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厄災
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ニュースで「厄災がやってくる」と流れていた。「厄災」とは錆のように薄汚れたシーツおばけのような見た目をしていてただ徘徊するなんだかよくわからないものだ。
日本各地で目撃情報が相次いでいる。厄災が現れた日にはなにか良くないことが起こると言われているがよくないことがなにかはわかっていない。
そして、厄災が現れた日は必ず16時30分までに屋内へ逃げ込まなかればならない。厄災は建物の中には入れない。だから厄災がもたらすものも建物の中には入れない。
何故か分からないが父の車にのって何処かへ向かっていた。用事が何だったのかはわからない。ただ、15時40分とかそのくらいだった気がする。川沿いの歩道をゆっくりと私の実家へ向かって進む厄災を見つけた。私は「随分と可愛らしい見た目だな」と思ったが、言いしれない不安を抱き、咄嗟に車のシートの下にうずくまった。父は「見るな」と言って冷静に運転を続けていた。厄災は子供くらいの大きさだったが厄災とすれ違ったあとしばらくはシートの下に隠れていたが父がアクセルを踏み込んでいる足がすぐ横にあるのを見ると、うっかりぶつかってはいけないと思いシートに座り直した。
目的地についたのか、何なのか覚えてないが今度は実家へ戻る道中の景色だった。
空は徐々にオレンジに染まっている。そして、厄災とすれ違った道に差し掛かったとき、やはり厄災は私の実家に向かっって進んでいた。
父はアクセルを踏み込みスピードを上げて厄災を追い抜く。
「おい、何時だ」
「16時15分」
父に言われてカーラジオを見ると随分と時間が経っていた。家まで普段なら3分もかからない距離だったが、父も私もかなり焦っていた。厄災が実家へ向かう一本道へ入ってきたのだ。
間違いない。厄災の目的地は我が家だ。
自宅に到着すると窓から母と妹が泣きそうな顔で「急いで! 早く!」と言っているのが見えた。
父は車を飛び出し、家のドアを開けると「早くしろ!」と怒鳴った。
私は車のドアを開けっ放しにして家に転がり込んだ。玄関には飼い犬が入れられており、異様に吠えていた。
16時27分だった。
家族四人で窓の外を観ていると厄災が庭へ入ってきた。
厄災が窓の前で停まり、こちらへ向かって進んでくる。窓越しにこちらを眺めているようだった。
そして、16時30分。本来なら1時間単位でしか鳴らない時計のメロディーが爆音で流れ出し、世界が錆色に染まっていくのを観た。
グワンと歪んでいく。
何故だろう。最後に見た景色は窓からこちらを眺める私達4人の姿と厄災の背中と歪んでいく世界だった。
日本各地で目撃情報が相次いでいる。厄災が現れた日にはなにか良くないことが起こると言われているがよくないことがなにかはわかっていない。
そして、厄災が現れた日は必ず16時30分までに屋内へ逃げ込まなかればならない。厄災は建物の中には入れない。だから厄災がもたらすものも建物の中には入れない。
何故か分からないが父の車にのって何処かへ向かっていた。用事が何だったのかはわからない。ただ、15時40分とかそのくらいだった気がする。川沿いの歩道をゆっくりと私の実家へ向かって進む厄災を見つけた。私は「随分と可愛らしい見た目だな」と思ったが、言いしれない不安を抱き、咄嗟に車のシートの下にうずくまった。父は「見るな」と言って冷静に運転を続けていた。厄災は子供くらいの大きさだったが厄災とすれ違ったあとしばらくはシートの下に隠れていたが父がアクセルを踏み込んでいる足がすぐ横にあるのを見ると、うっかりぶつかってはいけないと思いシートに座り直した。
目的地についたのか、何なのか覚えてないが今度は実家へ戻る道中の景色だった。
空は徐々にオレンジに染まっている。そして、厄災とすれ違った道に差し掛かったとき、やはり厄災は私の実家に向かっって進んでいた。
父はアクセルを踏み込みスピードを上げて厄災を追い抜く。
「おい、何時だ」
「16時15分」
父に言われてカーラジオを見ると随分と時間が経っていた。家まで普段なら3分もかからない距離だったが、父も私もかなり焦っていた。厄災が実家へ向かう一本道へ入ってきたのだ。
間違いない。厄災の目的地は我が家だ。
自宅に到着すると窓から母と妹が泣きそうな顔で「急いで! 早く!」と言っているのが見えた。
父は車を飛び出し、家のドアを開けると「早くしろ!」と怒鳴った。
私は車のドアを開けっ放しにして家に転がり込んだ。玄関には飼い犬が入れられており、異様に吠えていた。
16時27分だった。
家族四人で窓の外を観ていると厄災が庭へ入ってきた。
厄災が窓の前で停まり、こちらへ向かって進んでくる。窓越しにこちらを眺めているようだった。
そして、16時30分。本来なら1時間単位でしか鳴らない時計のメロディーが爆音で流れ出し、世界が錆色に染まっていくのを観た。
グワンと歪んでいく。
何故だろう。最後に見た景色は窓からこちらを眺める私達4人の姿と厄災の背中と歪んでいく世界だった。
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