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久しぶりに会った両親は引っ越す前とあんまり変わってなくて。でも顔を見た途端、ほっとして涙が出た。
巨大なリュックを元気に背負って手を振るガタイの良い熊さんみたいなくしゃくしゃ頭でヒゲ面のとーさん。長い髪を後ろで結んだ白い肌の妖精みたいに綺麗なかーさん。
とーさんのヒゲ面に問答無用で抱きしめられてゾリゾリされたのは思春期の私としてはちょっとないわー、、だったけど。
にーちゃんの寮から、あの後こそこそと逃げ帰ってきた。そしたらとーさんかーさんからタイミング良く連絡があって、翌日無事に日本に到着した。
やれやれ、結構早く帰れてよかった。これならわざわざ男装して行かなくても良かったかな。いや、でも日本にいる家族代表として大事な役目だったよね?
「俊は、どう?」
不安気に訊いてくる両親と共にタクシーに乗り込み、再度にーちゃんの男子寮に向かう。
にーちゃんに会った時のことなんかを詳しく話すと、はじめて二人の心配そうな顔が若干ゆるんだ。
「そうか、悠に話してる感じは全然変わってないじゃないか。
そうだよな、記憶喪失と言っても身体も心も僕たちの知ってる俊だ。身体がとりあえず元気なら、後から何でもついてくる。ついて来なきゃまた新しい思い出を作りまくったらそれでいいじゃないか。なあ、母さん」
ヒゲをなでつつ豪快に言うとーさん。
かーさんは優しく私の手を握ってくれる。
「そうね、俊らしく頑張って立ち直りつつあるなんて、さすが私たちの自慢の息子だわ。
悠、ショックだったでしょうけど、よく頑張って一人で行ってくれたわね。本当に心細い思いをさせてごめんね……やっぱり二人を連れてペルーに戻った方が良いのかしら」
「か、かーさん私、ペルーはちょっと。無理。だ、大丈夫だよ!にーちゃんにも一緒に暮らす予定になってたこと改めて相談して了承もらったし!
って、あ、そうだ。私、弟とか言っちゃったんだよ」
話しながら思い出す、と、なんか非常に恥ずかしい。。流れ?というか感傷的ににーちゃんに妹って思い出してもらうんだ!って。。。なんだ私は。ハズ!
今日も男子寮行くのもあってメンズライクですが、両親帰ってきて急にバカバカしくなっちゃった、、
この嘘はいつバラすべきか。
「え?弟?どういうことだ?」
口々に質問してくる両親に真っ赤になりながら説明する。
「……お前、記憶喪失の兄にまた謎なことしたなぁ。。まあ、悠らしく言い出せなかったってのもわからんでもないけどな。。病院や学校の先生も俊にちゃんと説明してないのか?うーむ。
いや、まず私たちへの説明が先と思ったとか?症状によっていきなり色々言うのを避けてるとか?
……で、その嘘どーすんだ?つきとおすのか?」
疑問をぶつぶつ言いながらとーさんに聞かれる。
「どうせすぐバレるんだから、早く言って謝りなさいよ。あら、でも一緒に住むのにやっぱり妹、というか女性だと俊が気を遣うかしら。思い出してないし尚更」
あら、とかーさんが口元に指を当てて考えはじめる。
「そ、そそそそそそっか。にーちゃんの記憶なかったらうちら完全に血の繋がってない男女になっちゃう!もんね」
私も今更ながらなぜかこみ上げた唾を飲み込む。
「うわぁ、そう考えると複雑だな父さんは。どうしよう、、まあ、昔、母さんにこいつら結婚したいとか言い出したらオモロイなとは話したことあるけど……マジ?父さんこんな早く娘を嫁にやるとは、、いや、せめて16歳までは不純な交際は禁止です!」
オヤジがなんか言い出した!
「いやいや!とーさん待って!にーちゃんにも選ぶ権利あるから!」
慌てて言うと
「まあ、そりゃそーだな。俊はいくらでもよってくるだろーからな」
そう当たり前みたいに言われるとそれはそれで少しムカつくんですけどね。
巨大なリュックを元気に背負って手を振るガタイの良い熊さんみたいなくしゃくしゃ頭でヒゲ面のとーさん。長い髪を後ろで結んだ白い肌の妖精みたいに綺麗なかーさん。
とーさんのヒゲ面に問答無用で抱きしめられてゾリゾリされたのは思春期の私としてはちょっとないわー、、だったけど。
にーちゃんの寮から、あの後こそこそと逃げ帰ってきた。そしたらとーさんかーさんからタイミング良く連絡があって、翌日無事に日本に到着した。
やれやれ、結構早く帰れてよかった。これならわざわざ男装して行かなくても良かったかな。いや、でも日本にいる家族代表として大事な役目だったよね?
「俊は、どう?」
不安気に訊いてくる両親と共にタクシーに乗り込み、再度にーちゃんの男子寮に向かう。
にーちゃんに会った時のことなんかを詳しく話すと、はじめて二人の心配そうな顔が若干ゆるんだ。
「そうか、悠に話してる感じは全然変わってないじゃないか。
そうだよな、記憶喪失と言っても身体も心も僕たちの知ってる俊だ。身体がとりあえず元気なら、後から何でもついてくる。ついて来なきゃまた新しい思い出を作りまくったらそれでいいじゃないか。なあ、母さん」
ヒゲをなでつつ豪快に言うとーさん。
かーさんは優しく私の手を握ってくれる。
「そうね、俊らしく頑張って立ち直りつつあるなんて、さすが私たちの自慢の息子だわ。
悠、ショックだったでしょうけど、よく頑張って一人で行ってくれたわね。本当に心細い思いをさせてごめんね……やっぱり二人を連れてペルーに戻った方が良いのかしら」
「か、かーさん私、ペルーはちょっと。無理。だ、大丈夫だよ!にーちゃんにも一緒に暮らす予定になってたこと改めて相談して了承もらったし!
って、あ、そうだ。私、弟とか言っちゃったんだよ」
話しながら思い出す、と、なんか非常に恥ずかしい。。流れ?というか感傷的ににーちゃんに妹って思い出してもらうんだ!って。。。なんだ私は。ハズ!
今日も男子寮行くのもあってメンズライクですが、両親帰ってきて急にバカバカしくなっちゃった、、
この嘘はいつバラすべきか。
「え?弟?どういうことだ?」
口々に質問してくる両親に真っ赤になりながら説明する。
「……お前、記憶喪失の兄にまた謎なことしたなぁ。。まあ、悠らしく言い出せなかったってのもわからんでもないけどな。。病院や学校の先生も俊にちゃんと説明してないのか?うーむ。
いや、まず私たちへの説明が先と思ったとか?症状によっていきなり色々言うのを避けてるとか?
……で、その嘘どーすんだ?つきとおすのか?」
疑問をぶつぶつ言いながらとーさんに聞かれる。
「どうせすぐバレるんだから、早く言って謝りなさいよ。あら、でも一緒に住むのにやっぱり妹、というか女性だと俊が気を遣うかしら。思い出してないし尚更」
あら、とかーさんが口元に指を当てて考えはじめる。
「そ、そそそそそそっか。にーちゃんの記憶なかったらうちら完全に血の繋がってない男女になっちゃう!もんね」
私も今更ながらなぜかこみ上げた唾を飲み込む。
「うわぁ、そう考えると複雑だな父さんは。どうしよう、、まあ、昔、母さんにこいつら結婚したいとか言い出したらオモロイなとは話したことあるけど……マジ?父さんこんな早く娘を嫁にやるとは、、いや、せめて16歳までは不純な交際は禁止です!」
オヤジがなんか言い出した!
「いやいや!とーさん待って!にーちゃんにも選ぶ権利あるから!」
慌てて言うと
「まあ、そりゃそーだな。俊はいくらでもよってくるだろーからな」
そう当たり前みたいに言われるとそれはそれで少しムカつくんですけどね。
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