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第4章
7.悄然と激情
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夜、ベッドに入る時間になっても、わたしの心にはずっしりと重りが乗ったようだった。
誰かに相談できればいいのかもしれないが、リサは城にいないし、こんな話をソウにできるはずもない。それに、これはわたしだけの問題ではない。軽々しく人に話したら、それこそトーヤを傷つけることになってしまう。
そんなことを考えていたら前にも後ろにも進めなくて、ただ胸の内でこのもやもやを抱えることしかできなかった。
「ただいまぁ、ユキちゃん。あれ、まだベッド入ってへんの?」
「あ、お、おかえり……」
ソファに座ってぼーっとしていたわたしを見て、ソウが笑った。それから、ベッドに入って手招きをする。
とても寝られるような心境ではなかったが、ここで断っても変に思われるだろう。仕方なく、重い腰を上げてベッドに入った。
「なあ、ユキちゃん。今日は何があったん?」
「えっ……?」
「そやから、何があったん、て聞いてるんやけど」
「べ、別に……特に何も、ないけど……?」
ぎこちなくそう答えた瞬間、強引に口付けられた。驚いて思わずソウの肩を突き飛ばすと、ソウがにやりと怪しく口角を上げる。
この表情は、怒っているときだ。
「……これ、最後のチャンスな。何があったか、教えてくれへん?」
「あっ……だ、だから、何もないって……! きゃあっ!?」
答え終わる前にびりっと大きな音がして、ソウがわたしの夜着の襟を掴んで引き裂いたのが分かった。その音と、常にはないソウの態度にわたしは驚いて固まってしまう。
引き裂かれて露わになった首筋から胸元にかけてを、ソウの手が妖しく這う。そしてある一点でその手を止めた。
「何もない、ねぇ……ほな、このキスマークはどこで付けられたんかなぁ?」
「えっ……!?」
「なんや、気付いてなかったん? ほら、自分で見てみいや」
そう吐き捨てながら、ソウはベッドサイドに置かれていた小さな鏡を乱雑にわたしに手渡した。恐る恐るそれを覗くと、首筋にはっきりと赤い鬱血痕が見えた。ソウに何度も付けられたことがあるそれと同じものだ。
「ボクが付けたんとちゃうよな? ほな、どこで付けてもろたん?」
「あっ……!」
ソウの声がいつもより少しだけ低い。それだけで、ソウが怒っているのが分かる。
恐怖の中、わたしはこのキスマークがどこで付けられたものであるのかすぐ心当たりに辿り着いた。
昼間、トーヤに押し倒されたときだ。しかし、そんなことを今のソウにうまく説明できるわけがない。
「あ、えっと……! 虫に、刺されたのかもっ」
「嘘言いな。誰がどう見てもキスマークやろ」
「うっ……」
「……へえ、隠すんや。てことは、浮気したいうことか」
「はっ……!? ち、違うよ! そんなことするわけないっ!」
「ほな言えるやろ、誰にされてん」
ここでトーヤの名前を出してしまったら、トーヤがソウに責められてしまう。トーヤは悪くないのに。けれど、こうなった経緯を説明するには、トーヤの思いまで話さなくてはならなくなる。わたしが、たとえソウにであっても話していいことではない。
どうやってソウの怒りを鎮めようか考えていると、ソウの低い声が響いた。
「トーヤくんやろ」
「えっ……!?」
「さっき本人に聞いてん。事情も分かってる。せやからユキちゃんが正直に話してくれたら、許したろ思てたんやけど……まさか、嘘言われるとはなぁ」
「き、聞いたって……なんで……!?」
「トーヤくんがユキちゃんに告白したいうことも聞いたで。陰でこそこそするんは性に合わへんし、ユキちゃんはもうボクのもんやから言うとかなあかん、やって。真面目な子やわ、ほんまに」
トーヤがそこまでしていたとは思わなかった。それと同時に、トーヤがどれだけわたしとソウの幸せを願ってくれているのかが分かって、胸を締め付けられる思いがした。
「それに比べて、ユキちゃんはほんまひどい子やなぁ。トーヤくんの気持ち知りながら部屋まで上がり込んで、それでちょっと脅かされたら泣いて……いつからそない悪い子になったん?」
「そっ……そんな言い方しなくたって……!」
「あれぇ? ボクなんか間違うたこと言うてる? 今回の件に関しては、ユキちゃんが悪いと思わへん?」
「それは……思う、けどっ……わたしだって、どうしたらいいか分かんないよ!」
叫びながら自然と涙が出てきてしまう。今は泣きたくないのに。
きっと、今わたしが泣いたところでソウの怒りは収まらないだろう。案の定、わたしが泣きながら叫ぶのを見てソウは冷たく笑った。
「はっ、泣いたら許してもらえるとでも思てるん? これやから温室育ちのお姫様は……甘えるんもええ加減にしい」
「なん、でっ……なんでソウ、そんなに怒ってっ……きゃあっ!」
手首を掴まれて勢いよくベッドに引き倒される。ソウにこれほどまで怒りをぶつけられるのは初めてだ。
確かに、わたしのとった行動は軽率だった。トーヤを傷つけたうえに、それを隠してしまったことでソウにも不快な思いをさせてしまった。トーヤにそうしたように、ソウにもきちんと謝らなければならない。
けれど、配慮のかけらも感じられないソウの言葉に、わたしは素直に謝ることができなくなってしまった。
「……なんなん、その目」
「っ……別に、なにも……」
「なにも、ちゃうやろ。ボクに言うことあるんちゃう?」
ソウの手のひらが、ゆっくりとわたしの顔の輪郭をなぞった。両手は一纏めにされて、ソウの左手で強く押さえつけられている。その力がじわじわと強くなってきて、わたしは思わず顔をしかめた。
きっとソウは、わたしが謝るのを待っている。さっさと謝ればいいのに、先ほどのソウの言葉を認めてしまうようで、わたしの中のいらないプライドが邪魔をした。
「……だんまり、か。ええよ。その方が躾のしがいあるしな」
「し、しつ、け……?」
「せやで。どうやら、ボクの躾が甘かったみたいやからなぁ。ユキちゃんがボクのもんやいうこと、一から教え込まなあかんわ」
「なっ……、わたし、ソウのものじゃなっ……ん、んんんぅっ……!」
まるでわたしのことを物扱いするようなソウの言葉に反論しようとしたが、乱暴に口付けられてそれはかなわなかった。お互いの歯と歯がぶつかるほどの激しい口付けに、わたしは抵抗して頭を振る。
「はぁっ、はっ……ソウ、待ってよっ……!」
「待たへんよ。ボク、ユキちゃんに何回も言うたよな? ボク以外の男に近づかんといてって」
「で、でも……今までだって、トーヤの部屋にはっ……」
「……はぁ。まだ分かってへんの? ほんま、トーヤくんもボクも報われへんわ」
厭味ったらしくため息をついてから、つうっと首筋を舐められる。その感覚に震えると、直後に思い切り歯を立てられた。
「痛っ……! ソウ、やだっ……!」
「……今までも、嫌やったで。キミがトーヤくんの部屋に行くの」
「えっ……!?」
「せやけど、今まではトーヤくんのこと純粋に家族として見てたやろ。ボクかて鬼やないし、大事な家族との時間もあった方がええと思て黙ってた」
「あっ……!」
「……やっと気付いた? トーヤくんに告白されてから、トーヤくんのこと見てるキミはただの女や。家族として見れてないねん」
そこまで言われてようやく気付く。
トーヤの問題ではない。わたしの、トーヤを見る目が変わってしまったからだ。
それなのにぬけぬけと部屋まで行って、その上その事実をソウに隠した。トーヤを庇ったつもりでいたけれど、わたしはただ自分の罪を理解していなかっただけなのだ。
「そ、う……ごめんっ……!」
ソウの辛辣な言葉は、彼がわたしの行動で深く傷付いた証だった。今さらそれも理解して、わたしは泣きながら謝る。けれど。
「……ええよ、今さら謝らんでも。キミに躾するんは変わらへんし」
そう言ってにやりと口を歪めるソウは、たったこれだけの謝罪ではもう許してはくれないらしい。
この時になってようやく、わたしは自分の身の危険を感じたのだった。
誰かに相談できればいいのかもしれないが、リサは城にいないし、こんな話をソウにできるはずもない。それに、これはわたしだけの問題ではない。軽々しく人に話したら、それこそトーヤを傷つけることになってしまう。
そんなことを考えていたら前にも後ろにも進めなくて、ただ胸の内でこのもやもやを抱えることしかできなかった。
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「べ、別に……特に何も、ないけど……?」
ぎこちなくそう答えた瞬間、強引に口付けられた。驚いて思わずソウの肩を突き飛ばすと、ソウがにやりと怪しく口角を上げる。
この表情は、怒っているときだ。
「……これ、最後のチャンスな。何があったか、教えてくれへん?」
「あっ……だ、だから、何もないって……! きゃあっ!?」
答え終わる前にびりっと大きな音がして、ソウがわたしの夜着の襟を掴んで引き裂いたのが分かった。その音と、常にはないソウの態度にわたしは驚いて固まってしまう。
引き裂かれて露わになった首筋から胸元にかけてを、ソウの手が妖しく這う。そしてある一点でその手を止めた。
「何もない、ねぇ……ほな、このキスマークはどこで付けられたんかなぁ?」
「えっ……!?」
「なんや、気付いてなかったん? ほら、自分で見てみいや」
そう吐き捨てながら、ソウはベッドサイドに置かれていた小さな鏡を乱雑にわたしに手渡した。恐る恐るそれを覗くと、首筋にはっきりと赤い鬱血痕が見えた。ソウに何度も付けられたことがあるそれと同じものだ。
「ボクが付けたんとちゃうよな? ほな、どこで付けてもろたん?」
「あっ……!」
ソウの声がいつもより少しだけ低い。それだけで、ソウが怒っているのが分かる。
恐怖の中、わたしはこのキスマークがどこで付けられたものであるのかすぐ心当たりに辿り着いた。
昼間、トーヤに押し倒されたときだ。しかし、そんなことを今のソウにうまく説明できるわけがない。
「あ、えっと……! 虫に、刺されたのかもっ」
「嘘言いな。誰がどう見てもキスマークやろ」
「うっ……」
「……へえ、隠すんや。てことは、浮気したいうことか」
「はっ……!? ち、違うよ! そんなことするわけないっ!」
「ほな言えるやろ、誰にされてん」
ここでトーヤの名前を出してしまったら、トーヤがソウに責められてしまう。トーヤは悪くないのに。けれど、こうなった経緯を説明するには、トーヤの思いまで話さなくてはならなくなる。わたしが、たとえソウにであっても話していいことではない。
どうやってソウの怒りを鎮めようか考えていると、ソウの低い声が響いた。
「トーヤくんやろ」
「えっ……!?」
「さっき本人に聞いてん。事情も分かってる。せやからユキちゃんが正直に話してくれたら、許したろ思てたんやけど……まさか、嘘言われるとはなぁ」
「き、聞いたって……なんで……!?」
「トーヤくんがユキちゃんに告白したいうことも聞いたで。陰でこそこそするんは性に合わへんし、ユキちゃんはもうボクのもんやから言うとかなあかん、やって。真面目な子やわ、ほんまに」
トーヤがそこまでしていたとは思わなかった。それと同時に、トーヤがどれだけわたしとソウの幸せを願ってくれているのかが分かって、胸を締め付けられる思いがした。
「それに比べて、ユキちゃんはほんまひどい子やなぁ。トーヤくんの気持ち知りながら部屋まで上がり込んで、それでちょっと脅かされたら泣いて……いつからそない悪い子になったん?」
「そっ……そんな言い方しなくたって……!」
「あれぇ? ボクなんか間違うたこと言うてる? 今回の件に関しては、ユキちゃんが悪いと思わへん?」
「それは……思う、けどっ……わたしだって、どうしたらいいか分かんないよ!」
叫びながら自然と涙が出てきてしまう。今は泣きたくないのに。
きっと、今わたしが泣いたところでソウの怒りは収まらないだろう。案の定、わたしが泣きながら叫ぶのを見てソウは冷たく笑った。
「はっ、泣いたら許してもらえるとでも思てるん? これやから温室育ちのお姫様は……甘えるんもええ加減にしい」
「なん、でっ……なんでソウ、そんなに怒ってっ……きゃあっ!」
手首を掴まれて勢いよくベッドに引き倒される。ソウにこれほどまで怒りをぶつけられるのは初めてだ。
確かに、わたしのとった行動は軽率だった。トーヤを傷つけたうえに、それを隠してしまったことでソウにも不快な思いをさせてしまった。トーヤにそうしたように、ソウにもきちんと謝らなければならない。
けれど、配慮のかけらも感じられないソウの言葉に、わたしは素直に謝ることができなくなってしまった。
「……なんなん、その目」
「っ……別に、なにも……」
「なにも、ちゃうやろ。ボクに言うことあるんちゃう?」
ソウの手のひらが、ゆっくりとわたしの顔の輪郭をなぞった。両手は一纏めにされて、ソウの左手で強く押さえつけられている。その力がじわじわと強くなってきて、わたしは思わず顔をしかめた。
きっとソウは、わたしが謝るのを待っている。さっさと謝ればいいのに、先ほどのソウの言葉を認めてしまうようで、わたしの中のいらないプライドが邪魔をした。
「……だんまり、か。ええよ。その方が躾のしがいあるしな」
「し、しつ、け……?」
「せやで。どうやら、ボクの躾が甘かったみたいやからなぁ。ユキちゃんがボクのもんやいうこと、一から教え込まなあかんわ」
「なっ……、わたし、ソウのものじゃなっ……ん、んんんぅっ……!」
まるでわたしのことを物扱いするようなソウの言葉に反論しようとしたが、乱暴に口付けられてそれはかなわなかった。お互いの歯と歯がぶつかるほどの激しい口付けに、わたしは抵抗して頭を振る。
「はぁっ、はっ……ソウ、待ってよっ……!」
「待たへんよ。ボク、ユキちゃんに何回も言うたよな? ボク以外の男に近づかんといてって」
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「……はぁ。まだ分かってへんの? ほんま、トーヤくんもボクも報われへんわ」
厭味ったらしくため息をついてから、つうっと首筋を舐められる。その感覚に震えると、直後に思い切り歯を立てられた。
「痛っ……! ソウ、やだっ……!」
「……今までも、嫌やったで。キミがトーヤくんの部屋に行くの」
「えっ……!?」
「せやけど、今まではトーヤくんのこと純粋に家族として見てたやろ。ボクかて鬼やないし、大事な家族との時間もあった方がええと思て黙ってた」
「あっ……!」
「……やっと気付いた? トーヤくんに告白されてから、トーヤくんのこと見てるキミはただの女や。家族として見れてないねん」
そこまで言われてようやく気付く。
トーヤの問題ではない。わたしの、トーヤを見る目が変わってしまったからだ。
それなのにぬけぬけと部屋まで行って、その上その事実をソウに隠した。トーヤを庇ったつもりでいたけれど、わたしはただ自分の罪を理解していなかっただけなのだ。
「そ、う……ごめんっ……!」
ソウの辛辣な言葉は、彼がわたしの行動で深く傷付いた証だった。今さらそれも理解して、わたしは泣きながら謝る。けれど。
「……ええよ、今さら謝らんでも。キミに躾するんは変わらへんし」
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