同級生同人誌

なゆか

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健康診断後
女子は男子と入れ替わりで、教室で自習中
そう言えばと、宮前に向き直る。

外元「宮前、健康診断は?」

宮前「うん?」

宮前って、自分が男だって宣言してたよねと
男子なら保健室行けよと思う。

宮前「そんな事よりさ、
いつも真野ちゃんと何の話で
盛り上がってるか知りたいな~」

外元「は?」

その話題に真野が食い付かないわけなく
飛んで来た。

真野「私は地川×赤根が推しよ」

宮前「え?」

真野は宮前の前に同人を広げ、
宮前はキョトンとしている。

真野「私的には、宮前は総攻めね」

宮前「…え…何、総攻め?」

外元「真野!やめとけ!」

宮前はキョトンとしっ放しだ。

宮前のこの様子だと、真野が期待してるような
タイプでは無さそうだ。

真野「因みに長谷×和中と、
針谷×小塚もあって」

真野はどっから出したのか、
宮前の机に同人誌を積み出した。

宮前「えっ何々…外っち、どゆこと?」

外元「宮前が女子の格好してるから、
仲間だと思ったんじゃん?」

それにしても、いつの間に凄い量描いてたんだなと
頭を抱えている雪橋さんを見ながら思う。

宮前「仲間?」

真野「このシーンがお気にで」

真野は戸惑う宮前をガン無視して、
同人の説明をしている。

宮前「えと…BL?」

真野「良い響きよね」

宮前「ええと…この本?に描かれてるキャラって…」

真野「勿論、クラスメイトよ?」

真野は逆にキョトンとしている。

宮前「え…バレないの?」

真野「バレてもいいのよ、
私のカプが幸せなら」

外元「いや、バレたらアウトでしょ」

宮前「その話で盛り上がってたの?」

外元「盛り上がってるのは真野だけ」

宮前「里見ちゃんは?」

外元「宮前と同じだよ」

宮前は結構引いている。

宮前「クラスメイトで、こういうの描いてるって…
倫理的に大丈夫なの?」

マジレスだなと、案外まともな宮前。

真野「誹謗中傷は受け付けないわよ」

真野は宮前に手でバッテンを作っている。

宮前「誹謗中傷とかではないんだけどさ…
外っち、確か地川って幼馴染だよね?
ネタにされてて、いいの?」

外元「同情はしてるけど、
私が口出した所で実際描いてる子の
手を止めることは出来ないからな」

宮前「真野ちゃんが描いてるんじゃないの?」

真野「雪橋がこの素晴らしい作品達を描いてるのよ!
雪橋先生を呼んでくるわ!」

真野は雪橋さんが描いてる事をバラし、
呼んでくると席を立つ。

宮前「雪橋さんって、あのいつも苦しんでる子?」

宮前が転校してから、
雪橋さんはずっとあの調子の為、
そういう印象なんだろう。

外元「そうだけど」

宮前「あの子がコレを…」

宮前は同人をパラパラと見て、黙りこくる。

外元「宮前って、真野に自分が
バリタチとかって言ったんでしょ?」

宮前「え?バリタチ?」

外元「そういう事言うから、
真野が勘違いしたんじゃない?」

冗談でも自業自得じゃないかと思うが、
宮前はキョトンとしている。

宮前「バリタチって何?」

外元「…え」

真野「宮前!
雪橋先生を連れて来たわよ!
さあ、BLトーク大会としましょうか!」

やたらテンションが高い
真野が雪橋さんを引き摺ってきた。

雪橋「…うぅ…あぅ」

雪橋さんはしゃがみ込んで唸る。

外元「真野」

真野「さてさて」

真野は同人を広げるが、その手を止める。

外元「さてさてじゃないでしょ、
宮前がバリタチだって話し、
本人キョトンだけど?」

宮前「真野ちゃん、うちそんな事言った?」

真野「何よ、昨日寄り道した時
話したじゃない」

そう言えば昨日、真野と里見と宮前の3人で
学校帰り、最近出来たコーヒーショップに行ったと
里見から写真が送られて来てたな。    

コーヒーショップ…

外元「まさかと思うけど、
バリスタ?」

宮前「そうだよ?
うちの兄がバリスタでって話ししたよ」

真野「はん、バリスタもバリタチも同じよ」

外元「…はぁ」

真野は聞き間違いをしたらしいが、
バリスタ=バリタチという持論の意味が分からない。

外元「しかも、宮前のお兄さんがって話でしょ?
どんな耳ってか、腐女子フィルターかけんな」

真野「宮前は男の娘なのよ⁈」

真野は、宮前の肩を思いっきり掴む。

宮前「…わっ何⁈」

真野「ほら、雪橋先生!」

雪橋「うぅ…私…男の娘地雷です…
見た目が女だったら、それはもうノーマルです」

真野「いれる穴が違うじゃない!
地雷踏んでスランプになってる場合じゃ
ないでしょ!」

雪橋「…うぅ…自ら女装してる感じが
創作欲が削がれるんです」

顔を引き攣らせ続ける宮前を放置し、
真野は雪橋さんに下品な熱血説得をしている。

真野「地雷を踏み抜いた先には
新境地があるじゃない!
私は進化した雪橋先生の作品を見たいのよ!」

雪橋「…わ…分かりました」

宮前「…え…ねぇ、外っち」

雪橋「宮前君総攻め本を描かせてもらいます」

宮前「ちょっと、外っち!」

今、私が宮前に言えるのは
この四文字しかない。

外元「ドンマイ」



健康診断前に、外元達のイチャつきをみて
創作意欲が湧いたらしい小塚は
見違える程、元気になった。

赤根「やったー!
コヅ神ふっかーつ!」

地川「量産頼んだ!」

和中「外元攻めでよろしく」

そんな小塚に馬鹿3人は喜んでいる。

針谷「復活すんなよ…」

長谷「後ろ詰まってるよー」

長谷に背中を押され、振り返ると
宮前がちゃっかり列に並んでいた。

和中「お前女子の格好してんなら、
男子の中入って来るなよ、見てみろよ。
先生びっくりして腰抜かしただろ」

赤根「せめてタンクトップ着てよ、
それで上半身裸は見るに耐えない」

和中と赤根がローテンションの宮前に
誰のか知らないがシャツを被せた。

宮前「…なんか、どんまい」

赤根「どんまい?」

宮前「理由は言えないけど、
どんまい」

和中「なんだそれ」

さっきまで、馬鹿みたいにテンション高かったのに
何が遭ったのか目が死んでいる宮前。

針谷「あっそれ俺のシャツじゃねーかよッ!」

宮前「…あぁ、どんまい」

針谷「意味分かんねーよ、
早く脱げよ!」

宮前「…そう言う事言うから、ネタに…はぁ」

ボソボソなんか言った宮前は、
俺のシャツを脱ぎ、保健室から出て行った。

地川「超ローテンションだったな」

和中「アイツ、あのまま出ててきやがった!」

赤根「仕方ないなー!
宮前、ストップストップ!」

赤根は宮前を追いかけて保健室を出て行った。

針谷「だから、俺のシャツ持ってくんじゃねーよ!」
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