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開幕
4 婚約破棄イベント1
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「エリーヌ・ルゼッタ! お前との婚約を破棄する!!」
『学園』の卒業パーティの席上にその声は響き渡った。
それもそのはずだ。生徒会長として引退のスピーチをするために壇上に上がった王子から発せられた言葉なのだから。
それまで和やかに在学中の思い出話や別れの挨拶をしていた出席者の声が止み、騒めいていた会場が静かになった。
『学園』とは。
王家を中心とした中央社交界、中央政界を支える中央貴族の子息令嬢が、宮廷や社交界での礼儀作法を学ぶ場であり、中央政府の役人・軍人として働く術を学ぶ職業訓練所としての側面をもつ、高等教育機関だ。
王国の知識の宝庫でもあるので、ついでに一般教養や歴史、魔法などの特殊技術も学ぶことができる。
そして在学中になんらかの素質が認められれば地方貴族、いわゆる田舎貴族と呼ばれ中央から排除されている下級貴族の子息令嬢であっても中央に進出することが出来るため、全国的に人気のある教育機関だった。
全寮制であるため、あまり幼い子どもは入学を認められないが、貴族やその縁故であればいつでも受け入れられる。
ただし毎年行われる試験に合格しなければ卒業できないため、無事卒業を迎えられたこの会場にいる生徒たちは、中央政界・社交界へ入ることを認められた、この国の将来を担う優秀な若者たちといえた。
そんな彼らにとって、栄えある卒業パーティがいま、王子にジャックされた。
「エリーヌ。お前はここにいるリリアナを苛め、あまつさえ階段から突き落とした。その狼藉許しがたい。お前のような女は王子の婚約者として相応しくない。即刻、学園、及び、公爵家、及びこの国から追放する!」
学園に認められた優秀な若者たちが、あっけにとられてポカンと口を開け、壇上の王子を見上げた。
エリーヌ・ルゼッタは王子の婚約者だ。
仮に彼女が告発された通りの非道な女だったとしても、将来の運命共同体でもある婚約者を、このような公衆の面前で罵倒するなど、考えられない事だった。
こんな非常識な真似をされては、しかもその対象とされたのが女性であったなら、恥ずかしくていたたまれない思いをしているに違いない。
ルゼッタ公爵令嬢と『いたたまれない思い』というのが繋がらなくて、生徒たちはおそるおそる公爵令嬢を見た。
彼女は婉然と微笑んでいた。
「ずいぶん一方的なお話ですね。わたくしには身に覚えがないのですが、証拠はあるのですか」
艶やかであるのに、恐ろしいほど冷たい微笑を、彼女は浮かべていた。
予想通りではあるが、拍子抜けする反応でもある。
生徒たちはある意味安心して野次馬になることにした。
ここにいるのは、守ってやらなければならないか弱いご令嬢ではなく、『学園』の恐怖の支配者でもある女帝なのだから。
「証拠はある。お前からの報復を恐れず、リリアナが証言してくれた!」
王子は男爵令嬢を壇上に呼び寄せ、庇うようにその腰を抱いた。
まさか壇上に上がることになるとは思ってもいなかったのだろう。男爵令嬢はおどおどとした様子で会場を見回していた。
「ほかには?」
「被害者が証言しているのだ。なにを疑う余地がある!」
「男爵家の娘の言葉と、このわたくし、ルゼッタ公爵令嬢であるエリーヌの言葉、皆様はどちらをお信じになるかしら」
卒業パーティに出たばかりにとんでもない事に巻き込まれてしまった卒業生達は、無責任な野次馬の立場から引きずり下ろされ狼狽しつつ曖昧にやりすごそうとした。
「もちろん、エリーヌ様を疑うなどあり得ないことですわ」
「ええ、そうです」
「ですが、王子殿下の仰ることに逆らうなど、とても出来ません」
「まことに。その通りです」
おほほと口元を隠し、このまま会場からも隠れてしまいたそうな彼らの態度を見て、公爵令嬢は満足そうに微笑んだ。
「ふふふ。貴族同士の主張が対立したならば、決闘しかありませんね」
公爵令嬢は高らかに宣言した。
「リリアナ・アムスン男爵令嬢。わたくしの名誉をかけて、貴女に決闘を申し込みます」
『学園』の卒業パーティの席上にその声は響き渡った。
それもそのはずだ。生徒会長として引退のスピーチをするために壇上に上がった王子から発せられた言葉なのだから。
それまで和やかに在学中の思い出話や別れの挨拶をしていた出席者の声が止み、騒めいていた会場が静かになった。
『学園』とは。
王家を中心とした中央社交界、中央政界を支える中央貴族の子息令嬢が、宮廷や社交界での礼儀作法を学ぶ場であり、中央政府の役人・軍人として働く術を学ぶ職業訓練所としての側面をもつ、高等教育機関だ。
王国の知識の宝庫でもあるので、ついでに一般教養や歴史、魔法などの特殊技術も学ぶことができる。
そして在学中になんらかの素質が認められれば地方貴族、いわゆる田舎貴族と呼ばれ中央から排除されている下級貴族の子息令嬢であっても中央に進出することが出来るため、全国的に人気のある教育機関だった。
全寮制であるため、あまり幼い子どもは入学を認められないが、貴族やその縁故であればいつでも受け入れられる。
ただし毎年行われる試験に合格しなければ卒業できないため、無事卒業を迎えられたこの会場にいる生徒たちは、中央政界・社交界へ入ることを認められた、この国の将来を担う優秀な若者たちといえた。
そんな彼らにとって、栄えある卒業パーティがいま、王子にジャックされた。
「エリーヌ。お前はここにいるリリアナを苛め、あまつさえ階段から突き落とした。その狼藉許しがたい。お前のような女は王子の婚約者として相応しくない。即刻、学園、及び、公爵家、及びこの国から追放する!」
学園に認められた優秀な若者たちが、あっけにとられてポカンと口を開け、壇上の王子を見上げた。
エリーヌ・ルゼッタは王子の婚約者だ。
仮に彼女が告発された通りの非道な女だったとしても、将来の運命共同体でもある婚約者を、このような公衆の面前で罵倒するなど、考えられない事だった。
こんな非常識な真似をされては、しかもその対象とされたのが女性であったなら、恥ずかしくていたたまれない思いをしているに違いない。
ルゼッタ公爵令嬢と『いたたまれない思い』というのが繋がらなくて、生徒たちはおそるおそる公爵令嬢を見た。
彼女は婉然と微笑んでいた。
「ずいぶん一方的なお話ですね。わたくしには身に覚えがないのですが、証拠はあるのですか」
艶やかであるのに、恐ろしいほど冷たい微笑を、彼女は浮かべていた。
予想通りではあるが、拍子抜けする反応でもある。
生徒たちはある意味安心して野次馬になることにした。
ここにいるのは、守ってやらなければならないか弱いご令嬢ではなく、『学園』の恐怖の支配者でもある女帝なのだから。
「証拠はある。お前からの報復を恐れず、リリアナが証言してくれた!」
王子は男爵令嬢を壇上に呼び寄せ、庇うようにその腰を抱いた。
まさか壇上に上がることになるとは思ってもいなかったのだろう。男爵令嬢はおどおどとした様子で会場を見回していた。
「ほかには?」
「被害者が証言しているのだ。なにを疑う余地がある!」
「男爵家の娘の言葉と、このわたくし、ルゼッタ公爵令嬢であるエリーヌの言葉、皆様はどちらをお信じになるかしら」
卒業パーティに出たばかりにとんでもない事に巻き込まれてしまった卒業生達は、無責任な野次馬の立場から引きずり下ろされ狼狽しつつ曖昧にやりすごそうとした。
「もちろん、エリーヌ様を疑うなどあり得ないことですわ」
「ええ、そうです」
「ですが、王子殿下の仰ることに逆らうなど、とても出来ません」
「まことに。その通りです」
おほほと口元を隠し、このまま会場からも隠れてしまいたそうな彼らの態度を見て、公爵令嬢は満足そうに微笑んだ。
「ふふふ。貴族同士の主張が対立したならば、決闘しかありませんね」
公爵令嬢は高らかに宣言した。
「リリアナ・アムスン男爵令嬢。わたくしの名誉をかけて、貴女に決闘を申し込みます」
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