デビルプリンセスは死なない。

みずほたる

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真の悪魔姫。現る!

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『久しいな。セイジだったか?』

闇の中、冷たい声が響く。

「まさか、悪魔姫。いや……レイシアか」

セイジ・レヴァインの灰色の瞳が光を宿す。しかし、その瞬間、空気が震えた。

『その名は捨てた。それに妾は面倒は嫌いだ。短く終わらせる』

悪魔姫はそう言うと、漆黒と赤の光を全身に纏い、翼を広げた。

「なんて魔力……!」

裕美子は倒れながらも見守る。

「あんなの浄化できないって!」

ミユは震えるばかりだ。

セイジは短剣を投げ、黒い影が空間を裂く。

「――瞬間影移動シャドウステップ

悪魔姫は瞬時に消え、セイジの背後に回り込む。気配すら感じさせない。

『……速い……だが、甘いのぅ』

手のひら一振りで、セイジの刃を受け止め、漆黒の翼で風を巻き起こす。闇を押しのけ、動きを封じる。

魔王滅殺デスブリンガー

黒い槍が天から降り、セイジの前方を封鎖する。避ける隙間はない。

「――闇結界ダークフォートレス

周囲に結界を張り、魔力の奔流を反射。セイジの魔法はすべて跳ね返される。

「――暗黒連鎖シャドウチェイン

黒い鎖が空間を裂き、セイジを拘束。動きを封じたまま、次の攻撃準備。

「――影刃乱舞ブレイドオブナイトメア

無数の黒刃が空間を飛び交い、セイジを翻弄。斬撃が外れることはない。

「ぐっ……!」

セイジは壁に吹き飛ばされ、傷だらけになりながらも立ち上がる。灰色の瞳が揺れる。

『まだ終わらん……』

悪魔姫は全身の魔力を一点に集中させる。

翼がさらに広がり、黒と赤の光が渦巻き、空間全体が歪む。

「――終焉星滅アポカリプティック・メテオ

天から無数の黒い隕石がセイジを中心に収束。逃げ場は一切なく、闇と火の嵐が炸裂した。

轟音と閃光の後、立っていたのはただ悪魔姫だけ。
灰色の瞳は光を失い、セイジの姿は跡形もなく消えていた。

レンタローもミユも裕美子も、息を呑む。

「これが……悪魔姫の力……レベルが違いすぎる」

悪魔姫は翼をたたみ、静かに立つ。戦場に残るのは、ただ圧倒的な力を示した彼女だけ。

――この戦い、勝者はただ一人。

漆黒の翼を背に、悪魔姫の圧倒的存在感が戦場を支配した。

『さて、と。次はお前たちじゃ』

悪魔姫は、金色の瞳を裕美子、ミユ、レンタローに向ける。

『人間にしては多少やるようじゃが……まだまだひよっこ。このままじゃと確実に死ぬぞ』

その視線だけで、三人の体が自然と引き締まる。

『毎回雑魚と戦わされて迷惑じゃ……鍛錬してやるからかかってこい』

漆黒の翼から闇の光が三人に降り注ぐ。身体の奥に力が流れ込み、魔力が回復していくのを全員が感じる。

「魔力が……み、見違えるほど回復してる!」

「俺も……力がみなぎってくる!」

悪魔姫は微笑みすら浮かべず、厳しい眼差しで言う。

『まずは動きの精度だ。レンタロー、剣の振りが大きすぎる。攻撃の速度より、制御を優先せよ』

レンタローは息を整え、悪魔姫の目の前で剣を振る。

黒い風が巻き起こり、悪魔姫が指を軽く動かすと、振りの軌道が光の線で可視化され、彼の目の前で正しいフォームが示される。

『次、裕美子。魔力の配分が甘い。力を一点に集中させすぎて持続力が足りん』

裕美子は頷き、光を感じながら魔法を放つ。

悪魔姫は軽く手をかざすだけで、魔力の流れを整え、威力と持続力の両立を教える。

『最後はミユ。防御力は悪くないが、瞬時の判断が遅い。感覚を研ぎ澄ませよ』

ミユが杖を握ると、悪魔姫の漆黒の翼が一閃し、周囲の空気を変化させる。

その中で敵を想定した動きを繰り返すたびに、瞬時に反応できるよう補正が加わる。

『ほらかかってこい。全力でな』

悪魔姫は後ろに一歩下がり、指先ひとつで三人の動きを監視する。

攻撃の精度、魔力の流れ、防御の反応、すべてが悪魔姫の視界に入る。

「……すごい。こんなに短時間で変われるのか」
「圧倒的すぎる……」

悪魔姫の言葉は少ないが、その存在感が三人の成長を確実に引き出す。

戦闘力、判断力、魔力操作……あらゆる面で、仲間たちは確実に鍛えられていった。

『……よし。これで次に戦うとき、少しは戦力になるだろう』

漆黒の翼をたたみ、悪魔姫は静かに立つ。

戦場の女神が仲間を育てる――その光景だけで、三人は戦う自信を取り戻したのだった。

『ふむ。少しはマシになったかの。次はお前じゃ。毎回妾に頼りおって。分身体』

悪魔姫はそう言うと、私は意識が完全に戻ったが目の前に赤い髪、金色の瞳をした私がいることに驚いた。しかし悪魔姫というよりは、そう。神だ。私の目の前には神がいる。

『実際対面してははじめましてじゃな。妾の名はレイシアという。知っての通り悪魔姫デビルプリンセスと呼ばれている』

「近藤明奈。はじめましてね悪魔姫」

『明奈よ。理由はどうであれ我と同化しこの世に生まれ変わったわけじゃが、そんなレベルでは魔王なんか千年たっても倒せぬし、毎回雑魚相手に妾に頼られても困る』

「なんでよ」

『つまらぬからじゃ。正直魔王も妾にとっては雑魚同然じゃ。じゃがお前たちの借金返済のためにしぶしぶ付き合ってるのが現状。とっとと片付けてソロキャンプというものをしてみたいし、正直恋がしたい』

「は?」

『妾が強すぎて誰も寄って来ぬうちに破壊神にやられたからのぅ。折角妾も生まれ変わったのじゃ。色々やりたいのじゃ。テレビで見たぞ。手と手が触れた瞬間ときめいたとか。あれ体験したい』

「乙女か!」

『だから魔王なんかパッパと終わらせて共にときめいた人生を送ろうじゃないか。お前もまた独身のまま孤独に生き、最後はゴキブリと間違えられて死にたくはなかろう?』

「だったらあんたが魔王倒せばいいじゃない」

『それでは毎回他人任せになって成長せんと言いたいのじゃ。良いか? 魔王は明奈。お前が倒せ。その時きっとわかるじゃろう』

「千年経っても倒せないって言ったばかりじやない」

『そうじゃ。じゃから今からあの3人のように訓練してやる。少し厳し目にするがのぅ』

レイシアの言葉に、明奈の心臓が跳ねた。

「訓練……?」

『そうじゃ。妾がお前の力を引き出す――武器なしでも己で戦えるようにするのじゃ』

明奈は一歩踏み出し、拳を握りしめる。

その目には迷いではなく、決意の光が宿っていた。

――こうして、明奈の新たな戦いと覚醒の訓練が始まる。

漆黒の翼を背にしたレイシアの導きのもと、明奈は己の力を信じ、魔王討伐への道を歩み始めるのだった。
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