ネジレコネクション

刺片多 健

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ファミレスの前 『~ モノローグ ~』

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『~ クレナイの場合 ~』


「なぁ、ちょっと引っ付きすぎじゃないのか?」
私がしがみつくマモルの太い腕が、わずかにピクっとなる。

え?何?
マモル照れちゃって!
もっと引っ付いちゃうゾ!

て言うか、

「そんな事より、マモル」

「何だ?」

「私たち、着けられてるわ。
 あ!ダメよ、後ろ見ちゃ」

私が、振り向こうとするマモルを制して歩き続ける。

ファミレスを出た所から、黒いランニングウェアの男がついて来ている。
動きを見るとアマチュアだ。
尾行が下手すぎる。

「どうするんだ?」
マモルが前を向いたまま聞く。

「いい?マモル、よく聞いて。
 あの先の信号で二手に分かれるのよ」

「それで?」

「つけてきているのは、黒いランニングウェアの男、1人よ。
 男がどちら側に行くかで、狙われてるのが誰か分かるわ」

「なるほど」

「それで、つけられている方は駅に向かって歩くの。
 つけられていない方は、男の後をつけるのよ」

「追跡者の後ろが一番安全ってことか・・・」

「そう、鬼ごっこの基本よ」

「それで、駅まで行ってどうする?」

「男を撒いて、二人で男を追跡するの」

「そうか、分かった」

信号機が近づく。
信号は赤だ。

「それじゃ行くわよ、マモル」

「ああ・・・」

私がマモルから離れる。
「それじゃーね!」
私が手を大きく振り、右の道へと向きを変える。
マモルが信号機の前で立ち止まり私を見送る。

信号が青に変わり、マモルが直進する。

さぁ、どっちだ?
恐らく後をつけられてるのはマモルだ。
なぜなら気配を感じないからだ。

そろそろ、いいかな?
引き返して、マモルをつけている男の追跡を・・・

な!?

え?私だ!
後をつけられてるのは私だ!!

ランニングウェアの男が気配を殺してついて来ている。

なぜ!?
もしかして私、バレてる!?
どうして!?
それにこの男、全く気配を感じなかった・・・

ダメだ!
動揺するな!
冷静になるんだ!

てっきり私がランニングウェアの男を追跡するものだと思っていた。
どうする?
とりあえず、駅まで行く。
そして男を撒いて、マモルと合流。
その筋書きだ。

私は駅方面へと向かう。

マモル、ちゃんとついて来てるのかしら?
あれで意外と鈍くさい所もあるから、あの男は・・・

ドン!

背後から背中に衝撃を受け、首筋にも小さな痛みを感じる。
バランスを崩した私は、即座に受け身の体制を取る。
が、体に違和感を感じる。

何だ、この感覚?
これ、まさか・・・薬?
首の痛みは何かの注射?

体に力が入らない。
私は崩れた体制のまま地面へと倒れていく。

ガサッ!

私は誰かに抱きかかえられる。
視界にはランニングウェアの男が見える。
男は無表情のまま、私を抱きかかえている。

なぜ?
何も気配を感じなかった・・・
こいつ、やっぱりプロ?

「う、、う、あ、ぁ・・」
私が力を振り絞って、小さな抵抗をする。

「無駄だ。力を抜け」
ランニングウェアの男がそう言うと同時に、車が横づけされる。
車の運転席から男が降りてくる。
車から降りた男とランニングウェアの男が私を車に押し込む。

バタン!

後部のドアが閉まる。

「よし、いいぞ!出せ!」

ゆっくりと車が発信する。

ダメだ!
マモル!
たすけて!







『~ マモルの場合 ~』


「それじゃーね!」
クレナイが手を振って右側へと向かう。

俺は信号が赤の間、クレナイを見送る。
信号が青に変わり、俺は直進する・・・
恐らく男は俺についてくる。
そしてこのまま駅へと向かい、クレナイと合流する。

な!何!?

つけられてるのは、クレナイ!?

ランニングウェアの男がクレナイの後をついていく。
俺はしばらく真っ直ぐに進む。
そしてある程度の所から信号まで引き返し、クレナイを追う男の後をつける。

なぜだ?

なぜクレナイが標的なのか?
一体誰が?
何の目的でクレナイの後をつけるのか?

一連の流れからすると、標的は俺のはずだ。
なんだ?これは・・・どういう事だ?

ドン!

え!?

一瞬の出来事だった。
ランニングウェアの男がクレナイに後ろから襲い掛かった。
右手に何かを持っている様に見えた。

クレナイの体がゆっくりと倒れる。

俺は走った。

ランニングウェアの男がクレナイを抱きかかえると、車が横づけした。
白いセダンだ。

マズい!
さらわれる!

横づけした白いセダンから男が降りて来て一緒にクレナイを抱える。

あの時と同じだ。
ナジミが車で拉致された時だ。
またアレを繰り返すわけにはいかない。

俺は走った。
がむしゃらに走った。

バタン!

クレナイは後部座席に押し込められ、ゆっくりと車が発信する。

そして俺は飛んだ。
車めがけて、
無我夢中に、飛んだ。








『~ 白い車の車内 ~』


「よし、いいぞ!出せ!」
ゆっくりと車が発信する。

ドガッッ!!!

「何だ!!?どうした!?」

「上だ!誰かが上に乗ってる!」

「何!?」

「車の屋根に乗ってる!」

「振り落とせ!」

「やってる!」

「ブレーキだ!急ブレーキをかけろ!」

キキィーーー!!

車が金切り声を上げる。

ボゴドゴゴ!!!

トタン板を鈍く叩きつける様な音とともに、男が屋根からボンネットに滑り落ちて来る。

「何だコイツは!!!」

男はワイパーを握りボンネットにしがみつく。

「出せ!
 車を出せ!
 振り落とすんだ!!」







『~ マモルの場合 ~』


くっそー!
何やってんだ俺は!

ワイパーを掴んでボンネットにしがみつく俺は、
運転席の男とフロントガラス越しに睨み合っている。

車はスピードを上げ、左右に激しく揺れる。
俺を振り落とすために運転席の男がハンドルを乱暴に回す。
俺の両足も遠心力で激しく左右に揺れる。

車の前方を見ると電柱がみるみる近づいてくる。

ぶ!ぶつかる!!

俺は両手を離し、ボンネットを横滑りして地面に受け身を取りながら回転する。

ドッガッシャーーッン!!!

車が正面から電柱に激突し、衝撃音がこだまする。
電柱が傾き、バチッ!と電線がショートする。
一帯が停電し、暗闇に包まれる。

俺は体を起こし、前面が大破した車に近づく。

変形した後部のドアを力任せに引きはがす勢いで開ける。

運転席の男がエアバッグに挟まれうめいている。
ランニングウェアの男は助手席まで飛び越え逆さまになり、うめいている。

クレナイは後部座席の床でぐったりとしている。
俺はクレナイを引きずり出すと、背負うようにしてその場を後にする。

あまりの衝撃音に、近所の家からゾロゾロと人が出て来ている。

停電で真っ暗ということもあり、俺とクレナイは誰にも怪しまれずに現場を離れることができた。

クレナイを抱えてしばらく歩き、辺りに誰もいないのを確認する。
「大丈夫か?」
俺がクレナイに聞く。

「う、うん・・・」
うつろな目でクレナイがつぶやく。

「どこか痛い所は無いか?」

「うん・・・ないわ・・・」

「そうか。良かった」

「な・・・なにが、あったの・・・?」

「大丈夫だ。
 何も心配するな」

いや、心配だらけだ。
それにナゾだらけだ。
一体、あの男たちは何だ?
何がどうなってる?

これからどうすりゃいいってんだ?



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