プリンセス・サーバンツ

みずほたる

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姫様、神々を従え世界を敵に回す

姫様、寿命八十歳のホワイト人生を強く希望します

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「鳩が聖女の都市で暴れて半壊させたからって、聖女から損害賠償を求めて来てるんだけど」

伝書鳩の飼い主、バスクを呼んで事情を確かめることにした私だったが、

「オスだからな。強いやつを見たら戦いたくなるってもんよ。きっと強いやつを見つけちまったんだな」

「平和解決の使者として派遣しているのに、宣戦布告しちゃってどうするのよ」

「でも安心してくれ。あの伝書鳩は命の危険を感じたら不死鳥フェニックスに進化する。見たらデカさにびっくりするぞ?」

「伝書鳩にそんな機能求めてないのよ!」

「まあやっちまったのは仕方がない。謝って許してもらおう!」

「謝るの私なんだからね!」

はあ。クレーム処理って本当に嫌なのよね。自分が引き起こしたならともかく他人がやらかしたことならなおさら。

深いため息をついて、詫びの品を村から選ぶことにした。

というか、そもそも聖女と会ったことがない。当然彼女の趣向がわからない。

聖女と会ったことがあるのはリィナの他に誰かいるのかしら。

リィナは勉学に勤しんでいると聞いているから邪魔をしたくない。

となると、国に住む残る神族はユリエルと選択の神エレナが聖女の情報を持っているかもしれない。

エレナが住む湖まで遠いので、ユリエルに聞くことにした。

「お供します」

ナナミを連れて診療所に行くことにした私は、

「そういえばナナミはユリエルと会うのは初めてだっけ?」

「はい。公明な診察医と聞いております」

「見たら大きさに驚くと思うよ」

診療所に到着すると、ナナミは見上げて、

「大きな建物ですね。まるで学校の体育館です」

「まぁ患者さんも少ないみたいだし、受付にお願いして待っていよう」

受付を済ませ、しばらく待つと、二メートル級の白衣を着た大男、ユリエルが待合室にやって来た。

「姫様。お待たせしました。って、その子は?」

「この子はナナミといって私の......」

紹介し終わる前に、

「姫様。僕のお嫁さんという認識でよろしいですか?」

「いいわけないでしょ。ナナミは私の秘書みたいなものなんだから」

「そうですか。こんな美人、滅多にお目にかかれないのに」

確かにナナミは高身長のモデル体型。肩まで伸びるショートヘアの髪の艶は、私の疲れた髪より遥かにいい。

そして特筆すべきは胸が大きい。同じ転生者のはずなのに神は何を考えているのか問い質してみたい。

「私はあなたをただの医師としてしか見ていません」

きっぱり言うナナミにショックを受けるユリエル。

「まあ今日来たのは聖女からクレームが来て詫びの品を考えていてね。ユリエルならなんか知っているかなあと思って聞きに来たのよ。どんな贈り物を喜ぶと思う?」

「聖女様が喜ぶものか。金銀財宝かな。あとイケメン」

「は? 世界中から慕われている聖女が欲しがったら駄目なやつなんだけど」

「でも、宝飾品には目がないと聞いたことがある」

「なんか私の中で聖女ってラスボス感あったんだけど一気に格下げされたわ」

「どちらかというと姫様にとってのラスボスは世界の西にあるコンダクタ皇国の皇女様じゃないかな。元々は小国だったんだが、異世界の知識をもとに発展したって聞いたことがある。まさに神の領域って噂だ」

話を聞いて、素直に皇女様が作り上げたという国を見てみたい興味に駆られた。

「で、金銀財宝なんかうちにないし、イケメン? うちの国にイケメンなんかいる?」

「四天王はイケメンかと」

「あんな半裸のオッサン送り込んだら二重クレームになるじゃない」

「じゃあ俺が生け贄になろうか?」

「聖女に精神的苦痛を受けたとか言われるのがオチよ」

「姫様の好みがわからん! どんな男が理想なんだ?」

「経済的に自立していて長男以外なら文句は言わないわ」

「姫様なのに理想低すぎない?」

「むしろ高いって言われたことがあるわ。いや、本音は年収一千万以上で高身長で私を専業主婦にしてくれることよ? でもそんな人いないのよ。そういう男は若い娘しか見てないの。だからもう結婚できるなら文句は言わないことにしてるの」

「まるで婚期を逃したオバサンみたいだな。姫様まだ十八歳とかだろ?」

「あと十年で二十八よ? 時が流れるなんてあっという間なんだからね?」

「でも、姫様って古の悪魔姫デビルプリンセスだろ? 寿命って三千年くらいじゃないか? あと軽く千年くらいはその姿だと思うが」

「そんなに生きたくないんだけど! 寿命八十歳くらいにして!」

「それは俺に言われても」

そんなやりとりをしていたら、

「あ、姫様こんなところにいたんですね」

コック姿のマナミがやってきた。

メニュー開発が専門で試食を私に毎回頼んで来る転生者だ。宮廷料理人志望のボーンが来た時に真っ先に声をかけに行ったのだが、不在だった。

ちなみに彼女が開発するメニューは何故かブラック企業で働く従業員が好みそうなものばかりである。

「実は一粒食べたら眠気が覚めるグミを作ってみたんだけど、食べてみてくれません?」

「真っ赤だけど原材料なに?」

「鷹の爪です」

「私を殺す気?」

「耐性ありますよね?」

「それもはや試食じゃなくて毒味よね。てか、チヒロと協力して、めっちゃうまいデザートを開発してくれない? 聖女への詫びの品として持っていきたいからさ」

「つまり毒薬を作れと?」

「マナミ、私の話聞いてた?」

こうして、マナミとチヒロはデザートを試行錯誤することになった。



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