君との星月を眺める時間(仮)

SchweinDikiy

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二話

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今日こそ私は自殺しようと思い、またあの公園に来ていた。
先週は邪魔が入ったせいで死ねなかった。
私の自殺方法は至って単純、首吊りだ。
首吊りなら家でもやれるだろと思うかもしれない。
しかし、私の家には私を吊るすだけの強度のあるものなどなく、また、家でやってしまうと未練が残りそうで嫌だった。
ロープは先週持ってきていた。
あとはロープを上手く使い首がかかるだけの輪をつくる。
そしていざ首をかけようとしたその時__。

「栞さん?何やってんすか?」

あの男の声がした。
うんざりだった。
これまで死のうと意気込んでいたのが全部壊されたような感覚だ。

「ダメっすよ。死のうなんて考えちゃ」

「あんたに何がわかんのよ」

「なんもわかんないすね」

「なら気安くそんな事言わないで」

「俺は栞さんに何があってなんで死のうとしてるのかなんて知りませんけど、目の前で自殺しようとしてる女性がいてそれを止めずにただ眺めてるだけのやつになんてなりたくねーっす」

「じゃあなんでここにいるの?」

「偶然てすごいっすよね。今日もたまたますれ違ったんすよ。はっ、まさかこれって運命!?」

明良は目をキラキラさせるような感じでこちらを見つめてくる。

「ふざけないで」

「もー、冗談すよ、冗談。それに栞さん可愛いんですから、そんなに怒らないでくださいよ」

はあ、と大きくため息をつき、先週と同じ場所に座る。

彼もその隣に座り、マジ勘弁、といった表情を彼は見せてくる。
そういえば今日初めて明良の顔を見たかもしれない。
美形、ではないし、イケメンでもない。
暗闇でよく見えないが強いて言うなら優しそうという印象が強い。
私の容姿は世間では結構綺麗な方らしい。
私自身そんなこと考えたことないが__。
今夜もまた、星月の煌めく美しい夜だった。

「あの、栞さん。ひとまず全然関係ない話しましょ。」

「なんの話?」

少しイライラしたように応える。

「そうっすね、死後の世界についてです。栞さんは死んだ後ってどうなると思いますか?輪廻転生とか天国に行くとか色々あるじゃないですか。栞さんはどうなると思いますか?」

「私は死んだ後のことなんて興味無いわ。私が死ねばそこまでで終了よ」

「あ、じゃあ栞さんは何も無くなると思うんすね」

私が言ってるのはそういうことじゃないけど否定するのも面倒だった。

「何も無い世界、それこそ真っ暗でしょうね。それこそこの月明かりも星の煌めきも。それはまたかなり寂しいっすね」

「寂しいも何もないわよ。感情も無くなってるでしょうし」

「それもそうですね。でも、それはそれで悲しいっす。例えば死ぬ直前の人と話をしてたとします。その人は死んでしまった。生きている人はついさっきまで話してたのに、と辛くなります。けど、死んでしまった人はそれを感じることも無く、ただ何も無い何も感じられない存在になっちゃうなんて」

「あなたはどうなると思うの?」

「俺っすか、俺は、そうっすね。ここみたいな残酷な場所じゃなければどこでもいいっす」

へらっと笑う彼の顔に少し違和感を感じた。

「ここって?」

「そうっすね。いわゆる現実ってところです。人と関わらなければ生きていけず、それなのに人は人を傷つけあうような残酷な世界じゃなくて誰もがお互いを尊敬し合えるところに行きたいっす」

「あなたも…」

「さってと、もう夜もあけちゃいますよ、栞さん。」

そう言って彼は手を差し伸べる。

「帰りましょう」

「ええ、そうね」

私は彼の手を取って立ち上がった。
彼の顔はちょうど上り始めた太陽の逆光で見えない。
ただ何となく、彼の顔は希望を見てる表情をしていなかった。

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