完璧を目指す一華さんは自分好みのスパダリも育成しちゃいます!

涼月

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Episode2 プロデュース第一弾

寄り添うための一歩 (一華side)⑧

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 次に連れて行きたいところを思い描いているらしい龍輝の顔に気づいて、一華は素直に同意する。

「良かった。じゃあ、俺がいつも残業している時に食べに行っているところでもいいですか?」

 そう言って案内されたのは小さな町中華のお店。
 暖簾をくぐってカラカラと引き戸を開けると、こじんまりとした店内に五香粉ウーシャンフェンの香りが漂っていた。
 
 うーん。ちょっとベタベタしてる? 全身油っぽくなりそう……
 
 一華は一瞬入るのを躊躇ったが、親し気に店内へ声をかけた龍輝を見て、『今更逃げられないわ』と覚悟を決めた。
 
 真っ直ぐにカウンター席へ向かう龍輝の後に続く。
 ふくよかで陽気なおばちゃんが「いらっしゃいませ~」と声をあげ、斜め奥の厨房では厳ついおじさんが威勢良くフライパンを揺り動かしていた。

「ここのチャーハン定食が絶品なんですよ」
「じゃあ、お勧めで」
 勢いよく差し出された水のカップを受け取ると、おばちゃんがニマニマしながら龍輝に声をかけた。

「おやまあ、びっくり。誰かと思えば博士はかせ君じゃないのさ。すっごい小奇麗になっちゃって。誰だかわかんなかったわよ。本当はこんなイケメンだったんだ」
 照れくさそうに頭を掻いた龍輝に、畳みかけるように言う。

「しかもこんな別嬪さん連れてさ。あんたにも遂に春が来たんだね」
「おばちゃん、ありがとう。おかげさまで」
 龍輝が屈託のない笑顔を見せると、おばちゃんが一華にウィンクしてきた。

「奥手で仕事の虫でさぁ。心配していたんだよ。良かった、良かった」
「ごめん、ごめん。おばちゃんにまで心配かけてたんだ」
「だって、いっつもうちで夕飯食べていて、誰かいい人いないのかと心配だったのよ。まあ、売り上げ貢献は有難いけどね」

 そう言って、わははと豪快に笑った。

「いや~、それにしても綺麗な彼女だね~」
「初めまして」
 一華が美しく微笑むと、おばちゃんがほーっと目を丸くした。

「美人な上に気立てが良さそうで。本当に良かったよ」
 我が事のように喜んでいる。
「博士君のこと、よろしくね」
 
 一華は驚きつつも納得していた。龍輝の『たらし』の才能は、こんなところにも発揮されているのだと。
 そして、『彼女無し』の事実が、呆気なく証明された安堵感も―――

 アッと言う間に出来上がったチャーハン定食は、チャーハンにミニ回鍋肉、春雨サラダにわかめスープ付のボリュームたっぷりメニュー。
 思っていたよりも油っぽくなく、あっさりなのに素材の味が生きていて本当に美味しかった。
 一華は龍輝の味覚に驚く。

 確かに美味しいわ! 
 それに気づく彼は思った以上に繊細な味覚の持ち主なのね。

 手料理をご馳走する日は頑張ろうと、密かに気合を入れ直した。



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