職業:ストーリーテラー2

なゆか

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※「職業:ストーリーテラーの後日談」

私は、ストーリーテラーをしている。
そして、兄のアズバルトは
自分の世界の主人公に恋をして
その世界に入ってしまった。

視聴者である神達は新鮮だと喜んでいたが
それは禁忌。
前代未聞過ぎや、妹である私に非があると
理不尽に一定層から責められている。

しかも、最近私の世界の主人公が
ヒロインを守る為に、世界を滅ぼすとか抜かしやがり
私に喧嘩をふっかけてくる。

アズリン「コイツ、まじなんなん」

そんな板挟み状態で、私はイライラしていた。



主人公「神でも何でも掛かってこい!
俺は彼女を守る為にこの世界を滅ぼしてやる」

ヒロイン「勇者様!」

魔王を倒した事で終止符を打ったし、
とっとと話を終わらせるつもりだったのに、
なかなか終わらせようとしない
勇者設定の主人公。

仕方なねーなと、次の敵を出させ、
ほぼ八つ当たりでヒロインには死んでもらおうと
殺させてるのだが、どうやってんのか主人公は
ヒロインが死ぬ度に時間を戻り、
なかなかヒロインを殺させてくれない。

そして、先程の私に抗う発言である。

世界滅ぼすとか、滅ぼした後の事考えてねーだろ…
それに、今までおめーにどんだけ
ポイント使って来たと思っとんじゃい。

世界構築や、設定諸々はポイントが必要なのだが
この主人公はカスって程、
基礎値も無く潜在能力もなく努力もしない為、
私がポイントを使って、チートにして
魔王を倒せるレベルまで成長させた。

それなのに、この私に喧嘩を売るなんて…
とっとと、完結させて終わらせたいのに
…このクソ馬鹿主人公め。



とりあえず、ヒロインが産まれた直後に
殺してみようとするが
未来から来た主人公がそれを阻止。

なら、出会う前…いや、駄目だ…
この主人公は世界を繰り返し、
記憶も引き継がれている為、
ヒロインに記憶が無くとも主人公は覚えている。

敵を滅茶苦茶強くしたらどうだ…
そうすると、主人公はヒロインを守って死んだ。

まぁ、主人公死ぬパターンはザラにあるしと
それで終わるならと思っていたが、
今度はヒロインが自分の命と引き換えに
主人公を生き返らせ、
またヒロインが死んだと主人公は時間を戻る。

いつ終わんだよ、次の世界作りたいのに
それを主人公達に邪魔され、イライラは更に募る。

どうやって、話を終わらせればいい。
話の終わらせ方分かんねーよと
とりあえず、ヒロインを殺すのは諦めた。

アズリン「あーとりあえず、コイツら
結婚に導けば良いか」

腑に落ちないがハッピーエンドにでもしとけば、
満足すんだろと投げやりにポイントを注ぎ込み、
この世界から魔物や悪意を振りまく人間を消失させ、
良い人しかいない平和な世界で
スローライフでもしとれやと天を仰いだ。



しばらく放置すると、主人公とヒロインは
子供をこさえて、娘と一緒にスローライフを始めた。

アズリン「はい、幸せになりました。
めでたしめでたし」

これで、やっと解放される。

次の話に注ぎ込むポイント使い果たしちゃったなと、
やっと終わったこの世界に完結文字を
書き足そうとしたがやっぱりダメだった。

主人公「ゔぁぁあぁあッ
俺は神を恨む!」

平和で幸せなスローライフだったのに
目を離した隙に何が起きたんだと、
確認してみると、娘が誤って井戸に落ちたらしく
それを母親であるヒロインが命綱無しで
井戸へダイブし、娘は落ちてきた母親により圧迫死、
母娘は後頭部を強打し、死んだ。

主人公「嫁と娘の死をいう運命に争う為に
俺は神を殺してやるぅ!」

アズリン「殺してやるぅじゃねーよ、
おめーが目を離したんだろうが」

履歴を見ると、スローライフになってから
このクソ馬鹿主人公は
家事育児農作業をヒロインに丸投げし、
放浪の旅とか謎の事を抜かし、家を空けては
風俗街でサキュバスと遊び歩いていた。

そんな時に起きた不慮の事故を
このクソ馬鹿主人公は神のせいだと叫んでいる。

時間を戻される前に
直接文句言ってやろうと、
兄の様には自分の世界に降る事にした。

主人公「誰だ、貴様は!」

アズリン「父親の自覚ないなら、
子供こさえんな」

主人公「何だとッ」

アズリン「もういい…この世界は打ち切りにする。
強制完結で締めるから、
おめーはこの世界と共に死ねや」

私は主人公に刃を向けるも、中々死なず
重傷を負わせたとしても回復か、時間を戻り
この闘いに粘り続ける。

このクソ馬鹿主人公を甘やかして
ポイント注ぎ込んで、
チートにさせた私に非はある。

アズリン「はぁ、それなら…」



神との闘いは終わらない…俺はこれからも闘い続ける。

埒が開かないと、ナレーションを入れて
打ち切りにさせるが、まだ主人公は動き続け
まだ粘る。

ポイントを使い切ったせいで、
主人公を止める術が、
自ら手を下して殺す事しか出来ない。

結局、今後も次には行けず
私は自分が作り出してしまったクソ馬鹿主人公に
振り回されるのであった。



「アズバルトといい、アズリンといい…
貴様の兄妹は揃いも揃って、何をやってるんだッ」

「まぁまぁ、落ち着きなさいよ」

兄のアズバルドは、自分の世界の主人公に恋をし、
妹のアズリンは、自分の世界の主人公を
殺す為に2人とも自分の世界に入ってしまった。

「管理側なのに、本当似たもの兄妹ね」

「アズタナ!
貴様は同じ事を繰り返すな!」

アズタナ「分かってますよ。
ボクは兄や妹のようなヘマはしませんよ」

「それ、フラグっていうんじゃないのかい?」

アズタナ「あはは、ご冗談を」
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