色んなストーカー

なゆか

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部外者

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ストーカー「貴様さえいなければ、
悠美さんは俺のモノになったんだ。
貴様さえ、いなければ!貴様さえ!」

田渕「声でか、何回同じ事言うんだよ」

ここは、居酒屋。

私の前で怒り狂い、歌舞伎かよと
言わんばかりに頭を回しているのは、
悠美さんって人のストーカー。

ストーカー「貴様さえいなければ!」

田渕「それ、何度も何度も…
多分、100回くらい言ってる」

怒鳴り散らされる理由は、
このストーカーと悠美さんって人が、
私の隣の席で呑んでいて、
彼女が席を立った直後、
このストーカーは彼女のコップの縁を舐めまわし、
酒の中に白い粉を入れたのを
トイレで立った私が目にしたからだった。

席に戻ろうとしている悠美さんに、コソッと
その事を話すと顔面蒼白し、
彼女は店から走り去って行った。

ストーカー「貴様がいなければ…
殺してやる!」

私が告げ口したとばれ、
ストーカーに壁ドンされ、滅茶苦茶貴様と言われる。

ストーカーに首を掴まれそうになった時、
私は護身術の心得がある為、逆に床に押し付け
関節技を決めた。

ストーカー「痛い痛い痛いッ!
離せッこの貴様!」

田渕「この貴様って、なんだよ」

「どうかされました?」

ストーカーが騒ぎ、私も関節技を決めてる為
店員に声を掛けられた。

田渕「えと、警察?」

ストーカー「貴様!」

田渕「警察で!」

「この人、結構呑まれてましたよ。
多分、酔っ払って絡まれたのかもしれませんよ」

警察沙汰は面倒なのか店員は、
警察を呼んでくれなかった。

ストーカー「残念だったな!」

田渕「セリフが雑魚キャラじゃん」

店員は行ってしまったが、
こんなトイレ前の通路で、このままはなと
私は一旦手を放した。

田渕「とりあえず、ストーカーは犯罪」

ストーカー「ストーカーではない!」

田渕「いや、完全ストーカーだよ。
あんたのスマホ画面、凄い見えてたからね」

隣の席の会話とか、プライバシーだし
あまり興味無いのに、こいつの話し方とか
私の席から、完全に見えるスマホの画面。
そして、画面に映っていた悠美さんの写真の量に
ストーカーかなと思った。

田渕「とにかく、警察行きな」

ストーカー「ふざけるな!
俺は彼女を愛し続ける!」

田渕「過剰な片想いからのストーカー行為の時点で
可能性ないから諦めな」

ストーカー「貴様に俺の気持ちが分かるものか!」

田渕「ストーカーの気持ちなんて
分かるわけないだろ」

ストーカー「とにかく、放せ!」

田渕「警察行きな」

ストーカー「離せ!」

このやり取りが多分15分くらい続き、
何故か一緒に呑む事になった。

ストーカー「貴様は、1人だったのか?」

田渕「私、田渕。
まぁ1人だね」

ストーカー「こんな居酒屋で
何故1人でテーブル席で呑んでるんだ!」

田渕「彼氏にフラれたからね」

ストーカー「無様だな」

田渕「傷心してる人に言うセリフじゃないでしょ。
そもそも、ストーカーに無様とか言われたくないし」

ストーカー「俺はストーカーではない」

田渕「いいから、そういうの
とにかく、話聞いてよ」

そこからはお酒を何杯呑んだのか
あまり覚えていないが、
気が付くと壁一面に同じ人の写真が貼られた部屋で
ベットのヘリであのストーカーが突っ伏して寝ていた。

田渕「ストーカー」

ストーカー「ん…ようやく目覚めたようだな」

目を擦りながら、顔を上げたストーカーに
いい加減その口調やめなよと笑う。

ストーカー「貴様、ヘラヘラ笑いやがって
昨晩、俺にどれだけ迷惑を掛けたと思っているんだ」

田渕「へぇ、ここがストーカーの本拠地か…
まじやばいね」

パソコン画面には、悠美さんの
多分隠しカメラ映像が映し出されている。

田渕「ド犯罪者じゃん」

ストーカー「犯罪ではない、愛だ」

田渕「いや、犯罪でしょ」

ストーカー「彼女を見守るのは愛してる証明だ」

田渕「ただの付き纏いでしょ、
証明って言ってんのも独りよがりじゃん」

ストーカー「貴様には関係無いだろ」

田渕「部屋に連れ込まれたし、
関係なく無いじゃん、警察と病院行こうよ。
ストーカーって、精神病の一種っぽいから
治療出来るよ」

ストーカー「恋は病とでもいうつもりか?」

田渕「まぁ、そうなんじゃん?」

私はベットから降りて、とりあえずパソコンを切る。

田渕「悠美さんに謝ろう。
一緒に行ってあげるから」

ストーカー「部外者のくせに、
図々しい奴め」

田渕「部外者だから遠慮なく言えんだよね。
当事者だったら、そもそも即警察か裁判所?
とにかく、見込みの無い相手に迷惑でしか無い
ストーカー行為はやめな」

ストーカー「俺が何年悠美さんを
愛していると思っているんだ」

田渕「知らん、やめなって」

ストーカー「21年だ」

田渕「いや、長期に渡るストーカーとか知らんから
とにかく、もう諦めなよ。
別の人と正当な恋なり結婚なりしなよ」

ストーカー「21年という月日を捨てろと言うのか?」

田渕「うん」

ストーカー「ふざけるな!」

田渕「ふざけてない、真面目に言ってる」

ペリペリ

私は壁の写真を剥がしていく。

田渕「21年も好きなのに、
相手の迷惑も考えらんないの?
21年間も何してたの?」

ペリペリ

田渕「好きなら、相手の幸せ考えてあげなよ」

ペリペリ

ペリペリ

ペリペリ

高い所の写真は椅子に登り外し、
天井の写真は掃除機で吸った。

田渕「さっきから黙ってるけど、
ストーカーは迷惑で犯罪だって痛感したの?」

私は振り向くと、ストーカーは
滅茶苦茶、下唇を噛んでいた。

ストーカー「俺だけが悠美さんを
幸せに出来るんだ」

田渕「まだ分かってないのか…」

ストーカー「この想いを貴様になど、
理解出来るわけがない」

田渕「昨日も言ったけど、
ストーカーの事なんて理解出来ないし、
したくないから」

ストーカー「男にフラれるような貴様に
理解出来る訳がない」

ストーカーは唇を噛み過ぎたのか、
血が出て来ている。

田渕「いや、フラれたとか関係無く
理解出来ないから…
そもそも、ストーカー行為はどこがゴールなの?」

ストーカー「悠美さんと幸せな結婚生活だ」

田渕「いや、それは無理でしょ。
この目的が果たされなくなって、この後は?」

ストーカー「果たす」

田渕「いや悠美さんがかなりの
変わり者じゃない限りは果たせないと思うけど」

ストーカー「結婚する運命なんだ」

田渕「はは、自分の気持ちだけ人に押し付けて、
相手がどう感じるか分からなくて暴走してる
ストーカーが運命って…」

ストーカーに説教?をしながら、
昨日の彼氏の言葉が頭をよぎる。

田渕「はは、同じ事言ってるわ」

私はこのストーカーみたいな犯罪行為までは
していないが、彼氏にしつこくし過ぎて、
自分の価値観を押し付けるなとフラれた。

田渕「はは…」

ストーカー「何ヘラヘラしてるんだ。
それにまた泣いてるのか」

田渕「私も失恋したから…
ストーカーもストーカーやめなよ」

ストーカー「道理が立ってないだろ。
貴様の失恋と、俺の悠美さんへの愛は別物だ」

田渕「いいじゃん、仲良くなったんだし」

ストーカー「断る」

田渕「これも何かの縁だ。
これからは2人で新しい恋を見つけよう!」

ストーカー「断るって言ってるだろッ」

田渕「よし!
景気付けに縁結びの神社にでも行くか!」

ストーカー「行くわけないだろ!」

私のしつこさ舐めんなよと、
フラれた原因はこの性格だが、
とにかく善は急げとストーカーを引き摺り、
新しい恋探しの旅に出る事にした。
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