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告白

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ルーナは悩んでいた。

キースと二人で城下町に行ってから、二週間の時が経っていた。

キースのルーナに対する態度は、明らかに変わっていた。
キースはルーナに近寄らず強い関心を向けることがなくなった。
そしてめっきりキースは夜に寝所に来ることがなくなった。

ルーナは本来の多情なキースに戻ったのだと思っていた。
だからキースが夜どこで寝ているのか、誰かと会っているのか、ルーナは特に詮索しなかった。

まだ二週間で世間には悪い噂は立ってないようだったが、実家にはキースとルーナに距離ができたことは知れ渡っていた。
この日も王城に来ていたゼロが心配して、ルーナと謁見していた。

「ルーン。やっぱりやめておけばよかったんだ。キースとの結婚を。私がキースにルーナと離婚をしてもらうよう説得するよ。」
「お兄様。」

ゼロはルーナと会って早々憤怒しており、キースにそのまま直訴に行こうとする勢いであった。
ルーナはゼロを制御することに必死であった。

「お兄様、私はもうキース様と結婚してしまったんですから。私のためにお兄様の立場が悪くなることはしてはいけません。」
「でもルーンは辛いだろう?お父様とお母様も心配していて、今日は私が家族の代表として来たんだ。」
「お兄様、気持ちはとても嬉しいんですが…。絶対にそれはなりません。」

ルーナは辛くないと答えれば、嘘になる。
しかし心配するゼロにはそんな素振りを見せず気丈を振る舞っていた。


そして小一時間ゼロを説き改めさせて帰らせると、ルーナは深い疲労感に襲われていた。

「私にも、どうもできないわよ。」

ルーナはベッドにうつ伏せになり項垂れると、深いため息をついた。

ルーナはキースと最後に話した言葉を忘れることができなかった。
そしてキースの態度の変化にも少なからず胸を痛める自分がいることを感じていた。

生まれ変わっても、他人の感情は難しいものだとルーナは思う。
そして何が正解なのかもよく分からず、二度生きても人生は分からないことばかりだ。
ルーナは一人思い耽っていると、睡魔に襲われてそのまま眠りについてしまった。


ルーナが昼寝から目を醒めると、暖かい温もりを感じ、目の前に思いもよらない光景があった。
ルーナはなんとキースの胸の中にいたのであった。

「起きたかい?」
「…キース様。」

ルーナは自分を見下ろすキースの碧い目につい顔を赤らめてしまった。
自分の表情を隠すように、ルーナはキースの胸の中に顔を埋めた。

「気持ち良さそうに寝ているから、つい私もルーナと添い寝してしまったよ。」

キースはそう言うと、優しくルーナの頭を撫でた。
キースのこの二週間を忘れさせるような甘い言い分に、ルーナは率直に狡いと思った。

「ルーナ。これから、星を見に行かないか?」
「星ですか?」
「あぁ。ルーナと一緒に見たいんだ。」

そしてルーナはキースの言葉のまま、支度をするとキースと馬に乗り、城下町の外れの裏山に行ったのであった。

冬の寒空には無数の星が輝いていた。
裏山に着くと、キースは人払いをしルーナに寄り添うように腰掛けた。
キースはルーナの腰に手を当て、ルーナの頭を自分の肩に乗せた。

「私は、今まで辛いことがあるとこの裏山に来ていたんだ。」
「そうだったんですね。」
「ルーナ、すまない。この二週間…ずっと考えてたんだ。いつの間にか、ルーナに夢中になってた理由をね。」

キースはそう言うと、ルーナの左手を引き寄せて自分の両手と絡めた。

「最初はただ心を開かせようと思ってたんだけど、だんだんルーナに私を好きにさせようなんて欲が出ていた。結局理由が分からなかったけど。でも初めてなんだ、こんなに誰かを振り向かそうと思ったのは。」
「初めて…ですか?」
「私は自慢じゃないけれど、望めば拒む女性はいなかったからね。」

そう話すキースの表情は、顔が紅くなっているかのようだった。
ルーナはそれがキースの本心だと悟ったが、まだ心の奥には蟠りが残っていた。

「キース様。それではこの二週間、夜はどこで寝ていらしたんですか?」
「…執務室だよ。毎晩思い悩んでは一人で酒に溺れていた。ルーナに合わせる顔がなかった。護衛たちには固く口封じをしていたんだよ。」
「そうだったんですね…。」

ルーナはキースが酒に溺れている様子を想像し、つい声を上げて笑ってしまった。
そんなルーナの頭をキースは撫でて、ルーナのおでこに接吻をして言った。

「好きだよ、ルーナ。」

ルーナは胸の奥が締め付けられるのを感じた。
そしてルーナはキースと目が合うと、どちらともなく二人は引き寄せるように唇が近づいた。
しかしルーナは自分の唇の前に人差し指を当て、接吻を回避した。

「キース様、私のどこが好きなんですか?」
「良いところだったのに。でもルーナ、私はそういうところが好きだよ。ちゃんと自分を持っているところだ。」
「そう…ですか。」
「でもこれからはもっとたくさん好きなところができるよ。その都度ちゃんと伝えていくからね。」

キースはそう言うとルーナの小さな身体を強く抱きしめた。
ルーナは一瞬キースに預けた身体を起こして、キースを見上げた。

「キース様。」

ルーナは両手を伸ばしてキースの頬に触れると、キースの唇に自分の唇を合わせた。
流星の下、二人は深い接吻を交わしていた。

ルーナはキースに対する感情が何か、頭ではまだ分からなかったが、もう身体はキースのことを受け入れていた。




ご閲覧ありがとうございます♪
今夜次話、とうとう18禁と重要回の二話を投稿しますのでよろしくお願いします!
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