同級生同人誌

なゆか

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ペラッ

日が沈み辺りは薄暗くなる体育館裏

小塚「僕…針谷君の事好きなんだ」

1人の男子生徒が覚悟を決め一世一代の
愛の告白をした。

しかし

針谷「…無理」

そんな彼の告白を物ともせず
真顔で冷たく言い放つのは…

針谷「…なんかの冗談?」

同じく男子生徒。

小塚「…冗談なんかじゃないッ
性別とか関係無い…僕は針谷君が好きなんだ」

針谷「つか普通に考えてキモイわ、
俺ノーマルだから男とか
ガチ無理キモい」

小塚「…」

針谷「何黙ってんだよ気持ち悪りぃな
つかお前ゲイだったのかよ」

冷たく言い放たれる言葉に拳を握り締め、
小塚は何も言えずにただ黙るしかない。

針谷「通りで女作らねぇわけだ、
とりま無理キモいから
もう話かけんじゃねぇよ」

小塚「…そんな…」

針谷「最後に俺の
どこが好きなのか言ってみろよ」

小塚「…ッ…えと」

針谷「キモ 」


こうして小塚の一世一代の告白は
酷いフラれ方をして幕を閉じた。

パラッ

外元「針谷、酷すぎだわ」

真野「そこがいーんじゃない」

ここは放課後の教室
私、外元と友達の真野は
同じクラスの針谷×小塚の同人誌を読んでいた

この同人誌を描いたのは
ここには居ないが
同じクラスの雪橋さん
彼女はBL作家であった。

同級生の同人誌を描く雪橋さんの暴走妄想に
私と真野は付き合わされ…いや
真野は腐女子に目覚めた。

真野「あっそうそう、このカプもいいわよ」

パラッ



長谷「和中…俺…我慢出来ないよ」

和中「駄目だッ…こんなところで」

長谷「大丈夫…和中さえ声が我慢出来るなら」



バンッ

外元「これはあかんやつッ!」

真野「えーいーじゃん
天然長谷攻で和中受」

外元「あかんッ!
普通に今までのもあかんだけど
それはもっとあかんやつ」

真野「…じゃあ、私本命カプ」



赤根「地川だーいすき❤︎」

地川「俺もだよ赤根」

ちゅっ



雪橋「デュフッ…新作描いたよ」

外元「…もうさ…勘弁して」

私は頭を抱えた。

同級生で同人誌なんてご法度中のご法度
本人達にバレたら問題ってか事件になるわ…

小塚は、いつもオドオドしている草食系男子

針谷は、強面系

長谷は、天然で優しいクラス委員

和中は、バスケ部エースで爽やかな人気者

赤根は、その辺の女子より女子力高い

そして
地川は、チャラ男な私の幼馴染み

それぞれ実際に存在していて、
同じクラスで毎日顔も合わせているのに
こんな同人誌を読ませられ、
そっち系の目で同級生達を見てしまうのは
完全に雪橋さんのせいである。

外元「…うぅ、植え付けられた情報をどうにかしたい」

~~

パラッ

外元「雪橋さん…私やっぱり真野が…」

雪橋「やだッ…外元さんの事こんなに
好きなのに」

外元「ごめんね…」

雪橋「やだぁ…なんでもするからぁ」

外元「ごめん」

雪橋「うぅ…」



赤根「外元さんはやっぱ真野さん取ったんだね」

地川「外元はずっと真野さんと
一緒だったからな」

赤根「外元さん×真野さんは最強だね~!」

和中「はっはっは
次のページ観てみろよ‼︎」

赤根「何々?…」

パラッ

赤根「まさかッ‼︎」



里見「外ちゃん!
真野ちゃんは私のものだよ!」

外元「里見‼︎」

真野「…ごめんなさい外元…奪われちゃった」



パタン

和中「ライバル里見君臨な」

赤根「まさか…真野さんが」

ここは教室
赤根、地川、和中の3人は同級生の同人誌を
読んでいた。

針谷「お前ら、またそんなん読んでんのかよ」

赤根「そんなんじゃないもん、
百合本だもんコヅ神のだもん」

コヅ神とは小塚の事で、この百合本を描いている
張本人である。

針谷「外元って地川の幼馴染みじゃなかったっけ?
そんなん読んでていーのかよ」

地川「俺的には外元×里見ちゃんでもいーけどね
里見ちゃんのツンデレ受け良さげ」

針谷「知らねぇよッ!
こんなん本人達にバレたらどーすんだよ」

赤根「大丈夫!」

針谷「根拠は?」

和中「外元は絶対的攻だから‼︎」

針谷「根拠でもなんでもねぇよ」

ガラガラ

長谷「全部外に聞こえてるよ…」

長谷はやれやれと教室に入って行く。



女子は女子で、
男子は男子で、
同級生同人誌を楽しんでいたのであった。



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