異世界転生したら不死になりました ~死なないだけが取り柄じゃない! 俺たちが魔王を倒すまでの血と汗と涙の物語~

夢野 奏太

文字の大きさ
9 / 25

【第9話】気分はジェットコースター

しおりを挟む
「トウッ!」


レブランが細身の剣を抜き放ち、先陣を切って丘を駆け降りて行く。


「やあっ!」
右手に諸刃の剣、左手に小ぶりな丸い盾を構えたテオが後に続いた。


その後でミリィが黒い厚手のローブの裾を翻し、俺はそのさらに後ろを走るリッカと平行するようにして走った。やがて何に躓いたのか、ド派手に横転するリッカを助け起こしたりもした。


「エヘヘ。転んじゃいました」


照れ笑いを浮かべるリッカ。だが、それは言わなくても見たら分かるぞ。


そうこうしてるうちに、遥か先でレブランとテオが敵である魔物の群れの中に飛び込んで行った。


二人は魔物どもをちぎっては投げちぎっては投げ、彼女たちの通りすぎた後はペンペン草も残らんのではないかというくらいの勢いで、バッサバッサと敵を薙ぎ倒している。


さらにやや遅れてミリィの呪文が発動すると、大量の魔物が一斉に悶え苦しみながら息絶えていく様子が見てとれた。


え......あいつらあんなに強かったの? 鎧袖一触とはあれの事だな。逆に昨日の敗北は何だったんだ。あのライオン野郎どんだけ強かったんだよ。本当はみんな一騎当千の強さだったんじゃないか! ......なんだよ、ちくしょう。今日に限って妙に四字熟語がスラスラと出てきやがる。


「......ケイタさん、顔、なんか気持ち悪いです」


気づくと、リッカが俺の顔を見て引いている。


おーっと、思わずニタニタと笑みがこぼれちゃってたみたい。だって今回は痛い思いをしないで済みそうだもん。


俺とリッカがみんなに追い付くと、付近の敵はあらかた片ずいていた。


「さあ、城門から城内へ飛び込むわよ!」


キラキラと輝く汗を拭いながら、指示を出すレブラン。こんな時に何だが、このおねえさんよく見ると物凄い美人だな。


「ん? 何、ケイタくん。私の顔に何か付いてる?」


やべ、ちとボーッとしちまった。


「あっ、いや......」


「ふうん」


しどろもどろな返事をする俺に、レブランは不思議そうな顔を残して背を向けた。


俺は思わず頭を掻きながら、「ハハハッ」と妙に上ずった二足歩行のネズミみたいに甲高い声で意味不明に笑いながら視線を落とすと、ミリィとリッカが無の表情で俺の顔を見上げていた。


「さあ、それじゃ城内に突撃しようぜ!」


「うん!」


取り繕うように叫ぶ俺の声に和した者は、テオのみであった。


それでもめげずに空拳を振りかざして突撃を開始する健気な俺。


破壊された城門の隙間から身体をこじいれると、中はだいぶ荒らされており、城外同様おびただしい数の兵士が倒れている。だが、レブランの言うとおり、まだ完全には陥落していないみたいで、複雑な構造の城内の奥の方から戦闘中とおぼしき音が聞こえてくる。


「こっちよ、着いてきて!」


途中、城内に侵入した魔物どもを排除しつつ、レブランの先導で大理石の床を鳴らしながら奥へと進み、やがて大きな広間へ飛び込むと、イスやテーブルで作られたバリケードの向こう側で、兵士たちが懸命の防衛戦を繰り広げているのが見えた。


「おおおっ!」


躊躇なく魔物の群に飛び込むレブラン。テオ、ミリィがそれに続く。


俺も途中で拾ったテーブルの脚を振り回しながら戦列に加わる。同じアホなら踊らにゃ損、損。勝ち戦がこんなに気持ちいいなんてね。


やがて周囲の魔物をあらかた蹴散らすと、バリケードの奥のドアの向こうから、レブランとよく似た白い甲冑姿の渋いオヤジが現れた。


「レブラン、来てくれたか!」


「父上、間に合って良かった」


おや、感動の再会でしたか。


......そう思ったのも束の間、突然レブラン父の左腕が鮮血とともに宙に舞った。


「父上!!」


レブランの叫び声がホールにこだまする。


前につんのめるようにして倒れるお父様。


そこへ、耳を引きちぎりたくなるような不快な声が響いた。


「釣れた釣れた。大物が釣れたぞ」


見上げると、ホール2階の回廊に3~4メートルはあろうかという、見るからに禍々しげなヤギに似た魔物が嬉しそうに目を細めている。


あ......イヤな予感......。うまく言葉で表せないけど、あの"ライカン"とかいうライオン野郎の時と似た、押し潰されそうなほどの邪悪な威圧感。


あーあ、今回は痛い目に合わずに済むと思ったのになぁ。ぬか喜びだったかも。


俺はテーブルの脚を強く握りしめながら、ニジニジとリッカの側へとにじり寄った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が自分の欲望のままに生きる話。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

兄貴のお嫁さんは異世界のセクシー・エルフ! 巨乳の兄嫁にひと目惚れ!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
ファンタジー
夏休み前、友朗は祖父の屋敷の留守を預かっていた。 その屋敷に兄貴と共に兄嫁が現れた。シェリーと言う名の巨乳の美少女エルフだった。 友朗はシェリーにひと目惚れしたが、もちろん兄嫁だ。好きだと告白する事は出来ない。 兄貴とシェリーが仲良くしているのを見ると友朗は嫉妬心が芽生えた。 そして兄貴が事故に遭い、両足を骨折し入院してしまった。 当分の間、友朗はセクシー・エルフのシェリーとふたりっきりで暮らすことになった。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

処理中です...