完璧を目指す一華さんは自分好みのスパダリも育成しちゃいます!

涼月

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Episode2 プロデュース第一弾

馬子にも衣装なんて言わせない (一華side)①

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「ありえない!」

 一華は自室で叫んでいた。
 水島との初顔合わせから一週間。結局一度も会うことはできなかった。
 互いに仕事が忙しい身の上。予想はしていたことなのでそれ自体は問題無い。つまり、困惑理由は別のところにあるということ。

 毎晩互いにLineのやりとりをしていた……のだが、水島から送られてくるのはベニクラゲの動画ばかり。
 
『草間さん、今日もお疲れ様でした。大変な一日を乗り越えるために、紅子の癒しの姿を送りますね。疲れた心にバッチリですよ。良い夢が見れますように。おやすみなさい』

 前後の言葉は素敵なのよ。結構ロマンティックな言葉のチョイスで。
 なかなかセンスいいなって思うの。
 でも……紅子なんだよね!
 
 一華はぽいっとベッドの上にスマホを放り投げた。
 美顔器を片手に天井を見上げる。

 鹿と言う言葉が頭を巡った。
 そう、これは推し活のようなものよ。彼はクラゲ推しだから、私にもその良さをわかって欲しいんだわ。
 愛を深めるうえで、共通の話題や価値感を分かち合うのは大切なこと。
 そう思っているからこそ、私に伝えようとしてくれているだけなのよ。

 でも……ここで甘い顔をしてしまったら、この先ずーっとクラゲ三昧の日々に突入してしまうかもしれない。
 それは嫌。そんな生活あり得ないわ。絶対考えられないんだから。
 だったら、ここは毅然とした態度で、これ以上の情報はいらないと突っぱねるべきよね。

 そう考えつつも、一番あり得ないと思っているのが自分の心の移ろいだった。
 
 紅子、可愛い!

 何度も何度も動画を見せられるうちに、一華の心にも紅子が浸食し始めていた。
 フワフワと漂うベニクラゲ。一センチたらずの小さな生命が、必死で触手を動かしながら生きている姿は、奇跡のように感じる。水の中を縦横無尽に動き回っているようで、その実水流に流されている切ない現実。まるで自分自身の生き様を見せつけられているような、虚しさも感じてしまって。
 一華はだんだんと紅子に感情移入していった。

 いやいや、あり得ないから!

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