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樹齢千兆年の老木
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これは僕達がこの世界の樹齢千兆年の老木『知る者』と出会う話。
僕達はいつものようにギルドの仕事を終えギルドに報告に来たのだった。
らいとが今日は食材を買って帰るって言ったので僕は少し1人ギルドに残り依頼の貼紙を見ていた。
この街のギルドは、昼夜問わず開いている。
夜の部はいつもは見ない受け付けの女性シャノワールさんが交代で入ってました。
そして僕はシャノワールさんに声をかけられて話す事になったんだ。
「こんばんは!あなた…最近ギルドによく来るようになったみらいさんかな?」
シャノワールさんは金色の綺麗な長い髪、目は透き通るような澄んだ青色の瞳、黒のドレスを身に纏い夜の蝶って感じの大人の女性でした。
僕はとても綺麗なシャノワールさんにボーッと見とれてしまった。
「私の名前はシャノワール…このギルドの夜の受付をしているわ。よろしくね。」
僕が固まって声も出ないで見とれていると。
「フフっ…ダンから話は聞いているわ…」
僕はドキドキしながらも話をしようとする。
緊張している僕を見つめながらシャノワールさんが続ける。
「そうそう…君達は異世界から来たんだって?」
僕が我に返り頷き答える。
「はい…そうなんです。」
シャノワールさんはニコリと微笑み話を続ける。
「君達のいた世界はどんな所なの?世界はどんな感じ?」
シャノワールさんは僕に質問攻めしてくる。
僕はシャノワールさんとたわいも無い話をした…
と言うよりシャノワールさんの質問攻めだけど…
「そっかぁ……君達のいた世界は世界でいい所みたいね。」
シャノワールさんはそう言うとタバコに火をつけて煙をすぅっと吸い、吐き出すと僕に問う。
「ところで元の世界に帰る事は考えてるのかしら?」
シャノワールさんはそんな話を急にしてきた。
正直、僕はこの世界に来て今までらいとと一緒に色々経験してきたけど元の世界に帰る事はまだ考えてはいなかった。
そんな余裕は無かったのが僕の現実だけど。
「一応帰る方法は知っておきたいなとは思ってます。」
僕がそう言うとシャノワールさんは笑みを浮かべながらグラスに入っている飲み物を少し飲むと話し始めた。
「この世界に『知る者』と呼ばれる樹齢数千年と言われるとても大きな老木が祀られているわ…ここから北に数十キロ離れた世界の洞窟の最深部に生えていて天高くそびえ立つ大樹よ……そこに行けば何かわかるかもしれないわ。」
シャノワールさんはそう言うとグラスの飲み物を飲み干し僕に言った。
「行ってみなさい…知りたければきっと彼は答えてくれるわ。」
「ありがとうございます!シャノワールさん!」
僕は話を聞くとお礼を言いギルドを後にした。
らいとに話したらなんて言うかな…
などと考えながら僕は帰りました。
僕達の家は町はずれの丘の上にある。
僕は玄関を開けるといいにおいにつられらいとが料理をしている台所に入っていきました。
僕は、においでつい笑顔になる。
「おかえりみら!どうしたんだ?何か話しあるんだろ?」
らいとの声に僕は我に返りらいとに挨拶する。
「あ!ただいまらいと!」
そしてらいとに意を決して話す。
「あのさ、らいと。そろそろさ……帰る方法知りたいって思わない?帰るか帰らないのは別として1つの手札として知っておくのも有りだと思うんだよね。」
そんな話をした僕を見てふぅ…とらいとはため息をつくと答えてくれる。
「そうだな。俺はまだ帰らないけどな…」
らいとは僕と話しながら料理を続けている。
そんならいとに僕は言う。
「らいとは、そういうと思ったよ。それでね。『知る者』って呼ばれているこの世界の大樹の事をギルドの受け付けの人に……教えてもらったんだよね。」
らいとは料理を続けながら僕の話を聞いてる。
「この世界の事とか、何でも知ってるらしいよ!」
僕がそう言うとらいとは何か察したように言ってきた。
「そいつはすげぇな。その『知る者』に興味が湧いて会いに行きたいって話しか。」
僕はらいとに悟られている事にびっくりしている。
「えっ。分かられてる…。まぁ…そうなんだけどね。という訳で行ってみようよ!らいと!」
やれやれといったため息をつきながららいとは言った。
「じゃあ週末にでも行ってみるか?」
僕は嬉しくて返事を返した。
「うんっ!」
僕は元の世界へ帰りたい訳ではなく手段は知っておきたいだけなんだけどね。
こうして僕達は『知る者』の所へ向かう事となりました。
そして週末の朝僕達は僕達は身支度を整え『知る者』に会う為に馬車を頼み世界の洞窟へと出発。
僕達は馬車に揺られ目的地へと向かっていた。
らいとは朝早かったせいか僕の隣で寝ている。
天気は快晴!ポカポカ暖かくて、らいとが眠くなるのも分かる気がする。
僕はそれでも色々聞きたい事、質問を考えていた。
この世界の事、僕達が元の世界への帰る為の手段、僕達の目的等についてかな……
僕はらいととは違い考えてしまうタイプだからどうしても気になってしまうととまらなかったりする……
これが悪い癖でもあり僕の長所でもあるとらいとには言われたりする。
そんな事を考えているといつの間にか僕も暖かさについウトウトしてしまった。
僕が気が付き目を覚ますと僕は辺りを見回す。
何時間たったのだろう…
いつの間にか隣で寝ていたらいとは馬車を降り目の前の洞窟の入口に立っていて、僕も馬車を降り少し離れてみると巨大な大木の枝が広がっているのが少しは確認出来た。
そして僕は、らいとに声をかけた。
「らいと?ここが世界の洞窟?」
らいとは僕の方を振り返り話す。
「そうみたい…だな?みら?早速行ってみようぜ!?」
らいとは目の前の冒険にワクワクしているみたいだ。
「うんっ!行こう!らいと!?」
僕もそう返すと僕達は洞窟の入口に歩みを進めるのでした。
『ここは世界の洞窟!知る物へと繋がる暗き道。行かれる方はライトの点灯を。』
入口にはこんな立て札が立っていた。
僕の生活魔法の出番だ!
「生活魔法!LEDライト!」
僕が魔法を唱えると僕達の頭上に魔法の照明器具が現れ僕達を広範囲で照らしてくれる。
「やっぱ、みらの生活魔法は便利だよな!」
らいとは感心しながら僕に話しかけてきた。
「ありがとう!らいと!」
僕は照れながらも奥を目指し歩いていく。
らいともキョロキョロしながらも楽しそうに隣を歩く。
足元はゴツゴツした岩もあれば滑る土もある。僕は慎重に歩いて暫く歩くとらいとは何かの物音に気づいた。
「ん?何かいる…。」
らいとがそう言うと地面がボコボコと音を立てて地震が起こる。
そして僕も身構えると目の前から何かのモンスターが地面の土の中から姿を現した!
僕が呆然として前を見ているとらいとが叫んだ。
「あれは!?ゴーレム!?」
僕も目の前の岩の塊が巨人化した事でモンスターを認識した。
ゴーレム…色々なゲームやアニメ、本等で名前は聞いた事がある。
主に僕のイメージは岩の怪物。
正に目の前の怪物はゴーレムなのだろう。
らいとは僕より早くスタンガンを取り出すとゴーレムめがけて駆け出しゴーレムの頭にとびついた!
次の瞬間スタンガンを強化させて雷を放つ!!
「放電!!」
らいとの身体は電気を帯びてスタンガンの威力を強化させゴーレムの頭から全身を電気が走る。
ゴーレムが衝撃で停止する。
「やったか?」
らいとは手応えありの確認をする。
「多分??」
僕がそう言うと…ゴーレムは急に目を赤く光らせ暴走を始める。
僕は身構えると動きを止める魔法を放つ!
『生活魔法「クラフト!クラフトチェーン!!」』
高繊維度の紙の束はゴーレムを捉え縛り付ける。
「たぁぁっ!!」
僕は捉えたゴーレムに思い切りモーニングスターの鉄球を叩きつける!!
ゴーレムにも少しのヒビが!!だが…鉄球の針にヒビも入る……
ゴーレムを一撃では仕留める事は難しかった。
隣にいたライトの身体は黄色と赤色に交互に光る…
「これならどうだ!?雷号炎火球!!」
雷を纏った火球はゴーレムの僕のつけた少しのヒビから入り込みゴーレムを炎と雷で包み焦がしていった。
僕は炎に包まれたゴーレムに更にモーニングスターでトドメの一撃!
「えいっ!!」
グオーンという音が鳴り響くとゴーレムは倒れていった。
そして……
僕達はハイタッチをする。
「やったなみら!?」
僕達はゴーレムを退治し更に奥へと足を進めた。
暗闇の先に空からの光で大樹は光を輝かせそびえ立っていた……
「これが知る者……」
らいとは僕の隣りで呟く。
僕は見とれているとどこからともなく声が聞こえてくる。
『ほほう…私のゴーレムを倒しここまで入ってくるとは…やるではないか。まだ若き冒険者よ。』
僕達は声に驚き身構えながら挨拶をする。
「こ…こんにちは……。」
すると僕達の頭上から声が聞こえてくる。
『こんにちは!』
らいともキョロキョロ頭上を見ながら聞いているみたいだ。
「えっと…僕は…みらいって言います…」
僕はそう言うとまた頭上から声がする。
『そうか。知っておるぞ。』
じっと聞いていたらいとが口を開く。
「やっぱり色んな事…俺達の事も知っているのか?俺はらいとだ!みらとはずっと一緒にいる相棒みたいなもんだ!よろしく!」
らいとがそう言うとさやさやと枝が揺れる。そしてまた声が聞こえてくる。
『私は知る者…お前達の事ももちろん知っておるぞ。』
僕は思い浮かんだ言葉を話す。
「僕らのような異世界転移?者って知って…ますか」
また木々が揺れて声がする。
『おったなぁ。人間にとっては、数千世代前。我らにとっても、普通の寿命のものなら、数世代も前の大昔のことになるがな。お前たちとは、また異なる世界から、この世界にやってきた者達がいた。もちろん、姿形は、お前たちとは、似ても似つかなかったが、なぜか、その瞳に宿す輝きだけは、驚くほど似ておったな』
らいとは「知る者」の話に頷きながら話す。
「なるほど…たくさんいるってわけじゃないんだな」
僕もらいとに続き話す。
「瞳に宿す…輝き…。似ているということは…何かを示している…?ということなのでしょうか…?」
更に風はざわめきそして声は聞こえてくる。
『おそらくは、その心根が似ているのであろうな。お前たちと私は、まだ、会ったばかりだ。私にも、お前たちの心根は、まだ、分からんがな』
らいとも「知る者」に話す。
「俺たちの心根が分からないのか?」
知る者はゆっくり静かに語る……
『ああ、分からないよ。心というものは、とても難しい。万物の理よりも、未来を推し測る事よりも、難しいのだ…』
らいとは思い出したように問う。
「どうすれば帰れるのか?」
辺りのそよそよという風が一瞬止まり「知る者」は答える。
『ただ満足すればいい。この世界にやり残したことはないと、ただ満足すればいい。さすれば、帰るための道は、自ずと開かれる。しかし、『満足する』ということは、それはそれは、難しいことなのだ。それは、やがて身をもって知ることとなるであろう』
僕は立ち尽くしながららいとに話しかける。
「ねぇ…らいと…」
らいとが僕に答える。
「どうした?みら」
僕はらいとに質問をする。
「らいとは…満足…してる?僕は……。」
らいとは僕に答えた。
「俺は……まだまだ満足したりないっ!!」
そして僕もらいとに言った。
「僕もまだまだだなぁ。まだまだこの世界で…
なにか起こるんじゃないかなぁ…素敵なことあるんじゃないかなぁ…って思うから。チャンスは逃したくないよ。まだこの世界に居たいな。」
そしてらいとも言う。
「そうだな…俺の人生も過去は振り返らねぇし、道があるとすればそれは俺が歩いてきた道だけだ!!!」
僕達は改めてこの世界にまだ残る決意を固めたのだった。
そして僕は「知る者」を下から見上げて言う。
「あなたにも、何か夢はあるんですか?」
「知る者」の枝葉が揺れ「知る者」はゆっくり答える。
『そうさなぁ。もし、叶うものならば、一度でいいから、恋というものをしてみたいなぁ。よく分からないが、それは、かけがえのない、とても大切なものらしいではないか……』
「知る者」が答えるとらいとも「知る者」に話す。
「あなたのような方にも分からないことがあるんだな…」
「知る者」は静かに言った。
『私だから分からないことというものも、たくさんのさ。そして、君達だから分かることも、きっと、たくさんある』
僕はそれが生きてるという事なんだろうと思った。
「……。」
「……。」
僕達は無言で納得をする。
すると「知る者」は僕達に助言をくれた。
『大切なのは、どこで生きるかではなくて、どう生きるかなのだ。頑張りなさい。そして、今を楽しみなさい。』
僕は改めてこの大樹の偉大さを知った気がした。
そしてお礼を言う。
「どう生きるか…
はいっ!たくさん教えていただいて本当にありがとうございます!」
僕が「知る者」に言うとらいとが僕に話す。
「みら!!もちろん俺も色々な人達との出会いも楽しみだし、この世界の強敵相手に闘ってみたいしそしてトレジャーハンターもしてみてえ!やりたい事は沢山あるぜ!」
らいとらしい発言に僕は頷く。
そしてらいとは「知る者」に言った。
「またなんか聞きたいことがあったら聞きに来るぜ!」
らいとは僕を見る。
僕もらいとに続く。
「さようならーっ!お元気で!!」
僕達は「知る者」に別れとお礼を言うと歩き出す。
僕達が歩いていくと風がざわめき声が聞こえてくる。
『ああ…出来ることと言えば、言葉をかけることと見送ることだけなのに、存外退屈しない。不思議なものだ……』
僕達はいつものようにギルドの仕事を終えギルドに報告に来たのだった。
らいとが今日は食材を買って帰るって言ったので僕は少し1人ギルドに残り依頼の貼紙を見ていた。
この街のギルドは、昼夜問わず開いている。
夜の部はいつもは見ない受け付けの女性シャノワールさんが交代で入ってました。
そして僕はシャノワールさんに声をかけられて話す事になったんだ。
「こんばんは!あなた…最近ギルドによく来るようになったみらいさんかな?」
シャノワールさんは金色の綺麗な長い髪、目は透き通るような澄んだ青色の瞳、黒のドレスを身に纏い夜の蝶って感じの大人の女性でした。
僕はとても綺麗なシャノワールさんにボーッと見とれてしまった。
「私の名前はシャノワール…このギルドの夜の受付をしているわ。よろしくね。」
僕が固まって声も出ないで見とれていると。
「フフっ…ダンから話は聞いているわ…」
僕はドキドキしながらも話をしようとする。
緊張している僕を見つめながらシャノワールさんが続ける。
「そうそう…君達は異世界から来たんだって?」
僕が我に返り頷き答える。
「はい…そうなんです。」
シャノワールさんはニコリと微笑み話を続ける。
「君達のいた世界はどんな所なの?世界はどんな感じ?」
シャノワールさんは僕に質問攻めしてくる。
僕はシャノワールさんとたわいも無い話をした…
と言うよりシャノワールさんの質問攻めだけど…
「そっかぁ……君達のいた世界は世界でいい所みたいね。」
シャノワールさんはそう言うとタバコに火をつけて煙をすぅっと吸い、吐き出すと僕に問う。
「ところで元の世界に帰る事は考えてるのかしら?」
シャノワールさんはそんな話を急にしてきた。
正直、僕はこの世界に来て今までらいとと一緒に色々経験してきたけど元の世界に帰る事はまだ考えてはいなかった。
そんな余裕は無かったのが僕の現実だけど。
「一応帰る方法は知っておきたいなとは思ってます。」
僕がそう言うとシャノワールさんは笑みを浮かべながらグラスに入っている飲み物を少し飲むと話し始めた。
「この世界に『知る者』と呼ばれる樹齢数千年と言われるとても大きな老木が祀られているわ…ここから北に数十キロ離れた世界の洞窟の最深部に生えていて天高くそびえ立つ大樹よ……そこに行けば何かわかるかもしれないわ。」
シャノワールさんはそう言うとグラスの飲み物を飲み干し僕に言った。
「行ってみなさい…知りたければきっと彼は答えてくれるわ。」
「ありがとうございます!シャノワールさん!」
僕は話を聞くとお礼を言いギルドを後にした。
らいとに話したらなんて言うかな…
などと考えながら僕は帰りました。
僕達の家は町はずれの丘の上にある。
僕は玄関を開けるといいにおいにつられらいとが料理をしている台所に入っていきました。
僕は、においでつい笑顔になる。
「おかえりみら!どうしたんだ?何か話しあるんだろ?」
らいとの声に僕は我に返りらいとに挨拶する。
「あ!ただいまらいと!」
そしてらいとに意を決して話す。
「あのさ、らいと。そろそろさ……帰る方法知りたいって思わない?帰るか帰らないのは別として1つの手札として知っておくのも有りだと思うんだよね。」
そんな話をした僕を見てふぅ…とらいとはため息をつくと答えてくれる。
「そうだな。俺はまだ帰らないけどな…」
らいとは僕と話しながら料理を続けている。
そんならいとに僕は言う。
「らいとは、そういうと思ったよ。それでね。『知る者』って呼ばれているこの世界の大樹の事をギルドの受け付けの人に……教えてもらったんだよね。」
らいとは料理を続けながら僕の話を聞いてる。
「この世界の事とか、何でも知ってるらしいよ!」
僕がそう言うとらいとは何か察したように言ってきた。
「そいつはすげぇな。その『知る者』に興味が湧いて会いに行きたいって話しか。」
僕はらいとに悟られている事にびっくりしている。
「えっ。分かられてる…。まぁ…そうなんだけどね。という訳で行ってみようよ!らいと!」
やれやれといったため息をつきながららいとは言った。
「じゃあ週末にでも行ってみるか?」
僕は嬉しくて返事を返した。
「うんっ!」
僕は元の世界へ帰りたい訳ではなく手段は知っておきたいだけなんだけどね。
こうして僕達は『知る者』の所へ向かう事となりました。
そして週末の朝僕達は僕達は身支度を整え『知る者』に会う為に馬車を頼み世界の洞窟へと出発。
僕達は馬車に揺られ目的地へと向かっていた。
らいとは朝早かったせいか僕の隣で寝ている。
天気は快晴!ポカポカ暖かくて、らいとが眠くなるのも分かる気がする。
僕はそれでも色々聞きたい事、質問を考えていた。
この世界の事、僕達が元の世界への帰る為の手段、僕達の目的等についてかな……
僕はらいととは違い考えてしまうタイプだからどうしても気になってしまうととまらなかったりする……
これが悪い癖でもあり僕の長所でもあるとらいとには言われたりする。
そんな事を考えているといつの間にか僕も暖かさについウトウトしてしまった。
僕が気が付き目を覚ますと僕は辺りを見回す。
何時間たったのだろう…
いつの間にか隣で寝ていたらいとは馬車を降り目の前の洞窟の入口に立っていて、僕も馬車を降り少し離れてみると巨大な大木の枝が広がっているのが少しは確認出来た。
そして僕は、らいとに声をかけた。
「らいと?ここが世界の洞窟?」
らいとは僕の方を振り返り話す。
「そうみたい…だな?みら?早速行ってみようぜ!?」
らいとは目の前の冒険にワクワクしているみたいだ。
「うんっ!行こう!らいと!?」
僕もそう返すと僕達は洞窟の入口に歩みを進めるのでした。
『ここは世界の洞窟!知る物へと繋がる暗き道。行かれる方はライトの点灯を。』
入口にはこんな立て札が立っていた。
僕の生活魔法の出番だ!
「生活魔法!LEDライト!」
僕が魔法を唱えると僕達の頭上に魔法の照明器具が現れ僕達を広範囲で照らしてくれる。
「やっぱ、みらの生活魔法は便利だよな!」
らいとは感心しながら僕に話しかけてきた。
「ありがとう!らいと!」
僕は照れながらも奥を目指し歩いていく。
らいともキョロキョロしながらも楽しそうに隣を歩く。
足元はゴツゴツした岩もあれば滑る土もある。僕は慎重に歩いて暫く歩くとらいとは何かの物音に気づいた。
「ん?何かいる…。」
らいとがそう言うと地面がボコボコと音を立てて地震が起こる。
そして僕も身構えると目の前から何かのモンスターが地面の土の中から姿を現した!
僕が呆然として前を見ているとらいとが叫んだ。
「あれは!?ゴーレム!?」
僕も目の前の岩の塊が巨人化した事でモンスターを認識した。
ゴーレム…色々なゲームやアニメ、本等で名前は聞いた事がある。
主に僕のイメージは岩の怪物。
正に目の前の怪物はゴーレムなのだろう。
らいとは僕より早くスタンガンを取り出すとゴーレムめがけて駆け出しゴーレムの頭にとびついた!
次の瞬間スタンガンを強化させて雷を放つ!!
「放電!!」
らいとの身体は電気を帯びてスタンガンの威力を強化させゴーレムの頭から全身を電気が走る。
ゴーレムが衝撃で停止する。
「やったか?」
らいとは手応えありの確認をする。
「多分??」
僕がそう言うと…ゴーレムは急に目を赤く光らせ暴走を始める。
僕は身構えると動きを止める魔法を放つ!
『生活魔法「クラフト!クラフトチェーン!!」』
高繊維度の紙の束はゴーレムを捉え縛り付ける。
「たぁぁっ!!」
僕は捉えたゴーレムに思い切りモーニングスターの鉄球を叩きつける!!
ゴーレムにも少しのヒビが!!だが…鉄球の針にヒビも入る……
ゴーレムを一撃では仕留める事は難しかった。
隣にいたライトの身体は黄色と赤色に交互に光る…
「これならどうだ!?雷号炎火球!!」
雷を纏った火球はゴーレムの僕のつけた少しのヒビから入り込みゴーレムを炎と雷で包み焦がしていった。
僕は炎に包まれたゴーレムに更にモーニングスターでトドメの一撃!
「えいっ!!」
グオーンという音が鳴り響くとゴーレムは倒れていった。
そして……
僕達はハイタッチをする。
「やったなみら!?」
僕達はゴーレムを退治し更に奥へと足を進めた。
暗闇の先に空からの光で大樹は光を輝かせそびえ立っていた……
「これが知る者……」
らいとは僕の隣りで呟く。
僕は見とれているとどこからともなく声が聞こえてくる。
『ほほう…私のゴーレムを倒しここまで入ってくるとは…やるではないか。まだ若き冒険者よ。』
僕達は声に驚き身構えながら挨拶をする。
「こ…こんにちは……。」
すると僕達の頭上から声が聞こえてくる。
『こんにちは!』
らいともキョロキョロ頭上を見ながら聞いているみたいだ。
「えっと…僕は…みらいって言います…」
僕はそう言うとまた頭上から声がする。
『そうか。知っておるぞ。』
じっと聞いていたらいとが口を開く。
「やっぱり色んな事…俺達の事も知っているのか?俺はらいとだ!みらとはずっと一緒にいる相棒みたいなもんだ!よろしく!」
らいとがそう言うとさやさやと枝が揺れる。そしてまた声が聞こえてくる。
『私は知る者…お前達の事ももちろん知っておるぞ。』
僕は思い浮かんだ言葉を話す。
「僕らのような異世界転移?者って知って…ますか」
また木々が揺れて声がする。
『おったなぁ。人間にとっては、数千世代前。我らにとっても、普通の寿命のものなら、数世代も前の大昔のことになるがな。お前たちとは、また異なる世界から、この世界にやってきた者達がいた。もちろん、姿形は、お前たちとは、似ても似つかなかったが、なぜか、その瞳に宿す輝きだけは、驚くほど似ておったな』
らいとは「知る者」の話に頷きながら話す。
「なるほど…たくさんいるってわけじゃないんだな」
僕もらいとに続き話す。
「瞳に宿す…輝き…。似ているということは…何かを示している…?ということなのでしょうか…?」
更に風はざわめきそして声は聞こえてくる。
『おそらくは、その心根が似ているのであろうな。お前たちと私は、まだ、会ったばかりだ。私にも、お前たちの心根は、まだ、分からんがな』
らいとも「知る者」に話す。
「俺たちの心根が分からないのか?」
知る者はゆっくり静かに語る……
『ああ、分からないよ。心というものは、とても難しい。万物の理よりも、未来を推し測る事よりも、難しいのだ…』
らいとは思い出したように問う。
「どうすれば帰れるのか?」
辺りのそよそよという風が一瞬止まり「知る者」は答える。
『ただ満足すればいい。この世界にやり残したことはないと、ただ満足すればいい。さすれば、帰るための道は、自ずと開かれる。しかし、『満足する』ということは、それはそれは、難しいことなのだ。それは、やがて身をもって知ることとなるであろう』
僕は立ち尽くしながららいとに話しかける。
「ねぇ…らいと…」
らいとが僕に答える。
「どうした?みら」
僕はらいとに質問をする。
「らいとは…満足…してる?僕は……。」
らいとは僕に答えた。
「俺は……まだまだ満足したりないっ!!」
そして僕もらいとに言った。
「僕もまだまだだなぁ。まだまだこの世界で…
なにか起こるんじゃないかなぁ…素敵なことあるんじゃないかなぁ…って思うから。チャンスは逃したくないよ。まだこの世界に居たいな。」
そしてらいとも言う。
「そうだな…俺の人生も過去は振り返らねぇし、道があるとすればそれは俺が歩いてきた道だけだ!!!」
僕達は改めてこの世界にまだ残る決意を固めたのだった。
そして僕は「知る者」を下から見上げて言う。
「あなたにも、何か夢はあるんですか?」
「知る者」の枝葉が揺れ「知る者」はゆっくり答える。
『そうさなぁ。もし、叶うものならば、一度でいいから、恋というものをしてみたいなぁ。よく分からないが、それは、かけがえのない、とても大切なものらしいではないか……』
「知る者」が答えるとらいとも「知る者」に話す。
「あなたのような方にも分からないことがあるんだな…」
「知る者」は静かに言った。
『私だから分からないことというものも、たくさんのさ。そして、君達だから分かることも、きっと、たくさんある』
僕はそれが生きてるという事なんだろうと思った。
「……。」
「……。」
僕達は無言で納得をする。
すると「知る者」は僕達に助言をくれた。
『大切なのは、どこで生きるかではなくて、どう生きるかなのだ。頑張りなさい。そして、今を楽しみなさい。』
僕は改めてこの大樹の偉大さを知った気がした。
そしてお礼を言う。
「どう生きるか…
はいっ!たくさん教えていただいて本当にありがとうございます!」
僕が「知る者」に言うとらいとが僕に話す。
「みら!!もちろん俺も色々な人達との出会いも楽しみだし、この世界の強敵相手に闘ってみたいしそしてトレジャーハンターもしてみてえ!やりたい事は沢山あるぜ!」
らいとらしい発言に僕は頷く。
そしてらいとは「知る者」に言った。
「またなんか聞きたいことがあったら聞きに来るぜ!」
らいとは僕を見る。
僕もらいとに続く。
「さようならーっ!お元気で!!」
僕達は「知る者」に別れとお礼を言うと歩き出す。
僕達が歩いていくと風がざわめき声が聞こえてくる。
『ああ…出来ることと言えば、言葉をかけることと見送ることだけなのに、存外退屈しない。不思議なものだ……』
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相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
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