デビルプリンセスは死なない。

みずほたる

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元彼と天使と、私の部屋

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帰宅すると、まず部屋を念入りに掃除した。筋肉痛なんて言ってられない。

「明奈様、昨日来たばかりなのに窓まで磨かなくても…」

「うっさい。あんたも手伝って!」

「そんな元彼を家に呼ぶのに、そこまで気合入れなくても…昔の思い出にフィーバーしちゃいました?」

「正直、未練がないわけじゃない。あの時、もう少し素直になったり、彼の考えに寄り添えたら、人生も変わったかもって思うのは嘘じゃない」

「彼はどういう人生を歩んでいたんでしょうね?」

「知りたい半分、知りたくない半分かなぁ」

「まぁ私から言えるのは、明奈様はデビルプリンセス。人間ではございません。決して恋などしないように」

「わかってるけど、あぁ、人間として転生したかったなぁ。そしたら人生やり直せたかも」

「その場合、一兆円じゃ済みませんよ」

「てかレンタローはお金払えるのかしら?」

そんな会話をしていると、インターフォンが鳴った。カメラ越しに招くと、レンタローの後ろに清楚そうな少女が立っていた。

「で、その小娘は誰よ」

なんだかウキウキしていた自分が急に馬鹿みたいに思えた。

「相変わらず話を聞かない奴だ。とりあえず邪魔するぞ」

レンタローと少女は空いている座布団に座った。

「まず言っておく。こいつはレミット。俺を守護する天使だ。明奈でいう死神みたいな存在だ」

「天使って何!? 私のところにはそんな人いなかったんだけど!」

「そりゃ地獄に堕ちたらいるわけないだろ」

「あそこ地獄だったの!?」

「俺は死んだ時、このレミットに天国へ案内されて、もしよければ勇者として魔王がいる世界の過去に転生して討伐してほしいと頼まれたんだ」

「待遇いいな…」

「明奈は?」

「クロエにゴキブリと間違えられてあの世に連れて行かれた。プリン食べたら一兆円、転生でも一兆円請求」

「まさに地獄だな。どれだけ悪さしたんだ?」

「悪さなんてしてないよ。普通に寂しい独身OLをやってただけ」

「俺は大学卒業して、明奈と別れて1か月後かな…出張先で通り魔事件に遭遇して、子供を守ったら刺されて、多分死んだ」

「知らなかったわ…ごめんなさい」

「気にするな。こうして種族は違えど再会できたのは嬉しい」

「別にそんなこと思ってないわよ! でも、よく私が人間じゃないってわかったわね」

「その赤い髪、赤い瞳。種族は古の悪魔姫《デビルプリンセス》で間違いない。正直、昨日から死神とのセットには嫌気が差してるけど、主様の命令だから我慢してる」

レミットが嫌味を言えば、クロエが即座に反論。二人は明らかに天敵同士だ。

「俺は勇者として魔王を倒すために転生した。明奈は借金返済のために悪魔姫として転生し、魔王を倒す。目的は一緒でいいな?」

「そうね、個人的には協力しましょうと言いたいけど…」

私はクロエをチラリと見て、心の中でため息。

「こんな奴らと魔王倒すくらいなら、一兆円あきらめてバイトして五千年返済したほうがマシ!」

「私だってご遠慮願いたいわ。死神なんか鎌振り回すだけの役立たず」

「あんたら、光り輝いてるだけじゃない!」

「あれは神の加護、つまりバフです!」

言い争いを無理やり止めて話を戻す。

「勇者として転生したけど、まだレベルが低いからモグドナルドで討伐してる。報奨金は二の次」

「なんでよ! 私はレベルカンストしてるけど、お金が欲しいから仕方なく受けたの!」

「借金中だもんな」

「そういうあんたは?」

「神の祝福で毎日100万円勝手に振り込まれてる」

「くれ! 生活費がマジで大変なのよ。学費もあるし」
「俺はいいけど」

レンタローはレミットを見ると

「悪魔姫と死神なんかに贅沢はさせませんわ。餓死がお似合いですわ!」

「だそうだ」

「明奈様。この際、この二人を抹殺しましょう。多分地獄のリストに名前があるかも。そしたら借金が少し返済できます!」

「そのリストもWi-Fiがないから見れないでしょ? なかったらただ働きになるし、天国の人に恨まれたくないわ」

「悪魔姫は死なないし、そもそも天国に行けるわけありませんわ」

「私また地獄行き確定なの?」

私は嫌がると、

「とりあえずお互いの情報交換はできた。レミットとそこのクロエの関係は別として敵じゃないと安心もした。俺は明日講義が終わったら討伐に行く」

「誰の討伐よ?」

「星の魔女」

「そんなのがいるのね。昨日あれからメニュー表見なかったから気づかなかったわ。手伝う?」

「いや、いい。正直俺も戦いたくはない。星の魔女は裕美子だから。それもあって今日ここに来た」

「え?」
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