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第1章
27.答え合わせ
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目が覚めると、柔らかな日差しが窓から差し込んでいた。その眩しさにもう一度目を瞑り、少し肌寒さを感じて布団を手繰り寄せる。すぐ近くに温もりを感じて横を向くと、そこには静かに寝息をたてるソウがいた。
いつもはソウの方が先に起きているので、こうして寝顔を見ることはない。物珍しさから、わたしはじっとその端正な顔を見つめた。
少ししてふと目線を下げると、ソウが何も身に纏っていないことに気付く。
そこで、はたと気づく。どういうわけか、わたし自身も衣服を身に纏っていない。
そういえば、昨夜はソウと──。
「わ、わわわわ……どっ、どうしよう!? あ、服はっ!?」
一瞬で眠気も吹き飛んで、わたしは慌てて昨日ソウに脱がされた服を探す。
布団をめくったり、ベッドの下を覗き込んだりしているうちに、隣で眠っていたソウがもぞもぞと動き出してしまった。
「んー……ユキちゃん、起きたん? おはよ」
「わあっ! お、おはよう……ごめん、起こした?」
「うん。起こされた。何ごそごそしてたん?」
「え、あ、その、ふ、服を……!」
「まだええやん、もうちょいこうしてよ?」
「ひゃっ!」
ソウはまだ眠いのか、あくびをしながらわたしを抱きすくめた。普段から起きてすぐこんな風に抱き着いてくるのだが、今朝はお互い裸のままだ。ソウの素肌が直接くっついて、気持ちいいけれどとにかく恥ずかしい。
なんとか逃れようとじだばたしても、ソウの腕はびくともしない。
「もー、朝から元気やなぁ、ユキちゃん。大人しくしいや」
「だ、だって! せめて服着させて……!」
「嫌や。だってユキちゃんの肌、気持ちいいし」
小さな子どもが母親に甘えるように、素肌に頬を擦り付けてくる。それがくすぐったくて、声を上げて身じろぎしてもソウはさらに身を寄せてくるだけだ。
仕方なく、あきらめてソウが頬ずりしてくるのを大人しく受け入れた。
よくよく考えてみれば、今はソウが頑張って働いてまで空けてくれた休日の最中である。久しぶりに城での激務から離れ、この静かな場所まで来たのだ。少しだけわがままを許してあげようと、わたしはそっとソウの髪を撫でた。
「……ソウ、子どもみたい」
「そやで。今頃気付いたん?」
「ふふっ、否定しないの?」
「うん。ボク、こうやってユキちゃんと一緒に居れたらそんだけで幸せやし」
ちゅっと額に軽くキスされる。それが嬉しくて、お返しするようにソウの頬にキスをした。
この旅行に来てから、ソウと触れあうことにだいぶ抵抗がなくなった。まだ、恥ずかしいという気持ちはどうしても消えないのだが。
「……ユキちゃん、それ、誘ってるん?」
「えっ?」
「どっちでもええわ、するで」
「え? なに? なにを……って、やだっ、ソウっ!?」
訳が分からないうちにあっという間にソウに組み敷かれる。ここまで来れば、いくらわたしでも分かる。
昨夜と同じことを、しようとしているのだ。
「だっ……だめだめだめっ! そんな、まだ起きたばっかりなのに……!」
「あれ、知らんの? セックスするのに時間は関係ないんやで? したいときにする」
「し、したいのはソウだけでしょ!?」
「大丈夫やって、すぐにユキちゃんもしたくなるから」
「そ、そんなっ……!」
そのまま半ば強引にソウに抱かれて、気付いたときにはもう日も高く昇っていた。
夫婦になったのならばこうして毎日愛し合うものだと、ソウは言い訳のように言っていたが、その日はできるだけソウの良くわからないスイッチを押してしまわないように、なるべく距離を取ることにしたのだった。
*
「なー、ユキちゃーん。そろそろ機嫌直してや」
「別に、機嫌が悪いわけじゃありません。襲われないように距離をとってるだけです」
「そやから、何べんも言うてるやろ? 夫婦やったら、ほんまは結婚したその日から毎日セックスしなあかんねんで? ボクとユキちゃんの場合、いろいろ事情があったから昨日までできひんかったけど、今からその分取り返さな」
「そ、それって本当なの!? あんなの毎日してたら、体がもたないと思うんだけど!」
「大丈夫やって、そのうち慣れるし」
夕飯の支度をしながら、体にまとわりついてくるソウの手をびしっと叩く。よくまぁ料理の合間にちょっかいが出せるものだと、変な所で感心してしまう。
新婚旅行も、今日で三日目。
朝は少しだけ寝坊して、散歩に出かけ、食事を摂り、のんびりとした時間を過ごす──はずだったのだが。
「そやかて、城に戻ったら夜しかユキちゃんのこと抱かれへんやん。あ、けど朝もいけるか。昼でも、ちょっと抜け出したら別に場所はどこでも……」
「だっ、だめです! 何考えてるの!?」
「ユキちゃんのこと」
「な、なんか違う気がする……」
「そう? あ、ユキちゃんお湯沸いたわ、そこの野菜茹でて」
ぐつぐつと煮えたぎった湯の中に、先ほど切った野菜を慎重に投入する。ソウのおかげで、少しだけ料理を覚えられたのはこの旅行での良い収穫だ。
今日のメニューは、昼間釣った魚を煮込んだものと、温野菜のサラダ、それにコンソメスープ。カシャカシャと小気味よい音を立てながらドレッシングをかき混ぜるソウは、鼻歌でも歌い出しそうなほど機嫌がいい。
わたしはと言えば、確かにこうして一緒に料理をしたり身の回りを片付けたりするのでさえ楽しいのだが、この三日間でソウに好き放題抱かれたせいで体中が重い。城に帰るまでは、あと四日ある。それが嬉しい反面、恐怖でもあった。
「無事に帰れますように……」
「ん? ユキちゃん、何か言うた?」
「いーえ、なにも! はい、できましたよ!」
茹であがった野菜の水を切って、お皿に盛りつける。出来上がった料理をテーブルに並べると、質素ながら美味しそうな食卓のできあがりだ。
椅子に座って、二人そろっていただきます、と手を合わせる。
「ユキちゃん、上達早いなぁ。最初野菜切ったときはめっちゃ分厚かったけど、今日のは上出来や」
「ほんと? ここに居る間に、ソウくらい上手にできるようになるかな」
「うん、できるできる。ま、ボクはイツキに一年かけて教わったけどな」
「……それ、バカにしてるの?」
「まさか」
へらへらと笑いながら、ソウが綺麗な緑色に茹で上がったブロッコリーをフォークで刺す。わたしも、ソウが作った煮魚を口に運ぶ。悔しいが、顔がほころぶほど美味しい。
「そういえば、イツキさんとはいつ知り合ったの?」
「親父が死んで、すぐやったかなぁ。ヒナミに留学してたとき、イツキも一緒やってん」
「え? お父様が亡くなってからって……」
「うん。一応、ボクが即位したんやけど、まだ若いからとか理由つけて、実質的にはゴウマが国の実権握ってた。あの頃のボクは逆らえへんかったから、嫌々留学したんやけど……まあ、今思えば行ってよかったわ」
「そうだったんだ……」
「イツキはまだその時即位してなかった。勉強もせんとふらふら遊び歩いてるときたまたま知り合って、よくよく聞けばアスヒの王子やー言うし、それからなんとなく話すようになって、それで料理もそのときから」
ソウの父が亡くなってから、ノースとサウスの合併計画が消失してしまった理由が分かった。
あの頃は、ソウと会えなくなってしまうことだけがただ悲しくて、国のことなど考えてもいなかった。ソウの近況もこちらには入ってこなかったから、留学していたことも知らなかったのだ。
ノース城の窓から、サウス城のある方向をじっと眺めて、見えるはずもないのにソウを探す日々。
最初のうちは、父にサウス城へ連れて行ってと泣いてせがんだ。でも、震える声で辛そうに「ごめんな」とだけ言う父を見てからは、何も言えなくなってしまった。
それからは、楽しかったソウとの思い出を振り返り、ソウの言葉を心の中で反芻して過ごした。
会えなかった数年の間、ソウは何を思って過ごしてきたのだろう。
いつもはソウの方が先に起きているので、こうして寝顔を見ることはない。物珍しさから、わたしはじっとその端正な顔を見つめた。
少ししてふと目線を下げると、ソウが何も身に纏っていないことに気付く。
そこで、はたと気づく。どういうわけか、わたし自身も衣服を身に纏っていない。
そういえば、昨夜はソウと──。
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「わあっ! お、おはよう……ごめん、起こした?」
「うん。起こされた。何ごそごそしてたん?」
「え、あ、その、ふ、服を……!」
「まだええやん、もうちょいこうしてよ?」
「ひゃっ!」
ソウはまだ眠いのか、あくびをしながらわたしを抱きすくめた。普段から起きてすぐこんな風に抱き着いてくるのだが、今朝はお互い裸のままだ。ソウの素肌が直接くっついて、気持ちいいけれどとにかく恥ずかしい。
なんとか逃れようとじだばたしても、ソウの腕はびくともしない。
「もー、朝から元気やなぁ、ユキちゃん。大人しくしいや」
「だ、だって! せめて服着させて……!」
「嫌や。だってユキちゃんの肌、気持ちいいし」
小さな子どもが母親に甘えるように、素肌に頬を擦り付けてくる。それがくすぐったくて、声を上げて身じろぎしてもソウはさらに身を寄せてくるだけだ。
仕方なく、あきらめてソウが頬ずりしてくるのを大人しく受け入れた。
よくよく考えてみれば、今はソウが頑張って働いてまで空けてくれた休日の最中である。久しぶりに城での激務から離れ、この静かな場所まで来たのだ。少しだけわがままを許してあげようと、わたしはそっとソウの髪を撫でた。
「……ソウ、子どもみたい」
「そやで。今頃気付いたん?」
「ふふっ、否定しないの?」
「うん。ボク、こうやってユキちゃんと一緒に居れたらそんだけで幸せやし」
ちゅっと額に軽くキスされる。それが嬉しくて、お返しするようにソウの頬にキスをした。
この旅行に来てから、ソウと触れあうことにだいぶ抵抗がなくなった。まだ、恥ずかしいという気持ちはどうしても消えないのだが。
「……ユキちゃん、それ、誘ってるん?」
「えっ?」
「どっちでもええわ、するで」
「え? なに? なにを……って、やだっ、ソウっ!?」
訳が分からないうちにあっという間にソウに組み敷かれる。ここまで来れば、いくらわたしでも分かる。
昨夜と同じことを、しようとしているのだ。
「だっ……だめだめだめっ! そんな、まだ起きたばっかりなのに……!」
「あれ、知らんの? セックスするのに時間は関係ないんやで? したいときにする」
「し、したいのはソウだけでしょ!?」
「大丈夫やって、すぐにユキちゃんもしたくなるから」
「そ、そんなっ……!」
そのまま半ば強引にソウに抱かれて、気付いたときにはもう日も高く昇っていた。
夫婦になったのならばこうして毎日愛し合うものだと、ソウは言い訳のように言っていたが、その日はできるだけソウの良くわからないスイッチを押してしまわないように、なるべく距離を取ることにしたのだった。
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「なー、ユキちゃーん。そろそろ機嫌直してや」
「別に、機嫌が悪いわけじゃありません。襲われないように距離をとってるだけです」
「そやから、何べんも言うてるやろ? 夫婦やったら、ほんまは結婚したその日から毎日セックスしなあかんねんで? ボクとユキちゃんの場合、いろいろ事情があったから昨日までできひんかったけど、今からその分取り返さな」
「そ、それって本当なの!? あんなの毎日してたら、体がもたないと思うんだけど!」
「大丈夫やって、そのうち慣れるし」
夕飯の支度をしながら、体にまとわりついてくるソウの手をびしっと叩く。よくまぁ料理の合間にちょっかいが出せるものだと、変な所で感心してしまう。
新婚旅行も、今日で三日目。
朝は少しだけ寝坊して、散歩に出かけ、食事を摂り、のんびりとした時間を過ごす──はずだったのだが。
「そやかて、城に戻ったら夜しかユキちゃんのこと抱かれへんやん。あ、けど朝もいけるか。昼でも、ちょっと抜け出したら別に場所はどこでも……」
「だっ、だめです! 何考えてるの!?」
「ユキちゃんのこと」
「な、なんか違う気がする……」
「そう? あ、ユキちゃんお湯沸いたわ、そこの野菜茹でて」
ぐつぐつと煮えたぎった湯の中に、先ほど切った野菜を慎重に投入する。ソウのおかげで、少しだけ料理を覚えられたのはこの旅行での良い収穫だ。
今日のメニューは、昼間釣った魚を煮込んだものと、温野菜のサラダ、それにコンソメスープ。カシャカシャと小気味よい音を立てながらドレッシングをかき混ぜるソウは、鼻歌でも歌い出しそうなほど機嫌がいい。
わたしはと言えば、確かにこうして一緒に料理をしたり身の回りを片付けたりするのでさえ楽しいのだが、この三日間でソウに好き放題抱かれたせいで体中が重い。城に帰るまでは、あと四日ある。それが嬉しい反面、恐怖でもあった。
「無事に帰れますように……」
「ん? ユキちゃん、何か言うた?」
「いーえ、なにも! はい、できましたよ!」
茹であがった野菜の水を切って、お皿に盛りつける。出来上がった料理をテーブルに並べると、質素ながら美味しそうな食卓のできあがりだ。
椅子に座って、二人そろっていただきます、と手を合わせる。
「ユキちゃん、上達早いなぁ。最初野菜切ったときはめっちゃ分厚かったけど、今日のは上出来や」
「ほんと? ここに居る間に、ソウくらい上手にできるようになるかな」
「うん、できるできる。ま、ボクはイツキに一年かけて教わったけどな」
「……それ、バカにしてるの?」
「まさか」
へらへらと笑いながら、ソウが綺麗な緑色に茹で上がったブロッコリーをフォークで刺す。わたしも、ソウが作った煮魚を口に運ぶ。悔しいが、顔がほころぶほど美味しい。
「そういえば、イツキさんとはいつ知り合ったの?」
「親父が死んで、すぐやったかなぁ。ヒナミに留学してたとき、イツキも一緒やってん」
「え? お父様が亡くなってからって……」
「うん。一応、ボクが即位したんやけど、まだ若いからとか理由つけて、実質的にはゴウマが国の実権握ってた。あの頃のボクは逆らえへんかったから、嫌々留学したんやけど……まあ、今思えば行ってよかったわ」
「そうだったんだ……」
「イツキはまだその時即位してなかった。勉強もせんとふらふら遊び歩いてるときたまたま知り合って、よくよく聞けばアスヒの王子やー言うし、それからなんとなく話すようになって、それで料理もそのときから」
ソウの父が亡くなってから、ノースとサウスの合併計画が消失してしまった理由が分かった。
あの頃は、ソウと会えなくなってしまうことだけがただ悲しくて、国のことなど考えてもいなかった。ソウの近況もこちらには入ってこなかったから、留学していたことも知らなかったのだ。
ノース城の窓から、サウス城のある方向をじっと眺めて、見えるはずもないのにソウを探す日々。
最初のうちは、父にサウス城へ連れて行ってと泣いてせがんだ。でも、震える声で辛そうに「ごめんな」とだけ言う父を見てからは、何も言えなくなってしまった。
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