プリンセス・サーバンツ

みずほたる

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姫様、神々を従え世界を敵に回す

姫様、遊びの「世界征服ごっこ」はもう終わりです

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環境大臣が食べ過ぎで倒れたという話はトランペット村中に流れたわけだが、彼を大臣から外すべきだという声は聞かなかった。

不適切な発言一つで国中にさらけだす生前とは大違いだ。

それよりも気になると言えば、みんなキビキビと働き出したことだ。いや、元からキビキビと働いているのだが、なんかアピールしている様にも見える。

多分、私も大臣にしてくれと無言で言っているのだろう。

しかし、誰かに運輸大臣とか指名したら国中を走り回って過労で倒れそうだ。

私が頑張るのではなく、みんなをうまくまとめて頑張るという考えは誰も持っていなさそうだ。

まぁ、一人は決めてもいい人物がいる。

彼女の名前は、水無月千尋みなづきちひろ。首都の農業を管理し、自らも広大な畑を耕す有能者だ。

「というわけで、チヒロを農林大臣に任命しようと思ってるんだけど」

「嫌よ」

「なんで!」

「さっきから隣の子からとんでもない殺意の視線を感じるからよ!」

私は横に立っているオカリナに視線を向けると、彼女は目を逸らしては、

「違います! ちょっと羨ましいと思っただけです!」

「なら農林大臣、快く引き受けるわ」

「チヒロ!」

「オカリナ。呼び捨てでなく大臣かチヒロ様とお呼び」

「ぐぬぬ! 人間無勢が。姫様。チヒロを抹殺する許可をください!」

「あげるわけないでしょ」

「私の方が早くから姫様に仕えてたのにー!」

「あ、泣いてどこかに行っちゃった」

「いじめすぎよ。チヒロ」

「ごめんね。ついからかっちゃった。悪魔大元帥って名乗ってるけど子供にしかいつも見えなかったからさ」

自称悪魔大元帥という話をしていなかったが、やはりわかる人にはわかってたんだろうなと思った私なのであった。

森の郊外にある河川敷。オカリナは以前自分が破壊したリィナのダンボールハウスを自ら補修をすることにした。

「私、頑張ってるのに姫様は私を認めてくださらない。大元帥なのに、悲しみ」

泣きながらガムテープでくっつけようとするが、ダンボールは触っただけで崩れていく。

「大元帥。何をしてるのです?」

声をかけられて振り向くと、

「フレア、アクア、サムスか。恥ずかしいことに私は姫様から認められなかった。だが、あきらめん。必ず認めていただける時が来るまで、ここで暮らそうと思ってな」

「そうですか。頑張ってください。じゃ」

「お前たち。私を見捨てるのか! そこは『我々は大元帥についていきます!』 ではないのか?」

「いや、むしろ我々が大元帥のなりきりごっこに付き合ってただけですので」

「そうですよ。それなのに気づかず毎日パワハラばっかり」

「今日来たのはオラたちを呼び出す魔導具を返して欲しくて来たんだべ」

「お前たち......」

「ちなみに、我々は火、水、土のインフラ大臣の任を姫様からいただきました。これにより正式に姫様の配下となります」

「姫様は誰かさんと違って部下をよく見て面倒見がいいから働きやすい。大元帥の唯一誉める点は姫様を紹介してくださったことです」

「最後に情けで、竪穴式住居を作ってあげてもいいだよ」

「くっ!」

「ではさらばです。オカリナ=ベルゼ・シンフォニアさん」

三人の四天王はそう頭を下げると姿を消した。

「全ては身から出た錆だというのか!」

そう呟いてオカリナは拳を地面に叩きつけるのであった。



「これでよかったのですか?」

玉座にて、四天王たちは私に確認をしてくる。

「あれで根はいい子なんですよ。 悪魔大元帥という肩書きでもなくていいんで、何かポストを与えてはくれませんか? 誰よりも頑張ると思いますよ」

「そんなことはわかっておる」

絶望のオーラが発動し、純白のドレスが漆黒へと染まり、黒き瞳が赤く変化する。

波動に恐れをなした三人に私はキッパリ言いつけた。

「妾が今の地位にあるのはオカリナの努力の賜物であることは明白であるが、ここから先は遊びではない。軽々しく他人を罵倒し、気に食わなければすくに処分しようとする考えは今後改めなければならぬ。国を背負う立場ならなおさらじゃ」

「確かにそれはそうですが」

「忠誠心だけでは人はついて来ぬ。貴様らはオカリナを裸の大臣にしたいのか? 絶滅危惧種と呼ばれる魔族のみで世界征服はもはやできぬ。全ての種族をまとめなければ世界はもはや治められぬと思え」

私は一呼吸おいて、

「じゃが、遠くから見守ってやれ。オカリナならば妾の期待に応えてくれるはずじゃ」

「かしこまりました!」

三人の姿が消えると、横の扉が開きナナミが現れた。

私は絶望の波動を収め、目は黒く戻り、漆黒のドレスは純白のドレスに染まる。

「損な役割、申し訳ございません」

深々と頭を下げるナナミ。

「まったく。全部この手紙のせいよ」

私は胸から一枚の書状を取り出す。

「まさか、聖女からこの様な返事が来るとは思いませんでした」

私は返事をもう一度見直す。

そこには、

『伝書鳩来たと思ったら、勇者エリカが凶悪な魔物ですって言って、争いになって都市が焼け野原になったんだけど、どういうこと? 説明を求めます』

と、書かれていたのであった。

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