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おしゃべりの決まりというものは、とくにありません。・・・・となりのひとが話しかけてきたら、それをきいて、じぶんなりに答えてあげればそれでいいのです。
それをくり返していけば、しぜんと会話がなりたちます。それほどふかくなやまなくてもいいのです。
「そうだよね」
と、こうちゃんがコクリとうなづきました。
テレビのニュースでも、ものすごい雪になやまされるところがあるのに、冬でもゆきのふらないあたたかいところもあるとつたえています。
「ほんと、ふしぎだね。おなじ、にほんのくになのに……」
こうちゃんがつづけます。
どうやら、冬があったかくなれば、いいことばかりではないようなのでした。
こうちゃんは、すぐよこにいるおとうさんに、
「それは、どうしてなの? さむくないのはわるいことなのかなあ?」
と、たずねました。
「うーん、そうだな、雪がふらなければ、ほら、ゆきだるまもつくれないだろ? それにね、せっかくつくっても、すぐにこわれてしまうからね」
おとうさんのこたえは、すこぶるめいかいです。
「なるほど」
こうちゃんは、さすが、おとうさんだとかんしんしました。
「ねえ、雪だるまにも、おとうさん、おかあさんがいるのかなあ?」
「さあ、それはだな、ゆきだるまをつくった子どもたちが、女もののぼうしやマフラーをくびにまけば、おかあさんになるだろ? ほら、ちいちゃな雪だるまなら、それは、こどもだな、たぶん」
なるほど。さすがだとこうちゃんはおもいました。
「ねえ、どうして、ぼくは、こうちゃんなの?」
しばらくくびをひねっていたこうちゃんが、おもいついたナゾをくちにしました。
「・・・・それは、おまえをつくった子どもの一人が、おまえの胸に、『こうちゃん』とかいた名札をつけたからだよ。あっ、今日は、あったかそうだから、とけるのが早い・・・・また、会おうな、いつか・・・・」
そうだね。
こうちゃんは、もういちど、そう答えながら、となりの〈おとうさん〉の名札がぐらぐらとゆれているのをながめていました。そうです、おとうさんだるまが、すこしずつ、とけているからでした。
あーあ、もうすこしだけ、おはなしをしたかったな。と、こうちゃんはおもいました。
でも、とけても、いつか、天にもどって、また、雪になっておちてくるんだもの。そのときに、再会できればいいな。とけかけたほほのあたりが、なんだかむずがゆくて、こうちゃんはみょうにそわそわしていました……
( 了 )
それをくり返していけば、しぜんと会話がなりたちます。それほどふかくなやまなくてもいいのです。
「そうだよね」
と、こうちゃんがコクリとうなづきました。
テレビのニュースでも、ものすごい雪になやまされるところがあるのに、冬でもゆきのふらないあたたかいところもあるとつたえています。
「ほんと、ふしぎだね。おなじ、にほんのくになのに……」
こうちゃんがつづけます。
どうやら、冬があったかくなれば、いいことばかりではないようなのでした。
こうちゃんは、すぐよこにいるおとうさんに、
「それは、どうしてなの? さむくないのはわるいことなのかなあ?」
と、たずねました。
「うーん、そうだな、雪がふらなければ、ほら、ゆきだるまもつくれないだろ? それにね、せっかくつくっても、すぐにこわれてしまうからね」
おとうさんのこたえは、すこぶるめいかいです。
「なるほど」
こうちゃんは、さすが、おとうさんだとかんしんしました。
「ねえ、雪だるまにも、おとうさん、おかあさんがいるのかなあ?」
「さあ、それはだな、ゆきだるまをつくった子どもたちが、女もののぼうしやマフラーをくびにまけば、おかあさんになるだろ? ほら、ちいちゃな雪だるまなら、それは、こどもだな、たぶん」
なるほど。さすがだとこうちゃんはおもいました。
「ねえ、どうして、ぼくは、こうちゃんなの?」
しばらくくびをひねっていたこうちゃんが、おもいついたナゾをくちにしました。
「・・・・それは、おまえをつくった子どもの一人が、おまえの胸に、『こうちゃん』とかいた名札をつけたからだよ。あっ、今日は、あったかそうだから、とけるのが早い・・・・また、会おうな、いつか・・・・」
そうだね。
こうちゃんは、もういちど、そう答えながら、となりの〈おとうさん〉の名札がぐらぐらとゆれているのをながめていました。そうです、おとうさんだるまが、すこしずつ、とけているからでした。
あーあ、もうすこしだけ、おはなしをしたかったな。と、こうちゃんはおもいました。
でも、とけても、いつか、天にもどって、また、雪になっておちてくるんだもの。そのときに、再会できればいいな。とけかけたほほのあたりが、なんだかむずがゆくて、こうちゃんはみょうにそわそわしていました……
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