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怪談会のはじまり
夏の夜の怪談会へ
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『なぁ神原って、覚えてる?』
僕のスマホにそんなメッセージが届いたのは、二週間ほど前のことだ。
メッセージを送ってきたのは、高校時代の同級生で、社会人になったいまでも繋がりのある数少ない学生時代の友人だった。大学も卒業し、社会人になり、そして二十もなかばくらいの年齢になって、だいぶ学生時代の人間関係は薄くなってしまったが、彼とは決して縁が切れることのないまま、変わらず頻繁に連絡を取り合っている。顔を実際に合わせる機会はほとんどないが。
『覚えてるけど。神原がどうしたの?』
とメッセージを返しながら、その名前を見た瞬間、嫌な感情が萌したのは事実だ。
『この間、電話があってさ。なんとかお前と連絡取れないか、って聞かれたんだ』
『なんで急に』
『さぁ。詳しい理由は知らないけど、でも「〈佐藤蓮〉ってあいつのことだろ」って書いてあったから、お前の趣味関連の話じゃないか?』
佐藤蓮、というのは、僕のペンネームみたいなものだ。もちろん本名ではない。僕はこの筆名で、ホラー小説や実話寄りの怪談話を創作サイトに発表している。趣味ではじめたものではあるけれど、最近は、オカルトや怪談系の雑誌やムック本などに文章を寄せてお金を頂いたこともあったし、来月にはデビュー作となるホラー短編集を出版することになっている。自分の書いた小説が本になるなんて、と思うと、夢みたいな話で、近頃は朝起きるたび、あぁ現実だ、とほっとすることも多かった。
『うーん……。だけど、僕が〈佐藤蓮〉だって、なんで知ってるんだろう?』
そう伝えながら、本当は分かっていた。神原なら、この名前を見た瞬間、間違いなく僕と〈佐藤蓮〉を繋げて考えるだろう、と。似た名前の別人、という可能性だってないわけじゃないが、作風も重ねて考えれば、その可能性は限りなくゼロに近くなる。
『偶然見掛けた雑誌に書かれてたお前の略歴を見て、ぴんと来たらしい』
言葉の後に、過去に文章を書いたオカルト雑誌の名前が添えてある。確かにこの雑誌に、掌編小説を一本載せてもらったことがあった。だけどよくこんなもの見つけたな、と思う一方、仮に気付く同級生がいるとしたら、神原しかいない、という気もした。僕よりずっと、彼はホラーに精通している人間だから。
『で、どうする? 連絡先、教えてもいい?』
彼との過去を思い返しながら、悩み、だけど結局、僕は神原に連絡先を教えることを了承した。
もともと仲の悪い相手ではなかった。もしあの出来事が無ければ、いまでも友人として関係が続いていたかもしれない。
そして数日経って神原からの電話があり、僕は地元の北陸へ、と久し振りに行くことになったのだ。まさかそのせいで、恋人と喧嘩になるなんて思っていなかったけれど。ただでさえ複雑な想いを抱えた相手との再会で緊張しているのに、それに喧嘩で痛めた心まで加わるなんて。吐き気がする。
約束のアパートが見えてきた。
外壁に銀色のプレートが貼られて、〈綾波ハイツ〉と書かれている。二階建ての古びたアパートで、集合住宅用の複数に並ぶ郵便受けには、それぞれに住んでいるひとの名前がしっかりと書かれている。僕の住んでいるマンションでこういうところに名前を書いているひとは誰もいないので、ちょっとめずらしいものを見たような気分になってしまった。まぁ僕が知らないだけで、こういうところは結構あるのかもしれない。
そして住人の名前を見ながら、ほんのすこし違和感を覚えてしまった。
夕暮れの陽に照らされた色褪せたアパートには、お化けでも出そうな雰囲気がある。これから行うことを考えれば、うってつけの場所と言えるかもしれない。
『なぁ、今度、数人で怖い話を語り合うんだけど、お前も来ないか?』
神原からの電話の内容はそんなものだった。彼と久し振りに話すことに、それなりに気まずさを感じていたのだ。高校時代、僕たちは険悪な色を残したまま、会わなくなってしまったから。なのに軽い口調で、彼が言うものだから、肩透かしを食らったような気分になった。だけど、ほっとしたのも事実だ。
まぁお互いにとって、もうむかしのことだ。いまとなっては笑い話くらいにしかならないのかもしれない。時間がすべてを解決する、ということもある。もちろん解決できない問題もあるけれど、神原となら解決できるかもしれない。そんな甘い期待もあった。
しこりがなければ、こんなに話していて楽しい相手もいない。怖い話やホラーが好き、という共通の趣味を持っていて、高校の、特に一、二年生の頃はいつもふたりでつるんでいたのだから。彼がいなければ、僕が小説を書くこともなかっただろう。僕に、「小説書いてみないか」と言ってくれたのは、彼なのだから。
「なんで、僕を?」
『お前の名前を、偶然雑誌で見掛けて、さ。まだホラー、ちゃんと書いてるんだ、って思ったら、嬉しくなってきて、今回の企画にお前を誘いたくなったんだ。どうだ?』
「まぁもちろん、怖い話は好きだし、行きたい気持ちもあるけど……。数人、って誰が来るの?」
『あぁ高校の同級生とかじゃなくて、俺がSNSで知り合ったひとたちだよ。ちょっと癖はあるかもしれないけど、話術もあるし、何より怖い話をよく知ってるんだ。俺が保証する』
「うーん……」
『嫌か?』
「嫌なわけじゃないけど。こう慣れない相手と会うのは」
僕も、それなりに怪談には詳しい自負がある。ちょっとした話では怖いとは感じないだろうし、自分で怪談を書くようになってからは、他人の話を聞く機会もさらに増え、実体験と称した嘘を見破るのも得意になってしまった。
ただ何よりも、見知らぬひとたちの集まりに入っていくことには、緊張感がある。ひとりやふたりなら、とも思うが、彼の口ぶりだと、もっと数は多そうだ。
『どうした、お前、そんなに人見知りだったか?』
「分かった。良いよ」
それでも僕は、彼の催しに参加することにした。
高校時代以降の神原については知らないが、僕の知る限り、彼は決して適当な人選なんてしないタイプだ。すくなくともホラーや小説に関することには、誠実な人間だ。もしかしたらいつか書く小説のネタになるかもしれない。仮に有用なものではなかったとしても、聞ける話はなんでも聞きたいのが、怪談好きの性だ。
アパートの二階が目的の部屋だ。鉄製の階段は茶色く錆びついていて、一段上がるたびに、きぃきぃ、と嫌な音が鳴った。
部屋の前には、予想もしていなかった名字が書かれている。そして先ほど、郵便受けの名前をさらりと見た時の、違和感の正体が分かった。正体、なんて大袈裟な言い方をするほどのものではない。『神原』という名前じゃなかったのだ。部屋の前の表札も、『鈴木』なる名前になっている。
念のため、スマホにメモしておいた住所と建物の名をもう一度、確認する。間違っている様子はない。
この男性かも女性かも分からない、鈴木さん、は、今回の集まりのひとりだろうか。
ひとつ深呼吸をして、インターフォンを押す。
「はい」と、すこし待って、ドア越しに聞こえてきた声は覚えのあるものだった。そしてドアが開き、僕の視界に飛び込んできた女性を、僕は知っていた。数時間前、僕はその女性と一緒にいた。
「相瀬さん……?」
僕は驚きのまま、口にする。
「おっ、意外と早い再会だった、ね。いらっしゃい」
「なんで……」
僕の問い掛けには答えず、冗談か本気か分からないトーンで、
「だから言ったでしょ。私の予感は当たる、って」
と笑った。
「僕が来ること知ってたんですか?」
「ううん。知らないよ。ただの偶然」
「本当ですか?」
「ご想像にお任せします」と、相瀬さんがほほ笑んだ。「まぁそんなことは、どうでもいい話。あなたでしょ、急遽決まった、最後の参加者、って。みんな部屋で待ってるから、はやく入りなよ。きょうの主役なんだから」
いつ僕は、きょうの主役になったんだろう。
困惑しつつも、僕は部屋へと戻る彼女の背中を追うことしかできなかった。
リビングは六畳程度で、そこには相瀬さんを含めて五人の男女の姿があった。真ん中にあるテーブルの囲むように、彼らは座っていた。
神原が僕に向かって手をあげた。
「久し振り」
と。
背中をつたう汗は、夏の暑さだけが原因ではないだろう。
ふいに僕は、緊張感とともに、独特なにおいをかいだ。
彼らのにおいだ。
彼らは、僕とは違うにおいがした。
僕のスマホにそんなメッセージが届いたのは、二週間ほど前のことだ。
メッセージを送ってきたのは、高校時代の同級生で、社会人になったいまでも繋がりのある数少ない学生時代の友人だった。大学も卒業し、社会人になり、そして二十もなかばくらいの年齢になって、だいぶ学生時代の人間関係は薄くなってしまったが、彼とは決して縁が切れることのないまま、変わらず頻繁に連絡を取り合っている。顔を実際に合わせる機会はほとんどないが。
『覚えてるけど。神原がどうしたの?』
とメッセージを返しながら、その名前を見た瞬間、嫌な感情が萌したのは事実だ。
『この間、電話があってさ。なんとかお前と連絡取れないか、って聞かれたんだ』
『なんで急に』
『さぁ。詳しい理由は知らないけど、でも「〈佐藤蓮〉ってあいつのことだろ」って書いてあったから、お前の趣味関連の話じゃないか?』
佐藤蓮、というのは、僕のペンネームみたいなものだ。もちろん本名ではない。僕はこの筆名で、ホラー小説や実話寄りの怪談話を創作サイトに発表している。趣味ではじめたものではあるけれど、最近は、オカルトや怪談系の雑誌やムック本などに文章を寄せてお金を頂いたこともあったし、来月にはデビュー作となるホラー短編集を出版することになっている。自分の書いた小説が本になるなんて、と思うと、夢みたいな話で、近頃は朝起きるたび、あぁ現実だ、とほっとすることも多かった。
『うーん……。だけど、僕が〈佐藤蓮〉だって、なんで知ってるんだろう?』
そう伝えながら、本当は分かっていた。神原なら、この名前を見た瞬間、間違いなく僕と〈佐藤蓮〉を繋げて考えるだろう、と。似た名前の別人、という可能性だってないわけじゃないが、作風も重ねて考えれば、その可能性は限りなくゼロに近くなる。
『偶然見掛けた雑誌に書かれてたお前の略歴を見て、ぴんと来たらしい』
言葉の後に、過去に文章を書いたオカルト雑誌の名前が添えてある。確かにこの雑誌に、掌編小説を一本載せてもらったことがあった。だけどよくこんなもの見つけたな、と思う一方、仮に気付く同級生がいるとしたら、神原しかいない、という気もした。僕よりずっと、彼はホラーに精通している人間だから。
『で、どうする? 連絡先、教えてもいい?』
彼との過去を思い返しながら、悩み、だけど結局、僕は神原に連絡先を教えることを了承した。
もともと仲の悪い相手ではなかった。もしあの出来事が無ければ、いまでも友人として関係が続いていたかもしれない。
そして数日経って神原からの電話があり、僕は地元の北陸へ、と久し振りに行くことになったのだ。まさかそのせいで、恋人と喧嘩になるなんて思っていなかったけれど。ただでさえ複雑な想いを抱えた相手との再会で緊張しているのに、それに喧嘩で痛めた心まで加わるなんて。吐き気がする。
約束のアパートが見えてきた。
外壁に銀色のプレートが貼られて、〈綾波ハイツ〉と書かれている。二階建ての古びたアパートで、集合住宅用の複数に並ぶ郵便受けには、それぞれに住んでいるひとの名前がしっかりと書かれている。僕の住んでいるマンションでこういうところに名前を書いているひとは誰もいないので、ちょっとめずらしいものを見たような気分になってしまった。まぁ僕が知らないだけで、こういうところは結構あるのかもしれない。
そして住人の名前を見ながら、ほんのすこし違和感を覚えてしまった。
夕暮れの陽に照らされた色褪せたアパートには、お化けでも出そうな雰囲気がある。これから行うことを考えれば、うってつけの場所と言えるかもしれない。
『なぁ、今度、数人で怖い話を語り合うんだけど、お前も来ないか?』
神原からの電話の内容はそんなものだった。彼と久し振りに話すことに、それなりに気まずさを感じていたのだ。高校時代、僕たちは険悪な色を残したまま、会わなくなってしまったから。なのに軽い口調で、彼が言うものだから、肩透かしを食らったような気分になった。だけど、ほっとしたのも事実だ。
まぁお互いにとって、もうむかしのことだ。いまとなっては笑い話くらいにしかならないのかもしれない。時間がすべてを解決する、ということもある。もちろん解決できない問題もあるけれど、神原となら解決できるかもしれない。そんな甘い期待もあった。
しこりがなければ、こんなに話していて楽しい相手もいない。怖い話やホラーが好き、という共通の趣味を持っていて、高校の、特に一、二年生の頃はいつもふたりでつるんでいたのだから。彼がいなければ、僕が小説を書くこともなかっただろう。僕に、「小説書いてみないか」と言ってくれたのは、彼なのだから。
「なんで、僕を?」
『お前の名前を、偶然雑誌で見掛けて、さ。まだホラー、ちゃんと書いてるんだ、って思ったら、嬉しくなってきて、今回の企画にお前を誘いたくなったんだ。どうだ?』
「まぁもちろん、怖い話は好きだし、行きたい気持ちもあるけど……。数人、って誰が来るの?」
『あぁ高校の同級生とかじゃなくて、俺がSNSで知り合ったひとたちだよ。ちょっと癖はあるかもしれないけど、話術もあるし、何より怖い話をよく知ってるんだ。俺が保証する』
「うーん……」
『嫌か?』
「嫌なわけじゃないけど。こう慣れない相手と会うのは」
僕も、それなりに怪談には詳しい自負がある。ちょっとした話では怖いとは感じないだろうし、自分で怪談を書くようになってからは、他人の話を聞く機会もさらに増え、実体験と称した嘘を見破るのも得意になってしまった。
ただ何よりも、見知らぬひとたちの集まりに入っていくことには、緊張感がある。ひとりやふたりなら、とも思うが、彼の口ぶりだと、もっと数は多そうだ。
『どうした、お前、そんなに人見知りだったか?』
「分かった。良いよ」
それでも僕は、彼の催しに参加することにした。
高校時代以降の神原については知らないが、僕の知る限り、彼は決して適当な人選なんてしないタイプだ。すくなくともホラーや小説に関することには、誠実な人間だ。もしかしたらいつか書く小説のネタになるかもしれない。仮に有用なものではなかったとしても、聞ける話はなんでも聞きたいのが、怪談好きの性だ。
アパートの二階が目的の部屋だ。鉄製の階段は茶色く錆びついていて、一段上がるたびに、きぃきぃ、と嫌な音が鳴った。
部屋の前には、予想もしていなかった名字が書かれている。そして先ほど、郵便受けの名前をさらりと見た時の、違和感の正体が分かった。正体、なんて大袈裟な言い方をするほどのものではない。『神原』という名前じゃなかったのだ。部屋の前の表札も、『鈴木』なる名前になっている。
念のため、スマホにメモしておいた住所と建物の名をもう一度、確認する。間違っている様子はない。
この男性かも女性かも分からない、鈴木さん、は、今回の集まりのひとりだろうか。
ひとつ深呼吸をして、インターフォンを押す。
「はい」と、すこし待って、ドア越しに聞こえてきた声は覚えのあるものだった。そしてドアが開き、僕の視界に飛び込んできた女性を、僕は知っていた。数時間前、僕はその女性と一緒にいた。
「相瀬さん……?」
僕は驚きのまま、口にする。
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「なんで……」
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「だから言ったでしょ。私の予感は当たる、って」
と笑った。
「僕が来ること知ってたんですか?」
「ううん。知らないよ。ただの偶然」
「本当ですか?」
「ご想像にお任せします」と、相瀬さんがほほ笑んだ。「まぁそんなことは、どうでもいい話。あなたでしょ、急遽決まった、最後の参加者、って。みんな部屋で待ってるから、はやく入りなよ。きょうの主役なんだから」
いつ僕は、きょうの主役になったんだろう。
困惑しつつも、僕は部屋へと戻る彼女の背中を追うことしかできなかった。
リビングは六畳程度で、そこには相瀬さんを含めて五人の男女の姿があった。真ん中にあるテーブルの囲むように、彼らは座っていた。
神原が僕に向かって手をあげた。
「久し振り」
と。
背中をつたう汗は、夏の暑さだけが原因ではないだろう。
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彼らのにおいだ。
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