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プロローグ

プロローグ2

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「ジリリリリリリリーン。」

 親方が、電話の真似をする。

「おいおい、やめろよ! ただでさえ暑いのに、更に暑くなる。」

 あふろは団扇で扇ぎながら、親方に語気を強めて言い放った。

「ぶぁぁぁっあふろさん知ってる? デブの半径5メートルは、気温が3度上がるんですよ。はははっ!」

 親方は笑いながら扇風機に顔を近づけて、変顔をしながら応えた。

 ジリリリリリリリ。ジリリリリリリリ。
 
 黒電話が、事務所に響く。

「おーっ! あふろさん、電話だにゃー!」

 親方がニャンちゅう似の声で叫んだ。しかし、親方は暑いので動かない。決して動かない。そんな親方を横目に、あふろは電話の受話器を上げた。

 ガチャ。

「はい!こちら白パン探偵事務所。ご用件は?」

「......。」

 返答がない。

「はい!こちら--」

 その時だった。受話器の向こうから、奇妙な、いや棒読みちゃんの機械的な声が流れてきた。

「白パンさん、あなたに依頼をしたい......。」

「どうぞ。何でしょう?」

 怪訝な表情を浮かべながら、ぶっきら棒に答えた。

「2001年9月11日に、同時多発テロがあった。その再調査を依頼したい。」

「そんな事ありましたねー。でも何で今さら?」

「理由は言えない。調べてレポートを郵送して欲しい。ただ、それだけだ。報酬は弾む。」

「報酬は、弾むって言ったってねぇ。何処ぞの誰かも分からないのに......」

 実に怪しい。そんな事より何故に棒読み?
 あふろは唸りながら、ふと親方に目を向けた。親方は変顔をしながら、こちらを見ている。いや、見つめている。

「怪しまれるだろうと思い、予め事務所のポストに報酬の手付金100万円は入れておいた。確認して欲しい。」

 あふろは受話器に手を当て、口は大袈裟に声は小声でポストと2回親方に伝えた。

「ポ・ス・ト・に・ポ・テ・ト?」

 ポテトは親方の大好物だ。特にマックのポテトには目がないらしい。親方は重い体を俊敏に動かし、そそくさとポストに向かって行った。

「100万だにゃー! ポテトは、どこにゃー!」

 玄関から親方の絶叫が聞こえる。

「確認出来たみたいだな。それでは、よろしく。」

 電話は、切れた。

ーー白パン探偵事務所、三ケ月目にして初めての依頼。かなり不気味な依頼だが、どうなる?白パン探偵事務所!?ーー

 ドドドドドッ!親方が急いで戻って来る足音が聞こえる。

「マック2セット買いに行くだにゃー!」
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