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第1章
26.蜜月
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指の付け根まで挿入されたかと思えば、一気に引き抜かれて、また奥まで入れられる。その繰り返しに耐えていると、そろりともう片方の手が秘所の突起に触れた。
「んああぁっ!」
「はは、ユキちゃん、これ好きやな……かわいい声出して」
「ん、んぅっ……!」
「あれ、我慢せんといてや? その声聞いたら、余計そそられるし」
「や、やだっ……! ん、ん、ぅんっ……」
「ユキちゃん、ほんまに強情やなぁ……ま、そこがかわいいんやけど」
ソウが耳元でささやく。心なしかソウの息遣いも荒く熱っぽくて、それがまたわたしの熱を上げていくような気がした。
中に入れられた指と、突起を擦る指、それに耳元で感じるソウの吐息のせいで、体の奥からぞわぞわとした感覚が襲ってくる。
この感覚も、思い出した。体の熱が解放されるような、頭の中が真っ白になって閃光が走るような感覚だ。
なんとかやり過ごそうと体を捩るが、責める手はやみそうにない。それどころか一層激しく責められて、我慢していた声も喉の奥から出てきてしまう。
「あ、そ、そうっ、へん、へんなの、とめてぇ……!」
「ん、イきそう? とめへんよ、いくとこ見して?」
「あ、やだ、みないでっ、ぅあ、き、きちゃうっ……!」
「きちゃう、やのうて、イく、言うんやで? ほら、いっぺんイっとき」
「んあ、う、うぅ、あっ、あああぁっ!」
体中が痙攣したかと思うと、そのあと一気に力が抜けた。はあはあと肩で息をしていると、背中からソウの熱が遠ざかる。そして、ベッドに優しく横たえられた。
「あ……そ、う……?」
「ユキちゃん……もう、ええ?」
「え……? な、に……」
「もう……我慢、できひん」
言葉の意味が理解できなくて、焦点の合わない目でソウを見つめる。ソウは邪魔くさそうに自分の服を乱暴に脱いで、わたしの上に跨った。
初めて見るソウの裸に、思わず目を奪われてしまう。色白で細身ながら、程よく筋肉がついているのが分かる。自然と上半身から下半身に目線を映して、ぴたりと思考が止まった。
「あっ……!」
「……なに、ユキちゃん。そない見んといてや、恥ずかしい」
「ご、ごめんっ……! あ、その、はじめて、見るからっ……」
「そうなん? コレ、見たん初めて?」
「う、うん……あの、彫刻、とか、絵画では、見たことあるけど……でも、なんか、その……違う、というか」
「違う?」
「う、ん……だって、絵で見たのより、おっきい、からっ……その、びっくりして……」
言い終わる前に、ソウがわたしに覆いかぶさってきた。
驚く間もなく、荒々しく口づけられる。そして今度はゆっくりとした動作で、ソウの舌が口内に侵入してくる。好きなように口内を動き回ってから、満足したのかそっと唇が離れていった。
「……もう、ユキちゃんそれ、わざと?」
「はぁ、え……? なにが……?」
「無意識やから怖いわぁ、この子……」
ソウの頬が珍しく朱に染まっている。その理由はよく分からないが、恥ずかしいのは自分だけではないと思うと少し安心した。
「……ほな、今からそのおっきいの、入れんで」
安心したのもつかの間、ソウがその熱い滾りを秘所に擦り付けてくる。それだけでくちゅくちゅと音を立ててしまうのと、触れたソウのそれが思いのほか熱くて、思わず息を詰めて体を強張らせる。無意識のうちにそれから逃げようと腰が引けてしまうが、ソウががっしりとわたしの腰を掴んで引き止めた。
「っあ、ま、待って……! それ、ほんとに入れる、の……?」
「入れんで。リサちゃんに聞いたんやろ?」
「きっ、聞いたけど! は、はいらない、んじゃないかなぁ……」
ちらりと、ソウの下半身に目線をやる。
そういう行為をするとき、痛みを感じることもあると聞いたが、それはおそらくこれを挿入するときだろうと想像がついた。さっき指を入れられたときでさえ苦しかったのに、こんなのを入れられてしまったら痛いに決まっている。
「入るって。こんだけ濡れてたら」
「ん、んぅっ……! あ、い、痛く、しないっ……?」
「……努力は、する」
「えええっ!? や、やっぱりだめっ!」
覆いかぶさるソウの身体をどかそうとじたばたするが、敵うわけがない。腕の中にしっかりと閉じ込められてしまって、さっきよりも体が密着する。濡れてしまったそこに、ソウの先端が様子を窺うように触れてきた。
「う、あ……こ、こわいっ……!」
「大丈夫やから……力抜いて、力入ってたら余計痛いで?」
「んっ、はぁ、そう、まってぇ……!」
「ごめん、もう、待たれへん……!」
ソウが切羽詰ったような声で言うと、ぐっと腰を押し進めてくる。微かに水音がして、中に熱い塊が入ってくるのが分かった。じわじわと、体内が拡げられていくような未知の感覚からなんとか逃れようと、ソウの首にしがみついた。
しばらく目を瞑りながら、ソウを受け入れようと必死で息をする。
「っふ、ううっ……も、はいっ、た……?」
「ん、あと、少しだけ……」
「あっ、うああっ!!」
さらに体の奥をこじ開けるように、一気に根本までずっぷりと挿入されたのが分かった。中がひくひくと痙攣するような感覚と、不思議と満たされたような昂揚感があった。
「っく、全部入ったで……分かる?」
「う、ん……わ、わかるっ……!」
「痛い?」
「す、すこしだけ……でも、だいじょうぶ」
「……よかった」
ソウの額に、汗が滲んでいる。なにかを我慢するように眉根を寄せているその姿が、ひどく色っぽく見えて仕方ない。汗を拭ってあげようと、そっと手を伸ばす。
「汗、かいてるよ……」
「……ん、ボクも必死やねん」
「ふふ、いっしょ、だね」
不安と恐怖はもう消えていて、今はただソウがいとおしかった。こんなに余裕のないソウを見るのは初めてかもしれない。
ソウの汗を手で拭いながら笑っていると、ソウもまたわたしの額に手を添える。そのまま頭をそっと撫でられるのが心地よくて、目を瞑る。緊張感がほぐれたせいか、頭がぼんやりとして、少しだけ眠くなってきた。
「……ユキちゃん? まさか、これで終わりやと思てる?」
「へ……? お、終わり、じゃないの!?」
「これで終わったら生殺しもええとこやで……馴染んできたみたいやから、動くで」
「え……あ、ああっ! ま、まって……!」
「待たれへん、言うたやろっ……!」
一気に中のものが引き抜かれたかと思うと、間髪入れずに再び奥の奥まで突き上げられた。短く悲鳴をあげるが、ソウはおかまいなく動き続ける。
お腹の奥まで押し上げられるような感覚に、声を止めようと思ってもできない。あえぎ声というよりもうめき声に近い声が漏れてしまって、恥ずかしくて仕方ない。
「っはぁ、ユキちゃん、どう? 気持ちようなってきた?」
「うぅ、わ、わかんない、よぉっ……も、やめてっ……!」
「ほら、ユキちゃんのここ、ボクのぜーんぶ、咥えこんでんで? わかる?」
「あっ、やだぁ……もう、いいでしょっ? もう、終わってぇ……!」
「まだや……ユキちゃんの中に、ボクの精液、流しこんだら、終わりにしたる」
「はぁ、あっ、せー、えきぃ……?」
聞きなれない言葉の意味を尋ねようと聞き返すが、ソウは荒い息を吐くだけで教えてはくれない。
何がなんだかよくわからないまま、ソウのものがある一点を掠めると、ふいに全身に電流が流れるような感覚がして、反射的に背中を反らした。
「あっ、あああっ!」
「く、締まる……! ユキちゃん、気持ちいいとこ、当たったんちゃう?」
「うああっ、あっ、そこだめっ、へんになるっ……!」
「うん、変になるとこも、全部見して……!」
弱いところを重点的に擦られると、苦しいだけではなく別の感覚が襲ってくる。
──気持ちいい。
さっき、指を入れられたときからずっと続いていたこの感覚が、快感なのだろうか。そう認識してしまえば、あとはもうその快感に身を任せることしかできなくなっていた。低くうめくような声も、いつしか甲高く、自分のものではないようないやらしい声に変わっていく。
「あっ、そ、そうぅ……! あんっ、やだ、これぇ……!」
「っふふ、気持ちよさそう、やな……ユキちゃん、かわいい……めちゃくちゃにしたい」
「や、だぁ……!」
「やだ、ちゃうやろ? 気持ちいいんやろ? ユキちゃんの中に、もうすぐ、出したるからなっ……」
「んああっ、やん、やぁっ……!」
もうソウの言葉も頭に入ってこない。ただただ、自分の中の熱と、それによる快感と、覆いかぶさったソウの温もりだけを感じていた。
ソウの動きが一層早くなって、皮膚と皮膚とがぶつかる音が部屋に響く。今はもうそれすらも興奮を高めていく要因でしかない。
気持ちよくて、仕方がない。生まれて初めて感じる快感と、体内が満たされる幸福感にわたしは酔いしれた。
「あ、あ、あ、ああんっ、そうっ、そう、そうぅっ……!」
「ぐっ……中に、出すでっ……うっ、ユキちゃんっ……!」
「そうっ……! あ、あんっ、んあっ、もう、だめぇっ……!」
「で、るっ……ユキっ……!」
次の瞬間、自分の中の一番深いところに、熱いなにかが注ぎ込まれるような気がした。微かに、ソウのものが脈打っているのを感じる。
いつの間にかソウの背中に回っていた腕を、力なくベッドに落とした。
「は、はぁ、そ、う……おわ、った……?」
「はぁ……うん、終わり、やで。ユキちゃん、よう頑張ったな」
そう言って、ソウが優しく頭を撫でる。それが素直に嬉しくて、力の入らないまま、精一杯の笑顔を見せた。すると中で脈打っていたソウのものがびくりと動いて、それに連動するようにわたしの中もきゅんと疼くのが分かった。
ソウが苦笑しながら、抜くで、と中のものをずるりと引き抜いた。
「う、あっ……」
引き抜かれた瞬間、中からどろりと何かがこぼれ出るのを感じて、思わず声が出た。
その流れ出てきた液体をソウが自分の手で掬って、わたしの眼前に持ってくる。白く濁ってどろどろとしたそれを、まじまじと見つめた。
「これが、精液や。ああ、ユキちゃんから出てきたんも混ざってるけど」
「せい、えき……」
「そ。これをユキちゃんの中に出したら、赤ちゃんができるんやで」
「あ……じゃあ、赤ちゃん、できたかもしれない、の……?」
「んー、まあ可能性はゼロではないな。簡単にはできひんけど」
「そう、なんだ……」
「……赤ちゃん、ほしい?」
赤ちゃん。
今まで、漠然と将来産むのだろうかと思ったことはあるが、しっかり考えたことがなかった。こうして、ソウと子どもができるかもしれない行為をして、初めて考える。
ソウとの子どもが生まれたら。
本当に、ソウとわたしを足して二で割ったような子が産まれるのかな。
ものすごくやんちゃに育ったらどうしよう。それより、ソウに似て意地悪な顔が似合う子が産まれたら、なんだか複雑だな。
そんなことを想像して、一人でふふっと笑ってしまった。
「ユキちゃん?」
「あ、ごめん……ソウみたいな顔の子が産まれたら、将来その子に恨まれそうだなって思ったらおかしくて」
「なんでやねん、めちゃくちゃ美形やん」
「あはは!」
思いっきり笑うと、むに、とほっぺたをつねられた。冗談だよ、と弁解しながらも、まだくすくすと笑ってしまう。
「……ま、子どもはしばらく先やな」
「どうして?」
「どうしてって、子どもができたらユキちゃんとこ独り占めできひんようなるやん」
そう言って、啄むようなキスをされる。子供じゃないんだから、とまた笑ったが、わたしもまだしばらくはソウと二人の時間を過ごしたいと思ったのは事実だった。
そのうち自然と赤ちゃんができて、産まれて、二人で育てることができたらどんなに幸せだろう。
ずっと、ソウと一緒に、ソウの隣で過ごしたい。幼い頃からの夢は、いつの間にか叶えられるようになっていた。
言葉にできないほどの幸福感に包まれて、わたしは初めて自分からソウに口づけた。
「んああぁっ!」
「はは、ユキちゃん、これ好きやな……かわいい声出して」
「ん、んぅっ……!」
「あれ、我慢せんといてや? その声聞いたら、余計そそられるし」
「や、やだっ……! ん、ん、ぅんっ……」
「ユキちゃん、ほんまに強情やなぁ……ま、そこがかわいいんやけど」
ソウが耳元でささやく。心なしかソウの息遣いも荒く熱っぽくて、それがまたわたしの熱を上げていくような気がした。
中に入れられた指と、突起を擦る指、それに耳元で感じるソウの吐息のせいで、体の奥からぞわぞわとした感覚が襲ってくる。
この感覚も、思い出した。体の熱が解放されるような、頭の中が真っ白になって閃光が走るような感覚だ。
なんとかやり過ごそうと体を捩るが、責める手はやみそうにない。それどころか一層激しく責められて、我慢していた声も喉の奥から出てきてしまう。
「あ、そ、そうっ、へん、へんなの、とめてぇ……!」
「ん、イきそう? とめへんよ、いくとこ見して?」
「あ、やだ、みないでっ、ぅあ、き、きちゃうっ……!」
「きちゃう、やのうて、イく、言うんやで? ほら、いっぺんイっとき」
「んあ、う、うぅ、あっ、あああぁっ!」
体中が痙攣したかと思うと、そのあと一気に力が抜けた。はあはあと肩で息をしていると、背中からソウの熱が遠ざかる。そして、ベッドに優しく横たえられた。
「あ……そ、う……?」
「ユキちゃん……もう、ええ?」
「え……? な、に……」
「もう……我慢、できひん」
言葉の意味が理解できなくて、焦点の合わない目でソウを見つめる。ソウは邪魔くさそうに自分の服を乱暴に脱いで、わたしの上に跨った。
初めて見るソウの裸に、思わず目を奪われてしまう。色白で細身ながら、程よく筋肉がついているのが分かる。自然と上半身から下半身に目線を映して、ぴたりと思考が止まった。
「あっ……!」
「……なに、ユキちゃん。そない見んといてや、恥ずかしい」
「ご、ごめんっ……! あ、その、はじめて、見るからっ……」
「そうなん? コレ、見たん初めて?」
「う、うん……あの、彫刻、とか、絵画では、見たことあるけど……でも、なんか、その……違う、というか」
「違う?」
「う、ん……だって、絵で見たのより、おっきい、からっ……その、びっくりして……」
言い終わる前に、ソウがわたしに覆いかぶさってきた。
驚く間もなく、荒々しく口づけられる。そして今度はゆっくりとした動作で、ソウの舌が口内に侵入してくる。好きなように口内を動き回ってから、満足したのかそっと唇が離れていった。
「……もう、ユキちゃんそれ、わざと?」
「はぁ、え……? なにが……?」
「無意識やから怖いわぁ、この子……」
ソウの頬が珍しく朱に染まっている。その理由はよく分からないが、恥ずかしいのは自分だけではないと思うと少し安心した。
「……ほな、今からそのおっきいの、入れんで」
安心したのもつかの間、ソウがその熱い滾りを秘所に擦り付けてくる。それだけでくちゅくちゅと音を立ててしまうのと、触れたソウのそれが思いのほか熱くて、思わず息を詰めて体を強張らせる。無意識のうちにそれから逃げようと腰が引けてしまうが、ソウががっしりとわたしの腰を掴んで引き止めた。
「っあ、ま、待って……! それ、ほんとに入れる、の……?」
「入れんで。リサちゃんに聞いたんやろ?」
「きっ、聞いたけど! は、はいらない、んじゃないかなぁ……」
ちらりと、ソウの下半身に目線をやる。
そういう行為をするとき、痛みを感じることもあると聞いたが、それはおそらくこれを挿入するときだろうと想像がついた。さっき指を入れられたときでさえ苦しかったのに、こんなのを入れられてしまったら痛いに決まっている。
「入るって。こんだけ濡れてたら」
「ん、んぅっ……! あ、い、痛く、しないっ……?」
「……努力は、する」
「えええっ!? や、やっぱりだめっ!」
覆いかぶさるソウの身体をどかそうとじたばたするが、敵うわけがない。腕の中にしっかりと閉じ込められてしまって、さっきよりも体が密着する。濡れてしまったそこに、ソウの先端が様子を窺うように触れてきた。
「う、あ……こ、こわいっ……!」
「大丈夫やから……力抜いて、力入ってたら余計痛いで?」
「んっ、はぁ、そう、まってぇ……!」
「ごめん、もう、待たれへん……!」
ソウが切羽詰ったような声で言うと、ぐっと腰を押し進めてくる。微かに水音がして、中に熱い塊が入ってくるのが分かった。じわじわと、体内が拡げられていくような未知の感覚からなんとか逃れようと、ソウの首にしがみついた。
しばらく目を瞑りながら、ソウを受け入れようと必死で息をする。
「っふ、ううっ……も、はいっ、た……?」
「ん、あと、少しだけ……」
「あっ、うああっ!!」
さらに体の奥をこじ開けるように、一気に根本までずっぷりと挿入されたのが分かった。中がひくひくと痙攣するような感覚と、不思議と満たされたような昂揚感があった。
「っく、全部入ったで……分かる?」
「う、ん……わ、わかるっ……!」
「痛い?」
「す、すこしだけ……でも、だいじょうぶ」
「……よかった」
ソウの額に、汗が滲んでいる。なにかを我慢するように眉根を寄せているその姿が、ひどく色っぽく見えて仕方ない。汗を拭ってあげようと、そっと手を伸ばす。
「汗、かいてるよ……」
「……ん、ボクも必死やねん」
「ふふ、いっしょ、だね」
不安と恐怖はもう消えていて、今はただソウがいとおしかった。こんなに余裕のないソウを見るのは初めてかもしれない。
ソウの汗を手で拭いながら笑っていると、ソウもまたわたしの額に手を添える。そのまま頭をそっと撫でられるのが心地よくて、目を瞑る。緊張感がほぐれたせいか、頭がぼんやりとして、少しだけ眠くなってきた。
「……ユキちゃん? まさか、これで終わりやと思てる?」
「へ……? お、終わり、じゃないの!?」
「これで終わったら生殺しもええとこやで……馴染んできたみたいやから、動くで」
「え……あ、ああっ! ま、まって……!」
「待たれへん、言うたやろっ……!」
一気に中のものが引き抜かれたかと思うと、間髪入れずに再び奥の奥まで突き上げられた。短く悲鳴をあげるが、ソウはおかまいなく動き続ける。
お腹の奥まで押し上げられるような感覚に、声を止めようと思ってもできない。あえぎ声というよりもうめき声に近い声が漏れてしまって、恥ずかしくて仕方ない。
「っはぁ、ユキちゃん、どう? 気持ちようなってきた?」
「うぅ、わ、わかんない、よぉっ……も、やめてっ……!」
「ほら、ユキちゃんのここ、ボクのぜーんぶ、咥えこんでんで? わかる?」
「あっ、やだぁ……もう、いいでしょっ? もう、終わってぇ……!」
「まだや……ユキちゃんの中に、ボクの精液、流しこんだら、終わりにしたる」
「はぁ、あっ、せー、えきぃ……?」
聞きなれない言葉の意味を尋ねようと聞き返すが、ソウは荒い息を吐くだけで教えてはくれない。
何がなんだかよくわからないまま、ソウのものがある一点を掠めると、ふいに全身に電流が流れるような感覚がして、反射的に背中を反らした。
「あっ、あああっ!」
「く、締まる……! ユキちゃん、気持ちいいとこ、当たったんちゃう?」
「うああっ、あっ、そこだめっ、へんになるっ……!」
「うん、変になるとこも、全部見して……!」
弱いところを重点的に擦られると、苦しいだけではなく別の感覚が襲ってくる。
──気持ちいい。
さっき、指を入れられたときからずっと続いていたこの感覚が、快感なのだろうか。そう認識してしまえば、あとはもうその快感に身を任せることしかできなくなっていた。低くうめくような声も、いつしか甲高く、自分のものではないようないやらしい声に変わっていく。
「あっ、そ、そうぅ……! あんっ、やだ、これぇ……!」
「っふふ、気持ちよさそう、やな……ユキちゃん、かわいい……めちゃくちゃにしたい」
「や、だぁ……!」
「やだ、ちゃうやろ? 気持ちいいんやろ? ユキちゃんの中に、もうすぐ、出したるからなっ……」
「んああっ、やん、やぁっ……!」
もうソウの言葉も頭に入ってこない。ただただ、自分の中の熱と、それによる快感と、覆いかぶさったソウの温もりだけを感じていた。
ソウの動きが一層早くなって、皮膚と皮膚とがぶつかる音が部屋に響く。今はもうそれすらも興奮を高めていく要因でしかない。
気持ちよくて、仕方がない。生まれて初めて感じる快感と、体内が満たされる幸福感にわたしは酔いしれた。
「あ、あ、あ、ああんっ、そうっ、そう、そうぅっ……!」
「ぐっ……中に、出すでっ……うっ、ユキちゃんっ……!」
「そうっ……! あ、あんっ、んあっ、もう、だめぇっ……!」
「で、るっ……ユキっ……!」
次の瞬間、自分の中の一番深いところに、熱いなにかが注ぎ込まれるような気がした。微かに、ソウのものが脈打っているのを感じる。
いつの間にかソウの背中に回っていた腕を、力なくベッドに落とした。
「は、はぁ、そ、う……おわ、った……?」
「はぁ……うん、終わり、やで。ユキちゃん、よう頑張ったな」
そう言って、ソウが優しく頭を撫でる。それが素直に嬉しくて、力の入らないまま、精一杯の笑顔を見せた。すると中で脈打っていたソウのものがびくりと動いて、それに連動するようにわたしの中もきゅんと疼くのが分かった。
ソウが苦笑しながら、抜くで、と中のものをずるりと引き抜いた。
「う、あっ……」
引き抜かれた瞬間、中からどろりと何かがこぼれ出るのを感じて、思わず声が出た。
その流れ出てきた液体をソウが自分の手で掬って、わたしの眼前に持ってくる。白く濁ってどろどろとしたそれを、まじまじと見つめた。
「これが、精液や。ああ、ユキちゃんから出てきたんも混ざってるけど」
「せい、えき……」
「そ。これをユキちゃんの中に出したら、赤ちゃんができるんやで」
「あ……じゃあ、赤ちゃん、できたかもしれない、の……?」
「んー、まあ可能性はゼロではないな。簡単にはできひんけど」
「そう、なんだ……」
「……赤ちゃん、ほしい?」
赤ちゃん。
今まで、漠然と将来産むのだろうかと思ったことはあるが、しっかり考えたことがなかった。こうして、ソウと子どもができるかもしれない行為をして、初めて考える。
ソウとの子どもが生まれたら。
本当に、ソウとわたしを足して二で割ったような子が産まれるのかな。
ものすごくやんちゃに育ったらどうしよう。それより、ソウに似て意地悪な顔が似合う子が産まれたら、なんだか複雑だな。
そんなことを想像して、一人でふふっと笑ってしまった。
「ユキちゃん?」
「あ、ごめん……ソウみたいな顔の子が産まれたら、将来その子に恨まれそうだなって思ったらおかしくて」
「なんでやねん、めちゃくちゃ美形やん」
「あはは!」
思いっきり笑うと、むに、とほっぺたをつねられた。冗談だよ、と弁解しながらも、まだくすくすと笑ってしまう。
「……ま、子どもはしばらく先やな」
「どうして?」
「どうしてって、子どもができたらユキちゃんとこ独り占めできひんようなるやん」
そう言って、啄むようなキスをされる。子供じゃないんだから、とまた笑ったが、わたしもまだしばらくはソウと二人の時間を過ごしたいと思ったのは事実だった。
そのうち自然と赤ちゃんができて、産まれて、二人で育てることができたらどんなに幸せだろう。
ずっと、ソウと一緒に、ソウの隣で過ごしたい。幼い頃からの夢は、いつの間にか叶えられるようになっていた。
言葉にできないほどの幸福感に包まれて、わたしは初めて自分からソウに口づけた。
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※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
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