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里志と有沙の企て
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名の知られた武将に事欠かない武田軍。それでも四天王と呼ばれる2人をオレ達織田軍が倒した。
オレ達織田軍はいち早く赤松道の小高いところへ退却できた。そこから両軍が見えるが・・・
「嘘だろ!?本多さんも榊原さん達も押されてるじゃん!あれは退却できないぞ!もう一度戻ろう!」
「いや武蔵?さすがにあれは危ないぞ?」
「ほほほ。私達が窮地を脱したすぐに味方の心配ができますか。さすが私の見込んだ方ですね。それにやはり私の勘は当たりましたね」
「夏目様ありがとうございます。もう大丈夫です」
「うむ。では我等は殿をお迎えに参る。漆原殿は早く浜松に!」
「里志君!」
「武蔵!無事でよかった・・・おい!?その左腕はどうした!?」
「え!?これ?痛・・・」
これがビックリ。さっきまでアドレナリンが出てたせいか痛みはなかったが、どんどん脈打ってるのが分かる。非常に痛い。
「矢が刺さってるじゃん!でも・・・良かったな!鏃の先しか刺さってないから病院に行けば2針か3針くらいで済むと思うぞ!」
オレは貫通したくらいの痛みだが、まぁ矢が刺さったのは今回が初めてだから貫通するのがどのくらい痛いかは分からないが。
「そうなんだよ。念の為にクソ重いけど防刃ベスト着ておいてよかったよ」
オレは防刃ベストを着ていた。なんとかさんって凄い人が甲冑を作ってくれて、それを着てはいるがやはり未来には勝てないからな。近所の作業服屋に売ってある作業用防刃ベストだがこれが多少矢の勢いを防いでくれたのだと思う。
これが本物のやつなら防げたであろう。だが、警察が着てるような防刃ベストは高いんだよな。だが、今はまだそんな時じゃない!早く徳川軍を助けないと!
「完璧には防ぎきれなかったようだけど意外に矢の威力は減衰してるんだな。それって工場作業員用の防刃ベストだろう?意外にも盲点だった。そのベストを装備するだけでも相当軍備増強できるな!」
「いやいや!そんな事よりどうやってここへ来たの!?」
「それは城に戻ってからだ!それより・・・武蔵は腕はまだ大丈夫か?やってもらいたい事があるんだ」
「やったもらいたい事?腕は痛いけどとりあえずは大丈夫だけど・・・」
オレがそう言うと里志君と有沙さんは悪そうな笑みを浮かべた。
「ほほほ。私も仲間に入れてほしいものですな?漆原殿?一ノ瀬嬢殿?」
竹中さんまで加わろうとしている。いったいなんだろうか・・・
「殿ッ!!!右翼の織田軍は退きました!早く我等も!」
「夏目!!何故出張ってきたのだ!ワシの事は放っておいてよいと言ったではないか!」
「違います!援軍です!あの焙烙玉の製作者が現れたのです!早く左翼の本多や榊原にも撤退の指示を!おい!大久保!お前は先に大ホラ吐いたんだ!殿(しんがり)をしろ!さぁ!殿!こちらへ!」
「う、うむ。すまぬ。全軍に伝えよ!退却だ!うん?何か聞こえないか?」
『内藤昌秀が首!織田軍 合田あやめが討ち取ったり~!』
「なんと!?おい!夏目!?まさかあの合田夫婦が馬場に続き内藤までも討ち取ったのか!?」
「はい!確かに首らしきものを風呂敷に包み、前田慶次という者が持っていました!」
「そうか!この混乱に乗じるぞ!退け!退けぇ~!」
「前田様!?恥ずかしいです!」
「あやめは何を言ってるのだ?手柄だ!誇れ!夫婦揃って二つの首級をあげるなんてそうそうないんだぞ!」
「ゲッ!それマジで首だったんだ!?おぇ~・・・」
「ふん。さすがの里志も首には慣れないか?ほれ!持ってみろ!」
ポロン
「ヒィ~!!」
「がははは!おもしろい!なんでも得意そうな顔してるのに首級には弱いか。だが!それが良い!人間誰しも弱いところはある!」
「そうそう。里志君?有沙さん?いや、有沙さんは大丈夫ぽいけど、意外に慣れるよ?オレも最初こそだったけど今は普通だし。小川さん?黒川さん?小泉さん?紹介するよ!オレの大親友の漆原里志君と一ノ瀬有沙さんだ!」
「ちょっと!合田君!?そんな事よりなんで私は大丈夫とか言うのよ!?酷いじゃん!」
「いやだって・・・さっきも撤退の道作ってくれた時もテルミット投げながら喜んでたっぽいから・・・」
「もう!」
「ほほほ。およそ戦場とは思えない雰囲気ですな。そんな事より、本当に我等で信玄公の首を取ると?」
「ゲホッ ゲホッ・・・はい!俺と有沙が想像した通りです!武田は強い!それと、なにより時間が残されていない!なら、どんなに味方が減ろうが必ず進んでくる!それに徳川軍はこれから退却です!逃げるより追いかける方が有利!その有利な時こそ敵本陣が手薄になる!それを武蔵がズドンと1発!」
「いや里志君はマジで言ってんの!?」
「ふむ。重矩!双眼鏡を!」
いやあれは前にオレが渡した双眼鏡だけどこんな薄暗い中見えるのか!?
「合田殿?見なさい。あれなるが信玄公が座す本陣。しかも辺りは暗くなっている。好機ではございませぬか?」
「竹中様まで・・・」
「武蔵!安心しろ!もしもの時のためのスモークも持ってある!それに・・・ほら!」
「はい?なに?この御守りは?」
「安倍晴明様の御守りだ!あの人が守ってくれるさ!俺と有沙が武蔵を織田軍1の武将にしてみせる!その第一歩が信玄の首だ!」
「殿!我等だけこんなに退いて大丈夫なのでしょうか!?」
「馬鹿野郎!あのままあそこに居てもやられるだけだ!武田の勢いを見ただろう!勝ち目なんぞない!そんな事より早く船で尾張に戻るぞ!」
「いやしかし・・・平手様と合田殿達がーー」
「つべこべ言うな!とっくに殺られてるに決まっている!ワシ自ら撤退の指示を出したものを遅れたあいつらが悪い!」
「は、はぁ~」
「いいか?あれは仕方のない事だ!2万をも超える敵に対して我等織田徳川合わせても1万にも満たない。それを徳川のタヌキが野戦に持ち込んだのは誠、愚かな極み。ワシは無駄死にするために浜松に赴いたわけではない!水野はわざわざ駆けつけたところ申し訳なかったが仕方がない」
オレ達織田軍はいち早く赤松道の小高いところへ退却できた。そこから両軍が見えるが・・・
「嘘だろ!?本多さんも榊原さん達も押されてるじゃん!あれは退却できないぞ!もう一度戻ろう!」
「いや武蔵?さすがにあれは危ないぞ?」
「ほほほ。私達が窮地を脱したすぐに味方の心配ができますか。さすが私の見込んだ方ですね。それにやはり私の勘は当たりましたね」
「夏目様ありがとうございます。もう大丈夫です」
「うむ。では我等は殿をお迎えに参る。漆原殿は早く浜松に!」
「里志君!」
「武蔵!無事でよかった・・・おい!?その左腕はどうした!?」
「え!?これ?痛・・・」
これがビックリ。さっきまでアドレナリンが出てたせいか痛みはなかったが、どんどん脈打ってるのが分かる。非常に痛い。
「矢が刺さってるじゃん!でも・・・良かったな!鏃の先しか刺さってないから病院に行けば2針か3針くらいで済むと思うぞ!」
オレは貫通したくらいの痛みだが、まぁ矢が刺さったのは今回が初めてだから貫通するのがどのくらい痛いかは分からないが。
「そうなんだよ。念の為にクソ重いけど防刃ベスト着ておいてよかったよ」
オレは防刃ベストを着ていた。なんとかさんって凄い人が甲冑を作ってくれて、それを着てはいるがやはり未来には勝てないからな。近所の作業服屋に売ってある作業用防刃ベストだがこれが多少矢の勢いを防いでくれたのだと思う。
これが本物のやつなら防げたであろう。だが、警察が着てるような防刃ベストは高いんだよな。だが、今はまだそんな時じゃない!早く徳川軍を助けないと!
「完璧には防ぎきれなかったようだけど意外に矢の威力は減衰してるんだな。それって工場作業員用の防刃ベストだろう?意外にも盲点だった。そのベストを装備するだけでも相当軍備増強できるな!」
「いやいや!そんな事よりどうやってここへ来たの!?」
「それは城に戻ってからだ!それより・・・武蔵は腕はまだ大丈夫か?やってもらいたい事があるんだ」
「やったもらいたい事?腕は痛いけどとりあえずは大丈夫だけど・・・」
オレがそう言うと里志君と有沙さんは悪そうな笑みを浮かべた。
「ほほほ。私も仲間に入れてほしいものですな?漆原殿?一ノ瀬嬢殿?」
竹中さんまで加わろうとしている。いったいなんだろうか・・・
「殿ッ!!!右翼の織田軍は退きました!早く我等も!」
「夏目!!何故出張ってきたのだ!ワシの事は放っておいてよいと言ったではないか!」
「違います!援軍です!あの焙烙玉の製作者が現れたのです!早く左翼の本多や榊原にも撤退の指示を!おい!大久保!お前は先に大ホラ吐いたんだ!殿(しんがり)をしろ!さぁ!殿!こちらへ!」
「う、うむ。すまぬ。全軍に伝えよ!退却だ!うん?何か聞こえないか?」
『内藤昌秀が首!織田軍 合田あやめが討ち取ったり~!』
「なんと!?おい!夏目!?まさかあの合田夫婦が馬場に続き内藤までも討ち取ったのか!?」
「はい!確かに首らしきものを風呂敷に包み、前田慶次という者が持っていました!」
「そうか!この混乱に乗じるぞ!退け!退けぇ~!」
「前田様!?恥ずかしいです!」
「あやめは何を言ってるのだ?手柄だ!誇れ!夫婦揃って二つの首級をあげるなんてそうそうないんだぞ!」
「ゲッ!それマジで首だったんだ!?おぇ~・・・」
「ふん。さすがの里志も首には慣れないか?ほれ!持ってみろ!」
ポロン
「ヒィ~!!」
「がははは!おもしろい!なんでも得意そうな顔してるのに首級には弱いか。だが!それが良い!人間誰しも弱いところはある!」
「そうそう。里志君?有沙さん?いや、有沙さんは大丈夫ぽいけど、意外に慣れるよ?オレも最初こそだったけど今は普通だし。小川さん?黒川さん?小泉さん?紹介するよ!オレの大親友の漆原里志君と一ノ瀬有沙さんだ!」
「ちょっと!合田君!?そんな事よりなんで私は大丈夫とか言うのよ!?酷いじゃん!」
「いやだって・・・さっきも撤退の道作ってくれた時もテルミット投げながら喜んでたっぽいから・・・」
「もう!」
「ほほほ。およそ戦場とは思えない雰囲気ですな。そんな事より、本当に我等で信玄公の首を取ると?」
「ゲホッ ゲホッ・・・はい!俺と有沙が想像した通りです!武田は強い!それと、なにより時間が残されていない!なら、どんなに味方が減ろうが必ず進んでくる!それに徳川軍はこれから退却です!逃げるより追いかける方が有利!その有利な時こそ敵本陣が手薄になる!それを武蔵がズドンと1発!」
「いや里志君はマジで言ってんの!?」
「ふむ。重矩!双眼鏡を!」
いやあれは前にオレが渡した双眼鏡だけどこんな薄暗い中見えるのか!?
「合田殿?見なさい。あれなるが信玄公が座す本陣。しかも辺りは暗くなっている。好機ではございませぬか?」
「竹中様まで・・・」
「武蔵!安心しろ!もしもの時のためのスモークも持ってある!それに・・・ほら!」
「はい?なに?この御守りは?」
「安倍晴明様の御守りだ!あの人が守ってくれるさ!俺と有沙が武蔵を織田軍1の武将にしてみせる!その第一歩が信玄の首だ!」
「殿!我等だけこんなに退いて大丈夫なのでしょうか!?」
「馬鹿野郎!あのままあそこに居てもやられるだけだ!武田の勢いを見ただろう!勝ち目なんぞない!そんな事より早く船で尾張に戻るぞ!」
「いやしかし・・・平手様と合田殿達がーー」
「つべこべ言うな!とっくに殺られてるに決まっている!ワシ自ら撤退の指示を出したものを遅れたあいつらが悪い!」
「は、はぁ~」
「いいか?あれは仕方のない事だ!2万をも超える敵に対して我等織田徳川合わせても1万にも満たない。それを徳川のタヌキが野戦に持ち込んだのは誠、愚かな極み。ワシは無駄死にするために浜松に赴いたわけではない!水野はわざわざ駆けつけたところ申し訳なかったが仕方がない」
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