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第二話
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この世界での彼の生活はそれは華やかなものだった。高校生である彼は多くの友達に恵まれ、サッカー部のキャプテンでありながら成績もトップクラスだったため男女問わず、また先生からも人気があった。顔自体はそこそこだが学校でも一番といわれる美人の彼女がいる。
掃除をすませホームルームが終え教室で友達と談笑していると、廊下側の窓から声をかけられた。
「おい、お前の彼女が呼んでるぜ」
「わかった、今行くよ」
今日は彼女と一緒に帰ることになっていたのをすっかり忘れていて慌てて支度をしてから彼女のもとへ向かう。
「絶対今日一緒に帰ること忘れてたでしょ」
「忘れるわけないじゃないか。毎日お前のことばかり考えながら過ごしてるってのに」
「うそばっかり」
帰りにコンビニでお詫びのしるしにいくつかおごってあげながら彼女と別れ帰宅した。
まさにもう一つの世界とは正反対であった。この世界の彼は都会にすんでおり、家も最近建てたばかりで毎年家族で海外旅行に行くほど家族仲もよく、夢のような生活を送っていた。
「もちろん本当の夢なんだけど」
彼はたびたび頭の中でこの言葉を口にしていた。夢だとわかっていながらも本当にこの世界のことを気に入っている。
家族と食卓を囲みながら、
「この唐揚げいつもよりおいしい」
「わかる?味付け変えてみたけど成功してよかったわ」
「今度の休みの旅行どこか行きたいとこあるか?」
「最近あったわしのゲートボール大会の―」
など他愛ない会話だがいつも通り楽しい食事のひと時を終えると、2階の自分の部屋へ上がり課題を済ませくつろいでいると彼女から電話がかかってきた。
「もしもし、今何してた?」
「べつにぼーっとしてただけだよ」
「昔読んでたっていう暗い小説読んでたんじゃないでしょうね」
「なんだよ暗い小説って。まぁ確かに明るい小説じゃなかったけど」
幼いころ彼はよく本を読んでいた。それもどちらかというと暗めのどこか陰鬱とした空気の漂う小説を何冊も読んだ。現実世界とは違う雰囲気を味わえるということで好んでいたのだろう。
「この世界がずっと続けばいいのに」
そう思いながら眠気が限界に達した彼は彼女に別れを告げ眠りについた。
掃除をすませホームルームが終え教室で友達と談笑していると、廊下側の窓から声をかけられた。
「おい、お前の彼女が呼んでるぜ」
「わかった、今行くよ」
今日は彼女と一緒に帰ることになっていたのをすっかり忘れていて慌てて支度をしてから彼女のもとへ向かう。
「絶対今日一緒に帰ること忘れてたでしょ」
「忘れるわけないじゃないか。毎日お前のことばかり考えながら過ごしてるってのに」
「うそばっかり」
帰りにコンビニでお詫びのしるしにいくつかおごってあげながら彼女と別れ帰宅した。
まさにもう一つの世界とは正反対であった。この世界の彼は都会にすんでおり、家も最近建てたばかりで毎年家族で海外旅行に行くほど家族仲もよく、夢のような生活を送っていた。
「もちろん本当の夢なんだけど」
彼はたびたび頭の中でこの言葉を口にしていた。夢だとわかっていながらも本当にこの世界のことを気に入っている。
家族と食卓を囲みながら、
「この唐揚げいつもよりおいしい」
「わかる?味付け変えてみたけど成功してよかったわ」
「今度の休みの旅行どこか行きたいとこあるか?」
「最近あったわしのゲートボール大会の―」
など他愛ない会話だがいつも通り楽しい食事のひと時を終えると、2階の自分の部屋へ上がり課題を済ませくつろいでいると彼女から電話がかかってきた。
「もしもし、今何してた?」
「べつにぼーっとしてただけだよ」
「昔読んでたっていう暗い小説読んでたんじゃないでしょうね」
「なんだよ暗い小説って。まぁ確かに明るい小説じゃなかったけど」
幼いころ彼はよく本を読んでいた。それもどちらかというと暗めのどこか陰鬱とした空気の漂う小説を何冊も読んだ。現実世界とは違う雰囲気を味わえるということで好んでいたのだろう。
「この世界がずっと続けばいいのに」
そう思いながら眠気が限界に達した彼は彼女に別れを告げ眠りについた。
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