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第四夜 人生の大きな選択
⑤
翌朝、陽菜はソファーの上で目が覚めた。
頭痛が酷く、吐き気もあった。
久しぶりに酷い二日酔いになった。
そして昨日の記憶も曖昧だった。
ただ酔っ払った勢いで圭にしでかした失態がはっきりと頭をよぎる。
陽菜は発狂しそうになった時、目の前に二つのコーヒーカップを持った圭が現れた。
「はるちゃんは白湯の方がいいよね?」
「ありがとう。」
陽菜は早朝から圭の優しさが心に染み、赤らむ顔を隠すように俯いて白湯をすすった。
なんで圭の用意するドリンクはどれも美味しいのだろう、本当に不思議だ。
しかしそんな幸せに堪能する間も無く、陽菜は昨日起きた出来事をだんだんと思い出し深くため息をついた。
幸せになる未来しかないはずだと思っていた七海と絢斗がきっと初めてであろう大喧嘩をしてしまったのだ。
「二人、大丈夫かなぁ。」
「俺は大丈夫だと信じてるよ。ああやって、本気でぶつかって良かったんじゃないかな。きっと二人なりの幸せを見出せると思う。俺たちはまた見守っていよう。」
穏やかな圭の一言に、陽菜は安堵し横から抱きついた。
圭はそのまま陽菜を胸の中に抱き、優しか頭を撫でてくれた。
そんな幸せな朝のひととき、陽菜の携帯電話に着信が入った。
「あれ?どうしたんだろう。茜からだ。」
「なんかまた匠くんがしでかしたのかなぁ。」
「今から家出とか勘弁してほしい。とりあえず電話するけど。」
陽菜はまた茜と匠の痴話喧嘩に巻き込まれる嫌な予感がして、電話を折り返すとすぐに電話を出た茜から返ってきた言葉は一つだった。
「産まれる。」
大声で言っていたその一言は圭の耳にも届いており、二人は顔を見合わせた。
「今どこ?」
「病院。」
「匠くんはいる?」
「いる、けど二日酔い。」
「私たちも行くよ。」
「あたぼうよ。」
切迫した状況であるのに自ら電話をかけてくるあたり、茜はいつもと変わらず堂々としていた。
そして陽菜と圭は身支度を済ませると、バイクに乗り急いで病院に向かった。
しかしその小一時間の間に、新しい命は誕生していた。
「おめでとう!茜!匠くん!」
「ありがとうございます。」
「いやぁせっかちな子だったわ。まさかこんなにスポンと産まれるなんて、よっぽどお母様に会いたかったのね。」
茜は今出産したばかりとは思えないほどのいつもの調子で、匠はやはり生命の誕生に感動してまだ泣いていた。
茜に抱かれた男の子の新生児は、茜にそっくりの美男子だった。
その小さな命が起こした奇跡を陽菜は思い出し、良案が頭をよぎったのである。
「よし、これだ。圭、私いいこと考えた。」
「ん?どうしたの?」
「二人にこの子を会わせよう。」
陽菜は病室を出ると、まるで茜のように突拍子もないことを圭に伝えた。
新しい命の尊さに実際七海と絢斗に触れさせれば、二人も幸せになる夢を取り戻してくれるのかもしれない。
圭は二つ返事で賛成し、お互い鉢合わせるかのように二人をここで合わせる作戦を圭と陽菜は考えたのであった。
そして数日後。
休日に陽菜は七海を、圭は絢斗を呼び出し茜の病室で落ち合った。
もちろん茜には事前に伝えていて、あっさりと快諾してくれていた。
七海と絢斗は必然的に会う羽目になったことを困惑していたが、すぐに目の前にある天使の姿に微笑んでいた。
「小さい。可愛い。抱っこしてもいい?」
「もちろん。」
元々子供が大好きな七海は恐る恐る、おくるみのまま新生児を抱き上げた。
そして母のように柔らかく微笑む七海の横で、絢斗はその小さな手に指を触れ握り返す小さな力に感動していた。
「いつか俺たちも、赤ちゃんが来てくれるかな。」
「うん。絢斗との赤ちゃん、私欲しいなぁ。」
陽菜はその和やかな会話を盗み聞きし、圭にだけ見える位置でガッツポーズをした。
二人の作戦は成功に見えたが、なんだかうまく行きすぎてるような予感もしていた。
「みんな。突然ですが、昨日私達入籍しました。」
「「えええええ。」」
驚愕したのは、もちろん七海と絢斗の仲を取り持とうと目論んでいた陽菜と圭だった。
茜はその姿に大笑いし、新生児を抱きながら拍手喝采した。
「あれからなにがあったの?」
「所謂駆け落ち、してしまいました。」
七海が照れ臭そうにそう話すと、絢斗も顔を真っ赤にしていた。
「二人には本当に心配をかけてごめん。そしてこうやって今日も仲を取り持とうとしてくれてありがとう。実は大喧嘩をしたあの夜、俺たち二人反省してもう後先考えずとりあえずお互い好き同士だし結婚することにしたんだ。」
「私たちがそんなことするなんてありえないって思ったでしょ?でもそうすることで末期癌の母も喜んでくれたし、絢斗の母もさすがに息子にバツをつけるわけにいかず私のことを認めてくれたの。」
七海と絢斗の大胆な結婚の真相を聞いて、陽菜は呆気に取られていたがだんだんその事実を受け入れ七海に抱きついて言った。
「おめでとう。本当に。二人とも幸せになってね。」
結局、七海と絢斗にも心配するだけして何もすることができなかった。
やはり惹かれ合う二人は周りの協力無くしても結ばれるのが運命なのだろうかと、陽菜はロマンチックなことを考えたのであった。
また陽菜は茜の一件で数回圭を連れて病棟に現れたことで、いつしか病棟では陽菜は自分より五つも若いイケメンの男の子を彼氏に持っていると恰好の噂の的にされていたのであった。
頭痛が酷く、吐き気もあった。
久しぶりに酷い二日酔いになった。
そして昨日の記憶も曖昧だった。
ただ酔っ払った勢いで圭にしでかした失態がはっきりと頭をよぎる。
陽菜は発狂しそうになった時、目の前に二つのコーヒーカップを持った圭が現れた。
「はるちゃんは白湯の方がいいよね?」
「ありがとう。」
陽菜は早朝から圭の優しさが心に染み、赤らむ顔を隠すように俯いて白湯をすすった。
なんで圭の用意するドリンクはどれも美味しいのだろう、本当に不思議だ。
しかしそんな幸せに堪能する間も無く、陽菜は昨日起きた出来事をだんだんと思い出し深くため息をついた。
幸せになる未来しかないはずだと思っていた七海と絢斗がきっと初めてであろう大喧嘩をしてしまったのだ。
「二人、大丈夫かなぁ。」
「俺は大丈夫だと信じてるよ。ああやって、本気でぶつかって良かったんじゃないかな。きっと二人なりの幸せを見出せると思う。俺たちはまた見守っていよう。」
穏やかな圭の一言に、陽菜は安堵し横から抱きついた。
圭はそのまま陽菜を胸の中に抱き、優しか頭を撫でてくれた。
そんな幸せな朝のひととき、陽菜の携帯電話に着信が入った。
「あれ?どうしたんだろう。茜からだ。」
「なんかまた匠くんがしでかしたのかなぁ。」
「今から家出とか勘弁してほしい。とりあえず電話するけど。」
陽菜はまた茜と匠の痴話喧嘩に巻き込まれる嫌な予感がして、電話を折り返すとすぐに電話を出た茜から返ってきた言葉は一つだった。
「産まれる。」
大声で言っていたその一言は圭の耳にも届いており、二人は顔を見合わせた。
「今どこ?」
「病院。」
「匠くんはいる?」
「いる、けど二日酔い。」
「私たちも行くよ。」
「あたぼうよ。」
切迫した状況であるのに自ら電話をかけてくるあたり、茜はいつもと変わらず堂々としていた。
そして陽菜と圭は身支度を済ませると、バイクに乗り急いで病院に向かった。
しかしその小一時間の間に、新しい命は誕生していた。
「おめでとう!茜!匠くん!」
「ありがとうございます。」
「いやぁせっかちな子だったわ。まさかこんなにスポンと産まれるなんて、よっぽどお母様に会いたかったのね。」
茜は今出産したばかりとは思えないほどのいつもの調子で、匠はやはり生命の誕生に感動してまだ泣いていた。
茜に抱かれた男の子の新生児は、茜にそっくりの美男子だった。
その小さな命が起こした奇跡を陽菜は思い出し、良案が頭をよぎったのである。
「よし、これだ。圭、私いいこと考えた。」
「ん?どうしたの?」
「二人にこの子を会わせよう。」
陽菜は病室を出ると、まるで茜のように突拍子もないことを圭に伝えた。
新しい命の尊さに実際七海と絢斗に触れさせれば、二人も幸せになる夢を取り戻してくれるのかもしれない。
圭は二つ返事で賛成し、お互い鉢合わせるかのように二人をここで合わせる作戦を圭と陽菜は考えたのであった。
そして数日後。
休日に陽菜は七海を、圭は絢斗を呼び出し茜の病室で落ち合った。
もちろん茜には事前に伝えていて、あっさりと快諾してくれていた。
七海と絢斗は必然的に会う羽目になったことを困惑していたが、すぐに目の前にある天使の姿に微笑んでいた。
「小さい。可愛い。抱っこしてもいい?」
「もちろん。」
元々子供が大好きな七海は恐る恐る、おくるみのまま新生児を抱き上げた。
そして母のように柔らかく微笑む七海の横で、絢斗はその小さな手に指を触れ握り返す小さな力に感動していた。
「いつか俺たちも、赤ちゃんが来てくれるかな。」
「うん。絢斗との赤ちゃん、私欲しいなぁ。」
陽菜はその和やかな会話を盗み聞きし、圭にだけ見える位置でガッツポーズをした。
二人の作戦は成功に見えたが、なんだかうまく行きすぎてるような予感もしていた。
「みんな。突然ですが、昨日私達入籍しました。」
「「えええええ。」」
驚愕したのは、もちろん七海と絢斗の仲を取り持とうと目論んでいた陽菜と圭だった。
茜はその姿に大笑いし、新生児を抱きながら拍手喝采した。
「あれからなにがあったの?」
「所謂駆け落ち、してしまいました。」
七海が照れ臭そうにそう話すと、絢斗も顔を真っ赤にしていた。
「二人には本当に心配をかけてごめん。そしてこうやって今日も仲を取り持とうとしてくれてありがとう。実は大喧嘩をしたあの夜、俺たち二人反省してもう後先考えずとりあえずお互い好き同士だし結婚することにしたんだ。」
「私たちがそんなことするなんてありえないって思ったでしょ?でもそうすることで末期癌の母も喜んでくれたし、絢斗の母もさすがに息子にバツをつけるわけにいかず私のことを認めてくれたの。」
七海と絢斗の大胆な結婚の真相を聞いて、陽菜は呆気に取られていたがだんだんその事実を受け入れ七海に抱きついて言った。
「おめでとう。本当に。二人とも幸せになってね。」
結局、七海と絢斗にも心配するだけして何もすることができなかった。
やはり惹かれ合う二人は周りの協力無くしても結ばれるのが運命なのだろうかと、陽菜はロマンチックなことを考えたのであった。
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