【R18】約束の花を、きみに

染野

文字の大きさ
44 / 77
第2章

11.可愛がってください、ご主人様

しおりを挟む
 ソウの瞳を見つめながらそう言うと、なぜかその場にへなへなと蹲ってしまった。どうしたのかと様子を窺いたいが、拘束されているせいでソウに触れることができない。遠慮がちに名前を呼ぶと、潰れそうなくらい強く体を抱きすくめられた。

「……あかん。これ、誰の入れ知恵?」
「え……あ、アンナさんと、リサちゃん」
「やっぱりな……ほんま、ボクの心臓もたへんわ」

 そう言うと、今度は優しく口付けながらソウの右手がわたしの胸に触れた。
 なんだか、いつもと違う気がする。やわやわと優しく触られていると、それだけで体の奥が疼いた。慣れないことをして、体までおかしくなってしまったのだろうか。
 胸を覆う薄い生地の上から、指で胸の頂を優しく擦られる。途端に口から甘い声が漏れ出てしまって、わたしは慌ててぎゅっと口を噤んだ。

「我慢したらあかんよ。ユキちゃんの声、全部聞かして」
「で、でもっ……! ふ、うんんっ……!」
「……へえ? ご主人様の言うこと、聞かれへんの?」
「うっ……わ、わかった……」

 不本意ながらも頷くと、ソウは満足気に笑ってから再び胸を弄りはじめた。指の腹で先端を擦られているだけなのに、体が跳ねてしまいそうなほど気持ちいい。
 このいつもと違うおかしな状況のせいで、わたし自身の体もおかしくなってしまったようだ。いつの間にか肩にかけていたケープも簡単に剥がされていて、昨日のわたしのささやかな抵抗は一瞬で無駄になった。

「ユキちゃん、これだけで気持ちいいん? ほら、服の上からでも分かるくらいココ立ってんで?」
「いやぁっ……! 言わないでっ……!」
「これだけでそない気持ちいいんやったら……こっち弄ったら、どないなってまうんやろね?」
「あっ……!」

 胸への愛撫をやめたかと思うと、ソウの手がわたしの体をなぞりながら下腹部へいくのが分かった。そしてスカートの中へ潜り込んだかと思うと、下着の上から敏感な場所をなぞられる。

「ああっ……! そ、うっ……そこ、だめぇっ……!」
「あーあ……ユキちゃん、もう下着びしょ濡れやで? せっかく可愛いのつけてるんやし、こない濡らしたらあかんやん」
「い、いやぁっ……!」
「んー、このスカート邪魔やから脱がしてもええ?」
「あ……っ、だ、だめっ!」

 わたしの返事を聞く前に、下半身を隠していたスカートまでもが取り払われた。あとはもう、下着姿も同然である。いや、普段の下着姿よりもずっと恥ずかしい格好だ。

「うっわ……紐パンにガーターベルトて、ほんま男の浪漫やな……」
「ひ、も……?」
「違うな、好きな子が着てるからこない興奮するんやろな。……はあ、ユキちゃんの今の格好、写真に撮っておきたいわ……」
「な、なに言ってるの!?」
「冗談やん。間違っても他の男に見せたないし、ボクの目に焼き付けておくわ」

 ソウはなぜかしみじみとため息をつきながら、わたしの格好を舐めるように見回している。
 どうやら、一応喜んでくれてはいるらしい。それだけで、こんな恥ずかしい格好をした甲斐があったというものだ。でもできれば、そろそろちゃんとした服を着せてほしい。

「ねえソウ、もう着替えてもいい? この手枷、外してほしいんだけど……」

 そう言って、リサに付けられたリストバンドを掲げる。その瞬間、それまでしみじみと感嘆していたソウが血相を変えて叫んだ。

「何言うてるの! まだ全然楽しんでないやん!」
「は、はぁ……あの、この格好、そんなに気に入ってくれたの?」
「気に入るどころの話ちゃうで……まさかユキちゃんが、ボクのためにこないえっちな格好してくれるやなんて、夢にも思えへんかったわ」

 言いながら、啄むように頬に口付けられる。
 恥ずかしさは消えるはずもないが、ここまで喜んでくれたならこのプレゼントも大成功だ。
 嬉しくなって、改めてソウのためにできることをしたいと思った。そこでふと、昨日アンナに教えられたもう一つの「提案」を思い出す。
 昨日それを聞いたときは、まさかそんなことができるはずがないと思っていた。でも、今ならできる気がする。勇気を出して、それを口にしてみた。

「そ、ソウ……? あの、ね……」
「ん? どしたん?」
「……そ、ソウの、その……触っても、いい……?」
「……え?」

 勇気を出したはいいが、なんと説明したらいいのか分からない。とりあえず曖昧な言葉でお願いしてみたが、ソウはそれだけで何かを察したようだ。

「……もしかして、ボクのん、触りたいいうこと?」
「う……うん。だめ?」
「……ボクの、手ぇとか髪を触りたいだけやった、とかいうオチはなしやで。分かってるん?」
「わ、分かってるよ! あの、いつも、ソウにされてばっかりだから……今日は、わたしが、その……っ」

 そこまで言うと、ソウが自分の前髪をくしゃりと握った。この仕草は、照れている証拠だ。思わずそんなソウの姿にときめいてしまう。
 今さらだが、わたしは相当ソウのことが好きみたいだ。
 そんなことを考えていたら、ソウがおもむろにわたしの手首に付けられた枷を外してくれる。ようやく手が自由になってほっとしたのもつかの間、その手をソウに引っ張られ体を起こされる。そして、あぐらをかいて座るソウの目の前に正座する形になった。

「……ボクがやり方教えるから。嫌んなったらすぐ言うて」
「う、うん」
「ほな……ユキちゃん、脱がしてくれへん?」
「ええっ!?」
「……ユキちゃんから言うたんやで」
「わ、わかりました! そんな目で見ないでよっ……!」

 深呼吸して、息を整えてから恐る恐るソウの夜着に手をかけた。そして、その下にある下着にも。こんなことをするのは初めてだ。
 下着の上からでも、ソウのものが主張しているのが分かってしまう。それにはあまり目を向けないようにしながら、そっと下着を取り払った。

「……ほな次は、両手で触って」
「え、えっと……こう……?」

 そっと両手で包み込むと、わずかにソウの身体が跳ねた。それと同時に、触れているわたし自身もその熱さと質量に驚いて、思わず手を引っ込めそうになる。ぐっと堪えて、優しくそれを握るとソウが次の指示を出した。

「っ……そのまま、上下に動かして。あんまりぎゅって握ったらあかんよ」
「は、い……」

 言われた通り、両手をゆっくり動かし始める。こうして改めて触れてみると、こんなものを今まで体の中に受け入れていたのかと、今さらのことながら恐ろしくなった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた

鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。 幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。 焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。 このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。 エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。 「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」 「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」 「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」 ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。 ※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。 ※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。

処理中です...