夢のような生活

sakanaria

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第一話

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 彼の生活はそれは惨めなものだった。現在高校生である彼には友達と呼べるものは一人もおらず、部活に所属することなく毎日家と学校を往復する日々である。勉強もまるでダメでいつも赤点ギリギリかそれ以下。幼いころよく本を読んでいたおかげか国語の成績だけはよかった。顔自体そこそこだが、もちろん彼女もいない。
 「今日も誰とも会話しなかったな」
 そんな思いにふけひとり歩きながら下校していた彼は50分後家についた。彼の住む地域はかなりの田舎で地区には一つしか高校がない。しかし運動神経が極端に悪く自転車にすら乗れないため、長い道のりを歩いて登校するしかないのである。
曾祖父が建てたというその家は築70年は経過していると思われるような見るからにボロ屋の木造建築であった。さび付いた玄関のドアに手をかけ中に入ろうとすると、家の中から両親がなにやら言い争っている声が聞こえてきた。
 「またやってるよ」
 両親の仲はもう長いこと険悪だった。夫の稼ぎは少なく生活していくことがやっとで、妻は同居している重度の認知症である義父の介護に追われる日々でろくにアルバイトもできなかった。
 彼はドアから手を離しそっと家を離れ数十メートル離れたところにある土蔵へと向かった。昔はいろいろものが置かれてあり値打ち物もいくつか見られたがすべて売り払ってしまっていたので今はがらんとしている。彼はよくここを自分の部屋として使っていた。少しジメジメしてはいるが静かで不思議と居心地はよかった。
 もともと小食で学校の給食だけで夜は食べないことも多く、この日もわからない課題をなげすぐに眠りについた。この世界の唯一の楽しみは眠ることだった。そして、あの場所へ行くことである。
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