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第4章
11.壊したのは、きみ
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しかし、しばらくそうしていてもなかなか刺激は訪れない。不思議に思って瞑っていた目を開けてソウを見上げると、何やら難しい顔をして佇んでいた。
「ど、どうしたの……?」
「……ごめん。なんや、さっきのこと思い出してもうて……ユキちゃんのこと壊してもうたらどないしよ、って考えてた」
先程、無理矢理抱いたことを思い出しているのだろう。苦い顔をして考え込んでいるソウを見て、わたしも快感でふわふわしていた思考が戻ってくる。
確かに、さっきの行為は思い出すと泣きたくなるほど辛かった。きっと、ソウにとってもそれは同じなのだろう。ソウと一つになりたい気持ちはあるが、お互いにとって辛い出来事を思い出してまで無理にする必要もない。
今日はやめておこう、とソウに言おうとして起き上がると、突然ソウが思いついたように手を叩いた。
「そや! ボクがユキちゃんとこ抱こうとするから思い出してまうんやな。それやったら、ユキちゃんに抱いてもろたらええわ」
「……は?」
この男はとうとう頭がおかしくなってしまったのだろうか。
何かある度にソウの頬に平手打ちをかましてきたが、それがいけなかったのだろうか。でも、頭は叩いていないはずなのに。
「……あれ。なんでそない可哀想な子を見る目で見てるん?」
「ごめんね、ソウ。わたしが叩きすぎたから……」
頬を撫でながらそう言うと、ソウはへらへらと笑いながら、向かい合って座っているわたしの手をとった。そして、なぜかそのままソウが勢いよくベッドに仰向けに寝転がる。手を掴まれているから当然わたしの身体も傾いて、ベッドに横になったソウの上に倒れ込んでしまった。
「わあっ!? ちょ、ちょっと、何を……!」
「そやから、ユキちゃんに抱いてもらおう思て。きっと、ボクが上になるからユキちゃんとこめちゃくちゃにしてまうんやわ。それやったら、ユキちゃんが上になったら万事解決やろ?」
「はあっ?」
一体この男は何を言っているのか。わたしがソウを抱く、という意味が分からない。
不審な目でソウを見つめていると、焦れたようにわたしの身体を引き寄せた。
「分からへん? ああ、したことないもんなぁ、騎乗位」
「きじょ……?」
「馬乗るみたいに、ボクにこうやって跨ってコレ入れるんや。できる?」
「ま、またがって、いれる……!?」
とんでもない提案をされたことを今更理解して、慌ててソウから離れようとするが、それを許してくれるわけがない。がっちりと体を固定されて身動き一つとれない。
これでは、ソウに無理矢理されるのと大差ないのではないか。しかも、すでにわたしのお尻にはソウの昂ぶったものが直に当たっていて、どうしても意識してしまう。
「そ、そんなのできるわけないでしょ!? そんな、無理に今日しなくたって……!」
「えー、ユキちゃんは我慢できるん? ボクはできひんわぁ」
「ん、んんっ……! ちょっと、ソウ、当たってっ……!」
まだ会話は終わっていないのに、ソウがわたしのお尻をつかんで自身を擦りつけてくる。その熱さを感じて、下腹部が疼くのが分かった。
「ほら、ユキちゃんも欲しいやろ?」
「やっ……でも、こんなのっ……!」
「……ああ、違うわ。素直に言わなあかんな」
躊躇するわたしを無視して、ソウはわたしのお尻を掴んだまま耳元で囁いた。
「……お願い。ユキちゃんの中、入りたい」
それだけで、自分の中からとろりと蜜が滴り落ちるのを感じた。
入れてほしい。ソウが欲しくてたまらない。
「……ど、どうすればいいの?」
「ん……ちょっと腰上げて。そんで、お腹に手ぇついて……」
「うん……あ、んんっ……!」
言われた通り、ソウのお腹に手をついて腰を上げる。ソウに導かれるまま動くと、濡れきった入り口にソウの先端が触れるのが分かった。たったそれだけの刺激で、中が先を促すように収縮する。
そのまま入れてほしかったのに、性器同士が触れ合うところまででソウはわたしの腰から手を離した。あとは自分でやれ、ということだろう。
にやつきながらわたしの動向を見守るソウの顔を窺いながら、ゆっくりと腰を沈めた。
「っふ、んんっ……、あ、あれ……? はいらなっ……!」
「は……、ユキちゃん、焦らさんといて……っ」
「ち、違うの、滑って、入らないのっ……!」
「ああもう、ユキちゃん濡れすぎやねん。ちゃんとここ持って、ほんで入れてみ」
ぬるぬると滑ってしまってうまく入れられずにいると、焦れたソウがわたしの手をとって自身の根本を握らせた。これで押さえて入れろというのだ。
そこまでするんだったら、ソウが入れてくれればいいのに、とは思ったが、わたし自身も焦れていたのでソウの言う通りにした。
「ん……あ、はい、るっ……! あ、ああああっ!」
「くっ……!」
加減が分からず、勢いをつけたせいでいきなり最奥まで入り込んでしまった。その衝撃で、脳天まで電気が走ったように目の前がチカチカする。
「はぁ、もう……痛ない? 大丈夫?」
「う、んっ……はぁっ、きもち、いいっ……!」
「なっ……、ユキちゃん、えろっ……!」
挿入しただけで達しそうになってしまった。なんとかそれは防げたものの、その衝撃はわたしの残った理性の欠片を粉々にするには十分すぎた。
その後どうすればいいかなんて分かるはずもない。ただ本能の赴くままに、ゆるゆると腰を動かして快感を貪った。
「はあ、くっ……、ユキちゃん、スイッチ入ってもた? えっちなユキちゃんも、大好きやで」
「あ、あっ、すき、わたしも、そうのことだいすきっ……!」
「もうっ……! あかんわ、今日のユキちゃん心臓に悪いっ……!」
上体を起こして腰を振っていたわたしの手を、ソウが掴んで自分の方に引き寄せた。わたしの身体は簡単に傾いて、ぱたりとソウの身体に身を預ける。
少ししか動いていないはずなのに、随分と体力を消耗してしまったようだ。ソウはいつもこれ以上に動いているのに、平気な顔で二回目に突入することもある。ソウは体力があるんだなあ、と変なところで感心している自分がいた。
「ど、どうしたの……?」
「……ごめん。なんや、さっきのこと思い出してもうて……ユキちゃんのこと壊してもうたらどないしよ、って考えてた」
先程、無理矢理抱いたことを思い出しているのだろう。苦い顔をして考え込んでいるソウを見て、わたしも快感でふわふわしていた思考が戻ってくる。
確かに、さっきの行為は思い出すと泣きたくなるほど辛かった。きっと、ソウにとってもそれは同じなのだろう。ソウと一つになりたい気持ちはあるが、お互いにとって辛い出来事を思い出してまで無理にする必要もない。
今日はやめておこう、とソウに言おうとして起き上がると、突然ソウが思いついたように手を叩いた。
「そや! ボクがユキちゃんとこ抱こうとするから思い出してまうんやな。それやったら、ユキちゃんに抱いてもろたらええわ」
「……は?」
この男はとうとう頭がおかしくなってしまったのだろうか。
何かある度にソウの頬に平手打ちをかましてきたが、それがいけなかったのだろうか。でも、頭は叩いていないはずなのに。
「……あれ。なんでそない可哀想な子を見る目で見てるん?」
「ごめんね、ソウ。わたしが叩きすぎたから……」
頬を撫でながらそう言うと、ソウはへらへらと笑いながら、向かい合って座っているわたしの手をとった。そして、なぜかそのままソウが勢いよくベッドに仰向けに寝転がる。手を掴まれているから当然わたしの身体も傾いて、ベッドに横になったソウの上に倒れ込んでしまった。
「わあっ!? ちょ、ちょっと、何を……!」
「そやから、ユキちゃんに抱いてもらおう思て。きっと、ボクが上になるからユキちゃんとこめちゃくちゃにしてまうんやわ。それやったら、ユキちゃんが上になったら万事解決やろ?」
「はあっ?」
一体この男は何を言っているのか。わたしがソウを抱く、という意味が分からない。
不審な目でソウを見つめていると、焦れたようにわたしの身体を引き寄せた。
「分からへん? ああ、したことないもんなぁ、騎乗位」
「きじょ……?」
「馬乗るみたいに、ボクにこうやって跨ってコレ入れるんや。できる?」
「ま、またがって、いれる……!?」
とんでもない提案をされたことを今更理解して、慌ててソウから離れようとするが、それを許してくれるわけがない。がっちりと体を固定されて身動き一つとれない。
これでは、ソウに無理矢理されるのと大差ないのではないか。しかも、すでにわたしのお尻にはソウの昂ぶったものが直に当たっていて、どうしても意識してしまう。
「そ、そんなのできるわけないでしょ!? そんな、無理に今日しなくたって……!」
「えー、ユキちゃんは我慢できるん? ボクはできひんわぁ」
「ん、んんっ……! ちょっと、ソウ、当たってっ……!」
まだ会話は終わっていないのに、ソウがわたしのお尻をつかんで自身を擦りつけてくる。その熱さを感じて、下腹部が疼くのが分かった。
「ほら、ユキちゃんも欲しいやろ?」
「やっ……でも、こんなのっ……!」
「……ああ、違うわ。素直に言わなあかんな」
躊躇するわたしを無視して、ソウはわたしのお尻を掴んだまま耳元で囁いた。
「……お願い。ユキちゃんの中、入りたい」
それだけで、自分の中からとろりと蜜が滴り落ちるのを感じた。
入れてほしい。ソウが欲しくてたまらない。
「……ど、どうすればいいの?」
「ん……ちょっと腰上げて。そんで、お腹に手ぇついて……」
「うん……あ、んんっ……!」
言われた通り、ソウのお腹に手をついて腰を上げる。ソウに導かれるまま動くと、濡れきった入り口にソウの先端が触れるのが分かった。たったそれだけの刺激で、中が先を促すように収縮する。
そのまま入れてほしかったのに、性器同士が触れ合うところまででソウはわたしの腰から手を離した。あとは自分でやれ、ということだろう。
にやつきながらわたしの動向を見守るソウの顔を窺いながら、ゆっくりと腰を沈めた。
「っふ、んんっ……、あ、あれ……? はいらなっ……!」
「は……、ユキちゃん、焦らさんといて……っ」
「ち、違うの、滑って、入らないのっ……!」
「ああもう、ユキちゃん濡れすぎやねん。ちゃんとここ持って、ほんで入れてみ」
ぬるぬると滑ってしまってうまく入れられずにいると、焦れたソウがわたしの手をとって自身の根本を握らせた。これで押さえて入れろというのだ。
そこまでするんだったら、ソウが入れてくれればいいのに、とは思ったが、わたし自身も焦れていたのでソウの言う通りにした。
「ん……あ、はい、るっ……! あ、ああああっ!」
「くっ……!」
加減が分からず、勢いをつけたせいでいきなり最奥まで入り込んでしまった。その衝撃で、脳天まで電気が走ったように目の前がチカチカする。
「はぁ、もう……痛ない? 大丈夫?」
「う、んっ……はぁっ、きもち、いいっ……!」
「なっ……、ユキちゃん、えろっ……!」
挿入しただけで達しそうになってしまった。なんとかそれは防げたものの、その衝撃はわたしの残った理性の欠片を粉々にするには十分すぎた。
その後どうすればいいかなんて分かるはずもない。ただ本能の赴くままに、ゆるゆると腰を動かして快感を貪った。
「はあ、くっ……、ユキちゃん、スイッチ入ってもた? えっちなユキちゃんも、大好きやで」
「あ、あっ、すき、わたしも、そうのことだいすきっ……!」
「もうっ……! あかんわ、今日のユキちゃん心臓に悪いっ……!」
上体を起こして腰を振っていたわたしの手を、ソウが掴んで自分の方に引き寄せた。わたしの身体は簡単に傾いて、ぱたりとソウの身体に身を預ける。
少ししか動いていないはずなのに、随分と体力を消耗してしまったようだ。ソウはいつもこれ以上に動いているのに、平気な顔で二回目に突入することもある。ソウは体力があるんだなあ、と変なところで感心している自分がいた。
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