってるよ」
ハッとなってフェットチーネさんがショウさんの頭を離す。
ショウさんは白目を剥いて気絶していた。
ちょっぴり幸せそうな顔だったのは、見ない振りをしておこう。
あーあ、最後の最後で締まらな~い。
いややわあ。
ブランちゃんが醒めた目で二人を見ながら、ボソリと言った。
「マロニー、カッコ悪い」
私達よりも先に到着していたバローロさんとブランちゃん、そして車椅子に乗ったマロニーさん。
本当の名前はショウって言うんだっけ。
そのショウさんが、ミトラに向かって何か言っていた。
「まぁそういう事で、お前が何を言おうと俺は何も良心の呵責を感じないし、何の引け目も感じない。ついでに言うと、実はもうお前に憎しみすらも感じない。もっと言うと、憎しみを感じる価値すら無いと思ってる」
「なん……だと……テメエ」
「ムカつくなら、勝ってここまで辿り着け。お前の好きな物語の主人公的シチュエーションだ。フェットやタリスを倒して悪のボスの俺を殺すんだ。燃えるだろ?」
「ふざ……けるな……! そんな勝手な理屈……ッ!」
ショウさんがミトラにそう言ったとき、何処からともなく不気味な声が聞こえた。
なんだか、ミトラの持っていた黒い剣の唸りに似ているような気がする。
「ふふふ……ハハハハハハ! もはやこれまでのようだな! 結局、この程度の逆境も乗り越えられぬ男だったとは、とんだ見込み違いであったわ!」
その声と共に、ミトラの手足に取り付けられていた防具が勝手に外れて空中に浮かぶ。
その四つの防具が合わさると、例の黒い剣に変わった。
切っ先を下に向けて空中に静止する。
「偽物。偽物! 偽物!! 貴様の全ては偽りに彩られておる! 身に付ける技術も偽物なら人間関係も偽物! 偽物の信頼、偽物の愛情! 偽物の兄弟の絆! そして我との偽物の主従関係!!」
そう続ける剣の嘲笑にミトラが呆然と呟く。
私達は皆、剣の威圧感に飲まれて、何も言えずにいる。
タリスさんやフェットチーネさんまでもが畏怖の眼で立ち尽くしている。
ミトラが訝し気に剣に疑問を投げる。
「偽の……主従関係だと?」
「ハハハ! 分からぬか? なぜ分からぬ!? 我を呼び出したのは貴様の兄ではないか!!」
「……!!」
「呼び出された者が、呼び出した者を主とするは自明の理よ。我は貴様に『力をくれてやった』だけに過ぎぬ!」
「て……めえ、は……!!」
その時、ショウさんも圧倒された様子ながら、やっとのことで絞り出すように声を出した。
「お前は……その主である俺に敵対する者に、力を貸していたことになるんだが」
「ハハハ! 原初の混沌たる我を従わせようなどと、使いこなそうなどと笑止!」
ショウさんは悔しそうに押し黙る。
だけど剣はショウさんに意外な言葉をかけた。
「だが我をあっさりと放棄したこともさることながら、その我を携えたこの愚か者に、互角に張り合い渡り合った事は随分と楽しませてもらった」
「俺は道化扱いか」
「ふふふ。だが主であるべき貴様との契約を、我が一方的に反故にしたのは事実。だから今後貴様が希望するなら、また力を貸してやらんでもないぞ」
「要らねえよ。二度と関わるな」
「ハハハ! それでこそ我を見捨て、我が見捨てた男よ!」
そこにミトラが割り込んだ。
「テメエっ! それじゃまるで俺が、この雑魚よりも劣っているみたいじゃねえか!」
剣から出てる気配に変化があった。
ショウさんがフェットチーネさんに叫ぶ。
「避けろフェット!!」
反射的に慌てて飛びのいたフェットチーネさんの目の前を、黒い剣が通り過ぎる。
上から落ちてきた剣は、ミトラの胸に深々と突き立った。
周囲に響き渡るミトラの絶叫。
「“主人公属性”を中心とした恵まれたチートを持ち、我を扱える身でありながら、結局はこの男に何度も追い詰められた貴様が、どうこの男に勝るというのだ!?」
「ぐああ吸い取られる! 何をするイミテーションブリンガー!!」
「そうだ。我は“偽りを齎す者”! 偽りの希望を掴んでいた気分はどうだ!?」
ミトラはみっともなく取り乱していた。
剣に地面とに縫い付けられて、無様にもがいていた
そもそも胸に剣が刺さった時点で即死してもおかしくは無いのに。
「やめろ! 死にたくない! 俺の魂が奪われる! 嫌だ、こんな救いのない殺され方は嫌だ!!」
「貴様に、とっておきの言葉をくれてやる。貴様よりも貴様の兄に力を貸していた方が面白かっただろうな!!」
だけど、ミトラはそんな黒剣の言葉が聞こえた様子も無く叫んでいた。
自分一人で何でもできるような態度ばかりだった男が、他人に助けを求めていた。
「嫌だ。助けてくれ誰か。苦しい……。この苦しみが永遠に続くなんて嫌だ……。この俺が……なぜなんだ……。俺を助けろ……父さん……母さん……。兄……貴……」
「最後に白面の皇子の今際の際にかけた言葉をくれてやろう。さらばだ、我は汝の千倍は邪悪であった!」
そして耳を塞ぎたくなるような大音響の哄笑が倉庫の中に響き渡る。
私達全員が耳を押さえて蹲った。
それが収まって、恐る恐るミトラが倒れていた場所を見る。
そこには、凄まじい恐怖の表情を貼り付けたままのエルフの死体。
そして四つの破片に折れた剣の残骸。
その剣の破片からは、さっきまでの得体の知れない力は一切感じられない。
「終わった……?」
誰かが言った。
すると私達やショウさんの後ろから、見知らぬ男が二人飛び出し死体に取り付く。
あれ? あの二人って日本の人じゃないよね?
死体に取り付いた二人は顔を合わせて首を縦に振ると、こちらを向いて今度は首を左右に振った。
突然、私達の後ろから聞き覚えの無い女の人の声がする。ビックリした。
「黒剣の使用者、ミトラの死亡を確認しました。黒剣も破片ですがこちらで引き取らせて頂きます。よろしいですね?」
その声を発した小太りの中年の女の人に、ビッグママが答えた。
「ああ、もちろん。ちゃんと金を払ってくれるなら、何も問題無いさ。もうその剣、持って帰っても意味無さそうだけどね」
「構いません。その判断は『上』がすることです。我々末端には関係の無い事ですから」
そこまで言ってから、その女の人はショウさんにも向かって言う。
「それから、我々の組織にかつて所属していたエージェント・ショウも、一年前に死亡を確認しています。残念です」
それを聞いて、ショウさんが訝し気に女の人に疑問を返した。
話し方からして、どうやらショウさんの顔見知りだったらしい。
「……それで良いのか? ミズ・クレイグ」
「さあ何の事かしら、見知らぬ異邦人さん?」
「……すまない、ありがとう」
さっきの死体に取り付いていた二人が、いつの間にか死体袋にミトラの死体と破片を入れて持ち上げていた。
ショウさんにミズ・クレイグと呼ばれた女の人は、その二人に付いて倉庫から出ていく。
そのまま振り向かずに、最後に片手を上げて去って行った。
*****
車椅子に乗った男と、青いパーティードレスのような服を着た女の人が、無言で対峙している。
やがて青いパーティードレスの女の人──フェットチーネさんが声をあげた。
「ショウ……」
それに応じてショウさんもフェットチーネさんに答える。
「フェット……」
ショウさんは左腕をフェットチーネさんに向かって伸ばした。
だけど、その包帯が巻かれた切り株のような自分の手首が目に入ったのか、ハッとなる。
左腕を戻すと右手で左手首を掴む。とても苦しそうな顔をしてる。
やがて首を巡らせて、ブランちゃんに微かに頷いた。
ブランちゃんはショウさんに確認する。
「ええの?」
「この身体だしな。それにそもそも、俺は手を血で汚し過ぎた」
ブランちゃんはフェットチーネさんを見た。
少し躊躇ったあと、車椅子を回して倉庫から出て行こうとする。
それを見てフェットチーネさんが慌てた。
こんなに慌てたフェットチーネさんは初めて見た気がする。
「ま……待って!」
車椅子は止まらない。
倉庫の外に止まっている車に突き進む。
フェットチーネさんは車椅子を追い掛ける。
追い掛けながら叫ぶ。
「待って、待ってよショウ!!」
その言葉に反応することも無く、ブランちゃんはショウさんを運んで行く。
バローロさんもフェットチーネさんを一瞥すると、踵を返した。
「ショウ!! 待って、私を置いて行かないで!!」
ショウさんの車椅子、ブランちゃん、バローロさんの足は止まらない。
やがて車のドアが開いた。車椅子はそこへ向かって進んでいき──。
フェットチーネさんが、急にドスの効いた声で叫ぶ。
「待てって言うてるやろうが!! ショウユラーメンオオモリ・カエダマ・ニクマシマシ!!」
「ぐあーっちゃあっ!? 熱! 熱! 熱! 熱ちちちちち!! あっちっちいいいいいい!!」
ショウさんの頭が、突然青い炎で燃え上がった。
頭を叩きながら、ショウさんが車椅子から転げ落ちる。
ブランちゃんが、「え!?」という顔でショウさんを見る。次に私の顔を。
私が黙って頷くと、ブランちゃんは凄いショックを受けた顔になった。
あの正式な名前が予想外だったみたい。
ショウさんがのたうち回っているうちに追い付いたフェットチーネさん。
頭の炎を消すと、ショウさんの頭をガッシリと胸に抱きかかえた。
「ショウ! ショウ! やっと会えた。お願い何処にも行かないで。もう離さないわ!」
感極まったようにショウさんを抱き締めるフェットチーネさん。
だけどその光景を見ていたビッグママが、冷ややかにフェットチーネさんに助言。
「いや、今は離したほうが良いね。そいつアンタの胸で窒息しかかってるよ」
ハッとなってフェットチーネさんがショウさんの頭を離す。
ショウさんは白目を剥いて気絶していた。
ちょっぴり幸せそうな顔だったのは、見ない振りをしておこう。
あーあ、最後の最後で締まらな~い。
いややわあ。
ブランちゃんが醒めた目で二人を見ながら、ボソリと言った。
「マロニー、カッコ悪い」
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる