偏屈

なゆか

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偏屈

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私は、見た目のせいなのか
クラスを牛耳る女子に嫌われ、
理由は分からないが
とにかく、嫌がらせなど
しょっちゅうされていた。

中学の体育祭、
私は誰かに足を引っ掛けられて転んだ。

転んだ私に誰一人声を掛けて来ず、
膝の擦り傷の手当てに
保健委員がいるテントへ向かう。

きっと、誰も手当てはしてくれないだろう。

作野「ん?転んだの?」

菊乃「…え」

そこに居たのが、東守ちゃんだった。

作野「一旦水道で傷口洗ってきなよ。
そしたら、もっかい来て」

東守ちゃんだけは、
普通に足の手当てをしてくれた。

菊乃「私の事、気持ち悪くないですか?」

作野「ん?怪我の事?
まぁ、保健委員だし」

菊乃「違います…私…変な噂流れていて」

作野「知らん、よしテーピング巻いたから
そこで休んでてよ」

私の事を知らなかった東守ちゃんは、
そう言って自分の競技に向かって行った。

その時の事を今でも思い出す度、
凄く腹が立つ。

この時の私は嫌な噂を流されて、
味方は弟の鞠だけ。

私のせいで鞠も嫌な目に遭っているのに
それを知らないなんて…

私の事が嫌いで
嫌がらせして来る人よりも
無関心な東守ちゃんの方が大嫌いになった。

菊乃「鞠、作野東守さんって知ってる?」

鞠「…え?」

菊乃「体育祭でね、
私の事を嫌がらずに手当てしてくれたの」

鞠「…へぇ、この学校にそんな子居たんだ」

菊乃「だからね、その子と同じ高校を
受けようと思って」

鞠「菊乃が受けるなら、僕も一緒に受けるよ」

私は大嫌いな東守ちゃんの事を知る為に、
親にも協力してもらう事にした。

父「菊乃に優しくしてくれる子がいるなんてな、
学校に話してみようか」

父にはお金がある為、
私達は東守ちゃんと同じ高校に受かり、
クラスも3人同じにしてもらった。

入学して、東守ちゃんが
私の事を知っていたのが驚きだったけど、
何とかして友達…いや、それ以上にならないと…

鞠「…恋人って、何?
嫌なんだけど」

菊乃「鞠は必ず東守ちゃんの事を
好きになるよ」

私は鞠が東守ちゃんを好きなるよう
暗示をかける事にした。

菊乃「鞠は東守ちゃんの事好きだよ。
勿論、東守ちゃんもね」

鞠「何かの勘違い」

菊乃「双子の私が言ってるんだよ?
勘違いじゃない」

鞠「アイツ、ブスだし」

菊乃「外見なんて関係無い。
鞠は必ず東守ちゃんの事好きだから」

繰り返し暗示をかけ続けると、
次第に鞠は東守ちゃんに対し
好意を抱いていった。

ようやく交際がスタートして、
順調にいっていたのに…

鞠「…別れたから」

菊乃「どうして?」

鞠「東守の事、傷付けた」

菊乃「傷付けたなら、謝らないと」

鞠「無理…東守は、僕の事好きじゃ無いから」

菊乃「それなら、振り向かせないと」

そう、鞠を焚き付けた。

それから、鞠はバカ女を引っ掛け
東守ちゃんに嫉妬させて、
振り向かせようとしたが無駄だった。

もう一手足りない。

鞠「菊乃を泣かせるなんて、許さない」

そうだ、その怒りを東守ちゃんに
ぶつければいい。

鞠はバット片手に東守ちゃんの家に
殴り込みに行った。

本当に殴る気はない事は、
もちろん分かっている…だって姉だもん。

そして、東守ちゃんへの
効果的なアプローチ方法が分かり、
無事めでたしめでたし…



菊乃「と言う事なので、
邪魔しないでくださいね、箭久野君」

箭久野「…いやいや、全然分かんねーよ」

箭久野君は腕を組み、眉間に皺を寄せている。

箭久野「何、菊乃はサクの事嫌いなのか?」

菊乃「大嫌いです」

箭久野「それなら、矛盾してるだろ…
嫌いなら、なんで同じ学校に入って
弟の鞠と?」

菊乃「東守ちゃんと
ずっと一緒に居る為には、
弟と結ばれてもらうのが
手っ取り早いですからね」

箭久野「嫌いなのに一緒に居るって、
意味分かんねーよ」

箭久野君は頭を悩ませながら、
私の事を理解しようとしてくれている。

箭久野「つまり、サクを弄んでんの?」

菊乃「弄んでるなんて、
そんな下賤な事しないです」

箭久野「弄んでんじゃなかったら、
目的なんなんだよ」

菊乃「んー強いて言うなら、報復ですよ」

箭久野「報復?」

菊乃「あの時、私に無関心だった
東守ちゃんには私の存在を知らしめる
必要があるじゃ無いですか」

箭久野「知らしめるって、それで何になんだよ」

菊乃「明確な理由は必要ですか?」

箭久野君は怒っているが、
これ以上の理由はない。

ただ、私は…
悪意があって嫌がらせをされるよりも
無関心の方が、腹が立っただけ。

菊乃「今後も私は大嫌いな東守ちゃんと
一緒に居ます。だから邪魔だけは
しないでくださいね箭久野君」

箭久野「お前、変だよ」

菊乃「では」



私は東守ちゃんの家に上がり、
階段を上がった。

東守ちゃんの部屋が開いている。

菊乃「さてと」
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