異世界転生派遣組織 ヒョンナコト・カンパニー

刺片多 健

文字の大きさ
6 / 20

06 依頼って何でしょうか?

しおりを挟む

「ねぇ、タツキチ」

「はい」

「あなた、一体どうやって魔物を消してるの?」

大騒ぎの宴会が終わり、1人になったところで僕はエレノアと話します。

「どうって言われても・・・」

「それって魔法なの?」

「いえ、違います。たぶん・・・」

「そうよね。私、魔法陣を使わない魔法なんて見たことないもの」

「魔法陣?」

「そう、魔法陣。
 魔法を発動させるための図形よ」

「確かに、そういうのはありませんね」

とか言ってますが、どうやって僕が魔物を消してるのか、僕自身がわかってませんからね。

「そんなことよりタツキチ!」

「はい」

「いい?今度こそ、逃げるわよ!」

「はい、そうですねエレノアさん」

「それじゃ、逃げるわよ!」

「はい、エレノアさん」

「あ!いた!勇者さーん!」
村人が両手を振りながら走ってきます。

はい、来ました。
この村人がやって来ましたよ。
3回目です。
僕たち全然逃げられないじゃないですか。
この村から。

「勇者さん!村長が呼んでます!」

「村長さんが?」

「はい、こちらです。
 ご案内します!」

僕は村人についていきます。
その後をエレノアさんもついてきます。



------- 村長の家 -------


「お待ちしておりました、勇者どの。
 ま、お座りください」

「あ、はい、どうも」

僕は村長さんと対面でソファに座ります。

「この度は本当にありがとうございました」

「あ、いえいえ。
 そんな、大したことは・・・」

「何をおっしゃいます。
 本当に助かりました」

「そうですか、それは良かったです」

「で、実は、勇者どのにお願いがございまして・・・」

お願い?
これって、きっとアレですね。
面倒なヤツですね。

僕はチラッと横のエレノアさんを見ます。
エレノアさんも何かを察したようで、激しく首を横に振っております。

「何でしょうか?」

この状態では、この言葉以外を発するのは、とうてい不可能なので僕はそう答えます。

「この村が、魔物に襲われる度に、若い女性がさらわれているのです」

僕がチラッとエレノアさんを見ます。
エレノアさんがめちゃくちゃ首を横に振っています。

「連れ去られたのは魔物の巣です。
 その場所は分かっています」

僕がチラッとエレノアさんを見ます。
エレノアさんが、とんでもないスピードで首を横に振っています。

「是非とも勇者どのに、女性たちを連れ戻して欲しいのです」

エレノアさんが村長さんの後ろに移動して、両手で大きくバツをしています。
僕が黙っていると村長さんが話しを続けます。

「もちろんお礼は、させて頂きます」

村長さんがテーブルに小さな箱を置きパカッと開きます。

「そんなに高価なものでばございませんが、
 オプシタイトのカケラです。
 こちらを勇者どのに差し上げます」

「やって!」
突然エレノアが叫びます。

「へ?」
僕は思わず声を出します。

「え?どうされました?勇者どの」

「あ、いや、何でもないです」

僕がエレノアを見ます。
エレノアが両手で大きく丸をして言います。
「やって、タツキチ!いいから依頼を受けて!」

「わ、分かりました。
 引き受けましょう」

「あ!ありがとうございます!勇者さま!」

どういう事でしょうか?
僕がエレノアさんを見ると、右手で親指を突き出してグッドサインでウインクをしています。
ま、なんかエレノアさんが喜んでるみたいなんで、これで良かったのでしょう。






------- 村長の家の前 -------


「どういう事ですか?エレノアさん」

「オプシタイトよ、タツキチ!」

「村長さんがくれるって言ってた小さなカケラですか?」

「そうよ!
 あれがあれば戻れるわ!1人だけならすぐに!」

「え?」

「オプシタイトで指輪のエネルギーが少しだけどチャージできるのよ!」

「そうなんですか?」

「そうよ!
 でも、女性たちを連れ戻さなければいけないわね」

「カケラを盗んじゃえば・・・」

「ダメよ。ゼロにバレるわ。
 ゼロは世界の全てを把握しているから・・・」

「そうなんですね」

あのネコ・・・
ホントに把握してるんでしょうか?怪しいもんです。

「タツキチ!」

「はい」

「あなた、アレ、出来るわよね!」

「魔物を消すヤツですか?」

「そう。
 それを魔物の巣でやればいいんじゃない?」

いいんじゃない?とか言われてもですね・・・

「僕、やり方わかんないんですよね、全然。
 さっきも、思いつく事を全部やったけどダメでしたから」

「大丈夫よ!二度も出来たんだから!何とかなるわ!」

いや、たぶん、ならないですよ。
でも村長さんに、やるって言っちゃったから、やるしかないんですけどね。

「あ!いた!勇者さーん!」
あの村人が両手を振りながら走ってきます。

「僕が魔物の巣まで案内します!
 それでは勇者さん、行きましょう!」

僕は村人に案内され、魔物の巣へと出発しました。



------- 魔物の巣へ移動中 -------


「あれが魔物の巣です」
村人が指差します。

「え?どれですか?」
広い台地しか見えません。

「ほら、アレですよ」
村人が指差します。

ん?

なんとなくですけど、目を凝らすと遥か向こうの方に建物があるように見えます。

「あの白っぽい建物みたいなのですか?」

「そうです。
 それでは僕はこれで」

「え?」

「後はよろしくお願いします。勇者さん」

「え?ここまでですか?」

「はい。
 僕たちみたいな村人が、これ以上近づくと危険ですから」

「危険?」

「はい。
 ここからはプロの方にお任せいたします。
 それでは!」

とか言って村人が去っていきます。

「これ、まだ、けっこう距離ありますよね?」
僕は隣のエレノアさんに聞きます。

「そうね。
 でも行くしかないわ」

「そうなんですけど。
 エレノアさん」

「何?」

「なんか、作戦とかって無いんですか?」

「作戦?
 連れ去られた女性の救出作戦ってことよね?」

「はい、そうです。
 魔物の巣っていうぐらいだから、魔物が沢山いるんですよね?」

「そうね」

「どれぐらいいるんでしょうか?」

「でもさっき、タツキチが12体も倒したから、だいぶ減ってるんじゃないかしら」

「そ、そうですよね。
 最初のを入れたら13体ですもんね」

「そうよ!
 だけど、まだ何十体とかいるかもしれないわね」

「そうですね・・・
 あと、思ったんですけど」

「何?」

「ここ、ほとんど何も無い台地ですよね」

「そうね」

「あの遠くにある建物に近づけば、僕、丸見えですよね?」

「そうね」

「僕、魔物に気づかれずに、近づけますかね?」

「たぶん無理ね」

「ですよね。
 どうしましょう?」

「途中から、ほふく前進しかないわね」

「到着まで時間かかりそうですね」

「そうね・・・」

たとえ、それで近づけてたとしても・・・

近づけたとしても、ですよ。
何をするの?
魔物の巣で、僕は一体なにをするのですか?
何の作戦もなく魔物の巣に行くっていうのは、これかなり無謀ですよ。
それに連れ去られた女性たちは、今も無事なのでしょうか?
たとえ無事だったとしても、どうやって助け出すのでしょうか?
僕にはまったく分かりませんよ。
だけど一歩一歩確実に魔物の巣に近づいているのは間違いありません。
一体僕は、

「タ!タツキチ!!」
急にエレノアさんが立ち止まります。

「どうしたんですか?」

「・・・アレ、見て・・・」
エレノアさんが魔物の巣と思われる建物の方を指差します。

僕は眉間にシワを寄せて、目をこらして見ます。

「アレ何ですか?」

「たぶん・・・」
エレノアさんが立ち尽くしたまま、つぶやきます。

「たぶん、何ですか?」

「・・・魔物よ」

「魔物?」

建物の周りが真っ黒いモノで囲まれモゾモゾと動いています。
その真っ黒いモノは建物から噴水みたいにどんどん出て来て、物凄いスピードで広がっています。
小さな黒い輪が、一気に大きくなる感じです。

ウソでしょ?

「アレ、全部、魔物ですか?」

「そうみたいね」

「どのくらいの数いるんでしょうね?」

「何十、いや、何百万とか・・・」

「何百万・・・」

僕は確信しましたよ。
無理ってね。
だってアノ数ですよ。
12体とかじゃないんですよ?
さっきの象みたいな大きさの魔物がびっしりですよ。
真っ黒い絨毯がモゾモゾ動いて、とてつもないスピードで広がってるんですよ。
気持ち悪いったらありゃしない。

で、

あの中心に向かって突っ込んで行くんですよ。
これから・・・

僕、アルバイトですよ?
もうね。
イヤんなっちゃいますよ、僕。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

古代文明の最強王、5000年後に転生すると魔法が弱体化しすぎていたのでもう一度最強になります。~底辺貴族からの成り上がり~

しNぱ
ファンタジー
5000年前、魔法文明マギア魔導王国を築き、 魔法体系そのものを創造した王アーケ・マギアス・マギアは、 さらなる魔法の発展を求め、自らの魂を未来へ送る転生魔法を発動した。成熟した古代魔法を超える研究が進んだ世界を見たいという純粋な探求心から、5000年後の世界へと意識を沈めた。 目覚めた先は、スケルド男爵家三男レイフとしての赤子の身体だった。産まれた瞬間から記憶を持つ彼は、質素な家と薄い魔力の流れを前に、未来の魔法研究が古代よりも大きく退化していることに気づく。最底辺と呼ばれる家に生まれながらも、家族は温かく、彼の異常な魔力量を希望として受け入れた。 幼少期から魔力操作を自然に行い、三歳で石を浮かせ、五歳で光魔法を自在に扱うなど、古代王としての力を隠しながら成長する。外では古代魔法を使わず、転生者であることを悟られないよう慎重に振る舞いながら、未来の魔法体系を観察し続けた。 十歳になると身体強化などの古代魔法を最低限だけ使い、父との剣術訓練でも圧倒的な動きを見せるが、本来の力は隠したまま過ごす。そして十六歳、高等魔導学園に入学したレイフは、初日の実技試験で無詠唱魔法や術式無効化を用いて試験官を圧倒し、最底辺男爵家ながらA級判定を受ける。 その姿を見たストラング公爵家の令嬢エリナは、彼に強い興味を抱く。5000年後の世界は古代より魔法が退化していたが、だからこそ発展の余地がある。レイフは古代王としての知識をもとに、もう一度魔法の未来を切り開くことを決意する。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

処理中です...