兄が記憶喪失になって男のふりしてたら溺愛された件

英歩

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12.

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唖然と微笑む一緒に育ったハズの生き物に脳内が問う。ひたすら問う。


「な、なんでき、、、ききききすなんてしたんだぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!」


火山の噴火もかくやと言わんばかりに私は叫びました。ええ。叫びましたとも。
近所の人?そんなもん考えもしませんよ。大事件ですよ。奥さん。
ワタシノファーストキスアニニウバワレマシタ

実験台、予行演習、いたずら、嫌がらせ、ストレス発散のイジメ。。。どれだ?どれだよおのれ!!言うてみろ!!!
ファーストキスを返せ!と、胸ぐらを引っ掴んで言い出そうとすると、兄は真顔で顔を傾け、私の首筋に口付けた。



「ちょ!!にーちゃん!!何なの!!?どーしちゃったの!!!?」


「あー、、、なんで俺、気づかなかったんだろ」


こてり、と私の怒りを知ってか知らずか、そのまま肩に頭を乗せられる。
おいおいおい!!おかしいでしょうよ!!


「ちょっと!!止めて!!こーゆことは彼女としてよ!鳥肌立つから!クソ兄!私の初めてを返せ!!」


日本語が通じなくなった兄は、そんな私の怒りを無視して、あろうことか突然私のセーターの下に片手を入れてきやがったのです。


「ぎゃー!!やめろ!!ばか!変態!!」


「柔らかい……ほーら、女の子じゃねーか。お前、俺の弟じゃないじゃん?」


うわーん!?バレちゃってたの!?それに伴う嫌がらせ!?


「ごごごめんて!!妹だったの思い出してくれるかって思って!!てか謝るから!!マジやめて!」


入り込んできた長い指が、重ねたタンクトップの下から胸の先端を触る。
な!?!なに、その、、、


「…やっ……!ん」


初めて感じた快感にビクッと身体が震える。なんだこのドキドキは!?くすぐったくて熱い。


「ゆう、……名前は本物だろ?てかふつー気づくよな俺どんだけテンパってたんだろー」


「にーちゃ、謝るからっ……やめっ!!」


指の動きが押し込むように爪で引っ掻かれて変な声が出る。


「ゆう、かーわい。ヤバ」


言葉とともに服をさらにめくられそうになり……はっと兄の色っぽすぎる襟足が目に入った瞬間、すかさず自由になった拳でぶん殴っていた。

うっっと呻いて兄が首を抑えて蹲る。


「……」
「……」



肌蹴かけていた服を慌てて整える。な、なんださっきのは!!く、苦しい。息が。。
涙目で兄を見下ろし、必死で呼吸を取り戻す。ぜーぜー、、
初めて、恋人同士がするという行為の意味がわかってしまった、、、気がする。
なんでそんなことするのかさっぱり理解できん、と、友達から聞かされた時、獣の一味である人間に引きまくったというのに。バクバクする鼓動は不快感だけではなく、奇妙な興奮を私に教えていた。


一番の謎は、なぜ兄がよりにもよって私にそんな行為の一端をしてきたのかと言うこと。
じとっと睨もうとして、ハッとする。
し、しまった。二回も脳震盪起こした人殴っちゃった!!!!ひぃぃぃぃぃ!!
頭というより首後ろを上から打撃した感じだったけど!!!きゅ、救急車!?


「に、にーちゃ、、大丈夫!?気持ち悪い?」

背中に手を当てて、顔を覗き込んだ、途端。
ガッタンと体が音を立てて、視界が逆転した。


「へ?」


ぽかんと開けた口が、置かれた境遇に引きつる。


「ゆう。痛い」


不機嫌そうに口にした兄は、押し倒したわたし=弟=妹!(血は繋がってないといっても!)に一体何をする気なのでしょうか。

じわじわと冷たい汗が背中を伝う。冬なのにおかしい、ヒーターの温度を間違えちゃったかな。はい思考切り替え失敗。
どんどん近づいてくる兄に思わずぎゅっと目を瞑った。こ、怖い!!やっぱ怖いっす兄さん!!

ふ、と兄は突然固まった。


「え、え?何これ、夢?」


唖然とした声がさっきまでとは全然違って。
驚いて目を開けると、溜まっていた涙が頬を伝った。


「え!? わ、ゆうなんで泣いてんの!?」


バッと上からのけたにーちゃんが、私の背中に手を入れて起き上がらせてくれた。
私は、なんだかもういろいろこんがらがり過ぎて、座り込むとうわーーん!!と泣き出した。


「うわぁ!!ごめん、ゆう、俺なんかした!?って、……した、な」


ガクッと頭を抱える兄の姿に、懐かしいものを感じて流れていた涙が止まる。
窓の外はすっかり日が暮れていた。


「……にーちゃん、我にかえった?どんな嫌がらせか知んないけど、この代償はデカイよ」
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