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第1章
14.この想いは、きっと
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「えーっと……これは一体、どういう状況かな?」
朝食の時間、昨日と同じ食堂にユキとソウとリサ、そしてオレ──イツキだけが集まった。
この四人だけで食事を摂ると言い出したのはソウだ。しかも今日は朝からアスヒの名所を案内する予定だったのに、それもキャンセルするつもりらしい。
「まずお前の顔だよ。どうしたの、その見事な手形。しかも両側に」
「ボクが聞きたいわ。ユキちゃんに急に叩かれてん」
「へ、陛下が悪いんですよ! あんなことするからっ……!」
「あんなことって、ちょっとキスしただけやん」
キス、と聞いた瞬間ユキの顔が耳まで真っ赤になる。その様子からして、キスまでしかしていないらしい。せっかく同じ部屋にしてやったのに、とため息をつく。
「かわいそうに、ユキ様……こんな変態陛下に好きなようにされて……!」
リサが軽蔑の眼差しでソウを睨みつけている。ソウもなんだか居心地が悪そうに居住まいを正した。
思わずぷっと笑うと、三人からキッと睨まれた。どうやらこの状況を楽しんでいるのはオレだけらしい。
「とりあえず、その顔どうにかしたら? 氷でも持って来させよう」
「……おおきに」
「それで、ユキちゃん? 君は何が気に入らなくてソウを引っぱたいたの?」
「それはっ……! 陛下が、その……」
「ソウがキスしたから怒ってるの? なんで? 夫婦だったら、キスくらい当たり前じゃない?」
「で、でも、陛下が無理矢理するからっ……」
「なるほど。君は、ソウが許可なく、勝手にキスしたから怒ってるんだね。まだそういう段階じゃない、と」
「……そう、です」
「だそうだよ、ソウ。スキンシップも結構だけど、もうちょっと心を開いてからにしたら? しかもここはオレの城だしね」
「……キミに言われたないわ」
珍しく拗ねているソウが面白い。もう少し構いたいが、後が面倒なのでやめておく。
ユキはリサにかばわれて、ソウから一番遠い席に座った。
「さて、食事にしよう。それでその手形が消えたら、みんなで出かけようか」
一同が渋々頷く。
少々ソウが暴走したようだが、昨日よりも二人の空気が軽い。素直になって、お互いをさらけ出せただろうか。すぐにでもソウに聞こうと思いながら、ナイフとフォークを手に取った。
***
アスヒ城へと続く道を歩く。隣にはリサがいて、ここまでほぼリサとしか話していない。ソウはイツキと二人で何やら楽しそうに話している。
あれから、ソウの顔の手形もすぐに消え、午後にはみんなで出かけることになった。アスヒの街を一望できる丘や、滝から続く清流を回り観光した。
その間、ソウは自分からわたしに話しかけてくることはしなかった。イツキは何度か他愛のない話題をふってきたが、ソウはにこにこと笑っているだけで特に何も言わなかった。寂しいというわけでもないが、なんだか拍子抜けだ。
「……ユキ様、以前より明るくなられましたね」
ふと、リサが楽しそうにわたしの顔を覗き込んで言った。
「城に来てすぐのユキ様は、ちょっと目を離したら消えてしまいそうでした。あんなことがあれば、当たり前なんですけど」
「……そう、かな」
「はい。こんなことを言ったら失礼かもしれないんですけど、私、絶対にユキ様を守らなきゃって思ったんです。陛下の魔の手から」
真面目な顔で言うリサが面白くて、つい吹き出してしまう。笑わないでくださいよ、とリサはふくれるが、その顔も笑っている。
「最初、ユキ様はなんだか……威厳があるっていうか、本当に『王』なんだなって思ってました。ただまっすぐ、国のことだけを考えていて」
「そ、そんなことないよ」
「今でも、そのお心は変わっていないと思います。でも最近のユキ様は、ご自分のことや……陛下のことで、頭がいっぱいでしょう?」
「なっ……! へ、陛下のことなんて全然……!」
「うふふ、いつもお傍にいたんですから、私の目はごまかせませんよ? でも私、それが嬉しいんです」
どういうことかとリサを見つめると、遠くを見ながらつぶやいた。
「ユキ様はもっと周りに甘えていいんです。何でも一人で乗り越えようとするのは美徳でもありますが、それじゃみんな心配でたまらないですよ」
「……わたし、みんなに心配かけてたかな」
「はい、とっても。特に陛下には」
リサの目線の先にはソウがいる。イツキとの会話に集中していて、こちらの会話は聞こえていないようだ。
「なんでも一人で頑張っちゃうユキ様が心配でたまらなくて、それであんな強引なやり方をしたんですよ、陛下は」
「……うん」
「私、途中で反対したんです。ユキ様の気持ちがないなら、こんな計画はやめるべきだって。でも、結局陛下の思い通りになっちゃったなぁ」
「思い通り……?」
リサは少し声を落として、内緒話をするように囁いた。
「ユキ様、好きでしょう? 陛下のこと」
リサの言葉に目を丸くする。それと同時に、ぼっと顔が熱くなるのを感じた。アスヒに来てから、こんなことばっかりだ。
わたしがあわあわと何も言えずにいると、リサがいたずらっぽく笑った。
「本当、ユキ様ってかわいらしいですね! あーあ、私も男だったらユキ様と結婚したかったなぁ」
「も、もうっ! やめてよリサちゃん!」
「私、ユキ様に仕えることができて幸せです。だから、ユキ様にも幸せになってほしいんです」
幸せ。
イツキにも、同じようなことを言われた。わたしが幸せになることが、ソウのためになるのだと。
その意味はまだ分からないけれど、わたしはだんだんと、自分の気持ちが変わっていくのを感じていた。
*
「それじゃあユキちゃん、元気でね。あ、ソウも」
「人をおまけみたいに言うなや」
「いろいろと、お世話になりました」
カトライアに帰る日になり、城門までイツキが見送りに出てきてくれた。アスヒに来ていろいろなことがあったが、イツキには大事なことを教えてもらった。
別れの挨拶を交わしていると、イツキがわたしにだけ聞こえる声で言う。
「ユキちゃん。オレから一つお願いがあるんだけど」
「な、なんですか?」
「カトライアに帰っても、ソウと同じ部屋で寝てやってほしい。そうじゃないとあいつ、落ち込むから」
「えっ……でもっ!」
「頼むよ。あんなんでも一応、オレの親友だからさ」
ふざけて言っているのかと思ったが、イツキの顔は真剣だ。
「ね、約束だよ。近々そっちにも遊びに行くから。その時一緒に寝てなかったら、んーと……オレ特製の激辛クッキーを食べてもらう」
「ええっ!?」
「嫌でしょ? だから、約束。絶対だよ」
イツキはそう言うと、わたしをひょいっと持ち上げて馬車に乗せてしまった。反論も何もできない。
そのまま扉を閉められてしまった。外ではイツキとソウが何やら話しているけれど、その内容までは聞き取ることができなかった。
***
「……ユキちゃんに触るな、言うたやろ」
「いいじゃん、これくらい。それより、感謝してほしいな」
「何を」
「ユキちゃんと、一歩進めたこと。まさかあのお前がまだ抱いてないなんて、病気か何かかと思ったけど」
「……それ、絶対ユキちゃんに言うたらあかんで」
「分かってるよ。それくらい、大事にしてるんだろ? 驚いたよ」
「まあ、そろそろ限界やけどな」
「だろうね。でも、そんなに遠くないんじゃない? お幸せに」
軽く手を挙げてから、馬車に乗り込む。隣でユキが何か聞きたそうな顔をしているけれど、笑って誤魔化した。
すぐに馬車は動き出して、にこにこと手を振るイツキの姿がどんどん小さくなっていく。それを眺めながら、隣に座るユキの手をとってそっと握りしめた。
朝食の時間、昨日と同じ食堂にユキとソウとリサ、そしてオレ──イツキだけが集まった。
この四人だけで食事を摂ると言い出したのはソウだ。しかも今日は朝からアスヒの名所を案内する予定だったのに、それもキャンセルするつもりらしい。
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「へ、陛下が悪いんですよ! あんなことするからっ……!」
「あんなことって、ちょっとキスしただけやん」
キス、と聞いた瞬間ユキの顔が耳まで真っ赤になる。その様子からして、キスまでしかしていないらしい。せっかく同じ部屋にしてやったのに、とため息をつく。
「かわいそうに、ユキ様……こんな変態陛下に好きなようにされて……!」
リサが軽蔑の眼差しでソウを睨みつけている。ソウもなんだか居心地が悪そうに居住まいを正した。
思わずぷっと笑うと、三人からキッと睨まれた。どうやらこの状況を楽しんでいるのはオレだけらしい。
「とりあえず、その顔どうにかしたら? 氷でも持って来させよう」
「……おおきに」
「それで、ユキちゃん? 君は何が気に入らなくてソウを引っぱたいたの?」
「それはっ……! 陛下が、その……」
「ソウがキスしたから怒ってるの? なんで? 夫婦だったら、キスくらい当たり前じゃない?」
「で、でも、陛下が無理矢理するからっ……」
「なるほど。君は、ソウが許可なく、勝手にキスしたから怒ってるんだね。まだそういう段階じゃない、と」
「……そう、です」
「だそうだよ、ソウ。スキンシップも結構だけど、もうちょっと心を開いてからにしたら? しかもここはオレの城だしね」
「……キミに言われたないわ」
珍しく拗ねているソウが面白い。もう少し構いたいが、後が面倒なのでやめておく。
ユキはリサにかばわれて、ソウから一番遠い席に座った。
「さて、食事にしよう。それでその手形が消えたら、みんなで出かけようか」
一同が渋々頷く。
少々ソウが暴走したようだが、昨日よりも二人の空気が軽い。素直になって、お互いをさらけ出せただろうか。すぐにでもソウに聞こうと思いながら、ナイフとフォークを手に取った。
***
アスヒ城へと続く道を歩く。隣にはリサがいて、ここまでほぼリサとしか話していない。ソウはイツキと二人で何やら楽しそうに話している。
あれから、ソウの顔の手形もすぐに消え、午後にはみんなで出かけることになった。アスヒの街を一望できる丘や、滝から続く清流を回り観光した。
その間、ソウは自分からわたしに話しかけてくることはしなかった。イツキは何度か他愛のない話題をふってきたが、ソウはにこにこと笑っているだけで特に何も言わなかった。寂しいというわけでもないが、なんだか拍子抜けだ。
「……ユキ様、以前より明るくなられましたね」
ふと、リサが楽しそうにわたしの顔を覗き込んで言った。
「城に来てすぐのユキ様は、ちょっと目を離したら消えてしまいそうでした。あんなことがあれば、当たり前なんですけど」
「……そう、かな」
「はい。こんなことを言ったら失礼かもしれないんですけど、私、絶対にユキ様を守らなきゃって思ったんです。陛下の魔の手から」
真面目な顔で言うリサが面白くて、つい吹き出してしまう。笑わないでくださいよ、とリサはふくれるが、その顔も笑っている。
「最初、ユキ様はなんだか……威厳があるっていうか、本当に『王』なんだなって思ってました。ただまっすぐ、国のことだけを考えていて」
「そ、そんなことないよ」
「今でも、そのお心は変わっていないと思います。でも最近のユキ様は、ご自分のことや……陛下のことで、頭がいっぱいでしょう?」
「なっ……! へ、陛下のことなんて全然……!」
「うふふ、いつもお傍にいたんですから、私の目はごまかせませんよ? でも私、それが嬉しいんです」
どういうことかとリサを見つめると、遠くを見ながらつぶやいた。
「ユキ様はもっと周りに甘えていいんです。何でも一人で乗り越えようとするのは美徳でもありますが、それじゃみんな心配でたまらないですよ」
「……わたし、みんなに心配かけてたかな」
「はい、とっても。特に陛下には」
リサの目線の先にはソウがいる。イツキとの会話に集中していて、こちらの会話は聞こえていないようだ。
「なんでも一人で頑張っちゃうユキ様が心配でたまらなくて、それであんな強引なやり方をしたんですよ、陛下は」
「……うん」
「私、途中で反対したんです。ユキ様の気持ちがないなら、こんな計画はやめるべきだって。でも、結局陛下の思い通りになっちゃったなぁ」
「思い通り……?」
リサは少し声を落として、内緒話をするように囁いた。
「ユキ様、好きでしょう? 陛下のこと」
リサの言葉に目を丸くする。それと同時に、ぼっと顔が熱くなるのを感じた。アスヒに来てから、こんなことばっかりだ。
わたしがあわあわと何も言えずにいると、リサがいたずらっぽく笑った。
「本当、ユキ様ってかわいらしいですね! あーあ、私も男だったらユキ様と結婚したかったなぁ」
「も、もうっ! やめてよリサちゃん!」
「私、ユキ様に仕えることができて幸せです。だから、ユキ様にも幸せになってほしいんです」
幸せ。
イツキにも、同じようなことを言われた。わたしが幸せになることが、ソウのためになるのだと。
その意味はまだ分からないけれど、わたしはだんだんと、自分の気持ちが変わっていくのを感じていた。
*
「それじゃあユキちゃん、元気でね。あ、ソウも」
「人をおまけみたいに言うなや」
「いろいろと、お世話になりました」
カトライアに帰る日になり、城門までイツキが見送りに出てきてくれた。アスヒに来ていろいろなことがあったが、イツキには大事なことを教えてもらった。
別れの挨拶を交わしていると、イツキがわたしにだけ聞こえる声で言う。
「ユキちゃん。オレから一つお願いがあるんだけど」
「な、なんですか?」
「カトライアに帰っても、ソウと同じ部屋で寝てやってほしい。そうじゃないとあいつ、落ち込むから」
「えっ……でもっ!」
「頼むよ。あんなんでも一応、オレの親友だからさ」
ふざけて言っているのかと思ったが、イツキの顔は真剣だ。
「ね、約束だよ。近々そっちにも遊びに行くから。その時一緒に寝てなかったら、んーと……オレ特製の激辛クッキーを食べてもらう」
「ええっ!?」
「嫌でしょ? だから、約束。絶対だよ」
イツキはそう言うと、わたしをひょいっと持ち上げて馬車に乗せてしまった。反論も何もできない。
そのまま扉を閉められてしまった。外ではイツキとソウが何やら話しているけれど、その内容までは聞き取ることができなかった。
***
「……ユキちゃんに触るな、言うたやろ」
「いいじゃん、これくらい。それより、感謝してほしいな」
「何を」
「ユキちゃんと、一歩進めたこと。まさかあのお前がまだ抱いてないなんて、病気か何かかと思ったけど」
「……それ、絶対ユキちゃんに言うたらあかんで」
「分かってるよ。それくらい、大事にしてるんだろ? 驚いたよ」
「まあ、そろそろ限界やけどな」
「だろうね。でも、そんなに遠くないんじゃない? お幸せに」
軽く手を挙げてから、馬車に乗り込む。隣でユキが何か聞きたそうな顔をしているけれど、笑って誤魔化した。
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