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第二章 使命を探す旅
第12話 消えた森
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ジオがくれた地図を見て、飛翔は驚愕した。今いるところは、かつてのザイード国の北端辺り。
壮国という国が四方を統一して大国となっているようで、海洋国家バルディア国があったところも海洋都市として吸収されていた。
だが、何より一番驚いたことは、地図に森が描かれていなかったことだった。
千年前、宝燐山の麓には深い森が広がっていたはずだ。それなのに、たった千年しか経っていないのに、全て無くなっている。
一面の砂漠。
「この砂漠は、本当に一面砂漠なのか? この辺りに国があったはずだが……」
「シャクラ砂漠のこと? ずーっと前から砂漠よ。このミザロの街は砂漠の南端のオアシスだから隊商が行き来しているけど、中心辺りは未開の地よ。ちょうどあなたが倒れていた辺りね」
フィオナは地図を指差しながら続けた。
「あそこはずっと砂に埋もれていて、文明が栄えていた痕跡は見つかっていないのよ。うちのお父さんは、そういうところの発掘が仕事だから、今回みたいにたまに行くんだけど、砂漠の真ん中で自然が厳しいところでしょ。だからなかなか発掘が進まなくて。でも、今回は大当たりだったのよ」
聖杜国は、いったいどうなったんだ?
飛王はあの後どうなったんだろう?
無事だったのだろうか?
リフィアは?
やっぱり、離れてはいけなかったのに……
飛翔は唇を噛み締めた。
「大丈夫? 唇から血が出てるわよ。噛み締めすぎよ」
フィオナが心配そうに覗き込んだ。
「頭の整理は明日にして、今日はとりあえず休めよ。混乱した頭で考えても良い考えは浮かばないぜ!」
ハダルがなだめるようにそう言うと、飛翔のおでこをコツンと優しく小突いた。
「食い終わったら、寝たほうがいいぞ」
飛王……
そうだな。飛王だったら、きっとそう言うな。
飛翔は頷くと、大人しく布団の中に潜り込んだ。
「じゃあ、ゆっくり休んでね。また、明日ね」
三人は、灯りを消すと、静かに戸を閉めて出て行った。
飛翔は暗闇の中で、飛王とリフィアの顔を思い浮かべた。
会いたくてたまらなくなった。
二人を守りたかったのに……こんなところへ来てしまった。
自分はこれからどうすれば良いのだろうか……
本当の使命を探せと言われた。
あれはどういう意味なのか。
どうやって探せばよいのか。
その時、飛翔は大切なことを思い出して、ガバッと起き上がった。そして自分の体を見回すと、ふーっと大きく息を吐いた。
良かった。肌着はそのままだ。
そして、胸元に縫い込まれた固い物を上からぎゅっと握りしめた。
これさえあれば……
指輪さえあれば、なんとかなる。
大丈夫だ!
壮国という国が四方を統一して大国となっているようで、海洋国家バルディア国があったところも海洋都市として吸収されていた。
だが、何より一番驚いたことは、地図に森が描かれていなかったことだった。
千年前、宝燐山の麓には深い森が広がっていたはずだ。それなのに、たった千年しか経っていないのに、全て無くなっている。
一面の砂漠。
「この砂漠は、本当に一面砂漠なのか? この辺りに国があったはずだが……」
「シャクラ砂漠のこと? ずーっと前から砂漠よ。このミザロの街は砂漠の南端のオアシスだから隊商が行き来しているけど、中心辺りは未開の地よ。ちょうどあなたが倒れていた辺りね」
フィオナは地図を指差しながら続けた。
「あそこはずっと砂に埋もれていて、文明が栄えていた痕跡は見つかっていないのよ。うちのお父さんは、そういうところの発掘が仕事だから、今回みたいにたまに行くんだけど、砂漠の真ん中で自然が厳しいところでしょ。だからなかなか発掘が進まなくて。でも、今回は大当たりだったのよ」
聖杜国は、いったいどうなったんだ?
飛王はあの後どうなったんだろう?
無事だったのだろうか?
リフィアは?
やっぱり、離れてはいけなかったのに……
飛翔は唇を噛み締めた。
「大丈夫? 唇から血が出てるわよ。噛み締めすぎよ」
フィオナが心配そうに覗き込んだ。
「頭の整理は明日にして、今日はとりあえず休めよ。混乱した頭で考えても良い考えは浮かばないぜ!」
ハダルがなだめるようにそう言うと、飛翔のおでこをコツンと優しく小突いた。
「食い終わったら、寝たほうがいいぞ」
飛王……
そうだな。飛王だったら、きっとそう言うな。
飛翔は頷くと、大人しく布団の中に潜り込んだ。
「じゃあ、ゆっくり休んでね。また、明日ね」
三人は、灯りを消すと、静かに戸を閉めて出て行った。
飛翔は暗闇の中で、飛王とリフィアの顔を思い浮かべた。
会いたくてたまらなくなった。
二人を守りたかったのに……こんなところへ来てしまった。
自分はこれからどうすれば良いのだろうか……
本当の使命を探せと言われた。
あれはどういう意味なのか。
どうやって探せばよいのか。
その時、飛翔は大切なことを思い出して、ガバッと起き上がった。そして自分の体を見回すと、ふーっと大きく息を吐いた。
良かった。肌着はそのままだ。
そして、胸元に縫い込まれた固い物を上からぎゅっと握りしめた。
これさえあれば……
指輪さえあれば、なんとかなる。
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