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トキオとハナの家 『~ ハナの場合 ~』
しおりを挟む「おはよう、ハナちゃん!」
ユイがやって来た。
さっきまでバカ兄弟が居たが、配信がどうのこうのと慌ただしく帰って行った。
ナジミを交えて朝食を終えたところに、ピンポンが鳴ったのだ。
「え?ユイ!
早いわね!どうしたの?」
今日のユイはおめかしバージョンだ。
「今日は休日なのでトキオくんとお出かけなの!」
ウキウキのユイ。
おいおい!ちょっと待て!
何がウキウキのユイ、だ!
色々ありすぎて、うやむやになってたけど、なんか・・・
いつの間にかユイとトキオは恋人の設定になってるわよね!?
お出かけなの!
とか言ってデートしようとしてるし!
ダメやろ!
「ちょっとユイ!
あなた、勉強どうなってるの?
私が言うのも何だけど、ちゃんとしてるの?」
「うん。やってるよ」
ウキウキのユイ。
学年トップクラスのユイにそう言われると返す言葉が無い。
「そ、そうなのね・・・
どうぞ、上がって」
「おじゃましまーす!
ハナちゃん、トキオくんは?」
「2階よ」
トキオは朝食を先に食べ終え自分の部屋に戻っている。
ユイがウキウキで階段を駆け上がって行く。
これでいいのだろうか?
あんなにも楽しそうなユイを見ていると、無理に引き離すのは何だか残酷に思えてくる。
「先輩、今のユイさんですよね?」
ナジミがオレンジジュースを片手にリビングから出てくる。
「うん、これからトキオとデートなんだって」
「デ!デート!?
ちょ!先輩!どうするんです!?」
「どうするって何が?」
「何が、って!
協定はどうなったんですか!?先輩!!
私たち、力を合わせて2人を引き離すんじゃなかったんですか!?」
そ、そうだ!
そうなのだ。
やっぱり初心を忘れてはいけないのだ!
本来、あの2人を引き離し、会わないようにするのが目的なのだ!
「そ、そうよね、ナジミ。
あなたの言う通りよ」
「ですよね!先輩!
で、どうするんです?」
「そうね・・・」
わたしは人差し指をアゴに付けて考える。
「じゃ、とりあえず、2人の後をつけるわよ」
「ですね!
それで様子を見ながら、引き離し作戦の決行ですね!
よーし!アタシ、用意してきます!」
ナジミがオレンジジュースをグイっと飲み干してコップをわたしに押し付ける。
「それじゃ!」
「ちょ!ナジミ!!」
「すぐ戻ります先輩!」
ナジミが玄関から飛び出して行った。
わたしは、ナジミから押し付けられたコップをキッチンで洗う。
何なのよ、ナジミのヤツ!
目の前では、お母さんとトキオのお父さんが食後のコーヒーを飲みながらキャッキャと楽しそうに話している。
お母さんが、わたしの方を振り向く。
「あ、そうそう、ハナちゃん!
私たち、これから出かけるからね!!」
「わたしも今日、出かけるから」
わたしが2人に向かって言う。
「あら、そうなのね!気を付けてね!」
「行ってらっしゃい!」
お母さんとトキオのお父さんがニコニコで手を振る。
わたしが2階に上がると、ユイとトキオが部屋から出てきた。
「あ、ハナちゃん!」
こちらもニコニコのユイが小さく手をふる。
「ねぇユイ、お出かけって言ってたけど、どこに行くの?」
「駅の近くのショッピングモール!」
「そう」
「うん。
それじゃ、行ってくるね!」
「行ってらっしゃい」
「い、行ってきます」
トキオがわたしに言う。
「う、うん・・・」
な!なんなのよコイツ。
やっぱり、ちょっとタイプだわ!
2人が階段を降りる。
わたしは自分の部屋に入るとドタバタと外出準備をはじめる。
や、やべぇ!急げ!
わたしが、ふと窓から向かいのナジミの家を見ると、2階の窓からナジミが慌てた表情で下を指差している。
窓から下を見ると、ユイとトキオが玄関から出てきた。
わたしは、なるべく音を立てない様に急いで階段を駆け下りる。
「行ってきまーす!」
わたしはリビングに向かって叫ぶ。
「いってらっしゃーい!」
リビングから2人の声がする。
玄関から出ると、ナジミも向かいの家から出てきた。
「行きましょう、先輩」
「ええ」
わたしとナジミが、2人から少し離れてあとをつける。
「あの2人、どこ行くんですかね?先輩」
「ショッピングモールって言ってたわ」
「駅の近くの?」
「そう」
「ベタですね」
「そうね」
「あ、あの車・・・」
ナジミが後ろから近づく車を指差す。
見慣れた車が、わたしとナジミの横につける。
運転席の窓が、スーと開く。
「どこ行くんですか?」
ブラザー兄だ。
「あんた達、何してんのよ?」
ナジミが聞く。
「取りに戻るって言いましたよね?」
「戻る?はぁ?帰ったんじゃないの?」
「だから一回帰って、必要な物を取ってきたんですよ」
「なんで?」
「何でって、我々兄弟が殺し屋に狙われてるからですよ」
「だから何で、こっちに戻って来るのよ!?」
「当然のことですよ」
「は?どういう意味よ?」
「さっきの話しからすると、ナジミさんも殺し屋に狙われてますよね?」
「そ、そうね」
「で、マモルさんがナジミさんを守ってくれるんですよね?」
「うん」
「だから、我々兄弟もナジミさんと一緒に居れば、マモルさんが守ってくれるって事ですよ!な!弟よ!」
「だな!兄よ!
警察に守ってもらえるなんて最強じゃん!
で、これでバッチリ録画するってわけだよ!!」
助手席のブラザー弟が、カメラ付きヘルメットを持ち上げる。
「2個あるんだ!」
ブラザー弟が満面の笑みでカメラ付きヘルメットをゆらす。
「そうです!
我々はこれより、廃墟ブラザーズ改め!
ヘルメットブラザーズとなり、ナジミさんと行動を共にするのですッ!!」
ブラザー兄がこぶしを作る。
「せ、せんぱい・・・」
ナジミが助けを求める目で見つめてくる。
そして、ヘルメットブラザーズがニコニコしている。
「で、お二人はどこに行ってるんですか?」
ブラザー兄が聞く。
「ショッピングモールよ」
ナジミが答える。
「駅のそばのですか?」
「そう」
「じゃ、乗ってください」
「え?」
「一緒に行きましょう。ショッピングモールへ!
さ!どうぞ!!」
どうすんのよ、これ・・・
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